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久しぶりに完成させた出来てない槍弓!/Novel by CSI

久しぶりに完成させた出来てない槍弓!

5,435 character(s)10 mins

↓出来てない槍弓集に付け足しました。
未読の方、出来てない槍弓なら何でもいい方、よろしければどうぞ(*ᴗˬᴗ)⁾⁾
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いつもの戦闘で、タゲ集中を引き受け、仲間が宝具をぶっ放し、HPに赤線1本を残した状態で戦闘終了。
盾の役割を無事果たし、やれやれと、素材を集めるマスターを手伝っていた時に、突然茂みから残党が躍り出て、何か・・を投げつけてきた。
ランサーは咄嗟にマスターを庇い、何か・・を槍で串刺し、そのまま残党めがけけて投げつけた。
残党は嫌な笑みを浮かべながら、もやもやと消滅した。
素材集めに散っていた仲間が、マスター保護と周辺への警戒にそれぞれ動き出すのを見て、それからの記憶が途切れている。

次に目を覚ましたランサーは、見慣れた医務室の天井と、腹の上でべしょべしょと泣くマスターを見た。
「おう、どうしたマスター、怪我はなさそうだが、そんなに泣いたら目ん玉が溶けちまうぜ」
軽口を言おうとして、止めた。
いや、言えなかった。
ぐるりと眼球を動かしてみる。頭の方にキャスターのクーフーリンが立っていて、目が合った。
「おい、マスター。こいつ目を覚ましたみたいだぜ」
診察台の上に横になっているランサーの腹の上に覆い被さって、おいおい泣いていたマスターへキャスターが声を掛ける。
「ランサー!よがっだ~じゃゃんど、いぎてる~」
涙と鼻水と涎でぐしゃぐしゃの顔を上げて、マスターがわめく。
「ちゃんと、かどうかはさて置き、まぁしぶといよね」
タブレットを見ながらダビンチちゃんが診察台に近付いてきた。
「ほら、これ見てよ。赤線というか、もう糸、だよね」
「うわ、我ながらこの往生際の悪さ、引くわ」
キャスターのクーフーリンが、ダビンチちゃんの持つタブレット端末を覗き込み、HP表示に目を寄せたが、よく見えなくて、『これゼロじゃんよ』と思いつつ一度離れて目を眇めてから、もう一度見て、のけぞった。
「HPにコンマ値とか、初めて見たわ」
「ねー」
「それでも!ちゃんと生きておられます!先輩!重いから、退いてあげましょう!」
マシュが、ランサーにしがみ付くマスターの腰に手を回して、ずるずると引き摺り下ろした。
ランサーはキャスターをジロリと睨み付ける。それに気付いて、
「どうやら、”ちゃんと”では無いみたいだな。声を持ってかれたのか?」
ランサーはキャスターから目を逸らさない。
「意識はどの位"ちゃんと"してる?2割?5割?8割?」
”8割”の声の後で、目を閉じた。
「体も動かせねえか…」
ギュッと一度目を瞑ってから天井を見ているランサーに、
「お前、タチのよくない呪いを受けたみてえでよ。想定以上に悪そうだぜ。…詳しく調べてはみるが、なぁ。…どうするよ…」
静かに問うキャスターを睨み付けてから、フイっとマスターの方に目線を飛ばす。
「…ほーん…我ながらムカつく野郎だな、ランサー」
「なに何?ランサーは何て言ってるの?キャス、ター…」
マスターがキャスターの顔を見て、ビクッと動きを止めた。傍に居るマシュも身をすくめる。それ程までにキャスターは、怒りを抑えきれずに恐ろしい顔つきをしていた。
マスターとマシュが怯えている事に気付き、ハッとして目を瞑り、一度顔をべろりと撫でつけてから、いつもの人当たりの良い顔つきに戻したキャスターが、
「…全キャスターで診察してみるが、恐らくこいつは、呪いの影響で、HPを回復出来ねえみたいだ。マスターがずっとしがみ付いていたのに、全然回復してねえ。カルデアの魔力も吸収出来ねえみたいだし、このままだと遅かれ早かれ、こいつは消滅するだろうよ」
マスターがヒュッと喉を鳴らす。
「だから、まあ。」
ゆっくりと、続ける。
「呪いが周りにどう影響するか分からない以上、回復する見込みも無いこいつを生かして置く理由が、無い」
「でも!」
「今、こいつが消滅していないのは」
隠しきれない不愉快さが又、顔を覗かせる。
「もはや精神力のみで意地汚く今生にかじり付いているだけだ。固執を手放せば、簡単に座へ還れる。なのにこいつは、それを、その決裁権を、マスターに、委ねている」
射殺せる程の視線でキャスターとランサーが対峙していて、マシュは思わず盾を手にした程であったが、
「なんだー、それなら答えは決まってるだろ!『生きろ、ランサー!』一択!」
マスターは涙を拭いて、ビシッと人差し指を立てて、
「ダビンチちゃんとキャスター達には悪いけど、最優先で解呪方法探して!それまでちゃんと生き抜いて、ランサー!」
ニカッと笑うマスターに、ランサーは「おうよ、まかせとけ!」というように瞬きをした。

質の悪い呪いは、魔力吸収・弱体化させる吸血物だった。
呪いそのものは、キャスター達によって直ちに解呪されたのだが、後遺症として魔力回復を阻害し続けた。常のランサーならば、この程度の呪いも後遺症も、己で処理できたのだが。
戦闘の防御後で弱体化しているところに呪いを受けてしまったので、そもそも自己回復や霊体化する為の基礎魔力でさえも足りておらず、しかも外部からの魔力補充も呪いの後遺症によって受け取れない。
カルデアからの潤沢な魔力も、キャスター達による魔道具や、マスターからの令呪でさえも、全く受け付けなかった。
幸運Eの面目躍如この上ない。なんなら、FとかGとか新設してもいい位な状況で、ランサーは指先一つ動かせず、話せず、念話も出来ず、独り、彼岸の岸辺に立っていた。
意識は簡単に遠のきそうで、今、つま先立ちで居る小石の上から落ちれば、ほんの少しバランスを崩せば、クーフーリンには珍しい”心地よい消滅”が待っていた。その誘惑を弄びながら、強靭な精神力でマスターの言葉を噛締めている。
「戦士冥利に尽きるってもんよ」

外部からの魔力は受け付けないが、自己での魔力生成は可能であった。それが今もまだ消滅していない理由だ。
ただ、元の魔力が0を切っている為、自力での生成が出来る程の余力が無い。
そこで、他サーバントとの魔力供給()でパスを繋げ、強制的に魔力回路をぶん回す手段を講じられたのだが。
「ここは同郷のよしみで」とか「我が不肖の弟子なれば」とか「家族の緊急時だこの際女も男も関係なかろう」などと協力を申し出てくれたサーバントの面子に、あり得ない速度の眼振でもって拒否を伝えるランサーと、この出来事が座で共有される事の恐ろしさを考えたキャスターによって、辛うじて回避された。
「しかしいつまでもこのままで良い訳ねえしなー腹をくくるしかねえかー誰がだよ?俺、だよなー」
と考えながら、取敢えずの対応として、レアルタ版魔力供給()で凌いでいた。

初期サーバントではないものの、それなりの古参であり、面倒見の良い気さくで兄貴肌なランサーは、思ってる以上に広範囲に慕われていて、毎日、誰かしらがランサーの部屋にやってきて、ベッドの上に横たわるランサーの傍で過していたので、それがレアルタ版魔力供給()となっていた。
ただ単に宴の部屋扱いだったり、円卓の騎士達に囲まれたり、女児達のおままごとのお人形扱いをされたり、「どれ!」と礼装を脱ぎだしたり、ゲリとフレキがお昼寝に来たり。
糸の様に細くて最早ピンク色に見えるゲージがそれ以上薄くならない程度には、凌げている。

ゲージの値が、増える事もなかったが・・・

幾日か過ぎたある日。また今日も誰かがランサーの部屋にやってきた。
そいつは、しばらく逡巡していて、それから、部屋のパネルをいくつか操作し、
ドスン!
全体重をかけて、ランサーの横たわるベットに腰掛けた。弾みでランサーの体が少し宙に浮く位に勢いをつけて。
普段は、誰が訪れてこようとも、何をされようとも、訪れた誰かに気を使わせないよう、目を瞑ったまますべてを受け入れていたランサーも、これにはさすがに驚いて、目を開けた。
赤い、アーチャーが居た。
相も変わらず仏頂面で、眉間に深く皴を刻み、何故かとても苛立っている。いつものアーチャーだ。
目が合った。
「やあ、ランサー、ずいぶん久しぶりだな」
低くていい声でアーチャーが話しだした。
「暫く見ないと思っていたら、こんな所で昼寝をしているとは、良い御身分じゃないか。最近はカルデアにも大勢のサーバントが集まってきてくれて、以前とは違い、毎日引っ張りだこという事もなくなったとはいえ、余りにも体たらくが過ぎやしないかね?古参のランサーとして他に示しがつかないと思うのだが、きっと君はそんな事は気にしない等と言うのだろう?全く、マスターも君を甘やかしすぎだと思わないか?君もマスターの優しさに胡坐をかいてないで、少しは率先垂範してみてはどうだ。最近は畑仕事もさぼっているようだが、キャベツの出来はどうなんだ?」
話の内容を吟味すると、物凄く腹が立つが、音だけを拾っていれば、良い声だしリズミカルで子守唄の様にも聞こえるな。
そんな風に考えて、話し続けるアーチャーをよそに、そっと目を瞑った。
ドスン!
又、ベットを大きく揺らされたが、今度は目を開けなかった。
「おい!目を瞑るな!」
無視。
「おい!そんな風にしてると、ダブリンの郵便局にある銅像みたいだろ!」
ふーん。こいつ、あのブロンズ像見た事あるのか。
「魔力もこんなに少なくて!本当にすぐ死んでしまいそうだぞ!あれもなんで岩に縛り付けられた瀕死の瞬間なんかにしたんだ、あの像!」
俺も、そー思った。
「そんな風に目を閉じてしまうと、ここにある均整の取れたしなやかな肢体がほんとうは生きてなくて触れても誰にも咎められる事もなくこの光りを受けて輝く海のような美しい髪が大理石の様に白いつやつやの肌を覆っていても蜂蜜を落としたように濡れた唇に誰かが口付けをしてしまうかもしれないだろう」
え?
「だから、目を開けてくれ、ランサー」
目をかっ開く。それからじろりと、声のする方へ眼球を動かす。
「ク、ク、ク、」
アーチャーが笑っていた。
「そんな、取って食われたような顔をするな。いや、目をするな、か、ク、ク、ク、」
なんだよ、冗談かよ、ビックリさせやがる。
「前置きが長くなってしまったな。コホン、すまなかったランサー。ちゃんと心づもりしてきたんだが、いざ君を前にすると、やはり躊躇してしまってな、その」
なんだよ。
「君は、私の事を、運命、と言っただろ?」
おお。
「だから、その、他のクーフーリンや君と同等の英霊に比べて劣るとしても、それ程、相性が悪い、という訳では無いと思う、、、のだが」
まあな。
「それで、君も、いつまでもこの状態でいいとは考えていないだろう?」
それよ。
「スカサハ殿やメイブとの、その、魔力供給()は断ったと聞いている」
叔父貴もな。
「私とは、どうだ」
は、
「私なら、しがらみも無いし、思い出して腹が立ったならいつでも殺しに来てくれてかまわないし、相性も、まあ、多分そんなに悪くないし、あ、勿論、君のお尻を使うつもりはないので、そこは、安心して欲しい。君は目を閉じて、局部の繋がりを感じて、その、難しいとは思うのだが、女性との行為を想像してくれれば上手くいくと思うんだ。私の魔術回路は摩耗してしまっているが、君のそれをぶん回すスパークプラグの役目は果たせると思う」
え、は、
「どうだろうか?」
いや、どうだろうか、じゃねーわ!は?は?は?おいおいおいおいおいおいおい!こいつ、なんつった?想像しろだと?は~~~?スパークの前に、クランクシャフトをどうやってクランキングするつもりなんだよ!勃たねーわ!
「あ、その、勃たせるのに、口を使うが、練習してきたので、そこは期待してくれたまえ。その、凄いぞ!」
あ、そこも強制的?ギアがフライホイールに噛みついてくんのか~へ~・・・
すげえな練習したのか・・・すげえな!おい!なにで練習したんだよ、それ!
凄いぞ、じゃねーわ~
「あ、一応言っておくが、部屋の扉はロックしてあるし、管制室への情報は『PRIVATE』にしたので、覗かれる心配はないぞ!酷い絵面なのは想像に難くないからな!あ、でも、君はそんな事気にしないかもな!あはははは」
ああ~そうか。こいつ、相当テンパってんな。
可哀想な奴だ。どうせ自己犠牲の精神で無理してここに来たんだろう。
ヤベぇ。確実に自分よりテンパってるやつを見て逆に冷静になっちまった。
こいつ、相当腹括って来たのだろう。ここに来てモタモタしてたのも、閉めた事のない扉の鍵や、やった事のない管制室へのシャットダウン操作をしていたからだ。おまけに俺の尻の心配までしやがる。
自己犠牲もここまでくりゃあ、暴力だな。献身意欲で殴ってきやがる。NOも言わせてもらえねえなら、どっちがテイカ―だって話だよ。
・・・
しゃーねえ、か。
そろそろ、キャスターの俺が誰か連れてくるかもしんねえし、いや、自分が突っ込みに来るか?それよかオルタの俺がしびれを切らして殺しに来るのが先かもな。
それは、不味い。俺は今、死ぬわけにはいかねえ。

泣きながら周回をこなし、俺に天井まで貢いだ上にグランドの冠まで被せやがるマスターが、死ぬなと言ったならば、憎まれようが蔑まされようが、生き抜いてみせなきゃならねーのよ。

だから、まあ。
頼むわアーチャー。
俺のは、デカいぜ。ガンバレ!

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