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アーチャー特製オムライス リベンジ編/Novel by たまこ

アーチャー特製オムライス リベンジ編

2,713 character(s)5 mins

novel/9782226)のリベンジ編。8/19イベントの無配ペーパーでした。
オムライスおいしい。
作るのはオーソドックスなチキンケチャップライスにたまごベールだけど、デミグラスソースやホワイトソースかけたり中身をドライカレーにしたりして、仕上げのたまごも半熟たまごにしたりスフレにしたり可能性は無限大…。
あっアーチャーが今度和風あんかけだし(とろとろ)に醤油ベースの長ネギ&鶏そぼろのまぜごはんで作ってくれるってランサーから聞いたんですけどそのへんどうなんですかカルデアのマスターも食べられるんでしょうか。

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「すまねーやっぱり遅れた!晩飯く、れ……」
「待ちくたびれたぞランサー。疾くそこになおれ、夕飯なら出してやる」
 カルデア標準時刻21時。通常の夕食時間ギリギリに食堂へ駆け込んだランサーの目の前に待ち構えていたのは、冷ややかな無表情で腕を組み仁王立ちで注文カウンターに立ちふさがるアーチャーの姿だった。
「大変申し訳ないのだが、献立の選択肢はない」
 そう、ひとかけらも申し訳ないなど思っていなさそうな顔をして。

〜アーチャー特製オムライス リベンジ編〜

 キッチン主の、巨大海魔のひと群体はゆうに射殺せそうな殺気と迫力に声をかけることすらできない。ランサーは指示されるがまま、すごすごとカウンターの指定席へ腰を落ち着けた。
 おかしい。何か自分はアーチャーの機嫌をあそこまで損ねる事をしただろうか。
 通常の夕食時間に間に合わないかもしれないからと夜食予約の連絡はきちんとしたし、そもそも今夜は彼の夕飯当番の日ではない。壁に掲示されている一覧を横目で確かめれば、確かにタマモキャット、の文字が見える。それなのに。
 最後に顔を合わせたのは今朝方、アーチャーの私室で。早朝からのレイシフトのためやや慌ただしくなってしまった後朝の去り際。それでも挨拶は忘れずに両頬をついばみ、耳朶の後ろの生え際を指先でくすぐった。鼻先を擦り付け合ったところで後ろ髪を引っ張られたので大人しく引き下がったはず。そのあたりでもののついでにと夜食の予約を頼んだ。そうしたら今日は洋食が得意な彼女がシフトだから言付けておくと、そう弓兵自身が言ったのだ。そこにランサーの失言や不備はない。なかった……はずだった。
 果たして現在、シフトのはずの彼女の姿はなく、あるのはいつものガタイの良すぎる褐色男性。絶対何かしでかしている。記憶にはなくとも、何かが起きているに違いない。
 口に手を当て、ぐぬぬと唸っていたらいつのまにか前菜のサラダとスープがランサーの指定席(念のためお伝えするがカルデア食堂に指定席という運用ルールはない)であるカウンターのテーブルに置かれていた。琥珀色に輝き濁りひとつないコンソメスープに刺身のツマより細かな千切りの大根に塩昆布と鰹節、薬味ネギを乗せたシンプルなサラダは空腹をさらに煽る一品であるのは間違いない。
 しかし……前菜?夜食に前菜??常ならば洗い物を増やすのも億劫だと丼やプレートに全てまとめて盛られてくるそれらが別に出てくる……だと……?
 ますますランサーの胸中に疑念が降り積もるが、いつまでも悩める胃袋事情でもない。まずはこの皿を片付けて、主菜を待ち受けることにする。先程から不満を訴えてやまない腹の虫の機嫌を取るべく、槍兵は紺塗の箸を持ち上げた。


 かの勇敢な戦士の前にあの程度の前菜など囮にもならない。ものの数分でサラダとスープをたいらげたランサーの前には、今ひとつの耐熱皿が置かれている。
 己の顔よりも一回り小さなそこには、美しくカーブを描く、黄金色のドーム。ふわふわと自らの湯気で揺れるのはまさしく。
「……アーチャー?これは……」
「オムライス、だ。先日食わせたのはあくまであり合わせの未熟な代物だったからな。あんなものが私のオムライスだと思われては心外なのでリベンジさせてもらうぞ、ランサー」
 ぺらぺらと立て板に水のごとく喋り出すアーチャーはさておいて、オムライスだと言うのならこのドームのようなものは卵的な何かなのだろう。もはや自分専用と化している特大カレースプーンをその屋根に食い込ませると、ふるん。ふゆん。なんとも言えない感触が返された。
 そのまま皿の奥まで進めて掬えば、スプーンの上にはこっくりとしたとろけたチーズとデミグラスソースにまぶされ、つやつや輝くライスとさらには一口サイズの鶏肉が入っている。そこへ泡のように被さる黄金色。その全てがはやく口に入れてくれとランサーを誘惑する。
「──その卵は特製のスフレエッグでな、卵白を先に分けてメレンゲにしてから卵黄とあえてじっくりゆっくり時間をかけて火を通し」
「御託はいいからもう食っていいか」
「あ、ああ」
 まだ続いていた弓兵の解説を無理やり押しやると、大きな口を開けた次の瞬間スプーンの穂先から根元までがその中に消えた。
 熱いから気をつけろと言い忘れたアーチャーが目を見張るのも気にせず、きっちり20回咀嚼すると無言で次の一口をかき集めまた口内へ運ぶ。スプーンの動きが止まらない。止められない。
 グリルでじっくり焼き上げられたデミグラスソースのドリアへ贅沢に盛られたとろけるチーズが糸を引いて絡む中身だけでも充分なのに、そこへハーブで下味をつけたチキンソテーも添えられてはたまったものではない。
極めつけがあの卵だ。さしこむスプーンにはほのかな弾力を感じるのに、口に入れた途端にしゅわりと溶けて消えてしまう。なのに黄身とバターが重なり合った濃厚な味は舌に残るのである。
 なんだこれは。これが本物のオムライスだと言うのか。保温性の高い耐熱皿のおかげで火傷しそうな熱さになっているのも気にせず、あっという間に銀の剣先は皿の真ん中にまで到達する。すると、先端に感じたのはライスとは違う締まった抵抗と、刺したそこからじゅわりと漏れ出るあふれんばかりの肉汁だ。
「……ハンバーグ……」
「先日君が喜んでいたのでな、また入れてみたのだが……言っておくが今日のは残り物ではないぞ!きちんと専用に作った煮込みハ」
「お前なんなの神か、神だな」
 ひき肉に絡むチーズはどうしてこんなにうまいのか。スプーンが掘り出すがままハンバーグも合わせて口に運べば、さらに濃厚な肉の旨味が加わってしまう。まさに神の与えたもうた奇跡の一品。親父にだってこいつは創れねえ。
 まだどこか解説したげなアーチャーを置き去りにして、ひたすらに口を動かす。うまい、うまい!うまい!!頭の中にはもう、その3文字しか浮かばない。本能に従い貪るがまま、もっともっとと獲物に牙を立てて──は、と気づいた時には皿の中身は空っぽだった。
「ごっそさん」
「……どうだろう、お気に召していただけただろうか」
「お気に召すってレベルじゃねえな、こんなん食っちまったらもう戻れねえ」
 お前、どんな気持ちでコレをオレに食わせたんだよ。そう問い詰められた時の弓兵の顔といったら!しばらくはケルト組宴会のネタに困らねえ鉄板だ。
「……お前の本気(リベンジ)、しかと受け止めたぜ」

 アーチャーの本気のオムライス。またひとつ、槍兵だけの隠しメニューが食堂で生まれてしまったのだった。

Comments

  • 芳乃

    酷い飯テロだ!!Σ( ̄□ ̄;)明日のお昼はオムライスにしよう。 でも、エミヤみたいに凝ったのは無理だから、普通にケチャップのチキンライスでハンバーグは入れないけどね。(ノ´∀`*)

    October 23, 2018
  • 沼落ちロベリー
    October 22, 2018
  • sei@万年金欠病

    なるほど。これがホントの飯テロ…!Σ(゚д゚;)

    October 21, 2018
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