冬休み特集:ョ%レ氏独占インタビュー
ョ%レ氏(以下レ氏):やあ。櫻井くん。
S編集:どうも。
レ氏:久しぶりだね。至って壮健のようで何よりだ。ここしばらくは忙しくてね、無沙汰してしまったことを心苦しく思うよ。
S編集:そうですか。
レ氏:モョ%モ氏についてだが。
S編集:新しく運営ディレクターに就任したモモ氏ですね。やはり今後はレ氏は総合プロデューサーとして全体を総括し彼女に広報を一任する形になるのでしょうか?
レ氏:いや。彼女は何かと周囲が騒がしい女性でね。表舞台に立つのはあまり望ましくないのだよ。つまりこれまで通り、このョ%レ氏が運営ディレクターと広報を兼ねることになる。
S編集:そうですか。
レ氏:櫻井くん。今日は随分と大人しいんだね。先回の夏休み特集ではとても仕事熱心だったように思うが。
S編集:はぁ。まぁ普段はこんなもんですよ。あの時は酒入ってたので。
レ氏:聞き捨てならないな。君は職務中にアルコールを摂取したのか?
S編集:あ〜……いえ。ノンアルコールです。
レ氏:早くも証言に矛盾があるようだが……。まぁいい。多少のことは大目に見るとしよう。君の立場は色々と微妙だからな。
S編集:微妙とは?
レ氏:余計なことはするなということさ。櫻井くん。例えば、君が出入りしているキャバクラにハード本体をうっかり忘れて行ったりね。そのハード本体を回収するために私は幾らか無茶をした。まぁ、あの程度の障害など私にとっては無いに等しいがね。大目に見るとしよう。
S編集:そうですか。まぁ俺も大分酔ってたんで。ありがとう、ございます?
レ氏:うむ。さて、今回のロングインタビューは冬休み特集ということだが。
S編集:冬休みまでまだ二週間あるんですけどね。デスク(S編集の上司)に急に呼び出されて、お前VIT高いからって。またこのパターンかよって。半ば諦めつつ。だから何も聞いてないんスよ。冬休み特集って何するんスか?
レ氏:それを決めるのが君の仕事だろう。君ね、櫻井くん。自然体で居るのは結構だが、自宅で寛ぐような姿勢で職務に臨むのはやめ給えよ。こら、スマホをいじるな。何をしている?
S編集:いえ……。質問コーナーですよね? 俺、このゲームにあんまり詳しくないんで。
レ氏:正気か? いや、君の新規ユーザーとそう変わらない視点は稀有なものかもしれないな。続け給え。
S編集:そうなんですよね。一応やってみようとはしたんですけど、なんかキャラクタークリエイト?が面倒臭くて。あれどうにかしたほうがいいっスよ。絶対に客逃してますって。あ、繋がりました。どうぞ。
レ氏:私だ。うむ。うむ。よかろう。把握した。
S編集:え。短くないスか? もっと色々と喋ってあげてくださいよ。
レ氏:そうは言うがね、櫻井くん。記事と生放送では趣きが異なる。君を通してということなら君の責任で済むが、社外秘の事柄を刊行前に電話口で話してしまうのは守秘義務に抵触するのだよ。
S編集:ああ、そういえば減給食らいました。
レ氏:だろう? それが真っ当な会社というものだ。
S編集:レイナちゃん(源氏名)何て言ってました?
レ氏:そうだな。ヒューマンにしては賢い女性だ。いつも質問が的確でこちらの事情を汲んでくれている。
S編集:俺のイチ推しですからね。自慢じゃないですけど、俺ね。新人の娘で。あ、この娘はトップ取るなって何となく分かるんですよ。
レ氏:その先見の明をどうにかして仕事に生かせないものか。悩ましいな。ともあれ、我が社の会長についてだ。
S編集:あ、本当に上司居るんスね。
レ氏:居るとも。一流の%は他人の都合で出世しない。その会長だが、現状をまったく理解していない櫻井くんに分かりやすく説明するとプレイヤーに扮して各サーバーに侵入している。
S編集:マジすか? 監査入ったんスか? ヤバいじゃないスか。
レ氏:ヤバいとは何事かね。君の中で私は何か後ろ暗いことに手を染めているのか?
S編集:後ろ暗いことやってない人に追っ手は差し向けられないでしょ。
レ氏:それとは別件だ。ユーザーの諸君。この場を借りて言っておくが、会長に情報の漏洩を期待しているなら諦め給え。あれは私と同じく一流の%だ。ヒューマン如きにどうにかできるなら苦労はせんよ。
S編集:うわ……。このタコさんウィンナーが他人を誉めてるの初めて聞いた。
レ氏:そのタコさんウィンナーとやらは私のことかね?
S編集:え? いえ、今日のコンビニ弁当に入ってたんで。
レ氏:だから何だと言うのだ。櫻井くん。少し黙っていなさい。君が経理に提出している領収書が少々怪しいことを私は把握している。……よし、黙ったな。それと最高指揮官についてだが、あれの狙いは私とモョ%モ氏だったことが判明している。
S編集:えっ、モモ氏ですか?
レ氏:私もだよ。櫻井くん。この私とモョ%モ氏の二人だ。より正確に言えば、そうすることで会長が全力で戦える条件を整えたようだ。あれは最高指揮官の中でも特殊でね。いわゆる「はぐれ」というやつだ。まぁ最高指揮官には多かれ少なかれそうした傾向がある。読んで字の如く、最上位の権限を持つ個体だ。あれを従えうる、より上位の指揮系統が存在しないのだよ。行動選択の蓄積によって個性のようなものが備わっていく。
S編集:はぁ。偉いんですね。三国志の曹操みたいなもんですか?
レ氏:三国志を例にこれというのは難しいな。まず生態からして異なる。
S編集:あ、メール来ました。アリサちゃん(源氏名)からです。えっと、宇宙がヤバいって本当ですか?
レ氏:答えよう。このョ%レ氏を甘く見るな、ヒューマンめ。一流の%は最高指揮官と互角以上に渡り合える。それが最低限の条件だ。私は会長に頼らずともあれを撃退する自信があった。事が事だ。できもしないことをできるなどと言うものか。
S編集:クリスマスどうします?
レ氏:櫻井くん。いささか唐突ではあるが、ようやく君の口から仕事の話を聞けたよ。感無量だね。
S編集:いえ、プライベートの。去年はドンペリ開けたじゃないスか。今年のサンタコパ(サンタのタコパーティーの略?)はどうするのかなって。
レ氏:櫻井くん。今年のサンタコパ(サンタコスのパーティーの略?)は忙しくなるぞ。
S編集:えっ。ピンク(ドンペリピンク?)っすか!?
レ氏:ピンクか……。一考の余地はあるな。
S編集:熱いなオイ! ちょっと仕事片してきますわ!(席を立って走って部屋を出て行く)
レ氏:……行ったか。熱心なことだね。いつもああならいいんだが。さて、私も行くか。準備があるのでね。(静かに退室していく)
これは、とあるVRMMOの物語。
Xデーまで残すところ13日……。
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