多様性“尊重しすぎ”は「間違った認識」トランプ政権で企業のDE&I後退も…日本企業で「多様性は必要不可欠」な理由
◾️日本企業はDE&I目標を取り下げるのか?
庭野:日本企業の動きはどうなっていますか?
安藤:日本マクドナルドは、2030年度末までに管理職の女性比率を40%にするという目標を掲げてきて、このまま維持してやるということです。また、日産も2030年に向けて、工場スタッフなどを除く従業員の3割を女性にするという目標を取り下げないということです。
庭野:やらないと生き残れないということでしょうか?
安藤:日本の大企業、特にプライム市場では、やるのが当たり前という状況です。
東京証券取引所は、プライム市場上場企業に対して、
①2025年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める。
②2030年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す。
ということを求めています。
ただどちらも、上場維持の『条件』ではなく、『努力目標』です。東証関係者に聞いたところ、「できればやっていただきたい」ということで、推奨しているスタンスでした。
企業の株を買う投資家が見ているのは、DE&Iの数値目標を達成するかではなく、それが企業の生き残りや価値向上につながるかという部分であり、そうでないと評価されません。業種によって、女性が多い化粧品メーカーがあったり、逆に建設系なら女性が少なかったりするので、画一的に「何割」という数値目標達成が大事なのではなく“優秀な人がちゃんと活躍しやすい環境になっているのか”が見られるといいます。
庭野:厚生労働省が従業員101人以上の企業に対して、女性の管理職比率の公表を義務付ける法改正を目指す動きもあります。公表することで、企業もやらざるを得なくなります。日本は結構横並びを気にするので、他の企業が女性の管理職比率を公表して比率が上がっているのに、自分の企業だけがいつまでも女性管理職が少ないとなると問題になります。
安藤:多様性目標を撤廃するリスクについて、企業経営に詳しい一橋大学の円谷昭一教授に話をきいたところ「企業・投資家ともに急激に新卒が採用できなくなって来ています。当然ながら女子学生の考え・主張も取り入れていかなければならず、トランプ政権うんぬんとは別に、今後もDE&Iを重視していかないと若手採用という点で会社の存続の危機を迎えると感じています」と警鐘を鳴らしていました。
庭野:働き方改革は多様性とマッチすると思うんですね。バリバリの365日働き続ける男性は少数派になっていて、育児や介護をしている人もいます。均一な男の人たちじゃなく、多様な誰でも働きやすい、効率がいい働き方になっていけば、結果として業績が上がったという例が結構あります。
アメリカ企業では今後、表面上DE&Iが後退しそうですが、日本はどうするのか。誰もが生きやすい社会というのはみんなのためになるし、結果的には企業が儲かることにつながるかもしれません。
安藤:つながりますね。