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オレとアイツの1ヶ月 7/Novel by さゆみんむら

オレとアイツの1ヶ月 7

2,654 character(s)5 mins

「俺の屍を越えてゆけ」と「Fate/sn」の槍弓パロです。「短命絶種の呪いにかかった一族(槍)」と「その一族に子を授けるカミサマ(弓)」です。1ヶ月放置しましてすいません。自分でも設定が行方不明になってます。帰ってこいよ〜。

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自分の行いを省みず醜く足掻くものを斬り捨てる。ありがとうと目に涙を浮かべ感謝をくれた子供すら血溜まりに沈める。なぜ、どうして、など考える暇すらなかっただろう。

赤く染め上げられた手を眺め、無感動に立ち尽くす。次々に起こる崩壊。壊れる世界。救えない命。
何をしているのか。自分はこんなことを望んだわけではないのに。いや、自分にとっての……ではないだけで、世界にはこれが……なのか。
それとも、自分はこれを望んでいたのか。

夜が迫るなか、あちこちの建物から火の手がさらに燃え上がり遠くで何かが崩れる音がした。悲鳴や叫び声は聞こえない。当たり前だ。自分ですべてを壊し尽くし殺し尽くし、0にしたのだ。穢れも救いも懇願も祈りもすべて無に還した。
…0にしたのならここにいるモノもなかったことに…0にしなくては。右手に曲刀を出現させる。その黒い刀身に生気のない暗い顔が見えた。自分が壊すべき、憎むべき、大量破壊殺人機だ。

曲刀を逆手に持ち替えて振り上げ、体のど真ん中に振り降ろす。

曲刀が体を刺し貫く。


頬に熱いものが伝った。


何度も…。


下から上に…っ。




目を開けると、そこはカミサマの屋敷の自分の部屋の天井が目に入った。右頬にはザリザリとした熱いものが顎の方から瞼の方へと行き来している。
目だけ動かし確認すると、白い毛玉がいた。
「…ねこ?」
ねこは目が合うとにゃあと小さく鳴いて頬に擦り寄ってきた。
横になったまま白いふわふわつやつやのしっかり手入れの行き届いた毛玉の喉を撫でてやる。人馴れしているのか撫でろ遊べといわんばかりにごろごろと喉を鳴らしだした。
ねことか犬とか愛玩動物?つうもんは初めて触ったが、こんなに柔らかくて暖かくて、だが、こんなにも生を主張しているのか。
一族の屋敷は世話役の嬢ちゃんのお陰で清潔で快適だが、そういった愛玩動物は一切いない。飼い主の寿命が圧倒的に短く、最後まで面倒を見るなんて絶対に出来ないからだろう。生き物がいても、食用の鶏ぐらいなもので飯になると解っているから愛着なんつうもんはあまりなく、旨くなれよと餌をやる程度だ。
でも、こんな小さな動く毛玉でもなんでも大切に思えるものがあるなら、生きる目的・意味には十分なりえると俺は思っている。そういうもんを持ってるやつは生きようとする気持ちが強ぇからな。
護るべきもの(大袈裟だが)をアーチャーが飼っているなんて意外だ。あいつはそういうとこは興味ないとばかりに切り捨てそうだ。

ふと、夢のあいつは…なぜ…なんであんなにも縛られ、操られ、自分を傷つけているんだろう。理想と現実の差に絶望している死んだ顔。あいつには生への執着とかねえのかな。ねえからあんな辛気臭ぇのか。でも毛玉とか飼ってるし、あいつの生きる意味の一部ではあるはずだ。

「っおい、爪たてんな」
雑な撫で方が気に入らねえのか、手に爪をたてだした。仕方なく起き上がると白いほわほわした毛玉が膝の上に乗り上げてきた。にゃぁと、起き上がった胸に前足をかけ撫でて撫でてと催促をしてくる。あいつもこれの十分の一でも可愛いげがあれば…と意味のないことが頭を過った。

ふわふわの毛玉を両手でわしわしと撫でてやりながら辺りを見回す。…起き上がって気がついたが、今…何時だ。障子から漏れる光は確実に日が高いことを教えている。


朝の日課っ、すっぽかしたぁぁぁっっ。


布団から慌てて飛び出し、一族の中で神速と称される速さを最大限活かして身支度を整える。せっかく手に入れたアーチャーとの交流の、つか新しい遊びをなくしてなるものか。まだ20日もあるのに暇な日々に逆戻りは辛すぎる。いきなり立ち上がったせいで、ねこは布団の上でころころ回ってぺしゃりと腹這いになってきょろきょろ辺りを見ている。
着替えを済ませ、落ちるなよとねこに声をかけ着物の懐に突っ込みとりあえず居間に向かった。


つか、居間にも台所にも外にもいねえし。居間のちゃぶ台には朝の握り飯と昼飯の二食分がしっかりと用意してあった(埃が入らないように布がかけられていた)。なんだこれ。飯だけ用意してるってケンカ中の夫婦かよ。腹が減っては探し人(カミサマ?)も見つからんだろうと飯を食うことにした。
握り飯(鮭と梅)、鯖の味噌煮に味のついた生野菜、ほうれん草のごま和え、ワカメとキュウリの酢の物。横に茶碗とお椀逆さにして置いてあったので、台所から勝手にごはんと味噌汁をよそって食べ始めた。が…冷えきっている。うまいが、やっぱり飯は暖かくねぇと。あと、最近二人で飯を食ってたから物足りないというか、なんというか。会話自体はないが、一人の飯は寂しすぎる。
しょんもりしながら二食分を懐にいるねこにもやりつつ完食し、奴を見つけたら火急的速やかに寝坊したことを土下座をしてでも謝り、朝の日課と暖かい飯とご飯の相席を続けてもらえるよう頼もう。兎は寂しいと弱るらしいが、オレはきっと暇になっても弱ると思う。気に入らんやつではあるがあいつとの生活は気に入っている。あいつも交神の儀が終わったら、一緒に屋敷に来ねえかな。うまい飯も食えるし、一族の戦闘技術も上がるし一石二鳥じゃね。あ、でも折角連れてきたのにオレがあと一年ぐらいしか生きられねぇんじゃ、カミサマがどんだけ生きるか知らないが最後まで世話できないし悪ぃか。
そんな不穏なことを考えながら、食べ終わった食器を台所へと運んでアーチャーをまた探してみる。飯の前に見たとこと風呂場に便所に洗濯場と見てまわるが一向に姿は見えない。

懐に大人しく収まっていたねこが飽きたのか暴れだした。
「ってぇ、腹に爪たてんなっつの」
暴れるねこを懐から出してやると腕から飛び降り、すたすたと何事もなかったかのように廊下の向こうに消えていった。一緒に飯を食った仲なのに冷てぇやつだ、とチクチクと痛む腹を押さえる。ねこが消えていった廊下の先は、立入厳禁と以前命じられたアーチャーの部屋の方だった。


いるだろうか。
なんでこんなにオレは奴を探しているのか。
…あの夢のせいか。


廊下の角からねこが顔を出し、不思議そうにこちらを見ている。

「悩んでもしょうがねえよな」

覗きこむねこを追いかけやつの部屋へと足を向けた。

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