秘儀

神神化身 二次創作 夜鷺


比鷺成人済。

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開花舞殿の控え室は、深い闇に沈んでいた。

大祝宴を翌日に控え、灯りはすべて落とされ、唯一の光源は障子越しに差し込む月光だけ。淡い青白い光が畳の上に細長く伸び、部屋の隅々まで影を落としている。空気は冷たく、重厚な扉の中では、かすかに線香の残り香が漂う。外からは、遠くの虫の音と、時折風に揺れる木々の葉ずれが聞こえてくる。

比鷺は眠れず、散歩のつもりでここへ来たはずだった。

だが、萬燈夜帳に見つかった瞬間、萬燈は比鷺を壁際に押しつけ、ゆっくりと体を寄せた。

比鷺の背中が、冷たい壁に触れる。着物の生地が擦れる微かな音が、静寂の中でやけに大きく響く。萬燈の黒い瞳が、月光を反射して銀色に光る。普段の穏やかな仮面が剥がれ、底知れぬ熱を帯びた視線が、比鷺を捕らえる。萬燈の指先が、比鷺の首筋をゆっくりとなぞる。

化身の痣がない場所なのに、皮膚の下で熱が渦を巻く。比鷺の喉が動き、細い息が漏れる——はあっ、と小さく、湿った音。

比鷺の瞳が揺れる。長い睫毛が震え、月光に影を落とす。

「このような場所で……」

声は掠れ、ほとんど囁きに近い。

比鷺の両手が、萬燈の胸を押そうとするが、力が入らない。指先が萬燈の着物の布地を掴むだけで精一杯だ。

「誰も来ない」

萬燈の声は低く、喉の奥から響く。普段の丁寧で穏やかな口調とは違う——抑揚が少なく、獲物を追い詰めるような響き。息が比鷺の耳にかかり、熱い。

萬燈の唇が、比鷺の鎖骨に触れる。柔らかく、感触を知らしめるように。

比鷺の体がびくりと震え、手の甲の化身の痣が、月光の下で淡く光り始める。青白い光が脈打つように点滅し、疼きが全身に広がった。

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