2026-03-10

男には分からない

男性はたぶん、性加害者とはみんな性加害者的な見た目や挙動をするものだ、と思っている。

から自分の友人や知人が性加害をしていようが全然気づかなかったりするし、自分の加害性にすら気づかない。

痴漢盗撮したことない自分を「まともな男性」と思っていたりする。

コンビニ男子トイレの数が少なかったり、ブリクラ機の男子のみの利用を禁止されたり、女性専用車存在などに対して、逆差別だの性差別だの、男という大きい主語でひとくくりにするなだの、そんなことを平気で言う。

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中学3年生のときモバゲーにハマっていた。

学校友達や会ったことない人達と、2ちゃんねる的なノリでやりとりするのが最高に楽しかった。

高校入試が終わった頃だと思う。

ふと、モバゲーで1週間だけ女性のフリをしようと思い立った。

今はどうなのかわからないが、当時のモバゲーでは初期設定で性別を決めると二度と変更できず、当然アバター性別も変更できなかった。

僕は男性で設定していたので、髪型服装も男物しか選べなかったのだが、どうにか中性的アイテムをかき集め、沖縄女子中学生を演じる自己紹介文をギャル文字で仕上げた。

モバゲー上の友人達には「男アバターで男が釣れるのか実験しまーすwww」みたいなことを水面下で言っていたので、みんな面白がってギャル文字コメントをくれたりしていた。

実験の結果はすぐに現れた。

県内外の知らない男性から、驚くほど次々とメッセージが届いた。

年代らしき男子や、20代30代の大人達(大人モバゲーやるんだとその時に知った)からメル友になりたいからアド教えてだの、会おうだの遊びに行こうだの、様々なメッセージが嫌というほど届いた。

中には「エッチしよう」みたいな内容もあった。

驚愕の1週間だった。

女性達が普段からこんな気持ち悪い目線に晒されていること、男性というものがこんなに気持ち悪い存在だったこと、その気持ち悪さを同じ男性自分が全く知らなかったこと、そのすべてが衝撃だった。

それまでは、盗撮で捕まった男性ニュースなどを見ても、どこか現実味を感じていなかった。

少なくとも自分女性盗撮などしたことがないし、友達にもそんな奴は多分いない。盗撮をしちゃうようなバカな男は世界のどこかに存在するのだろうが、それは本当にごく一部の男性であって、自分には全く関係ない、と思っていた。

でも、女性達に平気で性欲をぶつける男性達は、身近にめちゃくちゃいるのだと気づいた。

しかもそれは対象女性との関係性に基づかず、まるで通り魔のように、女性というだけで当然のように攻撃してくる。

そしておそらく、本人達はそれが攻撃だという自覚すらない。

男性達は皆、「女性は押せばゲットできる」「数打ちゃ当たる」的な恋愛/ナンパ/セックス神話をどこかのタイミングで共有されるので、モバゲーメッセージもその手段ひとつしか思っていなかったのだろう。

アバターで釣れた男達は、触れるどころか見るのも気持ち悪くて、こちらを食べてきそうな凶暴な魚だった。

モバゲーの友人達を笑わせたくて始めた実験が、僕が笑えないまま幕を閉じた。

本当に、驚愕の1週間だった。

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詳細は伏せるが、割と仲の良い知人男性が、未成年女性に手を出して捕まったことがあった。

から見た彼は、面倒見が良くて、話し方と笑顔が柔らかくて、誰とでも分け隔てなく喋れる、コミュニケーション能力の高い男性だった。

妻子もいた。

そんなことをする人間だとは到底思えなかった。

男性でいる以上、ほかの男性達がどんな加害性を持っているか、見極めるのはすごく難しいと思う。

だけど多分、女性にとってそれは容易なのかもしれない。

なぜなら、男性達は勝手に、女性達の前で痴態を晒してくるのだからしかも他の男性達にはバレないように。

そして僕自身自覚してない加害性は存分にあると思う。

あの時の自分発言、めちゃくちゃセクハラじゃん…と後から気づいたことが何度も何度もある。

僕は盗撮したことがない。知らない女性メッセージを送ったこともない。

だけど、そんなクソキモ男性達が不自由なく暮らせる男性優位社会構成する一員ではある。

女性へのハラスメント可能にしている、何らかの構成要素のひとつでもある。

女性への性加害をやめようと声をかけたいが、誰にどう言えばいいのかわからない、情けない男性のひとりでもある。

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男という大きい主語でひとくくりに批判するな、と、男性達は平気で言う。

だけど、男という主語は、女性達をとりまく性加害の問題に対して、大きすぎることなく、むしろものすごくフィットする。

僕らは男という主語でひとくくりに批判されるべきだ。

僕らひとりひとりが、女性からしっかり警戒されるべきだ。

身の回り男性達を見て誰がどのくらい問題なのか、そして自分はどうなのか、そんなことすらジャッジできないんだから

1番仲の良い男性友達や、尊敬する男性の先輩や上司を思い浮かべることは誰でもできるだろうが、その人達女性に性加害的な行動をとることを想像できる男性は、果たしてどのくらいいるのだろうか。

彼らの加害が発覚したときに、彼らを真正からちゃん批判できる男性は、果たしてどのくらいいるのだろうか。

あの時、沖縄女子中学生という設定だった僕を狙った魚達は、いまもこの広大な海を埋め尽くすように泳いでいるのだろう。

全員釣りあげてもう泳げないようにすべきか、女性達にこの海に近づかないように声をかけるべきか、よくわからないままだ。

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