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デジタル庁GCASガイド

コスト最適化アプローチガイド

2026/02/25 公開

1. はじめに

1.1. 本書の位置づけ

本書は、国の行政機関及び地方公共団体の情報システムをガバメントクラウドへ移行する過程において、「適切なクラウド利用」によるコスト最適化の実現を図るための役割を担うものである。
本書は、システムをガバメントクラウドに移行する際の見積り等で活用されることを想定しており、システムの運用中に継続的にランニングコストを削減していくためのガイドは「継続的運用経費削減(FinOps)ガイド」を参照すること。

1.2. 本書の前提事項

■ 対象読者

  • 国の行政機関におけるPMO、PJMO
  • 国の行政機関以外の行政機関におけるPMO、PJMO
  • 地方公共団体の情報政策担当課長、情報システム担当職員、標準準拠システムの担当課の職員
  • ガバメントクラウド上の情報システムを管理(支援・補助)する立場にある事業者

■ 想定するシステム

  • ガバメントクラウドで想定する移行パターンのうちR1(Replatform)の段階にあるシステムを対象とする 。

■ 補足資料

  • ランニングコストの削減を検討するために、事業者に提供を求める情報は「コスト最適化のアプローチ実施時に収集すべき情報の一覧」を参照すること。

コスト最適化のアプローチ実施時に収集すべき情報の一覧(第1.0版) .xlsx

  • クラウド利用経費の見積りを各CSPが提供するカリキュレーター(見積りサービス)上で確認する手順・観点は「2025年4月17日、4月18日 ガバメントクラウドの利用等に関する説明会配布資料」(メンバー専用ページ)の「資料6-3_見積りの確認観点(第1.0版).pdf」を参照すること。

2. 本書のねらい

2.1. 本書の背景、目的

ガバメントクラウドのランニングコスト(クラウド利用経費等)は、システム移行をモダン化と併せて行うことで低く抑えることができる。

しかし、モダン化まで至らず、見積りの中にオーバースペックなサーバーや不要リソースが含まれている等、クラウドに適さない積算が散見される。

これらの課題に対し、本書では職員が主体的に事業者と協力してランニングコストを最適化できるように、ガバメントクラウド移行時の見積り最適化に向けたアプローチを提供する。

2.2. ランニングコスト最適化に向けたプロセスの全体像

ガバメントクラウドへの単純移行では、費用削減に限界がある。ガバメントクラウドにおける効率的なシステム運用によりランニングコストを最適化するため、4章にて適切なクラウド利用について、5章にてアプローチを実践した地方公共団体の事例について情報提供する。

図2-1.ランニングコスト最適化に向けたプロセス

3. 経費項目の分類とコスト最適化アプローチについて

3.1. ガバメントクラウドにおけるコストの考え方

オンプレミスとガバメントクラウドでは、コストに対する考え方が大きく異なる。
本書のコスト最適化アプローチ例を実施する際は、これらの考え方を念頭に置いていただきたい。

 ガバメントクラウドにおけるコストの考え方オンプレミスにおけるコストの考え方
コスト構造 ・リソースの利用料が利用した時間分だけ課金される。
・不要となったシステムのリソースは停止、削除することで課金を停止することができ、使い方を工夫すれば大幅なコスト削減が可能であるため、継続的にコスト削減に取り組むことが肝要。
・初年度の機器導入コストと毎年の保守コストが固定的に掛かる。
・特に大型機器は一般的に高額となり月賦払いでも途中解約ができず、契約した全額を支払う必要があるため、保守期限まで使い続けることになり、不要となったシステムの機器も保有し続けることになる。
リソース確保・拡張 ・必要なときに初期費用無しで即座にリソースを利用できる。
・需要に応じ自動・手動でリソースを拡張・縮小できるため、緻密なサイジングが不要となり、効率的にリソースを利用できる。
・リソース利用までに、緻密なサイジング、機器調達・搬入等の複雑な工程が多く、数ヶ月のリードタイムが必要となる。
・そのため実需以上のリソースをあらかじめ保険的に確保する必要があり、結果的に余剰リソースが発生しコスト効率が低下する。
インフラ構築・検証コスト ・IaCによりインフラ構成をソフトウェアとしてコーディングでき、どこから何度でも同じ構成を即座に構築することができる。
・CSPのマネージドサービスはAPI仕様とサービスレベルが定義されており、機能は統合されているため、インフラ統合テストは不要となる。
・物理機器の設置、OS・ミドルウェアの設定、ソフトウェア導入作業等の構築作業をデータセンター等の現地で実施する必要がある。
・環境依存によりインフラ統合テスト等の検証工数がかさむ傾向にある。
運用コスト ・CSPのマネージドサービスを活用することで、物理機器・OS・ミドルウェアの運用作業から解放され、少人数での運用が可能である。
・CSPサービス間のAPI連携により容易に自動化が可能なため、作業を省力化できる。
・物理機器(サーバー・NW等)・OS・ミドルウェア・アプリケーション全てを自前で運用保守するため、障害対応コスト、定期メンテナンス、セキュリティ対策等人的運用コストがかさみがち。
・基本的に手動中心の作業となり人手が必要となる。
データ可視化 ・監視関連データ、コストデータ等はCSP側の機能によりデフォルトでデータが提供されており、ユーザーはシステムにとって重要なデータを定義し組み合わせ可視化することが可能である。
・可視化されたデータに基づいて即座にコスト削減に着手できる。
・データ可視化のためには、専用ソフトウェアの導入や機器単位の設定が必要となり、構築・運用ともに工数がかさむ傾向にある。
・データを可視化できたとしても、コスト構造が硬直的なため、無駄なコストが発生していても容易に下げることができない。

3.2. 本書におけるコスト最適化アプローチ範囲

本書では、ガバメントクラウドの利用において最も削減しやすく、コスト削減効果が高く他項目に波及しやすい「クラウド利用経費」に着目したアプローチを推奨する。
なお、下表は「ガバメントクラウド先行事業(基幹業務システム)における投資対効果」(令和5年12月発出)におけるランニングコストを基に、各経費項目についてまとめた表であり、「クラウド利用経費」がランニングコスト全体の1/4程度を占めていることがわかる。

カテゴリ経費項目コスト全体に占める割合例説明
物品費クラウド利用経費23.59%CSP(クラウドサービスプロバイダー)の利用料
ソフトウェア借料24.75%業務パッケージソフトウェア、ミドルウェアの借料
ソフトウェア保守費11.14%業務パッケージソフトウェア、ミドルウェアの保守費
通信回線費8.56%回線、コロケーション経費
ハードウェア借料2.91%ハードウェア等の使用に関する借料
ハードウェア保守費0.34%ハードウェア保守費
データセンター利用費0.12%データセンター経費
作業費システム運用作業25.06%システム稼働監視、ジョブ管理、ヘルプデスク、障害対応、バックアップ等
ハードウェア保守作業0.46%ハードウェアに関する保守作業費
その他外部委託費3.07%大量帳票出力等、定常運用以外で定期的に外部事業者に委託する業務に関する作業費

3.3. 一般的なクラウド利用経費の内訳と効果的な見直し方法

一般的に、クラウド利用経費はサーバーとデータベースの費用が約9割を占める傾向にある。
クラウド利用経費のうち、経費割合が高いサービスから見直すことで効果的にコスト最適化を進められたい。

図3-1.一般的なクラウド利用経費内訳 *1

*1 仮想サーバーのみを利用した単純移行の構成を想定してデジタル庁が試算したもの。

4. 現行環境からガバメントクラウド移行によるランニングコスト最適化に向けたアプローチ

4.1. ランニングコスト最適化に向けたアプローチ概要

本章では、「2.2. ランニングコスト最適化に向けたプロセスの全体像」で示した各フェーズのうち「③適切なクラウド利用」に係る個々のアプローチについて説明する。

クラウド利用経費・運用保守作業費・ソフトウェア借料・保守費のそれぞれについて、削減に向けたアプローチの概要と効果、優先度を以下に整理する。

アプローチの採用に当たっては、優先度の高い順での実施を推奨する。

■ クラウド利用経費削減に向けたアプローチ

Noアプローチ *1優先度 *2アプローチの概要アプローチの効果
1インスタンスサイズの選定Aインスタンスの利用状況を確認し、必要に応じて最適なサイズを選定する。利用状況に応じた適切なサイズ(構成)に変更することで、コストが削減される。
2インスタンスタイプの選定Aサーバーやアプリケーションの特性、各種要件等を踏まえ、最適なインスタンスタイプ・世代を選択する。不要なインスタンス利用料の発生を抑制し、コストが削減される。
3稼働時間の調整A夜間や週末等システムを利用しない時間帯に応じて、リソースの稼働時間を調整する。不要な時間帯にリソースを停止することで、コストが削減される。
4ストレージ選定・容量の変更Aストレージの利用状況等を確認し、必要に応じて最適な構成(タイプ・容量)に変更する。データの特性に合わせた適切なタイプ(構成)に変更することで、コストが削減される。
5運用のマネージドサービス化A運用管理系の基本的な機能においてCSPが提供するマネージドサービスを活用する。コンピューティングリソースや運用管理系ソフトウェアが不要となり、コストが削減される。
6DR構成の選定A災害対策に係る要件の確認及び見直しを実施し、最適なDR構成を選定する。過剰なDR構成を採用していた場合、不要なDR関連リソースの抑制、コストが削減される。
7ストレージクラス選定とライフサイクル管理Bデータの保存期間を定義し、一定期間が過ぎたデータを段階的に安価なストレージクラスへ移行。保存期間が過ぎたデータは自動で削除とする。データが特性に合わせ適切なクラス(構成)に移行され、また不要なデータが自動的に削除されることで、ストレージの使用量やコストが削減される。
8柔軟なリソース確保Bシステムの負荷に応じてリソースがスケーリングされるよう、設定を実施する。遊休リソースの削減に繋がり、コストが削減される。
9不要なログの削減C出力レベルや保存期間等の設計(ログに関する定義)の見直しを実施し、マネージドサービスにログを保存する。独自のログ管理システムやログ保存に係る不要なコストを抑制し、コストが削減される。

■ 運用保守作業費削減に向けたアプローチ

Noアプローチ優先度アプローチの概要アプローチの効果
1定量的計測の実現B従来のシステム監視から、オブザーバビリティ(システム全体の挙動を把握)を高めることで、問題の根本原因を迅速に特定するサービス監視に移行する。常駐人員等の廃止や、不要なシステム監視工数の発生を抑制し、コストが削減される。
2IaC・マネージドサービス活用による自動化B従来のシステム運用(構築作業、メンテナンス等)からIaC・マネージドサービスを活用することで、作業効率が向上、運用が簡素化(自動化・迅速化)する構成に変更する。構築作業(OS・MWインストールや設定等)、メンテナンス等のシステム運用に係る余剰な作業工数を抑止し、コストが削減される。

■ ソフトウェア借料・保守費削減に向けたアプローチ

Noアプローチ優先度アプローチの概要アプローチの効果
1クラウド移行によるソフトウェアライセンスの見直し・削減C運用管理系のソフトウェアをマネージドサービスに置き換え、不要なソフトウェアの削減・数量見直しを実施する。不要なソフトウェアやライセンス数の発生を抑止し、コストが削減される。

*1 ネットワーク通信料金はクラウド利用経費全体において大きな割合を占めないため、コスト削減アプローチの対象とはしない。

*2 アプローチの実施難易度及びコスト削減効果を基にA~Cの優先度を定義した。

4.2. クラウド利用経費削減に向けたアプローチ例

「4.1.現行環境からガバメントクラウド移行によるランニングコスト最適化に向けたアプローチ概要」で整理した各アプローチの詳細を示す。

なお、既に構築・稼働しているシステムに対しては、各アプローチの実施前にCSPが提供するアセスメントサービスの活用を推奨する。

<留意事項>

優先度A・Bの項目については「アプローチを適用した場合のコスト削減効果例」としてアプローチを適用した場合のコスト削減効果例を併記するが、金額はあくまで試算であることに留意すること。

試算の前提は以下の通りである。

  • 試算はサンプルであり、必ずしも記載する削減率が達成されるとは限らない。
  • 詳細な試算手順は「クラウド利用経費の算出に係る手順書」を参照すること。
  • 試算は令和6年8月時点のAWSにおけるサービス仕様・利用料を例として提示、ガバメントクラウドの他CSPでも同じ考え方を適用可能である。
  • コスト削減効果例については以下の前提で試算している。
    • 費用は年額
    • 為替は1ドル=150円
    • システム構成は以下の通り。
サーバー台数
本番環境検証環境DR環境
負荷分散装置2台1台1台
Web/APサーバー2台1台1台
DBサーバー2台1台1台
バッチサーバー1台1台1台
ブロックストレージ1台
統合ストレージ1台1台
バックアップサーバー1台
監視サーバー1台
ログ管理サーバー1台
OSパッチ管理サーバー1台
踏み台サーバー1台

4.2.1. インスタンスサイズの選定

■ 概要

リソースの利用状況を踏まえ、より適切なインスタンスサイズに見直すことで、コスト削減を図ることができる。
クラウドではインスタンスサイズの引き上げが容易であるため、最初から安全マージン(バッファ)を含めた過剰なインスタンスで見積る必要はない。実際の使用量に合わせた必要最低限のCPUコア数を想定してインスタンスサイズを選定し、検証を通じて必要であればサイズを大きくする。

<インスタンスサイズの見直しによるコスト削減効果イメージ>

図4-1.アプローチ概要(インスタンス選定・サイズの変更)

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システムの利用状況の確認
    • サーバーの情報(CPU使用率やメモリ使用率等)を確認する。
    • アプリケーションの情報(レスポンスやリクエスト等)を確認する。
  • 現状の要件の確認
    • スケーラビリティ、可用性、セキュリティ、アプリケーション要件等のシステム要件を確認する。
    • システム要件等を基に必要なリソース量を確認する。
②検証
  • インスタンスサイズの検討
    • 最低限必要なリソース量とCPU使用率等に応じて最適なインスタンスサイズを検討する。
③実行
  • インスタンスサイズの見直し
    • 検証を踏まえ、見直し後のインスタンスサイズを見積りや仕様書等へ反映する。
    • 不要なインスタンス利用料の発生を抑制し、コスト削減を実現する。

ポイント・注意点

  • クラウドではインスタンスサイズが柔軟に変更が可能(再起動が伴うのみ)である。
  • 5年先の使用量予測やピーク時に合わせたサイジングは不要であり、通常時の使用量に基づきサイジングを行い、需要に応じてサイズを変更する。
  • 通常時のインスタンスサイズを決定する際には、現行環境のCPU使用率等を確認し、実容量に基づいたサイジングを行う。
  • インスタンスサイズ変更はクラウドサービスの機能で自動化するか、手動拡張する運用プロセスを事前に整備する。

アプローチを適用した場合のコスト削減効果例

対象DBサーバー
実施アプローチ内容
  • 通常時はピーク時の1/2(8vCPU/32GB *1)のサイズでの運用に変更
  • ピーク期間を2ヵ月と仮定し、通常時・ピーク時に分けインスタンスサイズを変更
実施前の構成等
  • RDS(2台)を利用
    • db.m6i.4xlarge(16vCPU/64GB)
  • 年度末のピーク時は通常時よりも2倍のリソースが必要となるため、通常時もピーク時と同等のサイズ(16vCPU/64GB)を利用
実施前の費用519万円
実施後の構成等
  • RDS(2台)を利用
    • 【通常時:10ヶ月】db.m6i.2xlarge(8vCPU/32GB)
    • 【ピーク時:2ヶ月】db.m6i.4xlarge(16vCPU/64GB)
実施後の費用302万円
削減率42%
(-217万円)

*1 本例では1/2のサイズに変更した場合を想定している。

4.2.2. インスタンスタイプの選定

■ 概要

クラウドに移行する際は、CSPが提供する各種のインスタンスから適切なものを選択する必要がある。

コスト効率の高いインスタンスを選定することで、単位時間当たりのコストを低減することができる。

<インスタンスタイプとユースケース>

クラウドでは用途に応じてチューニングされたインスタンスが用意されている。システム特性に応じたインスタンスを選定することが重要である。

インスタンスユースケース
汎用通常用途に適したバランスのコンピューティング・メモリ・ネットワーク
バースト可能一時的に負荷が高騰するシステム向け(開発環境や小規模システム等)
コンピューティング最適化CPU性能が必要な用途向け(バッチ処理等)
ストレージ最適化高度なIOPSを実現するSSDを内蔵(ビッグデータ処理等)
メモリ最適化コアあたりのメモリが大きく、メモリが必要な用途向け(データベース等)

例えば、一時的に負荷が上がるシステムでは、バースト可能インスタンスを利用することで時間当たりの利用料が安価に抑えることができる。

また、機能面にフォーカスして利用される開発環境や検証環境、業務影響のない本番環境等、厳密に性能が求められないインスタンスでは、安価なバースト可能インスタンスの利用もコストを抑える有効な手段となり得る。ただし、安定した性能を提供しないバースト可能インスタンスを利用する際は、事前に十分な検証を行うこと。

<世代の最新化>

パブリッククラウドのインスタンスは、vCPUやメモリ容量が旧世代と同じであっても、最新世代の方が高性能、低価格になる傾向がある。

最新世代のインスタンスタイプを採用することでリソース利用料が安価になる他、インスタンスのサイズダウンが可能になるケースがあり、コスト削減を図ることが可能である。

  • 継続してリソースの世代に係る最新情報を収集し、最適な世代について検討することが重要である。
  • 設定内容やアプリケーション等との互換性、セキュリティパッチ情報等を事前に業務要件等に応じて確認することが重要である。

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システムの利用状況の確認
    • サーバーの情報(CPU使用率、メモリ使用率等)を確認する。
    • アプリケーションの情報(レスポンスやリクエスト等)を確認する。
  • 現状の要件の確認
    • スケーラビリティ、可用性、セキュリティ、アプリケーション要件等のシステム要件を確認する。
    • システム要件等を基に必要なリソース量を確認する。
  • 最新バージョンの確認
    • 各CSPのリリースノートや公式サイト等から、最新の世代情報を収集する。
    • 世代の最新化による影響(アプリケーション等との互換性、セキュリティパッチ情報等)を確認する。
②検証
  • 最適なインスタンスタイプの検討
    • サーバーやアプリケーションの特性、各種要件に応じて最適なインスタンスタイプを検討する。
  • 世代の最新化可否を検討
    • 世代変更によるリスク(互換性、セキュリティ)や切り替え作業に係る工数、コスト削減効果等を踏まえ世代の最新化可否を検討する。
  • 互換性検証
    • 特にCPUアーキテクチャ変更を伴うインスタンスタイプ変更の場合、検証環境にて世代の最新化を実施し、アプリケーション等との互換性を中心に検証を実施する。
③実行
  • インスタンスタイプの見直し
    • 検証を踏まえ、見直し後のインスタンスタイプを見積りや仕様書等へ反映する。
    • 不要なインスタンス利用料の発生を抑制し、コスト削減を実現する。
  • 世代の最新化を実施
    • 検証を踏まえ、対象リソースの世代を最新化する。
    • リソース利用料が安価になることによりコスト削減を実現する。

4.2.3. 稼働時間の調整

■ 概要

システム稼働時間を定義し、定義した稼働時間外はシステムの稼働を停止することで、コスト削減を図ることができる。

対応1週間の稼働時間①からの削減率
① 停止なし週168時間-
② 土日停止週120時間29%削減
③ 土日と平日夜間停止(22:00-6:00)週80時間52%削減

稼働時間の定義にあたっては、以下のようなシステムに関する要件・プロセスも含めて見直しの余地があるか検討する。

  • 夜間の定期処理を業務時間内で実行
  • 依存関係を確認し、定期処理を並列で実行

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システムの利用状況の確認
    • システムログやダッシュボード等を用いてシステムの稼働時間(トラフィックパターンやピーク時間等)を確認する。
  • システムの依存関係の確認
    • 他システム・サービスと連携している場合、対象のシステム・サービスの稼働時間を確認する。
  • 稼働時間変更時の影響の確認
    • 担当課職員に対し、業務上必要な稼働時間を確認する。
    • システムの稼働時間変更によって、夜間処理や他のシステムとの連携に影響があるか確認する。
②検証
  • 稼働時間の検討
    • 担当課職員と事業者へのヒアリング結果をふまえて依存関係を整理し、稼働時間を検討する。
  • 起動停止プロセスの検討
    • 起動停止対象サーバーを選定する。
  • 起動停止前後に必要となる処理・順序性の整理・検討
    • 起動停止の自動化含むプロセスを検討する。
③実行
  • 稼働時間の見直し
    • 検証を踏まえ、最適なシステムの稼働時間を決定し、見積りや仕様書等へ反映する。
    • 遊休リソースの削減に繋がり、コストが削減される。

ポイント・注意点

  • クラウドでは利用時間に対して料金が発生するため、リソースを停止することが利用料の削減に大きく影響する。
  • システムが遊休状態(システムが必要な処理をしていない時間が多い状態)になっている場合は、システムの稼働時間を極力削減することでコスト削減を図る。
  • 稼働時間の調整にあたっては事前にテストを実施する等、業務や連携先システムへの影響を与えないことを確認する。
  • 稼働時間は運用フェーズにおいても定期的に見直しを行い、不要なリソースの停止、処理データの増加や業務時間の変更が発生した場合には、稼働時間を再検討する。
  • クラウド側のキャパシティ不足によるエラーが発生しリソースを起動できない場合があるため、稼働時間の調整に当たっては、コスト削減効果と業務への影響とのバランスを慎重に見極める必要がある。開発環境や検証環境については、稼働時間の調整を検討しやすい領域である一方で、本番環境や運用環境については、利用頻度の低い踏み台サーバーや夜間バッチ処理用サーバー等、通常業務への影響が小さいものについて稼働時間の調整を検討する。
  • クラウド側のキャパシティ不足によるエラーの発生頻度は限定的だが、業務上重要なサーバーについて起動停止する場合は、当該リスクを考慮して、以下のいずれか、又は複数の対応を含むリソース起動の自動化の仕組みを検討する。なお、業務開始直前(日本時間7時00分から9時00分など)、月末月初、きりのよい時間(日本時間の9時00分など)等の需要の集中が想定される時間帯においては、起動リクエストを避けることも有用である。
  • クラウドのキャパシティは頻繁に変動する場合があるため、数分待ってから、起動リクエストを再送信する(リトライ)。
  • 一回で起動するインスタンス数を減らし、新しい起動リクエストを送信する。例えば、15 のインスタンスを起動する単一の起動リクエストを送信している場合は、5つずつ3回の起動リクエスト、又は1つずつ15回の起動リクエストに分割する。
  • 同一スペックのインスタンスの起動時に、複数回キャパシティ不足となる場合は、CPU(コア)数、メモリサイズを変更して新しい起動リクエストを送信する。
  • 起動可能なゾーン(ドメイン)を複数指定し新しい起動リクエストを送信する。又は、現在指定しているゾーンが1つである場合は、現在と異なるゾーンへインスタンスの起動リクエストを送信する。

アプローチを適用した場合のコスト削減効果例

対象Web/APサーバーバッチサーバー踏み台サーバー
実施アプローチ内容 Web/APサーバーを常時稼働から平日夜間(0時~6時)及び休日の稼働を停止 バッチサーバーを常時稼働から夜間8時間のみの起動に変更 踏み台サーバーを常時稼働から24時間/月の稼働に変更
実施前の構成等
  • EC2(2台)を利用
    • m6i.2xlarge(8vCPU/32GB)
  • 常時稼働(24時間365日)
  • EC2を利用
    • m6i.4xlarge(16vCPU/64GB)
  • 常時稼働(24時間365日)
  • EC2を利用
    • m6i.large(2vCPU/8GB)
  • 常時稼働(24時間365日)
実施前の費用227万円227万円28万円
実施後の構成等
  • 同構成で平日18時間の稼働
  • 利用される時間帯のみ稼働
  • 同構成で夜間8時間の稼働
  • 処理を実行する時間帯のみ稼働
  • 同構成で月24時間の稼働
  • 調査やメンテナンスでログインする際にのみ稼働
実施後の費用28万円75万円9,331円
削減率87%
(-199万円)
67%
(-152万円)
97%
(-27万円)

4.2.4. ストレージ選定・容量の変更

■ 概要

最低限必要なデータ容量から利用を開始することで、不要なストレージ利用料を抑止し、コスト削減を図ることができる。

クラウドでは必要に応じてストレージ容量を拡張できるため、数年後を見据えた大きな容量を利用開始時点で確保しておく必要はない。最低限のストレージ容量に変更し、年次又は隔年で容量を拡張していく。

図4-2.アプローチ概要(ストレージ選定・容量の変更)

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システムの利用状況の確認
    • データ使用量を確認する。
    • データの種類(業務データ、バックアップ等)を確認する。
    • データの利用頻度(アクセス、更新等)を確認する。
  • データの増減率の確認
    • 監視ツールやダッシュボード等を用いてデータ使用量の増減幅や増減率について確認する。
    • 各データの保管規程に係る現状の要件を確認する。
    • 文書管理規定やセキュリティポリシー等の保管要件の根拠となる情報を確認する。
②検証
  • ストレージサービスの検討
    • データの種類と各種要件に応じて最適なストレージサービスを検討する。
  • ストレージ容量の検討
    • 最低限必要なデータ容量に応じて最適なストレージ容量を検討する。
③実行
  • ストレージ容量の見直し
    • 検証を踏まえ、最適なストレージサービス・容量を見積りや仕様書等へ反映する。
    • 不要なストレージ利用料の発生を抑制し、コスト削減を実現する。

ポイント・注意点

  • クラウドはストレージサイズの拡張が容易なため、数年先を見越した容量のサイジングは不要であり、実使用量に数%のバッファを持たせてサイジングする。
  • 可用性はCSP側で担保するため、RAIDを考慮したストレージ構成(RAID分のストレージ容量等)やスペアディスクの考慮は不要である。
  • ログや一時ファイルの保管場所となるストレージについては「4.2.8 不要なログの削減 」も参照すること。

アプローチを適用した場合のコスト削減効果例

対象ブロックストレージ
実施アプローチ内容
  • ストレージの実容量(バックアップ含む)のみの見積りに変更
実施前の構成等
  • EBSを利用
    • EBS gp3 / 7.5TB
  • 業務利用1TB、RAID構成、スペアディスク、バックアップ等を考慮し合計7.5TBで試算
  • オンプレミス環境と同等な容量での見積り
実施前の費用129万円
実施後の構成等
  • EBSを利用
    • EBS gp3 / 1.57TB
  • Amazon EBS Snapshot を利用 *1
実施後の費用22万円
削減率83%
(-107万円)

*1 1TBのストレージ領域のうち50%を使用しており毎日10GBの更新があるストレージを毎日バックアップ(7世代保管)すると仮定し試算している。

4.2.5. 運用のマネージドサービス化

■ 概要

バックアップや監視などの運用管理機能をマネージドサービスを用いて実現することで、バックアップサーバーや監視サーバーや運用管理系ソフトウェアが不要となり、コスト削減を図ることができる。

<マネージドサービスで代替できる機能例>

  • バックアップ:CSPの標準機能を活用し、ストレージやシステムのバックアップを行うことで、サーバーの常時稼働が不要になりコストを削減できる。
  • セキュリティ対策:システムの脆弱性を早期に発見し対策を講じることで、セキュリティインシデントを防止。これにより、セキュリティ対策に必要な人材確保や研修、製品導入と運用、脆弱性調査等のコストを削減する。
  • 監視:CSPが24時間365日の監視を提供。これにより、内部のITチームが監視に費やす時間が削減され、他の重要な業務に集中できコストを削減する。
  • ロギング:ログ管理ツール等を使用して、システムのログを自動的に収集し、分析。これにより、システムのパフォーマンスの最適化、問題の迅速な特定、工数の低減等につながり、コストを削減する。

<バックアップにおけるマネージドサービスの活用例>

バックアップサーバーを用いたバックアップでは、サーバー構築に係る開発費や24時間365日サーバーを稼働させるための利用料金が発生する。

マネージドサービスを用いたバックアップに変更することで、マネージドサービスの設定のみで実現可能となり、バックアップ対象データ量等に応じて課金されるためコスト削減が可能となる。

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システムの機能/非機能要件の確認
    • バックアップ、監視、パッチ適用等のマネージドサービスの活用が見込める要件を抽出する。
  • マネージドサービスの提供範囲の確認
    • 利用予定CSPで提供されるマネージドサービス、活用におけるベストプラクティスを確認する。
②検証
  • マネージドサービスの活用可否の検討
    • マネージドサービスの機能が求める要件を満たすか確認し、必要に応じて要件の見直しを検討する。
  • 実現方式の検討
    • マネージドサービスで置き換える場合の運用管理機能のアーキテクチャ・実現方式を検討する。
③実行
  • マネージドサービスの活用
    • 現行システムで独自のソフトウェア利用、サーバー構築により実現している要件を、マネージドサービスにより実現し、コストを削減する。

ポイント・注意点

  • クラウドでは基本的な運用管理機能がマネージドサービスとして提供されており、サーバーを構築・運用する場合と比較してコスト減となる可能性が高い。
  • マネージドサービスでの実現が難しい運用作業は、要件の見直しやマネージドサービスで実現可能な運用への変更可否を検討する。
  • 独自の運用管理システム(バックアップ、ジョブ管理等)の構築は避け、可能な限りマネージドサービスへの代替を検討する。

アプローチを適用した場合のコスト削減効果例

対象バックアップサーバー 監視サーバー
実施アプローチ内容
  • バックアップサーバーを Amazon EBS Snapshot に代替
  • 監視サーバーを Amazon Cloud Watch に代替
実施前の構成等
  • EC2を利用
    • m6i.large(2vCPU/8GB)
  • バックアップソフトを利用
  • EC2を利用
    • m6i.xlarge(4vCPU/16GB)
  • 監視ソフトを利用
実施前の費用28万円56万円
実施後の構成等
  • Amazon EBS Snapshot を利用
  • Amazon Cloud Watch を利用
実施後の費用5万円8,100円
削減率82%
(-23万円)
99%
(-55万円)

4.2.6. DR構成の選定

■ 概要

クラウド利用時はIaC等の活用により環境構築が迅速に実現できるため、スタンバイ環境の削減が検討可能。オンプレミス環境と同様のDR構成を採用している場合、見直しにより費用削減が期待できる。

<DR構成の種別例>

システムが求める要件と許容可能なコストに応じてDR構成を検討する。

職員向けシステムや、一部領域や地域の国民向けサービスなど、停止することで即座に国民生活に影響のない「バックアップ」を検討することになると想定する。

DR構成概要コスト復旧時間
バックアップ本番環境のバックアップを事前に取得しておき、障害発生時はバックアップデータを基に復旧する。
ウォームスタンバイ最小限の縮退環境を別地域に用意(常時起動)し、障害発生時にリソースを追加、切り替える。
アクティブ/アクティブ本番環境と同等構成のスタンバイ環境を別地域に用意(常時起動)し、障害発生時は即座に切り替える。

DR構成の検討にあたっては「ガバメントクラウド手続き概要」(メンバー専用ページ)や地方公共団体向けの「ガバメントクラウド利用における推奨構成」も参照すること。

<バックアップ構成のイメージ>

DR構成のうち「バックアップ」について、AWS Backupのクロスリージョンバックアップを用いて以下データをS3バケットに格納する構成のイメージを示す。

  • システムデータ: AMI(OSイメージ)、プログラム、IaCコード等
  • 業務データ: RDSスナップショット、ファイル等

図4-3.バックアップ構成のイメージ

アプローチの流れ

①情報収集
  • 災害対策に係る現状の要件の確認
    • システム再開目標や復旧方針等を確認する。
  • DR構成の確認
    • 現行システムと移行後のシステムにおけるDR構成を確認する。
②検証
  • 災害対策に係る要件の再検討
    • ガバメントクラウド利用機関が許容可能な復旧時間等を踏まえ、過剰な要件でないか確認する。
  • DR構成(次期)の妥当性の検討
    • 上記で再検討した要件を鑑み、見積り時点でのDR構成(次期)が過剰でないか検証する。
③実行
  • DR構成(次期)の選定
    • 検証フェーズを踏まえ要件を達成可能かつコスト最適なDR構成(次期)を選定する。

ポイント・注意点

  • DR構成の選定に当たっては、各ガバメントクラウド利用機関にて定める非機能要件を基に検討する。
  • 災害対策関連要件の見直しを行い、災害時に必要となる業務継続性とそれに伴うコストを確認し、DR構成の検討・選定を行う。
  • 本アプローチ及び試算では、本番環境と利用者拠点とのNW回線を考慮していないため、実際にDR構成を検討する場合にはNW回線の構成についても併せて検討を行う。

アプローチを適用した場合のコスト削減効果例

対象 負荷分散装置
Web/APサーバー、DBサーバー、
バッチサーバー
実施アプローチ内容
  • DR構成をウォームスタンバイからバックアップ構成に変更
実施前の構成等
  • ウォームスタンバイの構成
  • ALB(1台)を利用
  • Web/APサーバー(1台)を利用
    • m6i.2xlarge(8vCPU/32GB)
  • DBサーバー(1台)を利用
    • db.m6i.2xlarge(8vCPU/64GB)
  • バッチサーバー(1台)を利用
    • m6i.4xlarge(16vCPU/64GB)
  • リードレプリカにて同期されるデータ量を500GB~1TBと仮定
実施前の費用491万円
実施後の構成等
  • バックアップの構成
  • Amazon EBS Snapshotを利用 *1
  • データ転送料(月次500GB、日次10GB)
実施後の費用18万円
削減率96%
(-473万円)

*1 毎日10GBのデータ更新がある場合、S3に対し月次500GBのフルバックアップ及び日次10GBの増分バックアップ(7世代保管)をすると仮定している。

4.2.7. ストレージクラス選定とライフサイクル管理

■ 概要

データのアクセス頻度・世代・保管期間に基づきデータ保管先として適切なストレージクラスを選定し、データのライフサイクルを管理することで不要なストレージ利用料を削減する。

<ストレージクラスの特徴>

適切なストレージクラスを選択し、過剰なスペックを備えないことが重要である。

ストレージクラス特徴ユースケースアクセス頻度取り出し時間コスト
標準・高耐久性、高可用性
・低レイテンシー、高スループット
アクセス頻度の高いデータ向け
幅広いデータに適切
低頻度・標準と同等のスペックだが高レイテンシー
・データ取り出しごとに課金
アクセス頻度の低いデータ向け
アーカイブ・セキュアで高耐久
・最も低コスト
・データの取り出しに数分〜数時間を要する
長期間のデータアーカイブ向け

<ライフサイクル機能の利用イメージ>

時間経過に伴いアクセス頻度が下がるデータはより安価なストレージへ自動移行し、保管期間が過ぎたデータは削除するようにライフサイクルを設定する。

図4-4.ライフサイクル機能の利用イメージ

アプローチの流れ

①情報収集
  • 保存するデータの確認
    • バックアップ、ログ、業務データ等の保存が想定されるデータの情報を収集する。
  • 各データの保存期間に係る現状の要件の確認
    • 文書管理規定やセキュリティポリシー等の保存期間の根拠となる情報を収集する。
  • 現行システムで扱うデータ種別、保存期間の確認
    • 現行システムにおける保存データ及びその保存期間を確認する。
②検証
  • データの保存に係る要件の整理、見直し
    • 集めた情報を基に、システム上に保存するデータとその保存期間を整理、見直しを行う。
  • 要件に応じたストレージクラスの検討
    • データ分類に応じたデータ格納先のバケットを検討する。
    • データ(バケット)単位でのストレージクラス・ライフサイクルを検討する。
③実行
  • データの自動削除を実行
    • 検証を踏まえ、各オブジェクトストレージサービスに対してライフサイクル機能を設定する。
    • 不要なストレージ利用料の発生を抑制し、コスト削減を実現する。

ポイント・注意点

  • オブジェクトストレージ利用時は、アクセス頻度等に応じてバケット単位でデータ格納場所を分け、アクセス頻度等に応じて適切なストレージクラスを選定する。
  • ライフサイクルの設定はオブジェクトストレージの付随機能で実現可能であり、サードパーティー製品を導入せずに自動化可能である。
  • データの種類、保存要件等を確認し、業務データ並びに運用管理上必要となるデータのライフサイクルを定め、適切な時期にデータを削除することでリソースを無駄に消費し続けることのないよう設計・構築する。

アプローチを適用した場合のコスト削減効果例

対象統合ストレージ
実施アプローチ内容
  • 18TBの格納データのうち、6TB分のデータに対し、ストレージクラスの移行及び半年後削除のライフサイクル設定を実施
  • 18TBの格納データのうち、12TB分のデータに対し、段階的に低位なストレージクラスへの移行を実施
実施前の構成等
  • S3を利用
    • 18TB
実施前の費用81万円
実施後の構成等
  • S3を利用
    • 6TB(標準2か月、低頻度2か月、アーカイブ2か月保管)
    • 12TB(標準4か月、低頻度4か月、アーカイブ4か月保管)
実施後の費用11万円
削減率86%
(-70万円)

4.2.8. 柔軟なリソース確保

■ 概要

負荷量に応じてリソースを柔軟に増減させ、余剰なリソースの発生を抑止することで、コスト削減を図ることが可能である。

新しいインスタンスが自動的に作成され、既存のインスタンスが削除される可能性がある。これによりデータが損失することを防止するため、一部のサーバーに依存しない(各種リクエストの独立化等)構成が必要である。

  • データはDBやオブジェクトストレージに保存することで、オートスケーリング時のデータ損失を防止する。
  • セッション情報(ユーザーの状態等)は外部のストレージに保存する。ユーザーが複数のサーバー間で移動するときに、そのユーザーの状態を一貫して保持し可用性を向上させる。

<オートスケーリング機能の利用イメージ>

図4-5.オートスケーリング機能の利用イメージ

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システムの利用状況の確認
    • サーバーの情報(CPU使用率やメモリ使用率等)を確認する。
    • アプリケーションの情報(レスポンスやリクエスト等)を確認する。
  • 必要最小限のリソースの確認
    • システム要件等を基に必要なリソース量を確認する。
②検証
  • スケーリング対応可否の精査
    • 考慮事項を基にアプリケーションがオートスケーリングに対応できるか確認する。
  • スケーリング方式の検討
    • リクエストへの処理において特定サーバーに依存しない構成を検討する。
③実行
  • オートスケーリングの設定
    • オートスケーリングを前提としたサーバーサイズに変更する。
    • オートスケーリングの設定を実施
    • 遊休リソースの削減に繋がり、コストが削減される。

ポイント・注意点

  • インスタンスが負荷に応じて追加(スケールアウト)、削除(スケールイン)するため、アプリケーションが状態を保持しない(ステートレス)必要がある。 そのため、利用するアプリケーションがステートレスか確認し、セッション情報等が必要な場合には、外部に保持する改修が可能か検討する。
  • アプリケーション負荷の最大と最小を確認し、インスタンスの最大値(サイズ、台数)と最小値を検討する。
  • これまでの負荷状況を確認し、スケールアウト・スケールインするトリガーを決める。負荷の増減が不定期の場合は、CPU使用率やメモリ使用率をトリガーとし、定期的(例えば月末のみ等)の場合は、スケジューリングによるオートスケールも可能である。

アプローチを適用した場合のコスト削減効果例

対象Web/APサーバー
実施アプローチ内容
  • ピーク時のみオートスケーリングによりサーバー台数を増やす設計とし、インスタンスサイズは通常時に必要となるスペックに変更
実施前の構成等
  • EC2(2台)を利用
    • m6i.2xlarge(8vCPU/32GB)
  • 月に2日間ピークがあり、その時だけ4倍のスペックが必要
  • インスタンスはピーク時に必要となるサイズを選定
実施前の費用227万円
実施後の構成等
【通常時】
  • EC2(2台)を利用
    • m6i.large(2vCPU/8GB)
  • ※通常時は1/4のサイズでの稼働
【ピーク時】2日/月
  • EC2(6台)をオートスケーリングで2日間/月のみ利用
    • m6i.large(2vCPU/8GB)
  • ※ピーク時のみ4倍(合計8台)での稼働
実施後の費用67万円
削減率 70%(-160万円)

4.2.9. 不要なログの削減

■ 概要

必要なログ及びログの保存期間を再定義し、必要最低限のログをマネージドサービスに保存することで、コスト削減を図ることが可能である。

また、マネージドサービスは保存量に応じて課金されるため、サーバーには最低限のシステム運用に必要なデータのみを残し、保存の必要があるログの出力先は可能な限りマネージドサービスに移行する。

<設計の見直し・マネージドサービスへの移行イメージ

見直し前の例見直し後の例
独自のログ管理システムを用いたログ管理マネージドサービスを用いたログ管理
出力レベルFATAL、ERROR、WARN、INFO、DEBUG、TRACEFATAL、ERROR、WARN、INFO
保存先独自のログ管理システムマネージドサービス
保存期間2年1年

また、ログや一時ファイル等、保管の必要がないデータは仮想サーバーに溜め込まず、削除・退避する設計を行う。

  • 保管が必要なデータはブロックストレージでなくオブジェクトストレージに移動させることで、保管コストを抑えることができる。
  • 不要な一時ファイルは定期的に削除する運用とし、格納データが単調増加することを前提とした過剰な見積りは行わない。

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行のログ収集・保存状況の確認
    • ログの出力レベル、ログの種類(機密性等)、保存先、保存期間等の情報を収集する。
  • 現状の要件の確認
    • 業務要件によって保存期間等が定義されているかを確認する。
  • システムの依存関係の確認
    • ログを他システム・サービスに利用している場合、出力を停止した際の影響有無を確認する。
②検証
  • 要件の検討
    • 集めた情報を基に、出力レベルや保存期間、保存先を整理、見直しを行う。
  • ログ管理サービスの検討
    • システム規模及びログの種類等に応じて最適なマネージドサービスを検討する。
③実行
  • 収集対象ログ、出力レベル、保存期間の見直し
    • 検証を踏まえ、見直し後の要件に基づき、マネージドサービスを活用してログを保存する。
    • 独自のログ管理システムやログ保存に係る不要なコストを抑制し、コスト削減を実現する。

4.3. システム運用作業費削減に向けたアプローチ例

4.3.1. 定量的計測の実現

■ 概要

マネージドサービスを活用して定量的計測を実現し、サービス監視に移行することで、不要な工数の発生を抑止しコスト削減が図れる。

<サービス運用の観点>

マネージドサービスを利用することで、インフラリソースの構成に縛られることなく本来のサービス改善とその運用に取り組む。ログや各種メトリクスを記録する仕組みを活用し、サービスを常に改善していく観点から運用を考える。サービスを継続的に改善していくか、利用者の利便性を継続的に高めていけるのかが重要となる。

Monitoring(監視)あらかじめ設定した異常値に対して、しきい値を設定し、アラート等で異常を検知する仕組み
Observability(可観測性)システムのアウトプットに及ぼす影響を、システム内部の状態から推測できる尺度
Visualization(可視化)システム内部の現象・事象・関係性やシステムとしてのパフォーマンスを、ダッシュボード等を用いて直感的に読み取ることができるようにすること

<サービス監視への移行例>

事業者がそれぞれのサービスを独自の方法で監視する運用では、データの分断により、原因究明やIT担当者間の情報共有に時間を要する。

マネージドサービスを活用し適した運用体制に移行することで、相関分析により原因解明を迅速化でき、IT担当者間の情報連携が容易となる。

図4-6.サービス監視への移行例

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システムの利用状況の確認
    • サービスのパフォーマンスや利用状況(メトリクス、ログ、トレース)の収集を行う。
    • システム内で発生するアラート(イベント)の収集をする。
  • ユーザーフィードバックの確認
    • 利用者からの意見を収集・評価し、改善点を特定する。
②検証
  • マネージドサービスの活用・自動化検討
    • 収集した情報を踏まえ利用するサービス(監視、ロギング等)を検討する。
  • 運用方式の検討
    • 定量的計測導入により不要となる運用作業の洗い出し含め、新運用方式を検討する。
③実行
  • 運用の自動化、可視化
    • マネージドサービスを活用し、異常検知時の対応を自動化する。
  • 不要な運用の廃止
    • 人員の常駐等の不要となった運用を廃止する。
    • 不要なシステム監視工数の発生を抑制し、コスト削減を実現する。

4.3.2. IaC・マネージドサービス活用による自動化

■ 概要

マネージドサービスとIaCを活用することで、インフラストラクチャの運用管理を自動化でき、不要な工数の発生を抑止しコスト削減を図ることができる。

例えば、手順書に基づき手作業で実施していた構築作業をIaC・マネージドサービスによる自動実行(ビルド・テスト・デプロイ)に置き換えることで、運用工数を削減するとともに速度と正確性を向上させることができる。

<IaC活用の効果>

  • 迅速なインフラ構築: 手動操作が不要になり、迅速に環境を整えることができる
  • 一貫性と再現性: 異なる環境でも一貫したインフラ構成を再現できる
  • 透明性の向上: ブラックボックス化を防ぎ、誰でも構成内容を確認できる
  • 変更管理の効率化: 変更履歴が明確になり、変更の追跡やレビューが容易

IaC活用に当たってはパイプライン及び運用の整備を併せて実施する必要がある。

  • パイプラインの整備
    • 構築(設定)等を手動で実施する運用は、人的ミス等につながり時間が掛かる。
    • 構築や手順作成等をIaCに代替することで、品質の向上、工数の削減につながる。
  • 運用の整備
    • ログ管理、バックアップ・リストア等の運用を手動で実施する運用は、復旧対応の遅延につながる。
    • マネージドサービスを活用することで、自動化、対応の迅速化、運用工数の削減につながる。

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システム構成の確認
    • 現行のシステム構成(サーバーの種類、ネットワーク、ストレージ、セキュリティ等)を確認する。
    • 現行システムの依存関係(ネットワーク接続、データフロー等)を確認する。
  • 利用できるサービス情報の確認
    • CSPが提供するIaCツールとサービス情報を確認する。
②検証
  • IaC・マネージドサービス活用による自動化の検討
    • 収集した情報を基に、業務の自動化方法(マネージドサービス活用、IaC導入)を検討する。
  • 環境変更プロセス方式の検討
    • IaC導入により不要となる運用作業の洗い出し含め、環境変更のプロセス方式を検討する。
③実行
  • 運用の自動化
    • IaC・マネージドサービスを活用した運用を実行する。
    • 不要な作業工数の発生を抑制し、コスト削減を実現する。

4.4. ソフトウェア借料・保守費の削減に向けたアプローチ例

クラウド移行時には必要となるソフトウェアライセンスを精査し、マネージドサービス利用による持ち込みソフトウェアライセンスを削減することで、コスト削減を図ることができる。

4.4.1. クラウド移行によるソフトウェアライセンスの見直し・削減

■ 概要

クラウド移行時には必要となるソフトウェアライセンスを精査し、マネージドサービス利用による持ち込みソフトウェアライセンスを削減することで、コスト削減を図ることができる。

  • マネージドサービス(PaaS・SaaS)利用時に不要となるライセンス
    • バックアップ、監視、セキュリティ等のソフトウェアをマネージドサービスに置き換えることで、当該ソフトウェアのライセンス調達が不要となる。
    • マネージドサービスのインフラ(サーバー)は各CSPにより運用保守されるため、OS・ウイルス対策ソフト等の調達が不要となる。
  • IaaS利用時に不要となるライセンス
    • Amazon EC2等のIaaSサービスではOSやDBのライセンスが利用料に含まれる提供形態が存在するため、調達不要となる場合がある。
  • クラウドで共通して不要となるライセンス
    • OSより下層のレイヤー(物理サーバー、クラウド内のNW、仮想化等)の運用保守は各CSPが担うため、関連ソフトウェアは調達不要である。

アプローチの流れ

①情報収集
  • 現行システム情報の確認
    • 現行の運用管理システムの情報(機能、性能、使用状況等)を確認する。
  • 利用できるサービス情報の確認
    • CSPが提供する運用管理系サービスの機能や性能等の情報を収集する。
②検証
  • 最適なマネージドサービスの検討
    • マネージドサービスが現行システムと同等以上の機能や性能を備えているか等を踏まえ、最適なマネージドサービスを検討する。
  • テスト環境にて検証
    • パッチ適用等の業務が問題なく自動化できるかを検証する。
③実行
  • 不要なソフトウェア(ライセンス)の削減
    • マネージドサービスを活用した運用を実行する。
    • 不要なソフトウェア(ライセンス)の削減や、数量の見直しを実施し、コスト削減を実現する。

5. 地方公共団体のコスト削減事例

5.1. 事例1

現行リソースのスペックや利用状況を踏まえ、見積りに対する縮小等の見直しを行い、見積りに含まれるクラウド利用料の46%を削減した事例である。

団体の情報

人口規模1万人~3万人未満
利用方式共同利用方式(アプリケーション分離)
採用CSPAWS
見直し前の見積りの特徴
  • 二重計上等の過剰な見積り項目が存在する。
  • 実際の利用状況に対し過剰なスペックや余剰なリソースが存在するため、本書記載のアプローチ適用によるコスト削減の余地がある。

アプローチ別削減効果

適用したアプローチ実施内容例削減効果
インスタンス選定・サイズの変更・現行サーバーのリソース使用量やユーザー数に基づき、インスタンスサイズを縮小5.8%
稼働時間の調整・システムの利用状況に基づき、稼働時間を短縮
  ・頻繁に利用しないシステムの稼働を短縮(平日4H/日稼働)
・バッチサーバーの稼働を平日夜間のみ(平日8H/日稼働)に変更
4.7%
マネージドサービスの活用・マネージドサービスに代替することでインスタンス数を削減0.3%
ストレージ選定・容量の変更・現行サーバーの利用状況に基づき、ブロックストレージの容量を削減1.7%
その他見直し *1・リージョン間通信量の削減、ロードバランサにおける処理データ量削減等の見直しを実施8.3%
不要なリソースの削除 *1・構成上不要なリソースを削減
・リソースの二重計上等の過剰な見積りを是正
25.1%
合計46.0%

*1 構成等の確認が必要でありシステムごとに判断が必要なアプローチであるため、本書としては掲載対象外

5.2. 事例2

リソース構成のレビューや要件の再整理を行い過剰なリソースやDR構成を見直すことで見積りに含まれるクラウド利用料の68%を削減した事例である。

団体の情報

人口規模3万人~5万人未満
利用方式共同利用方式(ネットワーク分離)
採用CSPAWS
見直し前の見積りの特徴
  • 集約可能なインスタンスやオーバースペックなリソースが存在する。
  • オンプレミスへのバックアップによりアウトバウンド転送コストが大きい。

アプローチ別削減効果

適用したアプローチ実施内容例削減効果
インスタンス選定・サイズの変更・現行サーバーで低負荷・低利用なインスタンスについて、インスタンスサイズを縮小0.5%
ストレージ選定・容量の変更・最初から過剰な容量を割り当てず必要に応じ拡張する運用とし、ブロックストレージの容量を削減0.1%
DR構成の選定・DR構成を見直し、バックアップ先をオンプレミスからAWSに切り替えることでアウトバウンド転送量を削減41.7%
その他見直し *1・専用線接続(AWS Direct Connect)におけるポート容量の削減、データ転送量の削減等の見直しを実施16.7%
不要なリソースの削除 *1・複数機能を1台のインスタンスへ集約することによりインスタンス数を削減9.0%
合計68.0%

*1 構成等の確認が必要でありシステムごとに判断が必要なアプローチであるため、本書としては掲載対象外とした。

6. 用語の定義

本文書における用語の定義を下表に示す。
本章の用語のうち、GCASガイド全体で利用している共通的な用語については「はじめにお読みください」の「用語集 」を参照すること。

カテゴリ用語説明
技術モダン化用語集を参照
技術IaC用語集を参照
技術オートスケールサーバーの負荷に応じて、自動的にクラウドサーバーの台数を増減させる機能のこと。 システムにアクセスが集中したときはサーバーを自動で増やし、アクセスが少ないときはサーバーを減らすことで、常に必要最小限のサーバー数でシステムを安定的に稼働させることができる仕組み。
技術ステートレス用語集を参照
技術パイプラインコードのビルド(ソースコードが記述されたファイルをデプロイに必要となる実行ファイルに変換・作成する作業)、テスト(実行ファイルが正常に動作するかを検証する作業)、デプロイ(実行ファイルをサーバー上に配置し、システムをユーザが利用できる状態にすること)の過程でソフトウェア開発を推進するプロセスのこと。
技術バッチ処理複数のタスクやジョブをまとめて順次処理する手法のこと。例えば、一定の条件が満たされたときに自動的に複数のデータ処理やプログラム実行を行う。大量のデータを扱う際や、定期的な処理に適しており、効率性や一貫性を確保するのに貢献している。
技術RAID複数のハードディスクを1つのハードディスクのように扱う技術のことで、次のような効果が得られる。
・複数のディスクに分散してデータを配置することで、データ読み込み/書き込み速度の向上が期待できる。
・複数のディスクに同一のデータを配置したり、エラー訂正コード(パリティ)を配置することで耐障害性向上が期待できる。RAIDにはいくつかの種類があり、種類によって、安全性の高さや使用できるデータ容量等が異なる。例えば、RAID10の構成の場合、RAID 1(ミラーリング)とRAID 0(ストライピング)の技術を組み合わせて実現される。このときRAID1を利用しているため、ストレージのデータ利用効率としては全体の50%となる。
サービスCSP用語集を参照
サービスアセスメントサービスCSPのコスト分析専門チームが、リソースの利用状況の分析と実行計画を提示してくれるサービスのこと。
サービスIaaSInfrastructure as a service の略。システムの稼働に必要な仮想サーバー、機材やネットワーク等のインフラを、閉域網やインターネット上のサービスとして提供する形態のこと。オンプレミスでシステムを構築する場合、サーバーやソフトウェアを購入し、運用やメンテナンスが必要だが、IaaSではサーバー等のハードウェアを利用者自らが所有せずに、必要なときに必要なだけサーバーやストレージ、ネットワークリソースを利用することができる。
サービスPaaSPlatform as a Serviceの略。インターネット経由で、仮想化(※)されたアプリケーションサーバーやデータベース等アプリケーション実行用のプラットフォーム機能の提供を行うサービスのこと。
(※)仮想化:仮想化とは、コンピュータやハードディスク、OSやアプリケーション等を物理的構成に拠らず、柔軟に分割・統合ができる技術。1台の物をあたかも複数台であるかのように利用できる、逆に複数台のものをあたかも1台であるかのように利用することが可能。
サービスSaaS用語集を参照
サービスマネージドサービス用語集を参照
サービスサービスレベルサービスの品質やパフォーマンスを評価するための基準や指標。
サービスダッシュボードサービスやリソース等のデータを収集し、分析するツールのこと。
蓄積された大量のデータを収集・分析し、集計値や表、グラフ等の分かりやすい形で可視化する。
サービスブロックストレージデータを固定サイズのブロックに分けて保存するデータストレージ形式のこと。この形式では、必要なデータに対し素早くアクセス可能である。クラウド上のブロックストレージでは、必要に応じて新しいリソースを容易に追加可能である。これにより、データの増加や変化に柔軟に対応することができる。
サービスストレージクラスIO性能や最大容量、単位当たりの費用等のストレージの特徴ごとに区分されたストレージ種別のこと。標準クラス・低頻度アクセスクラス・アーカイブクラス等、様々なストレージクラスが用意されている。
システムオンプレミスシステムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバーやネットワーク機器、あるいはソフトウェア等を自前で保有し運用するシステムの利用形態のこと。
システムガバメントクラウド用語集を参照
システムガバメントクラウド利用方式単独利用方式…各地方公共団体がガバメントクラウド個別領域(団体が利用できる範囲)のクラウドサービス等の運用管理を単独の団体で実施する方式を指す。
共同利用方式…複数の地方公共団体が同一のガバメントクラウド運用管理補助者に委託し、運用管理に必要となるガバメントクラウド個別領域利用権限を付与することで、当該ガバメントクラウド運用管理補助者が、複数の団体のガバメントクラウド個別領域利用権限を行使してクラウドサービス等の運用管理を行う方式を指す。
システムインフラストラクチャシステムやアプリケーションが適切に機能するために必要な基盤のこと。これは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データセンター、サーバー、ストレージ、通信機器等、ITシステム全体を支える要素を含む。
システムOSOperating System(オペレーティング システム)の略。コンピューターを動かすための基本ソフトウェアのこと。OSは、コンピューターのリソース管理やタスクスケジューリング、ファイル管理、ネットワーク通信、セキュリティ等、さまざまな機能を提供する。主なOSには、Microsoft Windows、Mac OS、Linux、UNIX等がある。
システム業務パッケージソフトウェア特定の市区町村の業務内容、運用を対象に開発したものではなく、業務に共通して必要な機能を汎用品(既製品)として販売しているソフトウェアのこと。
システムミドルウェアソフトウェアの構築や連携をサポートする中間層のプログラムのこと。アプリケーションやシステム間での通信、データの受け渡し、機能の統合を円滑に行うために使用される。ハードウェアとアプリケーションソフトウェアの架け橋として機能し、異なるプログラムやサービスが協調して動作するための共通の基盤を提供する。例えば、データベース接続、メッセージング、セキュリティ機能等が挙げられる。
システム業務要件システム開発やソフトウェア開発の初期の段階で、システム化の対象となる業務の現状を分析し、新たに実現すべき業務の目的や流れ(実施手順、担当者、取り扱う情報、管理すべき指標等)を明確化したもの。
システムシステム要件業務要件を満たすためにシステムに求められる機能要件や非機能要件のこと。
システム非機能要件情報システムやソフトウェアの開発時に定義される要件のうち、機能面以外の要件全般をいう。システムの性能や機能の信頼性、拡張性、運用性、セキュリティ等に関する要件のこと。
システムDRDisaster Recoveryの略。災害や事故等の緊急事態における復旧計画のこと。
システムRTORecovery Time Objectiveの略。目標復旧時間のこと。障害や災害等によりシステムがダウンした際に、そのシステムを元の状態に復旧するまでの最大許容時間を指す。RTOが短いほど、対策に掛かるコストは高くなる。
システムRPORecovery Point Objectiveの略。目標復旧時点のこと。情報システムから失われたデータをバックアップから復元する際に、「過去のどの時点のデータを復旧させるか」を表す目標値を指す。これに基づいてデータバックアップの方法や機器、頻度が決定される。システムが停止した時点からどのくらい遡った時点のファイルまでが有効とされるかにより、復旧に掛かるコストや時間が大きく変わる。
システムウォームスタンバイ最小限のスタンバイ環境を起動させておき、障害発生時にリソースを追加する障害対策方式のこと。
システムの一部の機能がアクティブな状態で保持されており、ホットスタンバイとコールドスタンバイの中間の方式である。
システム本番環境システムを稼働するための環境で、実際に利用するための業務データや個人情報等を格納する。
システム検証環境開発したシステムの動作確認をするための本番環境を模擬した環境のこと。
システム開発環境システムの開発業務で利用する環境のこと。システムの開発期間外では利用されないことが多い。
ガバメントクラウドでは原則提供しないが、CI/CDを利用するシステムについてのみ開発環境の提供を行う。
システム縮退環境通常使用する環境が正常に機能しなくなった際に、機能や性能を制限しながら限定的に使用可能な状態を維持するための環境のこと。
システムメトリクスサービスやシステム等の様々な活動を定量化し、その定量化したデータを管理に使えるように加工した指標のこと。
システムインスタンスクラウドにおけるインスタンスとは、物理サーバー上でソフトウェアとして起動した仮想サーバーのこと。1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを立ち上げることができる。インスタンスはvCPUやメモリ等によってスペックが決まり、ユーザは要件にあったインスタンスを選択する。
インスタンスのスペックは、vCPU、メモリ、ネットワーク帯域上限等のキャパシティについてあらかじめ決められた組み合わせから選択する必要があり、これをインスタンスサイズと呼ぶ。
インスタンスサイズのほか、インスタンスの用途や世代(バージョン)等との組み合わせにより複数のインスタンスタイプが定められている。
システムバーストあらかじめ設定されたCPU使用率(ベースライン)の閾値を超えてCPUリソースを使用すること。
システム遊休時間システムが必要な処理をしていない時間のこと。
システムIOPSInput/Output Operations Per Second(1秒あたりの入出力操作数)の略。コンピューターやデータストレージが1秒間に処理できる入出力操作の回数を表す指標のこと。高いIOPSは、データストレージが迅速かつ効率的にデータにアクセスできることを示し、特にデータベースやアプリケーションのパフォーマンス向上に寄与する。
システムトラフィックパターン通信回線やネットワーク上で送受信される信号やデータや、その量や密度のこと。
システムスループットコンピューター等の機器が単位時間あたりに処理できるデータ量のこと。
システムサイロ化組織やシステム、インフラリソース等が一元管理されずに独立しており、システム間、部門間等の連携が取れず、蓄積されるデータを他のシステムや部門等で活用できない状態。
システムブラックボックス化ある業務プロセスを限られた人しか理解・対応しておらず、その実態がわからなくなり、属人化すること。
システムライフサイクルデータの作成から削除までの一連の過程のこと。

以上

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2026年2月1.0新規作成