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ずっと前に「ジャック・ヴァレの本に出てくる怪しい研究者たち」(笑)を紹介するエントリーをこのブログでも何本か書いたのであったが、久々にそちら関係の話を。

ヴァレの本の中にチラチラ出てくる人物として、脳科学者のマイケル・パーシンガーと作家のポール・デヴルーという人たちがいる。この二人はだいたいセットで論じられているのだが、どうしてそういうことになるかというと、このお二人、そもそもUFO体験というのは地球の地殻関係から生じる電磁気が原因であって、それが発光現象を生じさせれば「UFO出現」ということになるし、それが脳に幻覚をもたらせば「アブダクションだ」ということになるわけヨ――みたいな議論を展開していた。お互い特段の関係はなかったようだが、この二人、期せずして似たような主張をしていたということであるらしい。

うーん、じゃあウチにある強力ネオジウム磁石をこめかみ辺りに押しつけると何か見えてくるんかい、などとついついツッコミを入れたくなるのであったが、そもそも「UFOは宇宙から来ているわけではない」説のジャック・ヴァレとしては、こういう議論も有力なオルタナティブとせざるを得ない。その意味では避けて通ることのできない人物ということになる。

だがしかし、「UFOイコール宇宙船」という思慮を欠く主張ばかりが大手を振ってまかり通ってきた日本であるからして、こういうマイナー系の人(?)はわが国のUFOシーンではほとんどガン無視状態だったようで、著作なんかも訳されていない――いや、もすこし正確に言うと、パーシンガーについていえば超心理学系ではそこそこ知られた論客だったハズなので本ぐらい出てて然るべき人ではあるのだが。

というわけでオレもお二人の言説は全く精査できていないのであるが、たまたま最近本棚の奥から引っ張り出したジェローム・クラークの『Unexplained!』(1999年の版であった)にこの二人をまとめて紹介している頁があった。2頁にも満たない記述ではあったが、ま、少しは勉強になった。このへんにかんして興味のあるかたも国内には5、6人はいるだろうから、以下、その骨子を訳出してみることにした。

いつも冷静なクラークだけに、相当にテキビシイことを書いております。特にデヴルー。「ちょっと何いってるかわかんない」状態でクラクラするが、それだけについつい彼の本をAmazonとかAbebooksで探したくなるオレがいる。

 
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Michael Persinger(1945-2018)=左=とPaul Devereux(1945-)


 アースライト仮説とテクトニクス・ストレス仮説

マイケル・パーシンガーとポール・デヴルーという二人の理論家は、地球物理学に基づいてアノマリー現象を説明しようという仮説をそれぞれ別個に編み出した。テクトニクス・ストレス仮説(略称TST)と呼ばれるパーシンガーの理論は、地殻内の歪み場が電磁電荷を生み出し、それがさらに光体を発生させたり幻覚を見せたりするというもので、その幻覚というのはエイリアンやその宇宙船、あるいは何らかの生物などといったポップカルチャーのイメージに源泉があるのだとする。この仮説の変種ともいうべきものが、デヴルーの「アースライト」概念である。

デブルーのアプローチがパーシンガーのそれと違っているのは、UFOの出現をもたらすモノとして、「圧電効果」ではなく「トリボルミネセンス」(注:鉱物の結晶などが摩擦することで光を生じる現象)をより有力な候補として挙げているところである。パーシンガーが、UFOのように見える光というのは地殻の運動があった場所から何百マイルも離れたところで観察されることがありうるとしているのに対し、デヴルーは一般論としてそのような効果が生じるのは断層線のすぐ近くに限られるとしている。

だが、総じてデヴルーの説というのは(パーシンガーに比較して)より過激な仮説となっている。彼の考えでは、アースライトというのは知性を有しており、目撃者の思考を「読み取る」ことができる可能性すらある。彼はこの仮想上のエネルギーについて「電磁気がよく知られていない形態で現れたもの・・・完全に未知の秩序に依ってたつもの・・・秘匿された力」などと語っており、そのエネルギーを社会に変革をもたらす「ニュー・エイジ」的なビジョンと関連づけている。デヴルーによれば、アースライトの研究には「人類社会の新たな時代をまるごと作り出すようなポテンシャルがある」「それは人類進化の上で重大な意義をもつもの、数多くの問題を前にした我々現代人を悩ませている(社会の)断片化を癒やす助けになってくれるかもしれないもの」だという。

パーシンガーの仮説は科学論文として刊行されたが、批判を浴びた。実証性という面ではその論拠は脆弱だったし、批判者たちは、パーシンガーは或る未解明のもの――すなわちUFOを別の未知のもので説明しようとしている、と言い立てた。彼らは、UFOや「モンスター」の目撃は地層の活動が活発でない場所で起きているとも主張した。クリス・ルトコフスキやグレッグ・ロングといった(パーシンガー説に)懐疑的な論者たちにしてみれば、TST効果やアースライトなどというものは、パーシンガーとデヴルーが示唆している途方もないモノを持ち出さずとも、球電、地震光、ウィルオウィスプ(注:鬼火の意)といった既知の自然現象として考えれば十分ということになる。

デヴルーのUFOを説明しようとする試みについて、ロングはこう記している。「<アースライト>についての様々な報告を注意深く研究してみれば、その光体のかたちは様々なものとして記録されている。そのことをデヴルーは理解していないのではないか。それだけではない。目撃報告によれば、そうした物体の形状は明らかに人工物だし、その動きは知性によってコントロールされたものであり、何らかの目的をもっているのは明らかだ。であれば、こうした物体をテクノロジーの産物である機械以外のものと考えることはできない。こうした事例で、エネルギーの塊だとかボールだとかの出現を示唆するものは全くない」。ルトコフスキはこう言っている。「光が一種の電磁気現象だという仮説を支持する状況証拠や観察結果もあることはあるが、そのようなエネルギーが本当に存在するのかどうかを実証的に判断するためには、さらなる研究が必要である」

パーシンガーは近年、UFOアブダクションの体験を「大脳側頭葉に電磁場が与えた影響が引き金となって生まれた幻覚」として説明しようと試みている。そこでパーシンガーが編み出した実験方法というのは、かぶった人間の大脳側頭葉に電磁波を浴びせることのできる「神のヘルメット」を用いたものである。たしかに多種多様な幻覚が生じた。しかしそれはパーシンガーの主張とは相反するもので、アブダクティーたちが報告したイメージと似たものはほとんど無かった。批判者たちはこう指摘している――被験者たちはアイソレーション・チェンバー(注:外部から隔絶された空間)に入れられたのだが、彼らの体験した幻覚というのは、これまで長いこと行われてきた感覚遮断実験で記録されてきた幻覚と良く似たものであった、と。言い換えれば、その幻覚というのはパーシンガーが考えた「ビジョンを生成する電磁気場」とは全く関係がなかった可能性がある。

これは前々から再三書いているところであるが、世界的UFO研究家、ジャック・ヴァレの邦訳書は我が国では何故かほとんど刊行されていない。

その数少ない邦訳本のひとつが『人はなぜエイリアン神話を求めるのか』(1996年、徳間書店)であるわけだが、これがまた原著『Revelations』から「結論 Conclusion」と「補遺 Appendix」を端折ったヒドイ抄訳本である。そのあたりの話は以前このエントリーに書いた。



そのときには「補遺 Appendix」の内容を紹介させていただいたワケだが、今回はこの本の「結論 Conclusion」ではヴァレがどんなことを言っていたのかを書いてみたい。

欠陥だらけのこの邦訳書であるが、それでもずっと読んでいけばヴァレの問題意識というのはおおむねワカル。つまり、「米政府はひそかにエイリアンの円盤を回収している」などといった話を吹いて回る研究者は実は「騙されている」。そして、そんな連中を裏で操っているのはまさにその米政府ではないのか──。

さて、そうした議論を踏まえての「結論」となるわけであるが、ヴァレは冒頭、「米当局は既にエイリアンとコンタクトしている」といった主張を唱えてきたロバート・ラザーやビル・クーパーといった人物の信憑性が、今や見る影もなく失墜してしまっていることを指摘する。たとえばこんな風に。


ロバート・ラザーはさまざまな研究家にその身辺を徹底調査された。その結果、最初にジョン・リアが「最も信頼すべきソースだ」と彼を評していたことがウソかと思われるほどに、その信用は地に墜ちてしまった。それは単に彼が売春容疑で起訴された、というだけの話では済まなかった――彼は「スイカズラ農園」という売春宿の共同経営者でもあったのだ! 物理学者であり、ロス・アラモスの施設の技術顧問だという彼の立派な経歴は、これで雲散霧消してしまったのだ。


さて、そこで発せられるのは次のような問いだ。


もし解剖とか墜落した円盤だとかについてのウワサが全く事実無根だとしたら、そうした欺瞞を広めたのは誰なのか? そしてここで再び問いかけなければならないのだが、そのような欺瞞が最終的に目指しているゴールとはいったい何なのか?


このような問いに対し、ヴァレが「とりあえずの回答」として挙げているのは次のようなものである。

過去30年かそこら、CIAやNRO(アメリカ国家偵察局)、空軍といった米国政府の機関がUFO現象を研究しようという大がかりな試みを継続してきたものと仮定しよう。ただしそれは「この問題を解明しよう」という試みではなかった。何となれば、その解明というのはわれわれの科学をもってしてはなお不可能なものであるからだ。そうではなく、その試みというのはこの現象を他の何かを隠す隠れみのとして利用しようというものであった。

ではそこで「隠されているもの」とは何か。ヴァレの考えは明快である。彼は──個人的には如何なものかと思うのだが──米政府は「人間を眠り込ませてしまうような心的効果や敵国軍に身体の麻痺や幻覚をもたらす機器を搭載する」円盤を実際に作っており、そうした秘密兵器を隠蔽するためにUFOのウワサを利用しているのだ、という。

もしそのような乗り物がドリームランド(訳注:いわゆるエリア51の別称)で試験されているのだとしたら、その隠れみのとしてUFO現象以上に適当なものはあるだろうか? こうしたペテンを広めてやろうというのなら、その宣伝役として「地球外の生命体は今まさに地上に降り立とうとしている」と確信している筋金入りのビリーバーのグループ以上にふさわしい人たちはいるだろうか?



ここでヴァレはちょっと寄り道するかたちで有名な「ロズウェル事件」に触れ、ロズウェルは原子爆弾が置かれた最初期の空軍基地であり、そこでトップシークレットに属する極秘プロジェクトがバルーンなどを用いて行われていた可能性は非常に高い、という。

本物の破片から目をそらすために卵型をした機材を砂漠に置いてきたり、死んだエイリアンに擬した小さな人形を数体ばらまいてくるというのは、決して難しい仕事ではない。

彼はこんなことまで言っており、それは流石にどうかと思わんでもないが、つまりここでも「空飛ぶ円盤」を持ち出すことで米軍は極秘実験をカモフラージュしたのだろう、というのがヴァレの見立てだ。

しかしながらユーフォロジーの世界では、「米政府とエイリアンの結託」といったストーリーが強く信じられてきた。これを批判し続けてきた結果、ヴァレがどんな目に遭ったかというと、「奇妙な教条を掲げたUFO界の偉そうなリーダーたちは、私をET信奉者たちのこざっぱりしたガーデン・パーティーに闖入した悪名高きスカンクのように扱いはじめた」のだそうだ!

こうした経緯もあるのだろう、ここでヴァレは、政府当局もなかなか悪辣だが、そんな怪しげな話にすぐさま飛びついちまうUFO研究家たちのほうにも問題大アリだろうよ、とばかりに批判を加えている。彼らはいちいち情報の裏を取るようなことはしない。


近年のUFOコミュニティでは、ひとかどの人物と認められるかどうかは、ひとえにいわゆる「機密情報」にアクセスできるかどうかにかかっている。いかなるユーフォロジストも、ネタを出してくれる魅惑的で秘密に包まれたニュースソースから関係を打ち切られることを恐れるあまり、そのような素材にあえて疑問を呈するようなことはしなくなってしまったのだ。


次いでヴァレは異星人の来訪を唱える人々とアメリカの極右勢力との間の連関を指摘しており、そこにも当局の何らかの関わりがあることを示唆しているが、ま、これはあまり深掘りされてはいない。


さて、この「結論」の最終部に至って、ヴァレはこう主張する。


この分野に正気を取り戻すためにまずわれわれが始めるべきことは、検証可能な「事実」に立脚すること、である。


「われわれは今まさに外宇宙で新たなる敵と遭遇せんとしている」という考えは、底知れない力を秘めている。そして、一見したところ不可思議にみえる数多くのものごとは、そうした力を求める人類の欲望が生み出したものだということで説明がつく。「9機の空飛ぶ円盤がラスベガスの近くにある格納庫に収められている」「ニューメキシコ州には人肉をむさぼる、灰色をした醜くて小さいヒューマノイドでいっぱいの町がある」――声高に語られるそのような主張には、確かにわれわれの文化の中にあって、いかにも人々を惹きつけそうな新しいタイプの暴露話といったおもむきがある。

だから、もしあなたが人々にそんな話を十二分に信じさせることができたのなら、彼らはあなたが語るほかのこともすべて信じ込むだろうし、あなたが行くところにはどこでもついてくるようになるだろう。そしておそらくは、そういったものを丸ごと信じ込んでしまえるかどうかが、いわゆる「意外な新事実」(それは一部の善意に満ちた「欺瞞の使者」たちが、騙されやすい大衆に向けて気前よく披露してくれているものであるわけだが)に到達できるかどうかのカギを握ることになるのだろう。

かくてそのような欺瞞に満ちたストーリーの真実は、カッシルダの歌のように「涙が流されぬまま涸れるように/歌われることなく消えていく」ことになるのだろう(訳注:ロバート・W・チェイムバーズ著/大瀧啓裕訳『黄衣の王』参照のこと)。そして、新たに出現したエイリアンのリーダーたちと会うことを待望しているようなお気楽で騒々しい群衆たちの耳に、そうした真実が届くことは決してないのだ。



如何だろうか。「米軍が円盤状の飛行体だとか電磁波等を利用した秘密兵器を開発済みである」といった主張はちょっと違うンでないかと思うのだが、少なくとも米軍はいわゆるUFO現象の実態など全くつかんでおらず、ただそうしたウワサは「使える」から、荒唐無稽なネタをアタマの軽い研究者にリークしているんではないか、という基本的な読みは今もなお有効なんじゃないか。

まぁこういう議論は日本のユーフォロジーではなかなかウケなかったのだろうが重要な指摘であったことは間違いなく、何度も言うけれどもこういう「結論」部をカットして出版したのは、徳間書店、やはり大失態であったと思う──すでに世間がUFOなどというものに背を向けている今となってはそんなことをいっても死んだ子の歳を数えるようなものであるのだが。

とまれ、『人はなぜエイリアン神話を求めるのか』を読んでいて最後が唐突にブツっと終わっていることに疑念を抱かれた方には少しはお役に立てたのではないかと思う。そんな人がこの日本にどれだけいるのかは知らんが(笑)








先ごろ、某UFO現象学者の方がネットに書いておられる連載コラムを興味深く読んだ。

オレが理解する限りその論旨というのは、「米当局はブルーブックとは別に早くから秘密の組織を作ってUFOの調査・研究を進めてきた。その辺のことは、米空軍の活動にUFO問題の顧問として関わってきたアレン・ハイネックもソコソコ感づいていたフシがある」というものである。

で、コラムでは、その辺の傍証としてジャック・ヴァレの著書『禁じられた科学 Forbidden Science』の記述が引かれている(ちなみにこの本はヴァレの日記を刊行したもので、いってみればUFOにかかわるヴァレの活動日記である)。

もちろんジャック・ヴァレ自身がこういう陰謀論を主張しているのでそれはそれで筋が通っているのであるが、念の為、この研究者の方がコラムの中で引用している同書の「1967年7月12日(水)」の項を読んでみた。で、その結果、オレとしては「ハイネックが米当局の二枚舌を十分知っていながらスルーしてきた」という読み方は、流石にちょっと言い過ぎではないかなーと思った。

で、せっかくなのでそのあたりの概略を以下に訳出してみたい。ちなみにこれはヴァレの日記なので、一人称で語っているのは当然ヴァレということになる。例によって適当訳であり、誤訳があるかもわかりませんので、その辺はあらかじめお詫びしておきますネ  m(_ _)m

*念の為に言っておくと、このくだりは「ヴァレが自らの陰謀論の証拠だと考えている「ペンタクル・メモ」を「発見」した直後、その辺の背景についてハイネックからなんとか言質を取ろうーーという狙いでサシでかわしたやりとり」という体になっておる(ペンタクル・メモに関しては過去のエントリーを参照いただきたい)



ハイネックは、どんどん前に進んでいきたいという君の熱意は理解できる、と言った。
「空軍と一緒にやってきた年月について、私はもっと疑問をもつべきだったのかもしれないね」。彼はそう語った。

「プロジェクトの全体像をみていくと、ロバートソン査問会のあった頃にターニングポイントがあったんじゃないか。僕はそんな風に思っているんですよ」。私はペンタクルの書簡には触れずに、こう言ってみた。

「君は正しいのかもしれない、ジャック。君は力ずくで私の目をさまそう、さまそうとしてくるね」

「昔のことをもう一回振り返ってみようではありませんか」

「うむ。UFOが最初に姿を現した頃、空軍はまだ存在していなかったよね。フォレスタルは最初のプロジェクトを始動させた。今では単純明快に<プロジェクト・ソーサー>と呼ばれているヤツだ。そのあと、1947年9月に<プロジェクト・サイン>ができた。彼らが民間の科学者たちの助力が必要だということに気づくと、今度はバテルの責任の下で<プロジェクト・ストーク>が立ち上げられた。私はそこに顧問として参画したわけだ」

「あなたはコロンバスにある彼らの施設を訪ねたことがありますか?」

「時々はね」

「ロバートソン査問会が開かれた頃に連中がどんなことをしていたか、あなたはチェックしていましたか?」

「その時期には出入りしていなかったんだ。正直言うと、連中はスパイ小説もかくやという調子で仕事を進めていて、なんて下らないんだと思っていた。私は大間違いを犯していたのかもしれないが」

彼は続けた。「で、ロバートソン査問会は<プロジェクト・ストーク>を廃止に追いやった。バテル記念研究所は1953年の末、かの有名な<レポートNo.14>を仕上げたわけだが、それがプロジェクト・ブルーブックによって公開されたのも1955年になってからだった。軍のプロジェクトは、その時点では<ホワイト・ストーク>と呼ばれていた。フレンド中佐の下で、ブルーブックが対外技術局 Foreign Technology Division のケツもちをするようになったのは、ずっと後のことだ。その2年後になると、僕が顧問を務めているプロジェクトは<ゴールデン・イーグル>になって、契約相手はマグロウヒルに移ったというわけさ」

「<ゴールデン・イーグル>の枠組みの中で、プロジェクト・ブルーブックのために働いている科学者は他に何人いるのですか?」

ハイネックはその問いに驚いたようだった。

「知っている限り、僕ひとりしかいないよ。他にいるのはプラズマや推進機関、航空学といった分野に関する民間の専門家で、彼らは対外技術局が集めて来た資料――主にロシアの航空宇宙テクノロジーについてのデータなんだが――を分析しているんだ」

「では、こんな質問をさせてもらえますか。仮に秘密の研究がブルーブックとは別のところで為されていたことを我々が見つけたとしましょう。我々はそれを公にすべきなのでしょうか?」

「当たり前じゃないか。そんなことが行われていたとしたら、科学に対して、そして憲法が尊重してきた様々なものに対して、紛れもない犯罪が行われたも同然だろう」

「でも、科学者たちには真実を知る権利がある、などと言えるでしょうか? 例えば、ロバートソン査問会に対して [ UFOの存在についての ] 証拠がいかほどか伏せられていたという事実が判明し、私たちがそのことについて裏づけを得たとしましょう。その場合、こうした事実は科学者たちや大衆に告げられるべきなのでしょうか?」

「当然、我々は彼らに知らせるべきだろうね」

「僕は、彼らには知る権利がある、とは言い切れないと思うのです。コンドンのような人物の教条的な態度を見て下さいよ・・・」

   (以下略)


この辺の問題に詳しくない方だと「コンドンって誰よ?」「ロバートソン査問会?」「フォレスタルって?」などといろいろ疑問が兆すとは思うが、ここではその辺の説明は一切省略させていただく(笑)。

で、原著では以下、「科学者っていっても実際は偏見まみれで、ちゃんとUFO問題について考えてねーじゃん」というヴァレの主張が展開されていく。ちょっと論点がズレていくということなのだろう、このコラムでもここから後の議論については触れられていない。

さて、こういう記述を虚心坦懐に読むと、ハイネックが「国民に知らせず、いわば二重帳簿的に極秘のUFO研究をやってたらとしたら、そりゃマズイよなー」と考えていたであろうことがわかる。ただ、「実際やってたんでしょ?」といって詰め寄るヴァレに対して、ハイネックは「いやしかし、オレはそんな証拠もってねーからさー。ひょっとしたら何かコッソリやってたのかもしれねえけどさー」といって困惑している風がある。

しかし、コラムを読んでみると、「すべてを知っていたハイネックが痛い所を突かれて狼狽している」みたいな話になっている。つまりハイネックが逆ギレしてヴァレに食ってかかった、みたいな解釈がなされている。いやーそれはどうなんでしょうかとオレなんかは思う。ハイネックはあくまでも「ヴァレの言い分はわかるが、オレには確定的なことはいえない」って言ってんのじゃないのか。

ま、翻訳家としても知られる方の御説に楯突くようでナンだが、この辺のことに興味がある好事家方のためにいちおうオレの考えを提示しておくことにしました。



ヴァレの『コンフロンテーションズ』といえば、この本にはUFO関連の奇っ怪な事件が幾つも出てくるのだが、今回はその中でも「鉄の三角形事件」というのを紹介してみたい。

これは朝鮮戦争当時、米陸軍の部隊がUFOの光線で攻撃されたとされる事件で、起きた日時はいまひとつよく分からんが、1951年の春であったと言われている。場所は鉄原郡(チョルウォン郡)で、南北朝鮮でちょうど分断された地域であるようだ。さぞや激戦地であったのだろう。

で、ひとつ言っておかねばならんのだが、「鉄の三角形事件」というのは、オレが勝手にそう命名しただけであり、よそでそんな呼び方をすると恥をかくので注意されたい(笑)。ちなみにこれは「鉄の三角型のUFOが飛んでいた」というのではなく、単に戦争中に『鉄の三角形地帯  the Iron Triangle』と呼ばれていた場所で起きたというだけの話で、なんかカッコイイから「鉄の三角形事件」と言ってみただけの話である。


閑話休題。この事件の一義的なソースとされるのは、朝鮮戦争当時、米陸軍の上等兵だったフランシス・P・ウォール氏が米国のUFO研究団体CUFOS(ハイネックUFO研究センター)所属のジョン・ティンマーマン氏に語った証言であるらしい。なので、以下にその内容をご紹介するとしよう。形としては、ウォール氏がティンマーマン氏に向けて話す、という体裁になっている(インタビュー自体は1987年1月に行われた)。

ちなみに、そのオリジナルの記事は「Korean War Battlefield UFO Encounter」というタイトルで、米国にかつて存在した研究団体NICAPの資料をまとめたとおぼしきサイトの中で公開されている。何でCUFOSの研究がそんなところに載っているのは知らん。あと、これがHOAXである可能性なんかも、全然調べていないのでわかりません。




これからあなたに話すことはすべて真実であると、神に誓います。それは1951年の早春に韓国で起きたのです。私たちは第25師団第27連隊第2大隊の「イージー」中隊所属でありました。われわれはチョルウォン近くの、軍事マップで『鉄の三角形地帯』と呼び習わされていたところにいたのでした。

夜のことでした。われわれは山の斜面にいて、眼下には韓国人の村がありました。われわれは事前にこの村に人を派遣し、ここを砲撃する予定であると村人に通告しておりました。そしてこの砲撃を予定していたのが、その晩であったのです。われわれはその時を待っておりました。

そこで突然、われわれの右手の方に、ジャック・オ・ランタン(注:ハロウィンに用いるカボチャちょうちん )のようにみえるものが、山を越えてフワフワとやってくるのが見えたのです。最初、われわれは呆気にとられておりました。それでわれわれは、ただ、この物体が村の方に降下していくのを見ていたわけですが、ちょうどそのとき、砲撃による爆発が始まったのでした。最初、その物体はオレンジ色をしていました。われわれはなおも物体を目で追っていたのですが、それは実に素早く、砲弾が空中で爆発するそのド真ん中のあたりまで移動しました。でもダメージを受けた様子は全然ないんです。

時間的にはどれぐらいだったかというと、そうですね、えーと、都合45分から1時間といったところだったでしょうか。

ところがやがて、この物体はわれわれのほうに近づいてきたのです。ライトの色も青緑色に変わりました。大きさがどれぐらいだったかは、ちょっとわかりません。周りにに比較できるものがなかったものですから。その光は脈を打っているように見えました。この物体は、そうやって近づいてきた。

私は、中隊の指揮官をしていたエヴァンス中佐に許可をもらって、この物体に向けて発砲したのです。M1ライフルで、撃ったのは徹甲銃弾です。当たりました。物体は金属製だったはずです。なぜかといえば、飛んでいった弾がぶち当たる音がしましたから。

さて、砲弾の爆発でも何ともなかったこの乗り物に、銃弾だと効果があったというのは何故なのか? それがよくわからないのです。連中は周囲の張り巡らしていた防弾バリアを下ろしていなかったとか、そういうことだったのかもしれませんが。しかし、これでその物体はいきり立った。ライトがついたり消えたりするようになりました。一瞬、ライトが完全に消えたのも見ています。予測しがたい動きをみせながらあちこちに飛び回って、地面に衝突するかと思いました。そして、音がした――それまでは何の音も立てていなかったのです。その音はディーゼル機関車がエンジンの回転を上げていく時の音のようでありました。この物体が立てる音は、そんな感じであったわけです。

そのとき、われわれは攻撃を受けたのです。パルス状に発射された光線みたいなものが、われわれの上をサーッと撫でていった。直接光が当たったときにだけ見える光なのですが、それが波状攻撃のようにしてやってきた。言ってみれば、サーチライトで辺りが照らされて行くみたいな感じで……自分のところにくると見えるわけです。それで、焼かれるようなチクチク痛むような感覚が体じゅうに広がるのです。何かが体を貫いてるみたいにして。

そこで中隊の司令官のエヴァンス中佐は、われわれを壕の中に引っ張り込んだ。何が起こるのか、見当もつきませんでした。われわれは恐怖にかられていました。地中の塹壕には、敵を撃つための覗き穴のようなものがついている。それで、私はもう一人の男と塹壕にいたわけですが、そこから例の物体をのぞきみていたのです。それはしばらくわれわれの頭上に滞空していて、ライトであたりを照らしていました。それからその物体が45度の急角度で飛び上がっていくのを見ました。素早くて、そこにいたと思ったら、もういない、みたいな感じで。あれは素早かった。で、これですべてが終わったのかと思ったのです。

ところが、3日後になって、中隊の全員が救急車で運ばれる羽目になりました。道路に沿って進むこともならず、体を引きずるようにして歩かねばならなかった。みな歩けないほど衰弱していました。赤痢を患っていたのです。それから引き続き医師は診察をしたわけですが、みんな白血球の数が以上に多くなっていて、医師もどういうことなのか説明ができませんでした。

軍隊というところでは、まぁとりわけ陸軍ではそうなのですが、兵士は毎日、中隊に報告書を提出することになっております。われわれはそこにお気楽な調子でいろいろ書いたものです。さて、ではこの話は報告書に書くべきかどうか? 誰しも「ノー」と答えるでしょうね。だってそんなことをしたら連中はわれわれを一人残さず捕まえて、全員気違い扱いするでしょうからね。当時はUFOとかそういうものについては聞いたこともなかったし、それが何かなんてこともわれわれは知らなかったのです。

あれが何だったか、今もわかりません。でも確かに言えることがあって、というのは、あれ以来、私は方向感覚がおかしくなったり、記憶がなくなってしまう時があるのです。それに、国に帰ってから、180パウンドあった体重が138パウンドに減ってしまいました。あれから体重が減らないように保つのにずいぶん苦労してきました。実際のところ私は仕事も辞めてしまって、今では身体障害者の身なのです。



ということで、前回は前置きだけで終わってしまったので、今回はロバート・シェーファーのペンタクル・メモ批判をご紹介しよう。

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 Robert Sheaffer

「Bad UFOs」というのが彼のサイトだが、記事は2012年2月18日付けで、タイトルは「ジャック・ヴァレ、J・アレン・ハイネック、そして"ペンタクル・メモランダム"」とある。例によって翻訳が適当なので誤訳があったらごめんなさいだが、以下がシェーファーの主張である。(色付き文字の部分は「ペンタクル・メモ」本文からの引用)


『禁じられた科学 第1巻』として刊行されている、ジャック・ヴァレの1957年から69年にかけての日記を読み終えた。そこで語られているのは、幼少期を過ごしたフランス時代から始まる彼の人生であり、どんな教育を受け、どんな仕事をし、そして彼がUFO事件にいかにして興味を募らせてきたか、といった話である。本書は高い教養に裏打ちされたものであり、とても個人的なことを記してもいるが、時には詩的ですらある。とても良い本だ。

本書で新たに提起された問題のうちで最も重要なものは何かといえば、それはいわゆる「ペンタクル・メモ」の問題であろう。1967年6月、ハイネックが休暇でカナダに行っている間、ヴァレは空いたハイネックの家に行って(もちろん許可を得た上でのことだ)、ハイネックが手つかずのまま放置していたUFO関連文書を整理することになった。

そこでタイプで打たれた二頁のメモ文書を見つけた彼は、これを非常に重要なものだと信ずるに至った。1953年1月9日の日付があり、そこには赤いインクで「シークレット―セキュリティ文書」というスタンプが押されていた。執筆者の身元を秘匿するため、ヴァレはこれを「ペンタクル・メモ」と呼ぶことにしたのだが、その書き手である「ペンタクル」は、のちにH・C・クロスだと判明した――バテル記念研究所に所属し、空軍のブルー・ブックとの間で連絡係を務めていた人物である。そのメモが発見される経緯、メモについてのヴァレの主張、そしてメモの本文についてまとめた良記事を、ここで読むことができる


ふむ。まずは褒めてから入るというのは紳士である。当ブログで前回説明した話などもここで出てくる。ここから本題に入る。


1、ヴァレ、長期間秘密裏に行われていたUFO研究プログラムを見つける

そのメモはこう始まる。

この書簡は、ATICに対し、未確認の空中現象という問題を今後扱う際の方法論について事前に勧告するものである。この勧告は、我々がこの問題について数千件のレポートを分析してきた経験に基づくものである。

ATICとは、すなわち空軍の航空技術情報センターのことであった。ヴァレはこう記している。「この冒頭のパラグラフは、明らかに次のような事実を示している。つまり、1953年の [CIAによる] ロバートソン・パネルのハイレベル会合に先立ち、何者かが合衆国政府のために、実際に数千件のUFO事件を分析していた――ということである。」(ヴァレ。同書284頁)。この文書は、ブルー・ブックとは違う米政府のどこかの部局で、大がかりな秘密のUFO調査プログラムが存在していたことを示唆する、というわけだ。

ヴァレはそのあとすぐに「ペンタクルは実際にバテル [記念研究所] で働いていたことに間違いはない」(ヴァレ。同書294頁)ということを突き止め、この筋書きを裏打ちする。息が止まりそうだ――1953年1月、バッテルには「何千件」ものUFOレポートを米政府のため分析していた何者かがいた、ということなのか? しかもこれは秘密のプログラムであった、というのか?

いやいやヴァレさん、待ってくれ。バテル記念研究所は1952年3月、プロジェクト・ブルーブックのために「スペシャルレポートNo.14」作成にかかわる仕事を始めていた。これはブルーブックにファイルされていたUFOレポートの統計分析で、当時の最新式コンピュータとパンチカードとを用いた最初期のものだった。この報告書は1954年に完成し、刊行された。その「スペシャルレポートNo.14」はユーフォロジストにはよく知られたものだ。実際、スタントン・フリードマンなどは、これについてしゃべりだしたらとまらない。

当然ながら、1953年1月のバテルで、米政府のために「何千もの」UFOレポートを分析していた人物は存在した。彼らはブルーブックの「スペシャルレポートNo.14」のために仕事をし、翌年、その仕事を終えたのだ。

おめでとう、ジャック! あなたはブルーブックの「スペシャルレポートNo.14」を執筆するチームが存在したという紛れもない証拠を見つけたのだ! そのレポートの存在が疑われたことなど一度もない。そこのところはスタントン・フリードマンに聞けばよい。


これは論点の一つで、「ブルーブック以外に人知れずUFO研究をしていた組織があった」と聞けば「政府の陰謀!」という言葉が反射的に出てきてしまいがちだが、「データの統計分析を外注した」ということであれば、ま、そういうこともあるでしょうなあという感じである。

なお、念のために言っておくと、文中のATIC(Air Force's Air Technical Intelligence Center 空軍航空技術情報センター)というのは、UFO調査機関たるブルーブックが所属していた上部組織である。


2、ヴァレ、CIAのロバートソン・パネルを操る黒幕を明らかにする


ペンタクル・メモの中でも、以下のくだりは最も論議を呼ぶ部分のひとつであろう。

[CIAのロバートソン・] パネルの会合が既に日程に上がっている以上、ワシントンで1月14-16日に行われるその会合では、我々のATICに対する事前勧告に関連して「論じられても良いこと・良くないこと」につき、プロジェクト・ストークとATICの間での合意を得ておくべきだと考える。

ハイネックによれば、ホワイトストークというのは、ブルーブック・プロジェクトも包含するものとしてかつて使われていた空軍のプロジェクト名だった。然るにヴァレは、プロジェクト・ストークは、近々開かれるロバートソン・パネルをつんぼ桟敷に置き、パネルが知ってもよい範囲を決めてしまうものだったと示唆している。

ヴァレは、そのメモは「パネルが論じて良いことと、悪いこと(つまりパネルから遠ざけておくべきこと)についてのカギの部分」について指図をしているように見える、とも書いている。「証拠を事前にセレクトすることで、科学者たちが到達するであろう結論は想定の範囲内に収まってしまうのだ」と。

が、ヴァレはそのセンテンスをより注意深く読むべきだった。それはUFOの目撃であるとか証拠について言っているわけではない。彼はそのセンテンスを、あたかも「ワシントンで1月14-16日に行われるその会合では、『論じられても良いこと・良くないこと』につき、プロジェクト・ストークとATICの間での合意を得ておくべきだと考える」とのみ書かれているように解釈している。

だが、そのセンテンスには続きがある。「我々のATICに対する事前勧告に関連して」というくだりである。換言すれば、「ロバートソン・パネルの議論に於いてどういう問題が聖域であるかを決めよう」というのではなく、「バッテルとATICの関わっている計画についてパネルに何を告げるべきかを決めよう」と言っているわけだ。

平易な英語でいえば、「我々がATICに提案していることについて、ロバートソン・パネルにはどれぐらい話すべきなんだろう?」という話である。英語がヴァレの母語でないことは知っているけれども、彼は英語を完璧にマスターしているだけに、彼がこのセンテンスを誤読していることには驚きを禁じ得ない。


これが次なる論点である。バテルはUFO問題について「こういう話はオープンにできるが、これはダメだ」などと差し出がましいことを主張しているわけではなく、「私たちが空軍にいろいろアドバイスしてることを査問会に一から十まで明かす必要はないでしょう」と言っている――シェーファーはそう指摘する。

ここで勢い余って、ヴァレに対し「あんた誤読してるよねー」などと英語力を云々するのはいささか勇み足のような気もするが、ま、西洋のディベートというのはこういうことも平気で言うものなのだろう(知らんけどw)。


3、ヴァレ、UFOについて大掛かりな欺瞞プロジェクトがこっそり行われている証拠をつかむ

UFO問題にかんして大衆を騙す狙いから、大掛かりで憂うべきプロジェクトが軍部の支援の下に行われている――ヴァレは、その証拠を以下のくだりから読み取っている。

我々は、一つないしは二つの地域を次のような「実験エリア」として設定することを推奨する。このエリアには、視認により空中を漏れなく監視する体制のほか、レーダーや写真撮影の設備はもちろん、該当地域の上空におけるすべての出来事について信頼すべきデータを収集するために有効ないしは必要なあらゆる機材が完備されるべきである。その観察が行われている間は、気象についての完璧な記録も取られねばならない。

そのカバー範囲においては空中のあらゆる物体が追跡され、その高度・速度・大きさ・形状・色・出現日時といった情報が記録されるよう完璧を期さねばならない。テストエリアにおいて気球を飛ばすことやその飛行経路、航空機の飛行、ロケットの発射といった情報は、その実験の所管者に通知されねばならない。エリア内の空中におけるありとあらゆる活動は、密かに統制下に置かれねばならない。[ここはちょっと意訳]

これについてヴァレはこう書いている。「ペンタクル・メモの要請は、ここまで論及してきたものにとどまらない。それは『エリア内の空中におけるありとあらゆる活動は、密かに統制下に置かれねばならない』とまで述べているのだ。これ以上、ハッキリした言葉はあるまい。これは、単に観察ステーションとカメラを整備しようといった話ではない。軍のコントロールの下、大掛かりに、かつ隠密裏にUFOの目撃ウエーブを起こす模擬実験を起こそうという話なのだ」

が、ペンタクル・メモが要請しているのは、次のようなことだと思われる。――人々がものすごい数のUFO報告を上げてきている地域を、まずは特定してみよう。その地域の上空に出入りしているすべてのものを認識できるよう、広範囲をカバーするモニターシステムを設置しよう。それから条件をコントロールした実験に取り掛かることにしよう。気球や、あるいは見慣れない飛行機だとかを見るよう人々に仕向けて、その地域から上がってくるUFO報告をモニターするとしよう。すると、「刺激」として与えた既知のものが、いかにして未知の物体として報告されてくるのかが分かり、それによって、受け取ったUFO報告というものについて我々はより深く理解できるようになるだろう。

これは、科学の視点からすれば素晴らしいアイデアという風にもみえるが、法的ないしは倫理的な観点からすれば規制されるべきものかもしれない。相当のお金がかかるようにも思われるし、秘密を保つのも用意ではなかろうから、結果として目的は達せられないかもしれない。

興味深いことだが、この種の実験がたまたま行われた(つまり意図せずして、ということである)事例がいくつかあり、その結果として、1970年代にハイネックの [活動に携わった] 主な調査員の一人だったアラン・ヘンドリーは、目撃報告というものにますます懐疑的になってしまった。著書『UFOハンドブック』に詳しいが、ヘンドリーは、正体のわかっている「刺激」(広告飛行機、気球など)に起因した目撃報告を調査したところ、その多くがあまりにひどい錯誤にまみれていたため、彼はそのような報告を額面通りに受け取ることを注意を促すにいたった。

ヘンドリーは、他のユーフォロジストに対しておそろしく失礼な態度をとった点で罪があるように見えたから(彼は説明不能なUFO報告もあると信じてはいるのだが)、彼らから避難を浴びるようになった。案の定、ひどい目にあったヘンドリーは、約30年前にユーフォロジーから足を洗ってしまい、以来、そのことを議論するのを拒否している。

これは『禁じられた科学』にしばしば出てくるテーマであるのだが、ヴァレは同書で、米国やフランスにおいて、政府や科学界にみられる硬直した官僚主義について再々論じている。彼は、変化を受け入れることに後ろ向きな官僚主義によって明らかに優れた提案が退けられ、無視すらされてしまった事例をこれでもかと上げている。

驚くべきは、よりによってそんなヴァレが、ここでは「申し入れ」と「プロジェクト」を混同してしまっているように見える点だ。彼がしかと認識しなければならないのは、ペンタクルが大がかりで新しいUFO探求プロジェクトを提案したからという理由だけで、空軍の硬直した官僚によってそうした申し入れが実際に実行に移された可能性は、誰がみてもごくわずかだった、ということだ。

このくだりは、いかなる意味においても、UFO [目撃] の刺激となるものを差し出すような「コントロールされた実験」が実行に移された、ということを意味してはいない。


もう一つの論点は、「当局は人為的にUFO騒動を起こす実験を試みたかどうか」である。
ここでシェーファーが持ち出す論法は、「あんただって米当局が官僚的でちゃんとした仕事しないことはぼやいてたでしょ、なんでこんな提案に限って実行に移したなんて言えるのよ」というもので、なかなかディベート術としては勉強になる(笑)。

ということで、ここからあとは「あんた科学者なのに薔薇十字団に関心もってどうすんのよ」的なことが延々書かれており、直接「ペンタクル・メモ」には関係ないことを言っているので、今回は触れない。興味のある方は直接あたっていただきたい。(おわり)




たまにはUFOネタを書いてみよう。

ジャック・ヴァレには自らの歩みを記した日記を本にした『禁じられた科学 Forbidden Science』というシリーズがあって、これまでに3巻が出ているんだが、その第1巻が1992年に出たとき、ちょっとした議論を呼んだエピソードがある(と聞いている。リアルタイムでフォローしてたわけではないけどw)。

それは何かというと、いわゆる「ペンタクル・メモ」のエピソードである。

ヴァレは、「米政府はUFO問題への取り組みをすべて公開しているわけではなく、これまで陰でいろいろやってきた」という、いわゆる陰謀論を唱えていることでも有名だ。

もっとも「米政府は墜落した円盤を秘匿している」とか「宇宙人とコンタクトしている」といった話は否定しており、つまり彼は「米政府はUFOを隠れ蓑に秘密兵器を開発している」といったレベルの陰謀を考えているようである。

  • 注:その後、ヴァレはパオラ・ハリスという怪しげな研究家と組んで「サンアントニオ事件」を調査し、『Trinity』という本を出したのであるが、ここでは「どうも米政府は墜落UFO秘匿しとるようだぞ!」ということを言い出して全世界のヴァレ・ファンをガッカリさせてしまったのであるが、まぁそれはまた別の話である

閑話休題。問題の「ペンタクル・メモ」であるが、これはヴァレが自らの陰謀論を支える証拠として持ち出してきた文書であって、先の『禁じられた科学』でこの話をはじめて明かした。それがけっこう話題になったらしく、いろいろと物議を醸してきたらしい。

以下、この文書について簡単に説明しよう。

話は1967年にさかのぼる。ヴァレはこの年、UFO研究の盟友ともいえるアレン・ハイネックに散らかったUFO資料の整理を頼まれたらしく、旅行中のハイネックの家に入り込む。ちなみにハイネックは米空軍のブロジェクト・ブルーブックなどという調査機関の顧問をやっていたから、その手の資料がもろもろあったということなのだろう。

そこで見つけたのが「ペンタクル・メモ」であって、要するに手紙である。日付は1953年1月9日。全2ページで、送り主はバテル記念研究所のH・C・クロス、宛先はライトパターソン空軍基地のマイルズ・E・コルという軍人である。ブルーブックの責任者であるエドワード・ルッペルト大尉にも回覧するよう書いてあって、要するに米空軍のUFO問題担当部局と、業務委託の関係にあった外部の研究機関との間の打ち合わせ文書ということになろう。

で、ちょうどこの月の中旬、CIAがスポンサーとなって、「UFOは国防上の脅威なのか」「UFO研究に科学的価値はあるか」といった問題を科学者たちから聴取する査問会がワシントンで行われることになっていた。いわゆるロバートソン・パネル(ロバートソン査問会)である。

結果的には「別に脅威だとは言えんし、科学研究してもイイことあるかわからん」といった話になって、「UFO研究に意味ナシ」という烙印を押した会合としてUFOファンの間では悪名が高いのだが、それはともかく、ペンタクル・メモには「ロバートソン・パネルに持ち出していい話・持ち出したら悪い話について打ち合わせしましょうや」みたいに読める部分があった。

そのほかにも「バテルでは秘密裏にUFO研究が行われていた」とか、あるいは「人為的にUFOの目撃ウエーブを起こしてみよう」みたいな記述があった。というか、ヴァレはそういう風にこの文書を読んだ。で、「ああ、やっぱ陰謀やってんじゃん」とヴァレは言いだしたのだった(ちなみに、ペンタクルというのは、この時点でヴァレが身元を明かすのはマズイんじゃねーか、ということで、差出人の仮名として付けた名前である。故に、一般にはこれが「ペンタクル・メモ」と称されるに至ったという次第)。

オレはヴァレのフォークロア的なUFO論には興味があるが、陰謀論には正直あんまり関心がない。ただ、ヴァレ研究家の礒部剛喜さんが、昨年だったか、このペンタクル・メモを高く評価するネットコラムを書いておられた。ま、そういう考え方もアリだとは思うが、ペンタクル・メモにはけっこう批判もあるということを知っておくのも、ヴァレを学ぶ上では意味があるんではないかと思う。

確かジェローム・クラークの『The UFO Encyclopedia』にもネガティブなことが書いてあったが、今回は、このメモについてやはり批判的なことをいっている懐疑論系のUFO研究者、ロバート・シェーファーの論考を紹介してみよう。これは彼のサイトに載っているのだが、そのことはNHKの「幻解!超常ファイル」にも出た(!)UFO研究家の小山田浩史さんに以前教えてもらった。

…と前置きのつもりで書いていたら、ずいぶんと長くなってしまい、本題に入れなかった。項を改めてその内容をご紹介しよう。(つづく








ジャック・ヴァレの著書『Revelations』(1991年)が、『人はなぜエイリアン神話を求めるのか――脳内メカニズムの悲劇!? ショッキングサイエンス 』(1996年、徳間書店)と題して翻訳されていることはUFOファンには広く知られているところである。

ひと言でいうと、これは「米政府はひそかにエイリアンの円盤を回収している」などと吹聴している連中をメッタ斬りにしている本である。ラザーだとかクーパーだとかいう、この手の怪しげな主張をしてきた面々、さらには彼らを敢えてミスリードしてきたのであろう米当局の暗躍ぶりを、ヴァレはここで容赦なく叩いている。

「Revelation」というのは「暴露」とか「啓示」という意味であるから、これはおそらく「内幕を暴く」ぐらいの意味でこういうタイトルをつけたのだろう。版元はそうした問題意識のカケラも感じさせない邦題をでっち上げたワケで、これはある意味、凄いと思う。

ま、それはそれとして、この邦訳書にはもう一つ、大きな欠陥がある。というのはコレ、肝心かなめの「結論 Conclusion」と「補遺 Appendix」の部分を省いた抄訳であって、ただでさえほとんど翻訳の出ていないヴァレの本なのにこの仕打ちは何だとオレなどはいつも文句を言っているところである。

ま、死んだ子の年を数えるようなことをしていても詮方ないので、今回は、その省略された「補遺」の部分でヴァレがどんな事を言っているかを紹介してみたい(「結語」については、機会があればまたいつか書いてみようと思っている→注:ココを見られたし)。

具体的にいうと、ここで補遺として掲載されているのは、実際には「未確認飛行物体の地球外起源説を論駁する5つの論点」と題した彼の論考である。1989年に発表したもののようであるが、要するに「オレはUFOが外宇宙から来ているという説は認めない!」と言っている。以下、たいへん粗っぽくて恐縮ではあるが、若干勝手な補足なども交えつつ、ヴァレになりかわってこの論考における彼の言い分をたどっていこう。

■論点1 宇宙人が調査目的で来ているとしたら、こんなに頻繁に目撃されてるのはおかしい

過去40年にわたって報告されてきた接近遭遇(注:ここでは着陸事例とイコールという意味合いで言っているようだ)の数は3000~1万件の間だと思われる。とりあえずは少なめの「5000件」という数字を採用してみたいが、目撃事例のうち公になるのは10件に1件程度である。よって、実際の件数としては、とりあえず10倍の「5万件」という数字が出てくる。

だが、これではまだ足りない。というのは、自分たちの情報網は欧米に偏しているので、全世界を視野に入れるならば、その倍、つまり「10万件」あたりが妥当なハズである。

しかし、これでもまだ終わりではない。自分たちの行った統計調査によれば、UFOは相対的に人口のまばらな地域に偏って出現する。となると、見逃されていた暗数がけっこうあるハズで、総数はさらに10倍してよい。結果的に、全世界における接近遭遇の件数は「100万件」に及ぶのだと言ってみたい。

ところが、実はまだまだ先があった! これまた統計調査の教えるところだが、UFOの目撃は未明にピークが来る。夜間に野外に出ている人の数は圧倒的に少ないので、その辺を勘案してみると、実際にあり得た目撃事例は、さらに14倍になる(注:この計算のプロセスはよくわからん)。その結果、接近遭遇事例は、計算上はなんと「1400万件」にもなるのだ!

さて、ここで冷静に考えてみたい。地球の表面というのはそもそも宇宙から丸見えである。加えて、近年であればラジオやテレビの電波が飛び交っているので、それで地球のこと・人類のことは居ながらにして相当なことがわかる。物理的にサンプルを取る必要があったとしても、周囲に知られずにこっそりできる部分は相当ある。となると、何故「1400万回」も着陸する必要があろんだろうか? つまり、これは明らかな矛盾である。

■論点2 エイリアンの姿かたちが人間に似ているのはおかしい


いわゆるエイリアンはどんな姿をしているかというと、多くの場合、それは足も腕も2本で、目・鼻・口のある頭部が一つ。別の惑星で独自の進化を遂げてきたのだとすれば、その体のつくりは人間とだいぶ違っていて当然なのに、何故にこうも人間に似てるのか。重力や大気の成分だって違うハズなのに、しばしばふつうに歩いたり呼吸していたりするのも変である。

「遺伝子工学を駆使して地球探査用にそういう生命体を作ったのだ」という反論もあるかもしれないが、だったらもうちょっと人間に似せンかい!というツッコミが可能である。

もうひとつ気になることがある。連中は時に人間と似た感情表現を示したりすることがある。つまり文化のパターンまで似ているとなると、これはあからさまにおかしいではないか。矛盾である。

(注:ちなみにこの「文化のパターン」ということでオレが連想するのは、日本における「甲府事件」である。ここで目撃されたエイリアンは、少年のうしろから肩をトントンと叩いて振り向かせたのだという。実に地球人的なしぐさである)

■論点3 アブダクションされた人間が施される「医学検査」って、何だかおかしい

地球にやってきたエイリアンは「医学検査」のために人間をアブダクションする、という考え方がある。だが、いきなり人間を掠うやり方は何とも乱暴だし、その「検査」自体、人類の医学と比較しても相当に荒っぽい。生物学的な知見を得るには、もっとスマートなやり方があるでしょう。

■論点4 そもそもUFO現象は現代においてのみ起きているわけではない

UFOというのは、ジュール・ベルヌの時代には飛行船、第2次大戦直後はゴーストロケット、現代にあっては宇宙船――といった具合に時代に応じて姿を変えてきた。人を掠う「リトル・ピープル」の昔話だってそこらじゅうに転がっているわけで、時代による変化みたいなものこそあれ、こうして倦まずたゆまず繰り返されるお話を「地球外起源の生命体による地球探査」で括るのはムリがあるンじゃないか。

■論点5 結局、UFOを外宇宙からの訪問者と考えるのはムリで、別のアイデアが必要である

というわけで地球外訪問仮説はスジが悪いことはわかったけれども、UFOには物理的な痕跡を残すような側面もあるので、それを単なる心理現象に還元する「心理社会学的仮説」で説明してしまうのも具合が悪い。そこで考えられるものとしては次のようなものがある。

・アース・ライト仮説(注:ヴァレはここでは詳述していないが、ある種の電磁効果によって、物理的な痕跡を残しつつ、かつ人間の脳に働きかけて或る種の心像を生み出すような自然現象を想定しているらしい)

・コントロール・システム仮説
(注:ヴァレの考え出した悪名高き理論で、自然現象なのか或る種の知性体が意図して行っているものかはわからんが、人間を特定の方向に導こうという力の存在を想定する仮説)

・ワームホール・トラベル仮説
注:「四次元のワームホール」を通り、時空を超えた世界からやってくる存在としてUFOを定義する仮説。例によって何がなんだかよくわからないが、これはよく考えると「異星人」の介入の可能性も否定していないので、広い意味では「地球外訪問仮説」に救いの手を差し伸べた考え方でもある)

かくてヴァレは、ワームホール仮説で救済されることもあるンでET仮説は絶対ナシとは言わんけれども、ここでオレが指摘したような弱点をクリアするようなかたちで議論してもらわんと話は進まないからネということを言って、この論考を締めくくっている。



さて、地球外訪問仮説を退けたところで、「じゃあホントのところは何よ?」といった時にヴァレが繰り出してくる仮説は、正直いうと、なかなかしんどいものがある。あるけれども、エイリアンなんてものを想定してどこまでも突き進むのはちょっとムリ筋だよなーというところまでは、けっこう説得力があるんではないか。

そもそも「UFOと宇宙人は関係ない」のであり、従って「政府はエイリアンと円盤を捕まえている」説はデタラメである。そういう流れでヴァレは『Revelations』を締めくくっているワケで、版元さんがその締めくくりパートを削って翻訳を出してしまったことは、著者の真意を伝える上で実に惜しまれる行為であった。悪いことは言わんから、未訳の部分も付け加えてぜひ再刊をしてほしいものである(と到底ありえない無理難題を言って終わる)。


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えーと、伝説のUFO愛好家団体「Spファイル友の会」によるUFO同人誌「UFO手帖」の第二号がいよいよ世に出るところとなった。この11月23日、文学フリマ東京にて頒布されたところであるが、「ペンパル募集」こと秋月朗芳編集長によれば近々通販も予定しているということなので、好事家の皆様におかれましては今しばらくお待ちください。

さて、今回の「UFO手帖」であるが、表紙からして実にアトラクティブであるし、中身はといえば総計170頁に及ぶ大作であって実に読み応えがある。

特集は 「カタチ」から入るUFO で、編集長自らその大部分をまとめておるのだが、なかなかに深い。

ある時期まで、UFOというのは円盤であり円いものというのが常識であった。ユング流にいえば円というのは精神の全一性を象徴するものであって、つまり円盤というのはどこかありうべき「夢=理想」と骨絡みだったンだが、やがてはそんなお花畑の虚妄性も次第に明らかになってくる。そういうところにノシてきたのは、リベットで鉄材をつないだような無骨な三角形UFOであって、それって何か時代思潮みたいなものを映してんじゃねーか・・・というのは、今回の編集長の論考を読んでオレが勝手に思ったことであるのだが、ともかくそういう喚起力をもつ企画である。

そのほか、各同人がそれぞれお得意の切り口で健筆をふるっておられるので、円盤方面にご興味のある方には必ずや益あるものと思う。一つだけ言っておくと、今回初参加された古参研究家、有江富夫さんが書いておる1947-75年の国内UFO文献の目録は地味ながら資料的価値の高い労作だと思う。

ちなみにオレも今回、特集の中の原稿として「冷蔵庫型UFO」、連載企画「この円盤がすごい!」で「リヴァリーノ事件」、以上の2本を書かせていただいておる。

冷蔵庫型UFOというのは、ジャック・ヴァレが「コンフロンテーションズ」の中でブラジル取材に基いて報告している一連の事件で、狩猟中の住民を追い回しては殺人光線を浴びせたと伝えられている凶悪UFOのハナシである。リヴァリーノ事件も1962年にブラジルで起きたとされるもので、息子が見守る中、球体の発する煙のようなものの中でオヤジが消失してしまったという事件である(前夜に不審者が家の中に出現し、「殺してやる」とか捨て台詞を残して去っていったという奇妙な伏線もあって、そそられる事件である)。

ということで、今回はステマならぬ露骨な宣伝になってしまったが、購入希望の方はSpファイル友の会のサイトだとかツイッターのアカを定期的にのぞかれるのが良いと思います。






先に出版された『UFO事件クロニクル』という本にほんのちょっぴり原稿を書かせて頂いた。その縁で、この本については時折いろいろググって評判など確かめておるのだが、その内容にかんして某UFO現象学者(という表現を使う人は限られているのですぐ誰かわかってしまうのだがw)がご自身のネットコラムで異論を唱えておられた。

問題となっておるのは、UFO研究の大先達といわれるアレン・ハイネックについての記述である。

曰く、この本には「若き日のハイネックは自然科学を好む一方でオカルトに魅了され」とあるけれども、彼はオカルト書やSFはほとんど読んだことがなかった、これはそっち系の好きなジャック・ヴァレの経歴と混同しておるのではないか――といったご指摘である。

で、アレ?と思った。以前ジェフリー・クリパルの『Authors of the Impossible』という本を読んだ時(いや実は拾い読みなのだスマン)、ジャック・ヴァレがハイネックと話していて、互いにオカルト好きであることが判明して意気投合――みたいな記述があったように記憶していたからだ。で、改めてそのページを開くと、ネタ元はジャック・ヴァレが自分の日記を本にした『Forbidden Science』であることがわかった。

日頃ヴァレ好きとか言っておきながら、こっちもいつも拾い読みしかしておらず、メンゴメンゴというところであるが、ともあれ手元にあるので該当ページを開いてみる。すると、227~228ページの「1966年11月13日、シカゴ」という項にこの話が出ている。

以下、お粗末な拙訳で申し訳ないけれども、そこに書いてある二人のやりとりを掲載してみよう。


ヴァレ あなたは天文学者になろうと心を決める前には、超常現象を研究していたのですね?

ハイネック 秘教に関する本を読むのに、ものすげー時間使っちゃったよね。もちろん仲間たちにはそんなことは言わなかった。気が狂ったと思われただろうからね。でも学生時代のボクは、薔薇十字団やヘルメス哲学について書いてある、ありとあらゆる本を読んでたってワケ。

ヴァレ 告白しておいたほうが良さそうだから言いますが、僕もそういう研究を数年間やっていました。最近まで薔薇十字団の組織に参加までしていたんですよ。

ハイネック どこの?

ヴァレ AMORC(Ancient Mystical Order Rosae Crucis)ですよ。サンホセに本部のある。

ハイネック 君も知っての通り、薔薇十字団を名乗る人々には幾つかの系統というものがあるよネ。秘教についての書き手もいろいろいるケド、若い時のボクにとってとりわけ印象に残ったのはマックス・ハインデル(注:20世紀初めの米国で薔薇十字団の一派を興したヒト)だった。ま、それもマンリー・ホール(注:前述ハインデルの弟子。出版事業でも当てる)の本に行き着くまでの間だったけどネ。最後にはいよいよルドルフ・シュタイナー(注:20世紀初期に活躍した神秘思想家。人智学を提唱)までいった。ボクの考えでは、こうした人々の中で一番「深い」のはシュタイナーだよ。


うむ。「薔薇十字団はオカルトではない」とか、あるいは「ヴァレはウソをついて自分の日記で話を捏造した」とかいうとまた別の話であるが、とりあえず結論はハッキリしとるんではないか。ハイネックは「オカルト大好き」だった。



Authors of the Impossible: The Paranormal and the Sacred
Jeffrey J. Kripal
University of Chicago Press
2010-05-30


Forbidden Science: Journals 1957-1969
Jacques Vallee
North Atlantic Books
1993-01-12



私家版としてつくったジャック・ヴァレ『マゴニアへのパスポート』が完売した(というか購入申し込みが予定件数に達した、というのが正確なところだが)。

印刷会社を替えたりして若干体裁は変わったりしてるが、これまでにあわせて約100冊を世に送り出したことになる。

いまさらUFO現象ではなかろうという世の風潮もあるし、50年近く前の本を「ニュー・ウェーブの原点だ!」などと持ち上げても仕方あるまいという気はするけれども、ま、「証文の出し遅れ」であってもいちおう証文を出しておくことは無意味ではあるまい。「一粒の麦、地に落ちて死なずば」と聖書も言っておる。

*なお、いま気がついたのだが、手垢がついてたりカバーが若干折れてたりして使用感はあるけれども、手元保存用に2冊残しているので、「どうしても欲しい」という方にはこのヘタった本1冊を販売する手もないではない。応相談。
  ↓   ↓   ↓   ↓
*と言っておりましたら、その最後の1冊も売れてしまいました。ホントに完売(2017/10/13)




この間、畏友magonia00さんに教えてもらったのだが、UFO事件の中でも渋い味わいのあることで知られる「ジェリー・アーウィン事件」をテーマとした本が、斯界の雄・アノマリスト・ブックスから出たようだ。

これはジャック・ヴァレの『マゴニアへのパスポート』でも取り上げられているのだが、小生の知る限りでは本邦ではあんまりメジャーな扱いをされてこなかった事件である。以下、ヴァレに拠って概略を紹介してみよう。


1959年2月28日、休暇を終えた上等兵のジェリー・アーウィンは、車でテキサス州エルパソにあるフォートブリスの兵舎に向かっていた。その途中――ハッキリとは書いてないが、夜間であったらしい――彼はユタ州のシダー・シティを超えた辺りで、輝く物体が空を横切って飛んでいくのを目撃する。山の尾根に消えた物体に、飛行機事故ではないかと考えた彼は、車の中に「飛行機の墜落があったかもしれないので調べに行きます」とメモを置いて現場を目指した。

その90分後、そのメモ書きを見た保安官たちが組織した捜索隊により、彼は記憶を失って倒れているところを発見された。入院した彼はその後、いったんは軍務に復帰したのだったが、キャンプ内で、そして3月15日にはエルパソの街中で気を失う体験を繰り返している。この3月15日に運び込まれた病院では、夜中に目を覚まして「生存者はいたのか?」と周囲に尋ねたという(つまり、意識が混濁して2月の体験を思い出していたということらしい)。

再び陸軍病院に入った彼は、4月になって退院した翌日、何故かは自分でもわからなかったものの、強い衝動にかられて「現場」のシーダー・シティに向かった。半ば無意識的に登っていった丘で、彼は事件の際に失った上着を発見する。ボタンの穴には、紙切れがきつく巻き付けられた鉛筆が差し込んであったという。だが彼は、何故かそれを取って焼いてしまった。彼が正気に戻ったのはその後だった。

ちなみにAPRO(全米空中現象調査委員会)のジェームズ・ロレンゼンは、その時点でフォートブリスに戻った彼に取材をしている。彼はその後も入退院を繰り返した。夏になると彼は軍務を放棄し、行方不明になってしまった。


何だかあんまり詳しいことが書いてないので隔靴掻痒だし、突然失踪してしまうという結末が唐突で奇妙な感じがするのだが、とりあえずこの事件、先のジェームズ・ロレンゼンがAPROの「フライング・ソーサー」誌28号(1962年11月)に「アーウィン上等兵はどこにいるのか?」と題して記事を書いているらしい。

今回の本は、おそらくそんな古い事件ではあるけれども、面白い話だし、ここは一つ改めて調べてみましよかという仕事なのであろう。ちなみにこの本で序文を書いているというヴァレは、『マゴニア』ではどうやらこれをヒル夫妻事件に先立つアブダクション事件だったのではないかと見ているフシがある。今回の本は、果たしてそのあたりをどのように論じているのか。

そのへんはUFO洋書マニアのmagonia00さんに報告していただければ一番良いのだが(笑)、ともかく1950年1960年代のUFO事件は、なんかこう、イマジネーションの広がるものがあってしみじみと感じいってしまう。いつの日か読んでみたい――と思わんでもない一冊。


【2018/02/23追記】
なお、最初に書いたときは「ゲリー・アーウィン」としたのだが、YouTUBEで著者インタビュー聴いて発音を確認したら(もちろん意味はわからんかったw)「ジェリー・アーウィン」と言っていた。なので、タイトル含めて「ジェリー」に変えました。よろしく。

あと、事件の日は「2月28日」となってるが、現地の新聞等は総じて「2月20日」と報じてるようで、28日と言い張ってるのはロレンゼンさんだけらしい。それをヴァレが引用している、ということですね。

【さらなる追記】
その後、どうにかこうにか読み終えました。そのあたりに関するエントリーはこの辺とかこの辺



私家版『マゴニアへのパスポート』の通販を開始してからほぼ一週間。30冊ちょっと用意していたのだが、これまでに半分ほど売れた。素人の作った本でもあり、客観的にみればけっこう高いのにありがたいものである。完売も夢ではない。

とまれ、北は北海道から南は大分まで、お求めをいただいた全国のUFOファンの方々には改めて御礼を申し上げます。念のため、申込みフォームへのリンクを再掲。


【追記】おかげさまで売り切れました。購入いただいた方々には改めて御礼申し上げます(2017年9月20日)

というわけで、一部の熱い要望(笑)を受けて増刷した私家版『マゴニアへのパスポート』ですが、夏コミ「Spファイル友の会」での頒布に続きまして、今回通販を開始することにしました。

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1冊2200円(送料込。前払い)。A5判・398ページ。こちらに申し込みページを置いておきますので、メールフォームにご記入の上、申し込み下さい。

なお、申し込みページにも書いておりますが、今回のバージョンは本の内側のとじ込み部分(いわゆる「ノド」の部分)が狭くなってしまったため、若干開きづらい&読みづらいかもしれません。その辺はご理解のうえ、申し込んでいただければ幸いです。

売り切れの際はご容赦ください。


【注】ツイッターをやっておられる方でしたら「申し込み」は住所(送付先)・氏名・連絡先など記入したダイレクトメッセージを飛ばしていただいても結構です。当方は「 @macht0412  」で運営中です。


【追記】おかげさまで売り切れました。お買い上げ頂いた方には改めて御礼申し上げます(2017年9月20日)



このあいだ増刷した私家版『マゴニアへのパスポート』であるが、夏コミ3日目の本日13日、「Spファイル友の会」さんトコで若干部を頒布して頂いた(ちなみにこの友の会では今秋に「UFO手帖」第2号という同人誌を刊行予定だと聞いておる。UFOファンの皆さんにおかれましては乞うご期待)。

で、今回持ちこんだ分は結果的にいえば全部ハケたようである。余るかなーと思っていたのだが、案外であった。お買上げ頂いた方にはこの場を借りて御礼申し上げます。

通販のほうであるが、今んところは今月20日前後に告知の予定である。@2000円ちょっと予定。

ツイッター(@macht0412)のほうでもつぶやこうと思っているので、いましばらくお待ちください。

以前数十部刷って好事家の方々に販売したジャック・ヴァレ『マゴニアへのパスポート』であるが、今回、若干増刷してみた。

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前回は「何冊注文しても一冊あたりの価格は固定」という、つまり少部数印刷に優しいOnebooksという業者さんにお願いしたのだが、今回は一部あたりの印刷費を下げる狙いで、いつもより冊数多めでポプルスという業者さんに注文してみた。

今回はポプルスさんの「ソフト書籍」というフォーマットで頼んでみた。カバー、帯つき。なんだかそれらしくみえる。中身については変えてないが、唯一、サブタイトル部分を原著初版に忠実に「フォークロアから空飛ぶ円盤へ」としてみた。

このポプルス版がOnebooks版と違っているのは、薄い紙が選べなかったので、厚く・重く・堅くなった点である(確かOnbooks版は70K、ポプルス版は90K)。郵便局のクリックポストで発送するには厚さ3センチ以下でないといけないのだが、かなりギリギリである。大丈夫だろうか。

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帯のついてないほうがOnebooksバージョン。こっちもカバー付き。
ちなみにポプルスのほうのカバーは、高さが本体部より若干長い規格になってるのでこういう感じになる


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厚さの比較。上がOnebooksバージョン。下がポプルスバージョン。かなり印象が違う



入稿原稿のレイアウトは以前と変えてないのだが、紙が厚く(そして幾分か固く)なる分、ページを綴じ込む「ノド」の部分がやや窮屈になった。まぁそのあたりは重厚感(笑)とトレードオフみたいなところか。

とまれ、400頁ほどもある厚い本なので、この「薄い紙を選べるか・否か」は、意外と見た目や手触りに大きな影響を及ぼすことがわかった。もし今後さらに増刷するようなことがあれば(たぶん無いだろうがw)そのへんも考慮してみたいものである。

そのうち通販フォームみたいなのを作って販売&広宣流布活動を始めたいと思っているが、リアルライフのほうがバタバタ気味なので、ちょっと時間がかかるかもしれない。関心のある方はいましばらくお待ちいただければ。


【7月31日追記】

通販に先立ちまして、今年の夏コミで「Spファイル友の会」さんのご厚意により若干部を頒布させて頂けることになりました。→ 8/13(日)東W-11a
ご興味のある方は「UFO手帖 創刊号」ともどもよろしくお願いいたします。

*通販のほうはプライベートでちょっとバタバタしているので8月下旬になっちゃうかもですが、受付を始めましたら当ブログならびにツイッター@machat0412 にて告知しますのでご希望の方は今しばらくお待ち下さい。


ネタもないのでまたまた既視感のあるネタで恐縮なのだが、このあいだ放送された「幻解!超常ファイル」の新作「UFOと人類、禁断の秘密&危ない!こっくりさん」で、とっても面白いシーンがあった。

ゲストのUFO研究家、小山田浩史さんが、「イーグル・リヴァー事件」には古くからの妖精譚に似た要素を見てとることができる、というジャック・ヴァレの見方を紹介したところで、進行役の栗山千明嬢がそれは本当に体験したことなのか、それとも幻覚なのか、というのはちょっと気になりますという風にツッコミを入れた場面である。

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この番組の基本的なフォーマットは、栗山嬢が一人二役をこなし、いわゆる黒クリ(黒い栗山)が「こんな不思議な現象があります」とおどろおどろしく語った後で、いわゆる白クリ(白い栗山)が出てきて「いや、それって科学的に解明可能ですよ」と種明かしをする、というものである。

である以上、白クリがゲストの話を聞くこのシーンでは、「UFO事件というのは妖精譚にも似たところがあって、そうした話は昔から連綿と語り継がれてきたのだよ」という説明に対して、「でも、それって幻覚でしょ?」と念押しする流れは、とりあえずの「お約束」とは言える。

ただ、ジャック・ヴァレ自身がそこんところをどう考えているかというと、「UFO現象というのはレーダーとか着陸痕といった一種の物証があるンで、リアルな物理現象の側面はあるよね。でも、体験者の話を聞くと何だか夢物語みたいな感じがするから、幻視みたいな心理的現象の要素もあるだろうし、もうひとつ言っとくと、場合によってはサイキック現象めいた部分もあるンですよ」といった塩梅で、実はとても曖昧な(あるいはアブナイ)ことを言っているのだった。

つまり、「白か黒か」と踏み絵を迫る白クリの質問というのは、実はヴァレ流のUFO理論からいうと、相当にデリケートな部分に踏み込むものであった。この番組のフォーマットでいうと、「幻覚なんでしょうね」と断言してしまうのが一番収まりが良い。良いけれども、ヴァレの本来の考え方には反してしまう。

ヴァレを踏まえて「うーん、物理的な現象という一面もあるし、場合によってはサイキック現象だったのかもしれませんねー」みたいなことを言い出すと、NHK的にはとってもマズイことになってしまう(これは余談であるが、今回の番組でヴァレのことが深掘りされなかったのは、たぶんその辺に理由があったのだろう→【6月18日追記】なお、そのご某所から聞き及んだのだが、実はサンフランシスコにいるヴァレへの取材も試みたんだが連絡が取れなんだ、という話もあるらしい。念のため付記しておきます)。

で、オレは一瞬、ヴァレのこともよくわかっている小山田さんがトンデモない事を口走るんじゃねーかと不安にかられた(のと同時に期待したw)のだが、たぶんそこは制作スタッフと周到な摺り合わせがあったのだろう、返答は実に巧妙であった。どういう発言だったのか、以下に引用してみよう。


それは本当にあったことなのか、というんじゃなくて…何かがあったとして、本当にあったのか、あるいは幻覚・妄想であったとしても、(大事なのは)本人がそれをどう思ったか。「本人にとっての意味」っていうんですかね。

例えば日本だと、昔から妖怪、天狗、河童といったものに会ったという人がたくさんいて、そういう言い伝えがいろんなところに残っている。「じゃあ鬼は本当にいたのか・いないのか」とか「河童は実在しましたか」という話から始まるんじゃなくて、昔の人たちにとっては天使であるとか悪魔であるとか、あるいは妖精であるとか、そういったものに出会ったというふうに納得すれば、それでいったんは理解はできる。

科学技術等が進んできて、「そういったものはいないんじゃないか」という風になってきた我々にとって、丁度手頃で、そこにあったのが宇宙人…。


いかがだろう。

「ある」「ない」という議論はさておき、不思議なものと出会ったという体験をしてきた人々は昔からいて、それは少なくとも当人にとっては真実の体験である。昔はそこで出会ったものを河童だとか天狗だとか言ってきたわけだけれども、現代人の認識の枠組みとか語彙でそれを言い表せば「宇宙人」ということになる。人間というのはそういうものなのだ――オレ流に言い換えれば、小山田さんはおおむねこういうことを主張したのだった。

これを受けて聡明なる栗山嬢はこう答える。「宇宙人や宇宙船を考えることによって、人間自身を考えることにもなるんだなあって驚きました」

これは実によく考えられた、うまい着地であった。「人間というのは奇妙なものを見てしまう不思議な存在なんだなあ」という当面の結論はNHK的にも許容範囲内であるし、じっさい円盤にかんする重要なポイントである。この場合、着地点としてはとりあえずベストといえよう。「もうちょっとアブナイ方向に踏み込みたいなあ」と思う人は、そこでジャック・ヴァレを読めばいいのである(笑)。

ともあれ、UFOに対する文化現象派的なアプローチがこのようにして天下のNHKの番組で紹介されたというのは画期的なことであった。「UFO≒宇宙船」というテーゼに大きな疑問符をつきつけたということだけでも、これは日本のUFOシーンにとって「歴史的事件」であった(…のかな?)。

これまで述べてきたように、実は地雷的な部分もいろいろとあったハズで、今回の番組を作るについてはいろいろ苦労もあったのではないか。それだけに、改めて今回の番組にかかわった関係者の方々を褒めてあげたい、と思うのだった。

というわけで、楽しみにしていた「幻解!超常ファイル~UFOと人類、禁断の秘密&危ない!こっくりさん」は昨10日夜にNHKBSプレミアムにてつつがなく放送された。

ゲストの横山茂雄、小山田浩史の両先生がおおむね期待していた線でお話をしてくれたので小生も満足を覚えたところであるが、ジャック・ヴァレについては約1分間(いちおう測ってみたw)話題になった程度ということもあってか、当ブログのカウンタはその後も黙して回らず(笑。ちなみに増えてる分はほとんどオレが定期巡回している効果と考えてよろしい)
→6月18日追記:そのご、ツイッターとかでリンク貼って頂いたせいか若干カウンターが回ったよ~。一日数十ってレベルだけどさw


うーん、ジャック・ヴァレの再評価というのは、ま、やっぱり、そう簡単なものじゃないネ(微苦笑)。

ではあるけれども、小山田先生がヴァレについて語ってくれたのは大変ありがたいことであった。その箇所を以下に採録しておこう。

ちなみにどういう文脈であるかというと、宇宙人と出会ったオッサンが、ジョグに入れた水をあげたかわりに「パンケーキ」をもらったという「イーグルリヴァー事件」について触れた部分である。



(イーグルリヴァー事件の)何年か後に、ジャック・ヴァレというUFO研究家が「これは笑い話やインチキのようなお話に思えるけれども、実はヨーロッパでは、妖精が人間と食べ物を交換するということは、昔からよくある、言い伝えに沢山でてくるお話なんだ」と。

妖精は人間の世界にやってくると、人間の世界のものをいろいろ欲しがるみたいなんですけど、特に水を欲しがる。

(イーグルリヴァー事件のパンケーキの)成分分析の結果としては、小麦粉とかのほかにソバガラとかも入っていたというんですね。ソバはご承知のように痩せた土地によく育つものです。妖精の伝説の中では、妖精というのはソバとかしか育たない痩せた土地で、そういったものからクッキーを作ったりして食べてるんだという話もあって。

それとこの話はよく一致するんじゃないか……という風にジャック・ヴァレという研究者は指摘したんです。


そう、まさにそういうことなんですね。良かった良かった。

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これがヴァレに触れた場面。
ちなみに小山田さんのお顔を勝手に出すとひょっとしたらまずいのかなーと思いまして(全国に流れたので別にまずくないとは思うが)ご本人の了解も得ずに勝手に載せるのはやめておこうということで、お顔にはあえてボカシを入れさせて頂いております m(_ _)m

*「幻解!超常ファイルをみて~その2」はコチラ



NHKの「幻解!超常ファイル」はUFOをはじめとする超常現象を冷静なスタンスで取り上げている番組で好感をもっているのだが、この10日に放送される新作では、どうやらジャック・ヴァレの仕事などにも触れながら民俗学ないしは文化人類学的なUFOへのアプローチを紹介するらしい。

伝説の名著『何かが空を飛んでいる』でこうした方面のUFO研究に光を当てた稲生平太郎氏、在野の民俗UFO研究家・小山田浩史氏も登場されるというので、実に楽しみである。

およそ日本のテレビ番組では前例のなかった切り口でもあり、この方面に関心のある方は必見・必録といえよう(とはいいながら、サイトの宣伝文を読むとヴァレの「ヴァ」の字も書いてないので、本当にそういう放送になるのかどうか若干心配だがw)。

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ちなみに、ひょっとしたら放送後に「ジャック・ヴァレというのは何者なんだ?」「主著は読めないのか?」といってググった人たちが『マゴニアへのパスポート』を知り、「おお邦訳しとる人がいるのかー」「読めないのか?」といった声が盛り上がってくる可能性もないではないので、勝手連的エヴァンジェリストとしては事態の推移を生暖かく見守りたいところでアル。



そろそろ定年が見えてきたこともあり、死ぬ前にやっておくべきことをちゃんと考え始めないといけないのである。ま、どうせ大したことはできないのだが、本ブログのメインコンテンツである趣味のUFO(笑)関係でいうとひとつ懸案があるので、半ばチラ裏的ブログであるココに、忘れないように書いておく。

趣味で翻訳したジャック・ヴァレの『マゴニアへのパスポート』を、いわゆる「翻訳権の10年留保」によって印刷・頒布した件は当ブログでも過去に記してきたところである。

が、同様にして、全然邦訳がされないのに業を煮やして勝手に翻訳したヴァレのテキストというのはまだまだ手元にあって、具体的にいえばそれは『見えない大学 The Invisible College』『ディメンションズ Dimensions』『コンフロンテーションズ Confrontations』『欺瞞の使者 Messengers of Deception』といったあたりである(ついでに言っとくと、英文をスラスラ読んでその場で理解する能力がないので、やむなくこれらの本も杉田玄白よろしく手探りで訳読してきたのであって、翻訳テキストというのはその副産物である)。

ただそれらはいずれも原著が1970年以後に刊行されたものなので「翻訳権の10年留保」の対象にならず、つまり、勝手に翻訳・公開することはできない。ヴァレが死んで50年だったか経過したら著作権も消失して勝手に本にすることができるようになるわけだが、当然その頃にはオレも死んでいるのだった。

しかし、である。よくよく考えてみれば、私的に翻訳したテキストをノートに書き出したりプリントしたりしている限りでは原著作権者の権利を侵害していることにはなるはずもない。ということは、こういうヴァレのテキストなども、1冊だけ印刷業者さんに刷ってもらって自分の手元に置いておく限りでは何のお咎めもないだろう。

というワケで、こういうテキストを「世界に一冊だけの本」として印刷してもらう。「何の意味があるのか」と言われたら、たぶん何の意味もない。一人で眺めて、読み返して、ニヤニヤして自己満足するだけのことであろう。ただ、よくよく考えると、人間が生きている意味なんてものも、実はあるのかないのかよくわからんし、結局人生は自己満足できりゃあいいのだと考えれば、そういう無駄なプロジェクト(笑)を楽しむというのもアリではないか。

手元にあるテキストはかなり粗っぽいものなので、本の体裁にするんだったらちゃんと翻訳を見直したりしないとならずそれなりの手間にはなるけれども、その辺も含めて老後の楽しみとするテはあるぞと考える今日このごろ。

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ヴァレの本。ちなみにうしろに見える『リヴェレーションズ Revelations』という本はいちおう『人はなぜエイリアン神話を求めるのか』というクソダっサい書名で邦訳されてるので、翻訳で省かれた部分だけしか訳してはいない。なので「世界に1冊だけの本」プロジェクトの対象外となる)







先ほどツイッターのほうにも書いたのだが、オレは定期的に「ジャック・ヴァレ」を検索して何か情報がないか巡回することにしており、その結果、本日は刮目すべきサイトをふたつも発見した。

ひとつはSF評論家にしてUFO研究家でもあり、なおかつ「ヴァレを日本で最もよく知る男」でもある礒部剛喜さんが書評サイト「シミルボン」で連載している「UFO現象学への招待」の新しいエッセイで、今回登場したのはなんとヴァレの主著『見えない大学』である! 礒部さんがこれまでこのシミルボンで紹介されてこられたのはいずれも英語本で、英語力不如意の身としては全然読んだことがないものばっかりだったワケだが(その中にヴァレの刊行日記があったりするけど通読はしておらんのだ)、この『見えない大学』はオレも努力して何とか通読したヤツで、それだけにとても嬉しい(当ブログで取り上げたこともあるのだッと、ちょっと威張るw)。中身も素晴らしい! ぜひ皆さんも礒部さんが傾ける蘊蓄を楽しんでいただきたい。

もうひとつはフリーライター&書評家の朝宮運河さんのブログで、こちらでは小生も参加させていただいた超常・UFO同人誌「UFO手帖」創刊号の紹介をしておられる。こちらもやはりヴァレ愛(?)を感じさせる内容であり、「UFO手帖」の出来を褒めて頂いておる。小生が翻訳した私家版『マゴニアへのパスポート』の増刷をご所望のようでもあり、いつか何とかしたいなあと思わんでもないのだが、さて、その辺はどうなることやら。

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