シャニP婚活騒動 with 放クラ
シャニマス二周年記念ということで! ね! 頭空っぽにできるネタですね!! まだ私が寝てないので二周年ですね!!!
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その騒動の一言目は、智代子だった。
「······プロデューサーさんが、婚活してるかもしれない」
事務所の夕方。放課後クライマックスガールズのメンバーに小声で智代子が話す。リビングに他に人はいないので、別にその必要もないのだけど。
*
時間は数時間程度遡る。
丁度、レッスンのために智代子が事務所に到着した一時頃。リビングから廊下に、社長とプロデューサーの話し声聞こえてくる。
「ああ、社長。お見合いの件、ありがとうございました」
一言目からのお見合いというワードに、智代子のセンサーが反応した。足音やらリュックのストラップの揺れやらを抑えて、廊下で息を潜める。要は盗み聞きをする姿勢である。
「とりあえず今はお互い連絡を取り合ってみてる感じですね」
「そうか。我々の業界も、出会いという出会いが少ないからな。上手くいくといいな」
「はい」
「ああそうだ、釣書、忘れるなよ?」
「はい。大丈夫です」
そんな感じの、軽い会話。昼休みが終わったようで、社長がお互い仕事に戻るぞと言いながら廊下に出る。
当然、鉢合わせする智代子。
「園田、来てたのか」
「は、はい! 今、ちょうどピッタリ······!」
「おお。智代子、こんにちは」
「こ、こんにちは!」
「すまんが社長と俺はこれから出るから、レッスン場の鍵ははづきさんが来てから借りてくれ」
「わかりました!」
*
「······と、まあこういうわけなんですが」
「モノマネ、結構似てたわね······」
「だな······って、そうじゃねーだろ······」
園田智代子、迫真の声マネによって一部始終が共有された。
「ええっと、『つりがき』って、なんですか?」
「釣書っていうのは、お見合いする相手のことが書かれた紹介文みたいなものね。写真とか、職業なんかが載っていたりするわ」
「そ! れ! よ! り! プロデューサーさんがお見合いしてたってこと、誰か知ってた!?」
「······いえ。凛世は············なにも······」
「うーん、アタシも知らなかったな」
「私も、知らなかったわ」
「あたしも! 知りませんでした······!」
誰も事前情報なし。
まあ婚活などはわざわざアイドルに話すようなものでもないだろうが。
「まったく、プロデューサーさんは······! 凛世ちゃんというものがありながら······!」
ダン、とテーブルを叩く智代子。別に凛世とプロデューサーは付き合っていない。
「いや、お前は凛世の何なんだよ······」
「それにしても、プロデューサーが婚活をしてたなんてね。まあ、おかしくない年齢ではあるのだけど」
「プロデューサーもけっこう、有料物件だもんなぁ。背高いし、気利くし」
「ゆうりょうぶっけんって、なんですか? 建物のことじゃないですよね?」
「うーんとね、結婚相手としてポイントが高いっていうか、いい人っていうか、そんな感じかな?」
「なるほど······! そうなんですね! プロデューサーさん、なんかカッコいいです!」
「まあ実際、プロデューサーさん格好いいもんね」
「相手はどんな人なのかしら······」
「社長が紹介したっぽいよな? 親戚とか?」
と、身近な人のゴシップネタで盛り上がる中、一人だけ静かな少女がいる。
凛世である。
「······プロデューサーさまが······伴侶を······お探しに······」
真っ青な顔で、心なしか影が落ちている。
「ちょ、凛世ちゃん! ほ、ほら! まだ上手くいくかわからないし······!」
「それでも······次が······」
「っていうか、一回直接聞いてみたらどうだ? なんか誤解があるかもしんねーし」
「そうね。早合点は良くないわ」
と、間が良いのか悪いのか、プロデューサーが事務所に戻ってきた。
「お疲れ様でーす、って、おお。レッスンは終わったんだっけか」
「ぷ、プロデューサーさん、お疲れ様です! 今はちょっとみんなで雑談タイムといいますか······」
ここでチラっとアイコンタクトをなつちょこじゅり。
(だ、誰が行く?)
(チョコ、任せた)
(そうね。私たちが知ってるのも変だもの)
というわけで、園田智代子、行きます。
「あ、そ、そういえばなんですけどね、プロデューサーさん······」
「ん? どうした?」
「ええーっと、お昼頃の社長さんとのお話、聞いちゃったと言いますか······あ! 盗み聞きみたいになっちゃったのは謝るんですけど······!」
「ああ、その話か。別に隠してたってわけじゃないし構わないよ」
「あ、ちなみにどんな人だったんですか? 綺麗な人ですか?」
「ん? まあ、綺麗っていうか、美形だったよ。それに朗らかでいい人だったな」
恋する乙女に2ヒット。
「っていうか、みんなには関係ない話じゃないか?」
追撃、もう1ヒット。
「い、いやー、そうなんですけど······ちょっと気になっちゃいまして······」
「女子ってそういう話好きだもんなぁ······っと、そうだ。忘れ物を取りに来たんだよ。すまん、すぐに出なきゃなんだ」
プロデューサーは机から資料を取り、あまり遅くならないようにな、と言い残して早足で事務所を後にする。残された放課後クライマックスガールズのメンバー。
ぱたり、力なくソファの上に倒れる凛世。その表情は消え入り方なほどに絶望に暮れている。
「お、おい! 凛世、大丈夫か!?」
「······分かって、おりました······プロデューサーさまも······いつかは············」
「凛世! 気をしっかり保つのよ! ここで寝たら死んでしまうわ!」
ぐったりと力を失う凛世。
樹里と夏葉がくっと項垂れる。
そんな中、立ち上がる一人がいた。
「花嫁修行しよう! 凛世ちゃん! プロデューサーさんがお嫁さんを探してるなら、凛世ちゃんがお嫁さんになればいいんだよ!」
「············!」
「うおっ、凛世が生き返った」
「それで、具体的には何をするのかしら?」
「花嫁修業······! すい事、そうじ、洗たく、ですね! ピンクがやってました!」
「それだよ果穂! 洗濯······はともかく、炊事と掃除なら!」
「料理なら、寮でやってるもんな。お弁当作って持っていったりとかどうだ? プロデューサー、いっつもコンビニ弁当だし」
「今すぐできるとしたら、掃除かしら? 事務所······いえ、プロデューサーにアピールするならプロデューサーの机とか」
「勝手にやったら怒られねーか?」
「散らかってるものをまとめて、普段ある場所に物を戻すくらいなら大丈夫じゃないかな?」
「凛世、物の配置は覚えてるかしら?」
「はい······いつも、見ておりますから······この凛世、完璧にこなして見せます」
凛世がさっと立ち上がり、雑多なプロデューサーの机に立ち向かう。
「凛世さん、どんどん机がきれいになって······! スゴいです!」
「これは、私たちの出る幕はないね······!」
サッサッ、トントンと分類できない書類はまとめて、消しカスやら紙くずやらをゴミ箱に入れていく。判子は朱肉と共に机の隅に。出しっぱなしのボールペンはペン立てへと。
「······これは······?」
そうしていると、見慣れない、厚い冊子のようなものがひとつ余る。
「何かしら? しっかりとした表紙みたいだけど」
「中身見てみればいいんじゃねーか? ほっぽり出してたんならそんな重要なもんでもねーだろ」
「あ、でもこれページっていうか見開きで終わりだね」
「お兄ちゃんが持ってた卒業証書みたいです!」
わらわらと机の前に集まる一同。
「······こちら側に、釣書、と」
「本当だ! ······っということは、つまり、お見合い写真······」
ごくり、と緊張が走る。
凛世がゆっくり、釣書を開く。
見開きの片面を使い、大きく写真が載っている。
写っているのは、スーツ姿の、見知らぬ男性だった。
ぱたん、と釣書を閉じる。
「······」
「······?」
「············まさか、プロデューサーさんってホm「ストップだチョコ! なんか、その先は言っちゃいけない気がする······!」
「で、でも! こんなに普段から可愛い子に囲まれてるのに! 凛世ちゃんとか千雪さんとか恋鐘ちゃんに全然なびいてないのってまさか!」
「い、今は多様化の時代だもの······おかしくはないわ······」
「······インドネシアであれば······たしか······」
「待て凛世早まるな! 性転換は、いろいろマズいって!」
「あれ~、皆さんプロデューサーさんの机で何を見てるんですか? あ、お見合い写真ですか~。社長のご親戚だそうで。イケメンですよね~」
いつの間にやら現れたはづきさんに驚く一同。
「えっと、はづき、知っていたの?」
「プロデューサーさんのお知り合いが婚活をしてるって話なら聞いてましたよ」
「えっ?」
「なんでも、芸能事務所のプロデューサー繋がりだそうで。それで、社長にも相談していて、今回の話が持ち上がったとか」
一同、沈黙。
「あ、今日のおやつ、ちょうど持ってきたんですよ。食べますか?」
「いただきます! 今日のおやつはなんですか!?」
「ふふ~、今日はエクレアですよ~」
はづきさんの持ってきたエクレアに飛び付く果穂。
未だに処理しきれていない様子の智代子。
文句を言いたげな目で智代子を見る樹里。
驚きで気の抜けた様子の凛世。
一人で何やら納得している夏葉。
今日も放クラは、平和だった。
Comments
- アオMay 8, 2022