巣立ちの時に向けて
冒険者ギルドとは言っても、NPCの依頼を一手に引き受けてゴミどもに仕事を斡旋したりする訳ではない。
ペタタマヒューマンパワーレンタル社は人材派遣を取り仕切る。そこは変わらない。元【敗残兵】のように廃人を大量に仕入れることができれば競りに掛けるのもアリだろう。
しかし俺が今回提案しているプランは、言ってみればキャバクラに近い。
人力自動マッチングを回していた頃から思っていたことではあるが、パーティーは接客であるべきだ。
何故ならネトゲーマーは対等な仲間など求めていない。
それは昨今のネトゲー事情を鑑みても明らかである。
つまり多くのユーザーは、ソロプレイを推奨しているとしか思えない手厚い保護環境下でのゲームを好むということだ。例えば最初からNPCの傭兵が二人か三人付いてて、強力なレアキャラをガチャで引くというシステムだな。
異様なシステムだ。俺はそう思う。ハッキリ言って高い金を払ってオフゲーをやっているようなものだ。
それでもネトゲーマーがオンゲーの皮を被ったオフゲーにしがみ付くのは、人間に認められたいという欲があるからだろう。
だから俺はそこを突く。
俺がスマイルの旦那と組んだのは、ヤツなら間違いなく俺と同じことを考えていると分かっていたからだ。
俺たちは、ただウケているネトゲーの真似をすればいい。斬新なシステムや革新的な試みなど必要ない。
一例を挙げると、こうだ。
社会人のネトゲーマーが連休に突入したとする。連休中にガッツリとレベル上げをするつもりだ。何しろ普段は社会の歯車なのでクランには属していない。一緒に狩りをする特定のフレンドも居ない。
従来ならばここで野良パの出番となる訳だが、そこにルイーダの酒場があったらどうなるだろうか?
四人パーティーとすれば、三名の職種と大まかなレベル、希望する性別を用紙に記載して貰う。大半のぼっちプレイヤーは性別はどちらでもいいと記載する筈だ。人の目があるからな。備考欄に女キャラでも問題ないという意図を込めてくるヤツも居るだろうが、そうした例外を除いて、俺は一人か二人は確実に女キャラを派遣する。
あとは分かるよな? そう、キャバクラさ。
あえて男キャラを混ぜるのは互いに知らないふりをするためだ。ここがキモになる。極端な話、派遣する女キャラはアホでもいい。しかし男キャラは空気を読めるヤツで、ある程度はパーティーをコントロールできるヤツを置く。言ってみればマネージャーだ。
女キャラにちやほやされて気分良く冒険を終えたゴミはこう思うだろう。
野良パより早いしずっと楽だと。
これがオンラインのパソゲーが廃れた理由だ。
パイセンの言う通り、ネトゲーのストーリーやイベントはオマケなのである。
ネトゲーのメインコンテンツはレベル上げに他ならない。
だから幾ばくかの金と引き換えに楽しくレベリングさせる。
本格的にハマったなら、今度はRMT業者の出番だ。
有能な女キャラに需要が集中することは分かりきっているため、俺は指名制を導入するつもりはない。長期契約もダメだな。コントロールできなくなる。
だが、リアルの金を出すってんなら派遣社員との契約の問題になる。スマイルの旦那が融通を利かせることになるだろう。
まとめると、こうだ。
俺はオークションに出せないような雑魚キャラを派遣する。
雑魚キャラと言っても条件次第では価値を見出すゴミが居るだろう。ウマが合うとかログイン時間が噛み合うとかな。
リアルの金を出して身請けしたいとかいうゴミが居たらスマイルの旦那に出張って貰う。
まぁそれは長続きはしないと俺は睨んでいる。長期間一緒に居れば互いに粗が見えてくる。タイミングを見計らって身請けされた女キャラを回収することになるだろう。
これがペタタマヒューマンパワーレンタル社の新事業。冒険者ギルドだ。
スマイルの勧誘を蹴った俺だが、気付けばRMT業者の幹部みたいになっていた。
1.クランハウス-居間
新しいおうちが出来たぞ。やったぁ。
ウチの子たちの意見調整さえ終われば、あとはトントン拍子だった。
一定レベル以上の鍛冶師が集まればクラフト技能で細かい作業は省略できる。設計にミスは付き物だからそこの対応を間違わなければ大きなプラモだとパイセンは笑っていた。
結局ウチの丸太小屋は無難に前と同じ造りになった。今になって思えば先生はパイセンの負担を減らしたかったのだろう。一度作ったものは設計図を流用できる部分が多いから大幅に工期を短縮できる。
という訳で、いつも通りの日常が戻ってきた。
俺はモグラさんぬいぐるみを横に置いて居間で経験値稼ぎをしている。レベル5に成長した俺は右手に呪いの藁人形、左手に五寸釘をクラフトできるようになった。左右の粘土を混ぜれば五寸釘が刺さった藁人形の完成だ。呪いの藁人形(済)である。
俺が丑の刻参りの手順を省略していると、当たり前のような顔をしてミドリが遊びに来た。
「コタタマくん、コタタマくん。しつこい客が居るの。何とかして?」
何とかしてってお前……。俺は呆れた。
お前は旦那の側近だろ。なんで客を取ってるんだよ。マジでやめろよな。トップクラスの近接職なんざ派遣したら俺の可愛い社員どもが霞むだろーが。競りに出すぞ、クソが。
ミドリはへらへらと笑っている。
「だって隊長がコタタマくんの仕事ぶりを見ていなさいって言うんだもーん」
ちっ、このクズ女。シフトをいじりやがったな。割り込みを掛けて強引に自分をねじ込んだんだろう。
まぁいい。で、どうだった? 俺の仕事ぶりとやらは?
「退屈〜。あの中だとマネージャーが一番強そうだなって思ったんだけど、全然乗って来ないんだもん」
だろうな。可哀相に。爆弾女の処理を押し付けちまったか。そいつには報酬に多少色を付けてやるとしよう。
どうやらミドリはマネージャー役の男キャラに喧嘩を売ったがのらりくらりと躱されたらしい。
マネージャー役は貴重だ。リアルなら接待役の女キャラを労うべきなんだろうが、これはゲームなので見目麗しい女キャラなんぞ掃いて捨てるほど居る。アホでも務まるというのはそういうことだ。
エッダ戦の影響は未だに尾を引いている。ゴミどもは全体的に狩りを自粛気味だ。
しかし種族人間のコンフレームとやらはゴミすぎて省エネに優れる。残機は回復傾向にある筈だ。
俺はミドリに頷いた。分かった。手を打とう。だが反省しろ。お前は強い。そこら辺のモブとは桁が違う。客の身にもなれよ。単発ガチャ引いたら最高レアが出たようなもんだ。そりゃ躍起にもなる。
「えー? じゃあコタタマくんが私を身請けする? お金払ってくれるならそれでもいいよ」
生憎と俺はRMTには手を出さないと決めてるんでね。前にも言ったな。楽しいって感情は当てにならねえ。金を出せば楽しいのは当たり前だ。当たり前のことやってて成功できるほど人生ってのはイージーモードじゃない。大切なのは、いかにケチって楽しめるかなのさ。
で、話を戻すが。ミドリさんよ。お前さんに俺に相談するよう言ったのはスマイルの旦那だよな? お前の性格上、最初に相談したのは旦那だろう。この程度の案件なら旦那はその場で解決できた筈だ。だが、それをしなかった。ヤツは何故お前をここに寄越した?
ミドリは首を傾げた。
「さあ?」
言われるままかよ。
……まぁ予想は付く。あのサトウシリーズ御大は俺を手駒に加えるつもりなんだろう。ミドリを使って俺をたらし込もうとしている。そして、おそらくは言うほど俺の手腕とやらには期待してない。ヤツが本当に欲しているのは。執着しているのは……サトゥ氏だ。だからサトゥ氏と仲良くしている俺を取り込もうとしている。
……ヤツらのゴタゴタに首を突っ込むのは避けたいんだが、俺にコナを掛けてくるならそうも言ってられねえ、か。
俺はミドリに声を掛けた。
おい、ミドリ。お前はどうしてスマイルの旦那に付いてるんだ? お前が金で雇われているのは知ってる。どういう経緯でそうなった?
「負けたからだよ? ネトゲーは何でもできる人が強い。私とアオは、隊長がサトゥくんよりも弱いとは思ってないから。戦えば負けるかもしれないけど、このゲームはもっと色々なことができるでしょ? サトゥくんにRMTは無理だよ。それが答え。ね?」
俺はミドリの答えを一部抜粋した。
負けた、か。
スマイルの旦那は二刀流の剣士だ。
二刀流と言えば宮本武蔵の二天一流が有名だが、逆に言えば二刀流は一般的なものではなかった。
何故か。答えは簡単だ。二刀流は弱いのだ。全力で放たれた両手持ちの一撃を二刀流では押さえきれない。力負けする。刀剣の殺傷力は人命をたやすく奪うから、後手に回るのは極めて不利だった。宮本武蔵は個として傑出していたから成立したのだろう。もしくは見せ芸に近かったのかもしれない。
それを覆す何かがスマイルにはある。……伏兵だろうな。それ以外には考えられない。
ミドリがぽんと手を打った。あんだよ?
「そっか。コタタマくんは隊長とサトゥくんの決闘を見てないんだよね」
サトウシリーズの頂点を決する引退試合か。そうだな。その頃、俺はネフィリアの下を離れて街で暮らしつつ延々とピエッタにカモられていた。ピエッタ七変幻おそるべし、と言うべきだろう。
「探せば動画とか出てくるから見たほうがいいよ。隊長は凄く楽しそうにしてたなぁ」
動画なら見たことあるぜ。しっちゃかめっちゃかで何が何だか分からなかったが。
泥試合も泥試合だ。最初はサトゥ氏とスマイルの一騎討ちだったのだが、スマイルが重傷を負った時点で助太刀が入って乱戦に突入していた。カメラのアングルは安定しないしカメラマンが巻き添えを食らって死んだらしく配信がブツ切りになっていた。複数視点の動画を探して繋ぎ合わせれば全貌も見えてくるんだろうが、さすがにそれは面倒臭くなって検索を諦めたのだ。
結局のところ、セブンにリチェットという二枚の大駒を従えるサトゥ氏に死角はなかったということだ。
しかし、そうか。スマイルの旦那は楽しそうだったのか。
ミドリはコクコクと頷いた。
「テンションが高かったもん。あんな隊長見たことない。サトゥ〜!とか叫んでたよ」
嫌だねぇ。ガチじゃねえか。
ミドリはしばし俺とお喋りして帰って行った。
入れ違いに赤カブトが居間に入ってくる。何か警戒しているようだ。あちこちに視線を飛ばしながら俺の隣に座ってもじもじしている。どうした?
俺が優しく声を掛けてやると、赤カブトはパッと俯いて小さな声で問うてくる。
「い、一度だけ。どう、ですか?」
どうとは?
「わ、分かってるでしょ。意地悪しないでっ」
俺は赤カブトの部屋に連れ込まれた。
何だろう。せっかくの新しいおうちなのに、早くも惨劇の館と化すのだろうか。俺は抗議の声を上げた。
しばらく殺さないって約束だろ。
「……さっきの女の人、誰?」
何だよ。見てたのか。スマイルの側近だよ。特別親しい訳でもねえ。少し仕事の相談に乗ってやってた。
俺と赤カブトは並んでベッドに腰掛ける。
赤カブトが俺の指を曲がってはいけないほうに折り曲げた。俺の爪をむしり取りながらぼそぼそと言う。
「スズキさんはそういうのアリだって言うけどぉ。私は、あんまり……。ちょっとイヤかなって」
ははん? 嫉妬してんのか。安心しろよ。俺はお前のママだぞ。お前は特別だ。ミドリのことなんか気にするなよ。あれは他人だ。お前とは違う。
「じゃ、証明して」
よしよし。俺は赤カブトを抱っこして軽く揺すってやった。ママだぞ〜。
赤カブトはうっとりしている。
「ねえ、ペタさん。一回だけ。いいでしょ? ね?」
う〜ん。殺されそうになってる。
あのな、ジャムジェム。約束しただろ。ポチョとスズキに黙って俺を殺すのは悪いことだぞ。
「ふ、二人には言っておくから。やっぱり、たまには……。じゃないと、その、段々……ペタさん見てるだけで変な気分になってくるし。我慢はしてるけど、それも毎日だと続かないんじゃないかなぁって。……ダメですか?」
ダメじゃないけどさ。
……赤カブトの言うことにも一理ある。近頃のウチの子たちは俺を物陰に連れ込んで軽く拷問してくるのだ。その頻度は少しずつ増しているような気がする。最後までしないからと熟達した駅員が切符をモギるように俺の爪を剥ぎ取りやがる。そして、そういった行為のあとは妙に恥ずかしげだ。なんか照れるねとか言われる。俺は何かエロいことでもされてるのか? 分からない。まったく分からない。ただ物を掴むのが少し不便になり、それを他人に知られるのはひどく恥ずかしいことであるらしい。慌ててフォローしてくる。
たまには殺されてやったほうが被害は少なく済むのか? 俺の心が大きくグラつく。
い、いや。ダメだ! 俺は赤カブトを突っぱねた。そういう軽い気持ちが段々エスカレートしていくんだぞ……!
むっとした赤カブトが俺にのし掛かってくる。
「お、女の子だってそういう日はあるの! ちょっとだけだから。じっとしてて」
ねーよ! そんな日は!
俺はジタバタと暴れた。しかし無駄だった。レベル差が大きすぎる。
「ね。いつもみたいにぎゅってして。ナデナデして。ペタさんだって本当は私と……。ぽ、ポチョさんとスズキさんには、私から無理やりって言っていいから。それならいいよね? ちょっとだけだから。ね?」
ちょっとだけって何だ。本当にちょっとだけなのか?
「う、うん。ちょっとだけだよ」
ダメなパターンではあったが、赤カブトさんはストレスが溜まっているようだ。少しは発散させてやらないと人格が歪むかもしれない。俺はやむを得ず承諾した。
本当にちょっとだけだぞ。
そう断って赤カブトをぎゅっとしてやる。
赤カブトは至近距離から俺にゴミスキルを浴びせてきた。なるほどな。これなら確かにちょっとだけだ。
俺は延々とゴミスキルをぶつけられた。可愛いもんじゃねえか。爪を剥がされるよりずっと建設的だぜ。
気を良くした俺は徹底的に赤カブトを甘やかしてやった。ジャムは可愛いなぁ。こんなふうに甘やかすだけでいいならいつでも歓迎してやるのに。
だが、やはりダメなパターンだった。
赤カブトを抱き枕にして布団の中をころころと転がっているうちにウチのAI娘は段々興奮してきたらしく【八ツ墓】でゴミスキルを強化し始めた。
こら。やめなさい。ちょっとだけって約束だろ。
「そ、そういう魔法じゃないから……! 約束、守ってるもん!」
そう言って赤カブトが布団の中でぐいぐいと俺に身体を押し付けてくる。マーキングの一種だろう。ウチのくまさんにはやはり野生の血が流れているらしく、こうやって甘えている時は俺を離すまいと掻きむしるように爪を立ててくる。そして最終的には殺される。
しかし赤カブトは一応がんばっているらしく、なかなか俺を殺そうとしない。ここまで来たらどうせ殺すことになるだろうに。
俺はもう殺されることに関しては諦めていた。それよりも赤カブトの自制心を鍛えてやるほうが大事だ。
殺しちゃダメだぞ〜。約束だから。な?
「こ、殺さないし……! 変なこと言わないでっ」
自制心を養うには、我慢したら良いことがあると教えてやることだ。
俺は赤カブトをトコトンまで焦らしてやってから、耳元でぽつりと呟いた。
仕方ねえな。一回だけだぞ?
びくりと震えた赤カブトの両手に力がこもる。凄いパワーだ。俺のろっ骨がボキボキとへし折れていく。そのまま俺の背骨をへし折った赤カブトが嬌声を上げた。
「んっ、ん〜っ! あっ、あっ!」
光の輪が俺の身体を内側に押し潰していく。少し形態は違うが【全身強打】だろう。自爆にも使えるのか。
俺と赤カブトは抱き合ったまま。粉々になって死んだ。
俺と一緒に死に戻りした赤カブトは、この日終始ご機嫌だった。
居間で経験値稼ぎに勤しむ俺にぴったりとくっ付いて座り、ポチョキャンプの有様を楽しそうにお喋りしてくる。
「大変だったんだよ? ペタさんがアットムくんと一緒に寝てるってポチョさんが言ってて〜」
まぁたまにな。わざわざ部屋に戻る必要ないだろ。ログアウトする時って無防備だしよ。アットムと一緒のほうが俺は心が休まる。
「でしょ? だと思って私もそう言ったんだけどポチョさんは納得してくれないし。スズキさんは急に無口になる時あるし」
あいつは前からそうだな。
俺も楽しい。上機嫌な赤カブトと一緒に居るのは俺の精神衛生上とてもいい。
スズキはな、前は全然喋らなかったからな。何だかんだ楽しくやってる俺が気に入らねえって感じだったが……。俺を領地戦の最前線に送り込んだ頃からか? ちょっとずつ心を開いてくれるようになった。それまでは俺のこと「そこの人」とか呼んでたんだぜ。ぺらぺらと喋り掛けてくる俺がウザかったのかもな。けけけっ。俺もコミュ障枠だと思って見下してる部分があった。そもそも戦闘職と生産職だ。同じクランメンバーでも格差はあるもんさ。小遣いに差があったりよ。ウチにはそれがなかった。先生があの性格だからな。スズキは内心ずっと不満だったんだろう。いや、あいつは俺のソロ狩りを録画してたからな。単純にMPKを警戒してたのか。
おっとご本人様の登場だ。丁度いいや。本人に聞いてみよう。
モグラさんぬいぐるみをどかして俺の横に座った小せえのに尋ねてみる。するとスズキはさっと頬を赤らめた。
「ふ、二人して何の話してるの。違うよ、違う。私、結構前からコタタマのこと認めてたよ。ちゃんと武器作ってくれるし、修理もしてくれるから。鍛治師が居ると楽だな〜って思ってた。先生が利益を公平に分配するって言った時は確かに……ちょっと文句を言ったけど。考えたら当たり前のことだなって納得したし」
いや一人で勝手に納得するからダメなんだよ。声に出して言わねーと。俺はそういうの気にしないから別に良かったけどよ。俺みたいなのばっかりじゃねーからな。クソ真面目っつーかキッチリしてねえと落ち着かないってやつは結構居る。俺はその辺なあなあだが、それは長所でも短所でもある。
分かるか? 俺が【ふれあい牧場】を卒業したあとの話をしてる。
「えっ」
赤カブトとスズキは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
そんなに驚くことじゃねえだろ。
俺は続けた。
ウチは特殊な部類のクランだ。本人の意思は関係ない。先生がメンバーの卒業を決めるんだ。
パイセンと話して俺も色々と考えたのさ。
巣立ちの時は近付いている。
俺は、以前の俺とは違う。自分で言うのも何だが、穏やかになった。脅しも殺しもやるが、雑魚キャラに利用価値を見出すようになった。
今の俺なら先生の言ってたことが理解できる気がするんだ。
俺たちは支え合って生きている。意識しようとすまいとそうなんだ。俺は搾取する側に居る。
そう遠からず、先生の認可が下るだろう。そしたら卒業だ。クランマスターなんてガラじゃないが先生の期待には応えたいと思ってる。ひとまず戦争を起こす。死に損ないどもにトドメを刺して記憶を飛ばしたい。優しい世界を作るためにな。だからよ……。
俺は寂しそうに笑って二人の頭を撫でた。
達者でな。その時は笑って送り出してくれや。
これは、とあるVRMMOの物語。
何か成長しましたか?
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