【特別寄稿】いわゆる「牙狼12規制」と今後のぱちんこ遊技機/鈴木政博


2026年以降の型式試験持込ぱちんこ遊技機について、日工組内規が改正されている。これはいわゆる「牙狼12規制」と呼ばれるもので、昨年8月4日から導入が開始されたサンセイアールアンドデイ「e牙狼12黄金騎士極限」に代表されるLT3.0プラス機の性能について、それらの行き過ぎた射幸性においては一定の自主規制を設ける必要性があるとの行政側の認識に従い日工組内規が改正され、今年2026年以降の型式試験持込分からその基準が変更された。今回はこの内規改正についての解説を中心に、今後のぱちんこ遊技機トレンドについて考えてみたい。

1.日工組内規の改正について

日工組内規においては元来より、有利な状態での総獲得遊技球数(払い出し個数)の期待値の制限を行っている。その個数は6,400個未満と定められていたが、LT(ラッキートリガー)の搭載により一時的に6,400個を超えて9,600個未満となる区間を設けることが可能となっていた。その直近であるLT3.0の搭載条件は以下の内容だ。

LT(ラッキートリガー)3.0搭載の条件(令和7年7月7日開店分より緩和)

  • 総獲得遊技球数の期待値を3,200個未満(スマパチは6,400個未満)にする(初回含む)
  • LT到達率×LT期待値(初回除く)を、総獲得遊技球数の期待値(初回含む)の1/2以下(スマパチについては4/5以下)にする
  • Cタイムを搭載しないこと

この日工組内規に照らし合わせて「e牙狼12黄金騎士極限」を計算してみると、以下のような数値となる。

「e牙狼12黄金騎士極限」の総獲得遊技球数の計算

特別寄稿_牙狼12規制図

 

2.「一連の大当たり」とは?

2025年末までに変更された日工組内規の改正部分は「7万個を超える割合の0.25%規制」などいくつかあるが、主にそれらは「一連の大当たり」関連が中心となっている。それではこの「一連の大当たり」とは何か。簡単に言えば最近主流となっている「3,000個大当たり」や「4,500個大当たり」など、2回以上の大当たりを合わせて一つの固まりに見せたもので、大きく「特図2の保留球を貯める仕様」と「有利状態を用いて構成する仕様」の2つがある。前者はからくりサーカス2や牙狼12など特図2保留を貯めることで事実上「小当たり=V入賞=大当たり」とした仕様で、後者は「時短10,000回」などとして次回大当たりを確実に得られる仕様を指す。

そもそも総獲得遊技球数の期待値は、初回大当たりを除いて計算する規定であったが、この「一連の大当たり」の概念が多数登場したことから、初回大当たりでの獲得遊技球数は「1,500個」ではなく「最大3,000個」まで除外することができるよう過去に改正されていた。

3.いわゆる「牙狼12規制」のポイント部分

今回の改正は、あくまで「行き過ぎた射幸性についての自主規制」だ。そのポイント部分は、牙狼12では右打ち以降の仕様が「7,500個獲得+LT」または「1,500個 or 0個」と期待出玉が両極端に分かれている点にある。LT突入時のみ7,500個を獲得しているという部分が「行き過ぎた射幸性」としてとらえられたと考えられ、その点で今回より計算方法が修正された。具体的には電チューが拾う個数が複数ある場合(例 1個:1,500個 or 5個:7,500個など)において、今までは出玉・大当たり後の総量を平均化して計算していたものが、今後は電チューに貯めた保留数ごとに総量を計算する必要がある。

例として、牙狼12の仕様をそのまま2026年以降に型式試験へ持込むスペックとして検討してみる。ヘソ大当たりでの1,500個は別として、右打ち開始時にLTに突入する時は必ず7,500個を獲得する。今後はこの部分を平均ではなく、この7,500個としても計算することとなる。初回大当たりとして最大3,000個まで除外できるので「7,500個-3,000個=4,500個」となり、4,500個はすでに獲得しているので、この後に突入するLTでは「9,600個-4,500個=5,100個」という計算となり、この場合のLTでの獲得遊技球数は最大で5,100個未満に抑えなければならなくなった。

ただし同じ7,500個獲得の仕様でも、例えば藤商事「e地獄少女7500Ver.」などでは考え方が異なる。なぜなら地獄少女7500では、電チューが拾う個数が複数ではなく、同じ7,500個獲得後に「0個 or LT突入」と分岐があるためだ。初回大当たりとして最大3,000個まで除外できるので「7,500個-3,000個=4,500個」となるのは同じだが、その後にLTへ突入するのは約52%で約48%は0個となる。そのため7,500個獲得後の期待出玉は、実際とは若干異なるが仮にLT期待出玉が最大の9,599個だとしても、5,000個弱となる。したがって「4,500個+5,000個=9,500個」となり、LT上限の9,600個を下回るため、このような仕様であれば2026年以降も型式試験持込が可能なものとなる。

4.「LT3.0プラス」の2025年仕様の遊技機

業界として行き過ぎた射幸性の自主規制は非常に重要ではあるものの、一方で一部コアファンへ向けたものとして「e牙狼12黄金騎士極限」が現時点でも20,000発弱の稼働を見せており、稼働貢献週では30週を超えているのも事実だ。その視点から見れば、2025年中に型式試験持込がなされて既に適合しており、今後販売される自主規制前のスペック機は明らかに貴重であり、今後出てこないスペックと考えれば必要な存在と言える。

一例で言えば、大一商会(ディ・ライト製)の「eカケグルイ~生か死か~7500Ver.」などがそれにあたる。2026年5月11日導入の規制以前に適合を受けた機械であり、LT突入前に獲得する出玉が牙狼12の9,000個を超えて10,500個以上となっているばかりか約3分の1で18,000個以上となる出玉性能を誇る。LT期待出玉でも牙狼12を若干だが上回っているようだ。通常時の大当たり確率は204分の1で、うち75%は300個通常だが25%でLT突入を決める「50/50ジャッジメント」となる仕様だ。

昨年よりパチンコの稼働低迷が危惧されている。パチンコ全体の市場を考えれば、行き過ぎた射幸性の自主規制により“身近で手軽な健全娯楽”を追求するのが大切であるのは当然だが、一方で一部のコアファンが求めるラインナップを取りそろえるのも大切だ。今後もパチンコがさらに幅広いジャンルへ向かいながら、何より遊技人口全体が増加することを切に願いたい。

■プロフィール
鈴木 政博
≪遊技産業研究所代表取締役・遊技日本発行人≫
立命館大学産業社会学部卒業後、ホール経営企業管理部、遊技コンサル会社を経て2002年に㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の開発アドバイザー、新機種情報収集及び分析を中心に活動し、TV出演・雑誌掲載など多数。2021年7月より業界誌「遊技日本」発行人を兼務。

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