看護師を養成する医師会立の看護学校が、学生減で苦境に立たされている。佐賀県内には6校あり、定員に対して入学者数が平均で6割にとどまっている。地域医療を担う人材を長年輩出してきたが、春には鹿島藤津地区の1校が閉校する。関係者は「いずれ看護師不足を招き、地域医療が成り立たなくなる」と気をもんでいる。
看護師を養成する医師会立の看護学校が、学生減で苦境に立たされている。佐賀県内には6校あり、定員に対して入学者数が平均で6割にとどまっている。地域医療を担う人材を長年輩出してきたが、春には鹿島藤津地区の1校が閉校する。関係者は「いずれ看護師不足を招き、地域医療が成り立たなくなる」と気をもんでいる。
国の調査や各校への取材によると、県内の医師会立看護学校の1学年の定員は、2025年度が合計390人(准看護師課程5校230人、看護師課程4校160人)。入学者は合計253人(同139人、同114人)で、充足率は全体で64・87%。定員を満たす学校は両課程とも1校ずつしかなかった。
直近5年で見ると、21年度の充足率は93・13%だった。当時の定員は合計480人(同6校280人、同4校200人)で、この間に定員を減らした学校が3校あり、定数の減少率以上に入学者が減っている。
鹿島藤津地区医師会立看護高等専修学校(鹿島市)は、今春で閉校する。1963(昭和38)年の開校以来、2千人近い准看護師を輩出してきたが、「入学者の確保に困難な状況が持続していた」という。佐賀市医師会立看護専門学校は来年度、准看護師課程の定員を半減して40人にする。
医師会立看護学校の卒業生の多くが、地域医療の担い手となっている。昨年、唐津市の医療系NPOが地元の医療機関にアンケートを実施した。看護職全体に占める唐津看護専門学校の卒業生の割合は、62%(准看護師73%、看護師58%)に上る。
同校も近年、定員割れが顕著で、唐津東松浦医師会の中村晃子(てるこ)理事(50)は「看護学校に進んでいた学生が看護の大学に進むようになった。大学に進学すると地元に戻らない。この先、地域医療が維持できるのか」と苦慮する。進学需要や少子化に加え、コロナ禍を経て看護職を希望する学生も減っているという。
県医務課医療人材政策室は、医師会立の看護学校に関し「県内就職率が高く、県の医療に大きな貢献をいただいている」との認識を示す。一方、大学や学校法人の専門学校も定員割れしていて「医師会立だけが厳しいわけではなく、看護職の確保は全国的な課題」という。県は人材確保や県内就職を促すため、若者に看護職の魅力を伝えるイベントや看護合同就職説明会を開催している。
県医師会の美川優子常任理事(58)は「地域で育てて地域に残す仕組みが崩れ始めている。県も一緒に今ある学校を支えてもらい、少ない学生でも継続できる形が取れれば」と提起する。具体的にはオンライン講義など学校間の連携、場合によっては統合の検討も必要とし、「ただこうした効率化が看護職を佐賀市中心部に偏らせる方向になってはならない。どこに送り出すかの視点が欠かせない」と県全体を見渡した対応策を探る。(宮﨑勝)




