純粋理性批判⑩

カントは、感性的直感の形式を時間と空間であると位置付けます。カントは、感官器官の形式は刺激反応の直観であると考えました。

合目的性という概念があります。他には自然の合目的性という似たように思える概念があります。

カントは合目的性を主観的合目的性と客観的合目的性に分けた。前者の合目的性(快、不快の感情によって判定する判断力)を美的判断力、後者の合目的性(悟性と理性によって判定する判断力)を目的論的判断力とした。カントは美を概念なき合目的性、目的なき合目的性と言い、美には目的はないが美の美しさが目的性を感じさせると考えた。ただし、合目的性を感じさせるというのとは別であると考えた。
『内容なき思考は空虚であり、概念なき直観は盲目である』とカントの有名な言葉がある。

アリストテレスは自然の事物は一定の目的にかなって生成するものとされ、その原因を目的因とした。ライプニッツはモナド(単子)から成る宇宙が合目的的に秩序づけられている予定調和説を主張した。モナド(単子)をライプニッツは5つに分類した。

・不可分性(単子は最小単位であり、それ以上分割できない)
・独立性(単子は互いに物理的な影響を及ぼさず、自己完結した存在である)
・知覚を持つ(単子には知覚を持つ様々な存在がある)
・動的な変化(単子は静的な存在ではなく、常に動的である)
・階層構造(人間の精神も単子の一形態である)

単子はふつうに生命として存在していることをライプニッツは主張しなかったが、ライプニッツは単子が生命であることを了解していたと考えられる。

ベルクソンは合目的性を創造的進化として捉えた。生命の躍動は、合目的性によるものと考えた。これを潜在的合目的性と称される。

1、規定的判断力と反省的判断力
 カントの言う「判断力」には二つある。一つは規定的判断力と呼ばれ『純粋理性批判』に見られるような悟性に仕える判断力のことである。これは既にアプリオリな形式としての普遍が与えられているので、ただ対象や行為をそれらの形式に適応させ規定する能力である。もう一つは反省的判断力である。これは『判断力批判』における判断力であり、規定的判断力とは異なり予め与えられている判断の範型はない。現に現れているだけの生の素材から普遍的なものを発見するような働きがここでの判断力となる。つまり対象に意味や価値を付与する働きである。以上のことから、規定的判断力は対象を普遍に当てはめる能力。そして反省的判断力は対象から普遍を発見する能力であると言える。

2、反省的判断力における美学的判断力と目的論的判断力
 反省的判断力には美学的判断力と目的論的判断力がある。美学的判断力において、人が何かを美しいと判定するとき、何らかの利害関係や意図が存在するわけではなく、ただそれ自身の性質ゆえに美しいと判定される。また美的判断は趣味判断でもある。この趣味とは意に適うことである。言い換えれば自らの目的に合うこと、つまり合目的性を意味する。例えば人がある花を美しいと判断するとき、その花は彼の意を満たす目的のために咲いているのではないにもかかわらず彼の意に適ってしまう。これを目的なき合目的性と呼ぶ。さらに客観的に目的が前提されていないにもかかわらず観察者にとって合目的であることから主観的合目的性と呼ばれる。美学的判断力では自然は実質もなくただ意に適うだけの主観的合目的性に限られていた。しかし例えば「全ての生命現象は生命の維持という目的に基づいている」といった考えのように、目的論的判断力では自然そのものが客観的合目的性として判断される。
 以上をまとめると、美学的判断力では美的判断は自然が偶然観察者の意に適ったに過ぎず、自然がそもそもどのようなものなのかは問題ではない。一方目的論的判断力では自然そのものの客観的な合目的性が問題となる。これが両者の違いである。

カントにおける判断力

目的論的判断では、自然な客観的合目的性が問題となる、と表記することも可能である。目的論的判断では、消去法ではないものの自然の合目的性が主題となり、必ず自然界における存在の合目的性が取り上げられるとカントは考えた。いわば、自然界カテゴリー一択という概念が挙げられるが、自然という概念の内容があまりにも広範囲であるため齟齬であるとは一概に言えない。自然の合目的性においては、雪の結晶の目的性を感じるというものであり、これは自然の客観的合目的性と評することができる。美的存在者の美しさを目の当たりにしたとき、その美的存在者の踊りが美しく自己の中で目的性を感じられたことを主観的合目的性と評することができる。これは身体的な美であって、自然の合目的性というものではない。自然の主観的合目的性は存立しえない。茂木健一郎さんも「自然の主観的合目的性は存在しない」と考えている。美的判断力を主観的判断力と考えてみる。


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