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光を読む
「写真には正解がない」という言葉を耳にしたことはないですか?ぼくは耳のタコが正解探しをやめるぐらい聞いてきました。これは半分本当で半分間違いです。正しくは「写真には明確な正解がないけど、明確な不正解はあるし、おおむね正解もある」です。
正解がないといわれがちな家事や育児だって、明確な不正解を避けておおむね正解をやってませんか。塩素系洗剤と酸性洗剤は混ぜないし、小さい子どもが食べるお寿司のわさびは抜きますよね。
本当に正解がなかったら写真は仕事になりません。写真は光があるから写ります。なので光の正解をまず狙います。
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うちのテーブルです。右のイスがぼくの席です。伊勢エビのバッグがかかった左のイスが妻の席です。手前のイスは息子の席です。ぼくのイスに座ると窓が右側にくるので、光は右から左に流れて左側に影が落ちます。
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ぼくの席で本を置いて撮ると右の写真のようになります。なんとなく綺麗に見えるかもしれないけど、まったくダメダメな不正解です。息子の席に移動して撮ればいいのです。そうすると左の写真のようになります。これでおおむね正解。
息子はここでごはんを食べて宿題もします。手前のイスを息子の席にしているのは光がいい席だからです。
光の方向性の正解は左から右、それと上から下です。時計の文字盤で考えると左から右は9時から3時。上から下は12時から6時です。その中間の10時から4時あたりの流れに光を合わせます。
そうすると物がスッキリと見やすくなります。横書きの文字の流れとおなじだからです。左から右に文字が流れて、改行されると上から下に流れます。
10時4時の光の流れは物撮りの世界では基本中の基本です。世の中にある物撮りの写真はほとんどがそうなっています。左上が明るくて右下が暗くなっているはずです。細かい光の表現はかわりますが大きな流れとしては10時4時が基本……というよりも常識です。
日本語は縦書きもあります。文字の流れは上から下、右から左です。パッケージが縦書きの商品もあります。そういった物撮りも10時4時です。
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だけどこの常識が外れることがあります。シャネルの香水の物撮りは光の方向性が逆です。天才的な常識やぶりだと思います。これは写真家が天才というよりアートディレクターが天才なのだと思います。
高級時計のロレックスはバラバラです。これは謎。北野武さんが起用されたポカリスエットの広告は、北野さんを撮った光の方向性に合わせて、物撮りのポカリスエットに右から光をあててます。これはめずらしいです。
販売単価が低い飲食チェーン店は光の方向性を無くしたメニュー写真にする傾向にあります。販売単価が高い飲食チェーン店は光の方向性を必ずつけます。光の方向性がないとチープに見えるので、あえて写真を安そうに見せているのかもしれません。
光の方向性を知っているとレストランやカフェで光の方向性で席を選べるようになります。いい光の席で写真がパッと撮れます。
学校の黒板と窓の位置を思い出してください。黒板に対して左側に窓がありましたよね。光の方向性は左から右なんですよ。ちゃんと考えられてるんですよ。もしも逆だったら先生も生徒も書きにくくなります。
ただし、右利きの人だけ。左利きの人は左から右の光が書きにくいのです。だって自分の左手やチョークの影がいまから書くところに落ちてるわけです。
横書きの日本語やアルファベットは右利きの人は書きやすいですよね。左利きの人は手が汚れたり、文字が擦れたりします。そもそも文字の流れは右利きの人が書きやすいようになっています。
じつはこれ絵画もおなじ。右利きの画家はデッサンをするときに光が10時4時だとキャンバスに自分の手や筆の影が落ちず描きやすい。なので肖像画は10時4時の光の方向性で描かれているものが多いのです。
写真の光は絵画が基礎になっています。文字の流れに写真の光を合わせているようで、おおもとは右利きの人に合わせているのです。
「いい写真は誰でも撮れる」光の方向性 その1より
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