イランの次期指導者モジタバ師とは 強硬派の権力掌握確実に
新たな最高指導者にハメネイ師の次男モジタバ師 イラン
(CNN) 米軍とイスラエル軍の攻撃で2月28日に殺害されたイランのアリ・ハメネイ師の次男、モジタバ・ハメネイ師が「専門家会議」(定数88)によって最高指導者に指名された。父のハメネイ師は同職を40年近く務めた。
数百万人のイラン国民が国王の統治を終わらせようと街頭に繰り出した1979年、父から子への権力継承の慣習は終止符が打たれたかに見えた。しかし、そうはならなかった。
トランプ米大統領は先週、モジタバ師が後継者に指名されることは「受け入れられない」と発言していた。
69年生まれのモジタバ師は、他の兄弟たちと同様に宗教教育を受けたものの、多くの政権支持派が最高指導者に必須と考えるイスラム法学の最高位ムジュタヒドの位には就かなかった。
モジタバ師は長年、目立たない存在だったが、陰では父の政権下における広大な官僚機構の中心人物だった。イランの精鋭「イスラム革命防衛隊(IRGC)」や、その体制を支える経済ネットワークと密接な関係を築いていたのだ。
イランの観測筋から見れば、高官職に就いていなくともモジタバ師の影響力は明らかだった。近年のモジタバ師は父の事務所で働き、後継候補としての地位を固めていった。2021年には首都テヘランの街頭で支持者らがモジタバ師を次期指導者として宣伝するポスターを公然とばらまく写真がSNSに投稿された。
数百万人のイラン国民がアフマディネジャド大統領(当時)の再選を不正選挙とみなし抗議デモを展開した09年ころには、モジタバ師が単に最高指導者の息子であるだけでなく、自身も政治活動家であることが明らかになっていた。この蜂起は残忍に鎮圧され、真の国内改革運動の終焉(しゅうえん)の始まりを告げるものとなった。
米財務省は19年、モジタバ師がIRGCの司令官と緊密に協力して父親の「地域を不安定化させる野望と抑圧的な国内政策」を推進したと非難。制裁を科した。
イランがより民主的な未来に向かうという希望は打ち砕かれるかもしれない。モジタバ師の昇格は、イランの強硬派指導者らが望む政権の方向性を明確に打ち出すメッセージだからだ。
モジタバ師に行政経験はなく、主要な組織や団体を率いたこともない。全面戦争による荒廃以前から、イランが直面している数々の社会・経済・文化、そして政治の課題について公の場で発言したこともほとんどない。さらに、同師の世界観は父のもとで形作られたものだ。