紛らわしい名前だけどTesla「サイバーキャブ」と「ロボタクシー」はまったく別物

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紛らわしい名前だけどTesla「サイバーキャブ」と「ロボタクシー」はまったく別物
Photo: VanderWolf Images/ Shutterstock.com

イーロン・マスク氏が率いるTesla(テスラ)が、この4月からサイバーキャブの生産を始めると、2月中旬にマスク氏がXで発表しています。が、この発表で「???」と思った人は少なくないはず。

Teslaって、テキサス州オースティンで、すでに無人のロボタクシーをテスト運用してるんじゃなかったっけ?って。あれがサイバーキャブなんじゃないの?って。

何が違うの?

サイバーキャブとロボタクシーは似て非なるもの。

現在オースティンでテスト運用されている無人タクシーは、通称「ロボタクシー」。この「ロボタクシー」は固有名詞ではなく、一般的な呼び方です。実は、2025年にはマスク氏が「ロボタクシー」を商標登録しようとしたことがあるのですが、米国特許商標庁からダメって言われたっていう経緯もあります。

ロボタクシーとして使用されている車両は、Tesla Model Y。人間ドライバーは乗っていません(安全モニタリングスタッフは同乗)が、運転ハンドルもペダルもあるので、普通の車として人間が運転することもできます。

一方、この4月から生産を始めるとのマスク氏発言があったサイバーキャブは2024年に発表されたTeslaのコンセプトカー。ハンドルもペダルもない、人間は運転することができない車です。

そもそもマスク氏が紛らわしい名前をつけてしまった上に、発表会ではマスク氏自身がサイバーキャブとかロボタクシーとかロボバンとかロボットとか多くの言葉を語ったことでゴチャゴチャ感に拍車がかかり、結果として多くの人が混乱してしまったのではないでしょうか。

ロボタクシーの現状

2月13日にカリフォルニア州エネルギー委員会に提出された文書によれば、オースティンでTeslaがテストするロボタクシーは、人間による遠隔操作と安全モニタリングスタッフ同乗の上で、完全自動運転ソフトウェアによって操作される車です。

そして、マスク氏はWaymoをライバル視していますが、運用台数はまだまだ追いついていない上、事故件数では上をいくという残念な状況にあります。

電気自動車メディアのElectrekは、Teslaの自動運転ソフトウェアはまだ不完全であり、人間のドライバーよりも安全というミッションがクリアできないのであれば、完全無人での運用は危険だと指摘しています。

サイバーキャブの現状

マスク氏がサイバーキャブの4月生産スタートをポストしたのは、2月16日。その翌日には、Tesla公式Xがサイバーキャブ生産初号機と多数の社員たちの画像をポストしています。

が、このポストにはなんだか違和感が。サイバーキャブがほとんど見えないからです。なぜ、車両がもっとよく見える画像で積極的にアピールしないのでしょう。

これにはさまざまな予想が飛び交っており、ハンドルもペダルもないはずのサイバーキャブですが、ハンドルを残した妥協サイバーキャブになっているのでは?という見方も。実際に昨年、オースティンではハンドル付サイバーキャブが目撃されています。

しかし、1月の収支報告会では、マスク氏は相変わらず強気姿勢。この車が自動運転以外で走行することはないと言い切っていますが…。

ハンドルがない割り切り仕様は、自動運転車としてかなり強気。前述した通り、テスト中のロボタクシーは、あくまで運転手がいない普通の車なので、緊急時には人間による運転が可能です。

しかし、ハンドルがないサイバーキャブは緊急時にどうすればいいのでしょう…。リアウィンドウやサイドミラーもないので、人間が運転するのに適したデザインではありません。現段階では、この仕様の安全性に不安を覚える人も多く、仮に生産を開始したとしても消費者に受け入れられるかどうか…。

サイバーキャブの「所有」とは?

これまで、サイバーキャブが欲しい人は購入もしくはリースで所有できると説明されてきました。

ただ、これがちょっと複雑で、マスク氏の説明では、一般消費者がサイバーキャブを購入することは可能だが、Teslaのロボタクシープログラムに参加してもらって、オーナーが使っていない時はライドシェア車として使うなんて話もあります。サイバーカーではなく、サイバーキャブというネーミングになっているのは、ひょっとしてこのためでしょうか。

このあたりの詳細を含め、サイバーキャブの所有権が誰に帰属するのかといったことは一切明確には示されていません。

名前とマーケティング

似て非なるロボタクシーとサイバーキャブがごっちゃになって存在している現状ですが、これらのネーミングや呼称はさらに複雑化していく可能性もあります。というのも、ロボタクシー同様に、サイバーキャブも名称が一般的すぎるとして、商標登録許可が降りていないからです。

さらに、アメリカの一部の州では「キャブ」とか「タクシー」を名称として使用できない場合があるらしく、サイバーカーとかサイバーヴィークルとか名称が二転三転しそうな気配も。

また、なんでも発言したがり、特に拒否されたときはXで反論しまくるマスク氏が、サイバーキャブの商標登録についてあまり語らないのには他の理由もあるかもしれません…。その理由とは、人々が自動運転に対して抱くイメージ。

Teslaのロボタクシーの自動運転はレベル2。これは安全監視の同乗スタッフが必要な段階であり、カリフォルニア州法では人間のモニタリングが必要な場合は自動運転にはあたりません。ちなみに、ライバルであるWaymoの自動運転はレベル4。

Electrekはここを指摘し、ロボタクシーやサイバーキャブという言葉を使うのは、実態よりも進化したイメージを消費者に持ってもらうことを狙った、フル自動運転感を醸し出すマーケティングだろうと論じています。

なるほど、ありそうですよね。名前の力って強いですから。

マスク氏あるある

話は戻って、4月に生産スタートと伝えられているTeslaのサイバーキャブが本当に現実になるのがいつなのかは正直わかりません。なぜか。イーロン・マスク氏だからです。

彼の語るタイムラインは、こうなったらいいなという理想の話であることは、毎度のこととしてすでに周知の事実。

振り返れば2010年頃には、マスク氏はLoopというハイパー地下交通システムのコンセプトを発表。時速150マイルという超高速で最大16人を運ぶ未来の交通手段という触れ込みでしたが、未だ実現せず。ラスベガスの地下にTeslaのイベントスペース的な乗り物をゆっくり走らせる場所ができただけでした。

二足歩行ロボットも同じ。実現はしたもののサイバートラックもかなり遅れましたし、当初の発表よりも50%ほど値上がりしての発売になりました。

2024年には3万ドルとマスク氏が語っていたサイバーキャブ。実際はいくらになるのか。いつ実現するのか。そもそも消費者向けに販売される日が来るのか。わからないことだらけですね。

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