冬の味覚を代表する養殖カキの大量死が瀬戸内海で広がっています。関係者たちへの取材を基に、産地の現状と現時点で考えられる原因をまとめました。(編集委員・東海右佐衛門直柄)
Q 旬のカキが大量死しているとは…。どんな状況なのですか?
A 生産量日本一である広島県の中部では9割のカキが死んだ海域もあります。県西部では地域差があり、およそ7割死んだところもあれば、被害があまりない海域もあります。岡山、兵庫、香川、愛媛県でも被害が広がっています。
カキは2~3年かけて養殖するのが一般的で、例年は夏を越すごとに2割程度死ぬとされています。3年物だと5割死ぬケースも多いのです。ただ今年の被害は異例で「災害級」と言われています。

Q 原因は何ですか?
A 国などは原因の究明を急いでいます。広島県立水産海洋技術センター(呉市)は、今年の記録的な猛暑と雨が少なかったことにより、一部の海域で水温の上昇と塩分濃度が高くなった状況が長期間続き、カキが弱った可能性があるとしています。また猛暑により、海底で有毒な硫化水素が大量に発生して酸素濃度の低い海水の層ができ、カキが酸欠状態になったとみる識者もいます。
九州や東北では目立った被害が確認されていません。本州、四国、九州に囲まれた閉鎖海域である瀬戸内海の環境が影響している可能性があります。泥のたまった海底の改善を求める声も挙がっています。

Q 大量死でどんな影響が出ていますか?
A 店頭価格が高くなり、品不足から歳暮向けの生がきの予約受け付けを停止したスーパーもあります。ふるさと納税の返礼品の受け付けを中止した自治体や、かき祭りをやめた地域も出ています。
問題は、来シーズンに出荷する若いカキも一部死んでいることです。影響が来年以降も続く可能性が出てきました。


Q いまカキを食べても大丈夫ですか?
A 「全く問題ない」と広島県立水産海洋技術センターの担当者は話しています。生き残ったカキは、加工業者による厳格な衛生検査を経て流通しています。「生産者への応援の気持ちで食べてほしい」と関係者は訴えています。















