ハロウィンナイトにキャンディひとつ
滑り込みハロウィンズザァァァァァァァァァッ(アウト)
ちょっと診断メーカーで遊んでたら【ハロウィンのランサーとアーチャー】攻めに飴玉を一つ貰ったのにそれじゃ足りないと文句を言う受けを妄想しましょう。 http://shindanmaker.com/278390 という美味しいネタを提供された結果がこれだよ!!!!
まあ、ものの見事に間に合わなかった訳ですがorz 朝日が昇るまでは31日で良いよね、セーフだよねって事で一つお願いします(土下座)
同じ診断メーカーで旧剣弓とディル弓もやったのは秘密。
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「Trick or Treat」
「は?」
バイトから帰ってきて早々、ランサーは仏頂面なアーチャーにそんな事を言われた。
確かに今日はハロウィンである。ランサーもバイト先でちょっとしたハロウィンイベントをこなしてきたばかりだし、アーチャーも確かハロウィン用にと昨日から菓子などを作って腹ペコタイガーや空腹騎士王の襲撃に備えていた筈だ。
だから、その決まり文句を聞く事自体は驚くような事では無かった。ただ、その決まり文句をアーチャーから聞くとは思っていなかったのだ。
「どっちかってえと、お前はそれを言われる方だろう?」
「ああ言われたさ。今日だけで何十回とな」
靴を脱ぎ玄関に上がりながらランサーが言うと、アーチャーが不貞腐れたような口調で答える。その様子から、どうやら日中相当なトリート攻撃を受けたらしい事が見て取れた。
多分、用意していた菓子類が無くなって追加の菓子でも作っていたのだろう、アーチャーの身体からは微かにバニラの香りがした。
「そんな訳で、一回ぐらい私が『お菓子か悪戯か』なんて言っても文句無いだろう?」
にこりと笑ってアーチャーがもう一度「Trick or Treat」と言う。
急にそんな事言われてもランサーもバイト上がりである。お菓子なんてそんなものは用意していないし、そもそもランサーの方こそアーチャーに同じことを言おうと思っていたのだから用意する気など更々無かった。
ので、ポケットなど探ってみたところでアーチャーに渡せるような菓子などある筈も無い、とお菓子なんてありませんよアピールとしてランサーはジーンズのポケットやジャケットの胸ポケットに手を突っ込んでみたところ、かさりと触れる紙の感触。
「お、あった」
ジャケットの内ポケットから出てきたのは小さなキャンディ。半透明の包装紙に包まれたそれは真っ赤な色をしていた。
何故ランサーがキャンディを持っていたかと言うと、彼がアルバイトをしている喫茶店ではちょっとしたハロウィンイベントを行っていたのだ。
店員に向かって「Trick or Treat!」と言うとキャンディやクッキーなどのお菓子を貰える、という程度のものだが。
元より女性客に人気のあるランサーの事、イベントに格好付けて声を掛けてくる女性は多く、そのためランサーは制服のポケットいっぱいにキャンディだのチョコだのクッキーだのを忍ばせる羽目になっていた。
そう言えば帰り際に一個ちょろまかしてきたんだっけ、とランサーはキャンディの出所をぼんやり思い出した。
「悪戯も惜しいが…ほらやるよ」
ポケットから出てきたキャンディをアーチャーに手渡そうと彼に差し出すが、菓子を寄越せと言い出した当の本人はじぃっとそのキャンディを見つめたまま受け取ろうとしない。
その代りアーチャーは一歩ランサーに近づくと「あ」っと言って小さく口を開いた。
「へ?」
予想外の行動にランサーもつられるように口を開くとアーチャーは不服そうに眉を顰め、今度は横一文字に口を閉じた。
「空気の読めない男だな。折角口を開けたのだから、その飴玉を放り込むぐらいの甲斐性を見せたらどうだ」
「横暴な言い草だなオイ!」
「で、そのキャンディ、くれるのか?くれないのか?」
仮にも恋人に、うん?と小首を傾げて言われてグラッと来ない男なんて居る筈も無く。ランサーは珍しく甘え気味のアーチャーの口に包装紙から取り出した真っ赤なキャンディを押し付けてやる。
ー赤い、まるで自分の瞳のようだ。
ランサーの白い指先に摘ままれた赤い飴玉を、アーチャーは小さく開けた口ではく、と咥えた。
伏せられた目、白い睫、薄く開かれた瞼、そこから覗く曇り硝子のような瞳。唇からちらりと見える赤い舌。
その唇に飲み込まれ、その舌に転がったであろう自分の瞳を思わせるキャンディ。
ごくり、と自分の喉が鳴ったのが判る。
口に含んだキャンディを味わうように二・三度舌で転がすと、アーチャーはそのまま飲み込んでしまった。
ごくん、とアーチャーの喉が動く。
然程大きな飴玉では無かったが、飲み込むには無理のあるサイズだ。流石のアーチャーも少し息苦しそうな表情を見せた。
「バッカ、お前なにしてんだ」
「キャンディだと食べ切るのに時間が掛るだろう?だから」
「だからって飲み込むなよ…蛇じゃあるまいし…。そこは噛むとか工夫しろよ」
「…その手があったか。まあ飲んでしまったものは仕方ない。と言う訳でTrick or Treat」
「またかよ!」
「私がセイバーや大河に言われた回数に比べたら、二回なんてものの数ではなかろうに」
「あー、うん、そこは同情するわ。でもお前も真似するこたあねえよな!?」
ランサーの真っ当な反論を受けてぐっと黙るアーチャーだったが、そこで引き下がるほど潔くもなかった。
未だ引込められていないランサーの手を取ると、アーチャーは自分の口元に彼の指先を引き寄せ、その人差し指にかぷりと噛み付いた。
神経の集まる指先を噛まれた事で反射的に手を引きかけたランサーだが、実際のところ痛みは無い。所謂甘噛みというやつだ。
「何だ、菓子が無けりゃオレを食うってか」
「君など食べても美味くなかろうよ。お菓子が無ければ悪戯が道理だろ?」
にやりと笑って言うランサーに、同じくにやりと笑って答えるアーチャー。前者が獰猛な犬を思わせる笑みなら、後者は気紛れな猫の笑みだ。
アーチャーに噛まれた人差し指を引き抜く。軽く食んだだけのためか指先には唾液も付いておらず、ランサーの指には小さな噛み痕だけが残されていた。
「お前に悪戯されるのもオツだが、オレとしちゃアーチャーを食いたいね」
「菓子代わりか」
「いいや?」
指を噛まれたお返しとばかりに、今度はランサーがアーチャーに噛み付いた。その、無防備な首筋に。
「オレにとっちゃ、お前は極上の菓子そのものだよ」
噛み痕の付いた辺りを舐め上げると、アーチャーの身体がぴくりと強張った。恐怖からではない反応である事ぐらいランサーにはお見通しだ。
舐め上げたついでにアーチャーの顔を覗き込んでやれば、案の定アーチャーの瞳にはランサーと同じように色が乗っていた。
「そうか、それなら好きなだけ召し上がれ?」
いただきます、と返す代わりにランサーは蕩けるようなキスをアーチャーに送った。
Comments
- そーOctober 24, 2017