毎年3月11日に福島県が開催している東日本大震災の追悼復興祈念式で読み上げられる内堀雅雄知事の式辞について、新聞やテレビで取り上げられた被災者の発言や情景描写の表現を被災者や報道機関への事前連絡を県がしないまま引用している。毎日新聞の取材に県が「報道を参考にした」と認めた。
知事本人が視察していないのにその場で話を聞いたかのような言い回しもあり、被災者や識者は「誤解を招く表現だ」「自分の言葉で語ってほしい」と指摘する。
県は取材に「著作権法上の『引用』には当たらず、事前の連絡や引用元の明示が求められるものではないと認識している」などと回答するが、他県では引用元の明示や事前承諾を得ている事例がある。
「声」盛り込み2倍に
式は福島市内で開かれ、遺族代表や首相らが参列し、地震発生時刻の午後2時46分に黙とうする。一部始終は動画で配信され、知事の式辞や遺族代表の言葉の全文は翌朝の地元紙に掲載される。
内堀知事は就任1年目の2015年から式辞を読む。当初は犠牲者への冥福を祈り、復興への決意を述べていたが、22年から東京電力福島第1原発事故被災地の個別のエピソードも盛り込むようになった。
23~25年は知事本人が視察していない行事やイベントについて触れ、その場にいた被災者の具体的な声も紹介している。式辞の分量は就任当初の2倍近い1200文字程度に増えた。
情景描写の表現も
25年の式辞は、県内で最も広大な帰還困難区域が残る浪江町津島地区で、前年秋に事故後初めて行われた試験栽培の稲刈りを取り上げた。
知事は視察していないが、次のように語った。
「『津島の田んぼならみんなに会える』…
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