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デートに行ったのがバレる摩美々の話/Novel by ほっぽい

デートに行ったのがバレる摩美々の話

6,773 character(s)13 mins

摩美々可愛いね…………

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ああでもない。こうでもない。そうでもない。どうでもない。
聞こえるか聞こえないか、そんな小さな声で呟いて。心配をかけないようにしてるのかそれとも逆なのかわかったものじゃない。
私的には構ってちゃんみたいに見えるけど、あれは完全に無意識でやってるんだと思う。プロデューサーがそういうことをしないって知ってるから。
とはいえ、あの独り言製造マシーンをこのままにしておくと面倒なことになるのは確実。霧子や結華辺りなら平気だろうけど恋鐘や咲耶に見つかったらそれはもう大変。
……そうなる前に私がなんとかしないといけないよねー。
「プロデューサー」
全くもって面倒で仕方ないけどこれを避けた方が面倒なことになるとわかっている以上、見て見ぬふりは出来ない。これはいわば先行投資。未来で楽をするために今ちょっとだけ面倒なことを処理するだけ。
プロデューサーのことが心配で落ち着かないとかどうして私には何も言ってくれないのとか思ってるわけじゃない。決して。
「あのー聞いてますかぁ?」
集中しているのか、周りに気を配れるほど心に余裕が無いのかは知らないけど担当アイドルが呼びかけているんだからちょっとぐらい反応してもいいんじゃないですかねー?
「……」
あんまりこういう直接的なことをしたくないが状況が状況だけに仕方ない。プロデューサーの肩越しに画面を覗き込む。……少しだけ見えたプロデューサーの横顔は険しい表情をしていて。
これは邪魔するしかないですねー。だって私は悪い子だから。
今作業しているところが重要そうじゃないのを確認して、そっと耳に息を吹きかける。
「ふー」
「おわっ!?……摩美々?」
「やっと気づきましたねー」
そうした瞬間、プロデューサーは背筋を伸ばしてこちらを見てくれる。状況があまり理解出来ていないのか、怒るよりも先にキョトンとした表情で見てくるのは少し珍しい。
「どうしたんだ?」
さっきまでの険しい表情はどこへやら。いつも私たちと話す時に見せるプロデューサーの表情へと変わる。だけどそこには疲れの色が見え隠れしていて。……やっぱり無理してそうだなぁ。
「今何してるんですかぁ?」
「見ての通りだよ。デスクワークってやつだ」
「へー」
……ここからどうやってプロデューサーの仕事を中断させようか。見た感じずっと休むことなく仕事をしているっぽいし、何かいいアクションは無いかな。
「あ」
「摩美々?」
「そういえば今週の土曜って空いてたりしますかー?」
「今週か?それなら大丈夫だけど……」
「それならちょっと買い物に付き合ってもらってもいいですかぁ?量が多くて私ひとりだとちょっと」
「それぐらいなら別にいいぞ」
「やったー。それじゃあ待ち合わせ場所とか決めるんで一旦仕事は休憩してもらってもいいですかねー」
「え?あ、ちょっ」
強引にそう決めるとプロデューサーをデスクから移動させる。これぐらい強引にしないと絶対に退かないってわかってるし。
「……」
「……摩美々?」
「なんでもないですよー」
そう言いながらプロデューサーの腕に抱きつき、ソファへと移動する。……わざわざ買い物に誘うなんて理由、使わなくても良かったかも。

重くもない荷物を部屋に置いてからベッドへと飛び込む。結局あの後予定を決めていたら恋鐘達がやってきて。プロデューサーが疲れてるだなんだと言う話になり、予定を決めるのはまた後日ということになった。
私なんかよりもストレートに伝えていた分、プロデューサーも理解が早くて。……これなら何も言わない方が良かったんじゃないかとすら思えてくる。でも私と話している間にあの死んだような目は治っていたし、プロデューサー的には助かった……のかな。よくわからないけど。
「はぁ……」
枕に顔を埋めながらため息を吐く。とにかく疲れた。プロデューサーと出かける約束を隠しながら恋鐘との会話をやり過ごすのもそうだし、疲れてるプロデューサーを労うだとかいう流れに巻き込まれるのも。
「……あれー?」
改めて考えてみるとわざわざ私とプロデューサーが一緒に出かける必要はもう無いんじゃない?だってあれは仕事が忙しそうでまともに休憩をしていないプロデューサーを強制的に休ませるための話題作りに過ぎない。それを達成した今、二人きりで出かける必要は無いんじゃない?むしろせっかくの休日を潰すことになってしまう。
「まー平気でしょー」
楽観的だとは自分でも思うけど、あんなにもゴタゴタとしていたら私との約束なんてプロデューサーも忘れてるはず。それに私から何も言わなければプロデューサーが思い出すこともないだろうし。
……ちょっとだけ残念な気持ちになるけど仕方ないことだと割り切る。
「……プロデューサーから?」
疲れとちょっとした残念な気持ちに身を任せて一眠りしようとするとスマホが通知音を鳴らす。画面を見てみればプロデューサーからのチェインが来たとの通知で。こんな時間にどうしたんだろう。
「あー……」
どうやら私の予想に反してプロデューサーは義理堅いタイプだったらしくて。有耶無耶にしようとしていた土曜日の話をあちらから持ちかけられてしまった。
「どう返そうかなぁ」
やっぱりなしでーって言うのも正直ありだとは思うけど、でも自分から誘っておいてそれはあまりにも理不尽というか自分勝手。となると……残された選択肢は受け入れるしかない。
「……」
何をしに行くかは伝えてあるから、問題は待ち合わせ時間と場所。駅前とかだとばったりみんなと遭遇とかも有り得る。別にやましいことをするつもりはないけど、それでもバレたりすると面倒なのは確実。かと言って離れた場所にするのも非効率だし、そこまでしたのに遭遇したらより一層の面倒なことになる。そうなると場所ではなくて時間で回避する方がいいかな。
朝早く……は私が嫌。休日に早起きとかプロデューサーだってしたくないだろうし。お昼頃だと人混みに隠れられるだろうけど、それと同時に遭遇率もグッと上がる。
……もしかしてバレないようにするの、詰んでない?
ひ、ひとまずプロデューサーは何時くらいがいいか聞いておこうかな。うん。それを聞いてから考えればいい。
そう思い待ち合わせ場所よりも先に時間を聞くと、ものの数分で返事が来る。そこに書いてあったのは、昼前がいいんじゃないかということ。
「えー……」
案の定というか当然というか。思っていた通りの答え過ぎて困ってしまう。プロデューサーも私と同じで気を使ってくれたんだろうけど、いっそのことあっちから朝早くがいいと言われた方が諦めもつくのに。
「…………なんとかなるでしょー」
もうあれこれ考えるのも面倒。当日なるようになればいい。自暴自棄的な思考に至った私は敢えて人通りの多い場所を待ち合わせ場所にし、当日を迎えることにした。

「……もう朝ー?」
自分でセットした目覚ましの音で目を覚ます。もう少し寝ていたいけど、今日ばかりはそうもいかない。
「はぁ……」
遂にこの日が来てしまった。ほんのちょっとの善意から始まってしまった約束。後になって引き返そうとしても引き返すことが出来なかったイベント。
「まだ金曜日だったりしないー?」
それはそれで嫌だけど。でもデート紛いのことをするぐらいなら心の準備が出来るまでは金曜日でいいとすら思えてきた。
しかし現実は残酷で。スマホの画面にはしっかりと約束した土曜日の表示と、私が設定しておいたリマインダーが逃げ道を塞いでくる。
「流石にないよねー」
どうしようもないとはわかっていたけど未だに心の準備が出来ていないのも事実で。プロデューサーからドタキャンの連絡が来ないか期待していたりする。まぁそんなことはありえないケド。
「……起きよー」
自分に言い聞かせるようにしてベッドから出る。生憎と今日は普段よりも暖かいのかベッドから出ても身を震わせることはなくて。だんだんと春が近づいてきたことを実感する。
ベッドから出た私は予め準備していたいくつかの服に手を伸ばしながら何を着ようか選ぶ。一応天気予報も見ておこう。暑ければ脱げばいいけど、寒い場合はそうもいかないから。
「一日中晴れ……」
どうやら今日から本格的に暖かくなるらしく、厚着をしないでも大丈夫とのこと。天気予報と自分の直感を信じて選んだ服をベッドの上に置いてから洗面所へと向かった。
洗顔や朝食、メイクなんかを終わらせて再び選んだ服を確認する。朝起きた時は問題無いと思っていても時間を空けたら変だった、なんてこともある。
別に事務所に行ってから現場に行くぐらいならそれでもいいけど……今日は違う。普段からプロデューサーは私の私服を見ているけど、今日はちょっとだけ特別な雰囲気を出したい。
……プロデューサーには伝わらないだろうケド。
「んー……大丈夫かなー」
寝る前、朝起きた時、そして今。三回確認して問題無いと思ったのなら平気でしょ。
髪型は普段と違って真っ直ぐ下ろしたまま。この方が帽子の中に収納して私ってことがバレないし、何よりも楽。それにわざとらしく個性を主張しなくてもプロデューサーは私のことを見つけてくれるし。
鏡の前で身だしなみを整えて忘れ物の確認も済ませる。……多分これで大丈夫。気にし始めたら無限に時間が必要だからキリのいいところで切り上げ、玄関へと向かいお気に入りの靴を履く。これで準備はオッケー。
「行ってきまーす」
朝起きた時の憂鬱さはどこへやら。今は楽しみな気持ちの方が上になっている。外が暖かいからなのか、それともプロデューサーの私服が楽しみなのか。……どっちでもいいかな。
待ち合わせ場所は家からそう遠くない。だからもう少し家でゆっくりしていても平気だったけど、それだときっと落ち着かないと思ったから早めに家を出た。
それに休みの日までプロデューサーからお小言を言われたくないし。逆に早く私が着いてプロデューサーに言い返してやろう。
「……えー」
なんて思いながら待ち合わせ場所に向かうと……。
「ん、おはよう摩美々」
そこには既にプロデューサーが待っていた。いや、早すぎじゃない?

いや、流石に待つのが早すぎない?私が待ち合わせ場所に着いた時間は予定よりも二十分も早い。これでもちょっと遅いかもって思っていたらそんな私よりも先にプロデューサーは待っていた。
流石のプロデューサーもこういう時はスーツじゃなくて私服なんだ。なんて感想を抱いたり。
「……おはようございますー」
「元気ないな。どうかしたか?」
「ちょうど今元気が無くなったところなので大丈夫ですー」
「え?」
せっかく待たされる側の気持ちを経験しようとしたのにこれじゃ台無し。唯一救われたというか助かったのはいつ来るのかとドキドキしなくて済んだくらい。
「何時くらいに来たんですかー?」
「ついさっきだよ。ほとんど摩美々と変わらないくらいかな」
「だいぶ早い到着ですねー。ふふー、もしかして摩美々と出かけるのがそんなに楽しみだったんですかぁ?」
「ははっ、そうかもしれないな」
プロデューサーをからかってみるけどあっさりと受け流される。……そういう反応が一番困るんですケド。それに私も同じような時間に来ているんだし、それに対してツッコミを入れてくれないと今日が楽しみな二人が待ち合わせしたみたいになってしまう。
……プロデューサーがどうかは知らないけど、少なくとも私は楽しみにしていたから間違いではない。でもそんなことは口が裂けても言えない。
「……じゃあ行きましょー」
「了解」
これ以上会話をしたら私の方がダメージが多いと判断して早々に会話を切り上げることに。
「それで買い物って何を買うんだ?」
「ふふー、それは着いてからのお楽しみでー」
「……なんか怖いな」
そういえばそんな理由で呼び出したんだっけ。正直二人きりで出かけるということのインパクトが強くてすっかりと忘れていた。
私個人の買い物なんて通販サイトを使えばそれで済む話。直接見に行くのはサイズを確かめたりするぐらい。そうなると今日の予定は……プロデューサーの服選びとかにしようかな。
それなら私ひとりでは出来ないことだし。
「一件目はここでーす」
「……ここって男物の服が売っている場所にじゃないのか?」
一件目は平気だろうと思ったけど早速警戒されてしまった。でもまだ何をされるか気づいていないみたいだしセーフ。バレても別に問題ないとはいえ、やっぱりドッキリみたいな形でやりたいし。
「まーまー気にしないでー」
「ま、摩美々!?背中を押さないでくれ……!」
「早く入らないとお店の邪魔になるんでー」
そう言いながら強引にプロデューサーを店内へと運んで行く。男性用の服がある店ならそんなに抵抗しなくてもいいのに。面白い反応をされるとつい女性用の下着を売っている店に連れて行きたくなるからやめて欲しい。
「なぁ、摩美々」
「じっとしててもらえますー?」
「……はい」
店内を物色してプロデューサーに似合いそうな服をいくつか見繕っては並べて確認する。正直な話、プロデューサーは背丈も高いし顔立ちも整ってるから何着ても似合うけど、せっかくの機会だし私好みの服装をしてもらおうかなーって。
「ふふー」
「……楽しそうだな」
「それはもうー」
それから何店舗も回ってプロデューサーの服を選んだ。何故かプロデューサーはゲッソリとしていたけどきっと気のせい。

プロデューサーを着せ替え人形にして楽しんだ休日。自分の中でも充実していたのか、普段なら陰鬱な月曜日の朝もすんなりと起きることが出来た。
「ん〜……!」
なんだかプロデューサーは終始文句を言っていた気がするけど別に私は嘘をついてなんかいない。買い物に行ったのも本当だし、荷物持ちが必要だったのも事実。それが私の買い物かプロデューサーの買い物かの差なだけ。プロデューサーの服を私が持つのはおかしいでしょ?
……なんていう自分に都合の良い言い訳を瞬時に思いつけて助かった。流石に目的もなく呼び出したとバレたら今後誘いに乗ってくれなくなる可能性もあったから。
それに運良く知り合いと会うこともなかったから私たちがボロを出さない限り二人きりで出かけたことは誰にもわからないはず。わざわざ私が言うことはないから、気をつけるべきはプロデューサーだけ。
……そう思うと心配になってきたんですケド。
「よいしょっと」
嫌な考えを振り払うようにベッドから飛び降りてカーテンを開ける。窓の外は雲ひとつない青空が広がっていた。今日も厚着はしなくて大丈夫そう。
「おはようございますー」
「おはよう摩美々」
「おはようまみみん。今日も気だるげだね〜」
事務所に着くと私よりも先に結華が来ていたらしく、ソファに座りながらヒラヒラと手を振ってくる。
「今日もって言い方酷くないー?」
「おっと。まみみん的にはいつもの方が良かったかな?」
「それ訂正になってないからー」
普段通りのやり取り。もしかしたら私が気づいてないだけであの日のことがバレてしまったりするんじゃないかと思っていたけど杞憂だったらしい。
「恋鐘達はー?」
「ちょっと遅れるみたい。まあ遅れると言うよりも三峰達が早く来ただけだと思うけどね」
「ふーん」
今日は珍しく五人での仕事が入っていたから一旦事務所に集合しようって話だったから遅れないようにしたんだけど……少し早かったらしい。というか今回も誰かに先を越されてない?別に争ってないから気にはしてないケド。
「あ、摩美々」
「なんですかー」
「そういえば土曜日に摩美々が選んでくれた服なんだけどさ」
「……ほう?」
何の話かと思って普通に返事をしたらとんでもない爆弾を投下された。いや、それ今話す必要ないんじゃない?
「まーみみん」
「……なにー?」
「三峰、まみみん達が土曜日に何してたのか気になるな〜」
「別に何もしてないケド」
面倒なことになると思っていたけどまさかよりにもよって結華にバレるとは思ってなかった。多分あの四人の中で一番面倒なことになる気がする……。
「本当〜?三峰が出かけようって言ったら予定があるって断った癖に〜?」
「……黙秘権を行使しまーす」
「あ!それはズルい!」
結華とやいのやいの言いながらプロデューサーの方をじっと睨みつけると、プロデューサーは申し訳なさそうな表情をしながら苦笑いしていた。

Comments

  • 社畜

    この後Pの着せ替え第2弾が始まるんですねわかります

    March 5, 2022
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