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稲場圭信先生(大阪大学大学院教授)防災士、専門社会調査士、専門宗教文化士。利他主義、地域資源(寺社等宗教施設と学校)と科学技術による減災がテーマ。日本最大の避難所情報、未来共生災害救援マップ(災救マップ)開発・運営
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稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 02】 私の知的環境は、MS-DOS時代の「VZエディター」から始まった。 テキストと対話することに特化したその軽快さこそが、思索の速度を妨げない「正義」だった。grepでディレクトリの深部からファイルを探り当てるプロセスは、まるで自分の頭脳をマシンに延長していくかのようだった。 同時に、アナログの知的体系にも深く親しんでいた。京大式カード、野帳、KJ法……。外山滋比古『思考の整理学』、梅棹忠夫『知的生産の技術』、野口悠紀雄『「超」整理法』。これらは当時、一種の「思想書」であり、私はその理念を実験的に実践する一人だった。 情報を扱うとは、道具と方法をめぐる哲学を持つことだったのだ。 振り返れば、この時代に学んだのは「プレーンテキスト」という概念の根源的な強靭さだ。装飾も階層も要らない、純粋な文字の羅列。それは、後に知がネットワーク化していく時代への前奏曲のようでもあった。 リンクという概念が現れる前、ファイルは階層の闇に沈み込むしかなかった。それでも、あの頃のシンプルな環境が、今(Obsidian)につながる思考の基礎を育ててくれた。 #いなば博士の知的生産の方法 #知的生産 #Obsidian --- 第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-18 17:27:57
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 02】 私の知的環境は、MS-DOS時代の「VZエディター」から始まった。 テキストと対話することに特化したその軽快さこそが、思索の速度を妨げない「正義」だった。grepでディレクトリの深部からファイルを探り当てるプロセスは、まるで自分の頭脳をマシンに延長していくかのようだった。 同時に、アナログの知的体系にも深く親しんでいた。京大式カード、野帳、KJ法……。外山滋比古『思考の整理学』、梅棹忠夫『知的生産の技術』、野口悠紀雄『「超」整理法』。これらは当時、一種の「思想書」であり、私はその理念を実験的に実践する一人だった。 情報を扱うとは、道具と方法をめぐる哲学を持つことだったのだ。 振り返れば、この時代に学んだのは「プレーンテキスト」という概念の根源的な強靭さだ。装飾も階層も要らない、純粋な文字の羅列。それは、後に知がネットワーク化していく時代への前奏曲のようでもあった。 リンクという概念が現れる前、ファイルは階層の闇に沈み込むしかなかった。それでも、あの頃のシンプルな環境が、今(Obsidian)につながる思考の基礎を育ててくれた。 #いなば博士の知的生産の方法 #知的生産 #Obsidian --- 第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-18 17:27:57
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 03】 1995年、Windowsの登場で世界が一変した。 私が移行したのは「秀丸エディタ」。圧倒的なカスタマイズの自由さと、強力なマクロ機能に魅了された。 以来、一太郎&ATOK、MS Word、各種IME・・・。あらゆる道具を、自分の手足のように馴染ませるべくカスタマイズを繰り返した。当時は、自分の使いやすいように「道具を磨くこと」に膨大な時間を費やしていた。 今思えば、道具への愛着は重要だが、同時に「設定すること」自体が目的化する罠(手段の目的化)にも陥っていた。 本来の目的である「書く時間」よりも、設定をいじっている時間の方が長かったかもしれない。設定の沼だった・・・。 しかし、その試行錯誤こそが、情報の「手触り」を理解し、自分なりの知的生産の型を作るための必要なコストでもあったのだ。 #いなば博士の知的生産の方法 #秀丸エディタ #Windows95 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-19 18:03:07
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 04】 情報の「重さ」と「居場所」をめぐる戦い。 最初は3.5インチのフロッピーディスクだった。わずか1.44MBの限界。その後、100MBという当時の私には無限にも思えた大容量「ZIP」が登場した時の感動は、今も忘れられない。情報の蓄積は、常に物理的な「場所」の制約との戦いだった。 当時は「どのディスクに何を入れたか」という、物理的な管理が欠かせなかった。バックアップをとること、それ自体が知的生産における最大の「仕事」だったのだ。 それが今やクラウド時代。私たちは物理的な場所を意識することはなくなった。しかし、課題が消えたわけではない。問題は「どこにあるか」から「どう取り出すか」という、純粋な「検索性」の問題へと形を変えて残り続けている。 溢れる情報の海から、いかに目的の知を掬い上げるか。 それは文献管理においても同じだ。EndNoteから、無名だが使い勝手のよい無料ソフト、そして現在はZoteroへ。私のツール変遷は、単なる流行の追随ではなく、常に「知の検索性」を追い求める旅でもあった。 #いなば博士の知的生産の方法 #ZIPディスク #Zotero #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-20 21:27:21
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 05】 「紙」という物理的な重圧からの解放。2003年、ScanSnapの導入は私の研究室における革命だった。 溢れかえる論文、資料、抜き刷り・・・。それらを次々とスキャナーへ送り込み、OCRをかけ文字認識、PDFという名のデジタルな光へと変換していく。当時は「すべてをデジタル化しさえすれば、知の迷宮から抜け出せる」と信じて疑わなかった。 いわゆる「自炊」の夜明け。ペーパーレス化への挑戦。 しかし、数年後に私を待ち受けていたのは、別の絶望だった。 「保存」は完了しても、結局「活用」されないPDFの巨大な墓場を築いただけだったのだ。 OCRの精度を過信し、検索をかければいつでも取り出せると安心していた。だが、自分の思考を通さず、ただ機械的に蓄積された情報は、時間の経過とともに鮮度を失っていく。 情報は、ただ溜め込むだけでは「知」にはならない。使われなければ、デジタルデータもまた腐敗するのだと、この時痛感した。 #いなば博士の知的生産の方法 #ScanSnap #自炊 #ペーパーレス --- 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-21 17:46:44
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 06】 「場所」の制約からの完全なる解放。2011年、SugarSyncとの出会いは、私の研究環境を根本から変えた。USBメモリを持ち歩き、最新版のファイルがどれか分からなくなる「同期の迷宮」からの脱出だった。 どのPCを開いても、魔法のように同じデスクトップ環境が再現される。その万能感に、当時は深く感動した。 しかし、利便性の裏で、ある本質を見落としていたことに気づく。クラウドが解決したのは、あくまでファイルの「物理的な配置」の不一致に過ぎなかったのだ。 ファイルが同期されても、その中身である「知識」が互いに繋がり、結合されたわけではない。フォルダの中に整然と並ぶファイルたちは、依然として孤立した「島」のままだった。 現在、私はDropbox、OneDrive、Googleドライブを目的別に使い分けている。しかし、それらはあくまで高度化した「器」に過ぎない。 情報をどこに置くかではなく、情報をいかに編み上げるか。次なる問いは、ファイルの「同期」の先にある、知の「統合」へと向かっていった。 #いなば博士の知的生産の方法 #SugarSync #クラウド #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-22 18:15:28
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 07】 「すべてを記憶する」、その甘美な誘惑メッセージ。 2011年、私はEvernoteという「第2の脳」の夢に心酔した。Webクリップ、名刺、論文の抜き書き・・・。あらゆる情報の断片を、一つの器へ注ぎ込み続けた。 検索さえすれば、すべてがそこにある。その「全能感」こそが知的生産の要だと信じて疑わなかった。 しかし、蓄積が加速するほど、現実は理想から遠ざかっていった。 器はいつしか、秩序を失った「デジタルゴミ箱」へと変貌していたのだ。 情報が増えるほど動作は重厚さを増し、かつて輝きを放っていたメモは、新しいデータの底へと沈み、埋もれていく。 私は「保存」という行為そのものに満足し、知を「醸成」することを忘れていた。 ただ溜め込むだけの記録は、時として思考を停止させる。 「記憶」の先にある「思考」へと辿り着くには、単なる巨大な器以上の何かが必要だったのだ。 #いなば博士の知的生産の方法 #Evernote #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-23 19:51:24
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 08】 このメモは「アイデア」か、それとも「読書記録」か? かつて私は、完璧な分類体系(フォルダ構造)を築くことこそが、思考の整理に直結すると信じていた。Evernoteのノートブックを細分化し、情報を整然と並べることに心血を注いだ。 しかし、そこで直面したのが「分類のパラドックス」だ。 あるメモが複数の属性を持つとき、どちらか一方のフォルダに閉じ込めることはできない。鳥のようでもあり獣のようでもある「コウモリ」をどこに分類すべきか迷う。いわゆる「コウモリ問題」に、私の思考はたびたび中断された。 情報を固定された「場所」に押し込めるほど、知は硬直化し、自由な発想の連鎖は断ち切られていく。 「整理すればするほど、探せなくなる」 フォルダという壁は、情報を守るどころか、情報の自由な結合を阻む障壁となっていたのだ。分類に迷う時間は、知的生産ではなく、単なる「管理」に過ぎなかったと気づくまでに、多くの時間を要した。 #いなば博士の知的生産の方法 #コウモリ問題 #整理術 #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-24 17:49:06
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 09】 「フォルダが機能しないなら、タグこそが救世主だ」、そう信じて、私は徹底的なタグ管理へと舵を切った。階層に縛られない自由な関連付け。タグさえ付与しておけば、情報はいつでも「芋づる式」に手繰り寄せられるはずだった。 しかし、待っていたのは新たな疲弊だった。 「メモ」、「Memo」、「備忘録」、「公益性」、「公共性」、「社会貢献」、「利他」、「思いやり」・・・。増え続けるタグの揺らぎ。 一つの情報にどのタグを貼るべきかという判断そのものに、貴重なリソースが奪われていく。タグ付けという作業が、いつしか思索を上回る重労働と化していた。 今振り返れば、当時の私が行っていたのは知的生産ではなく、不安を打ち消し、一時的な全能感を得るための「整理という名の儀式」に過ぎなかったのだ。 情報を静的なラベルで固定しても、知は躍動しない。 本当に必要だったのは、分類するためのラベルではなく、情報の間に流れる「動的な文脈」であったことに、私はまだ気づいていなかった。 #いなば博士の知的生産の方法 #知的生産の技術 #整理術 #Evernote --- 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-25 18:42:37
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 10】 「分類」という重力からの解放。 フォルダとタグの限界に突き当たっていた私が出会ったのが、Scrapbox(現Cosense)だった。 フォルダが存在しない。 この事実は、これまでの私の整理術を根底から覆す衝撃だった。Wikiのようにページ間をリンクで繋ぐ。ただそれだけのシンプルな仕組みが、死蔵されていた知の断片に命を吹き込んだ。 整理という儀式を捨てても、ページ下部には双方向リンクによって関連する情報が自然と浮上してくる。この時、私の中で決定的なパラダイムシフトが起きた。 情報は、決まった場所に「収納」するものではない。縦横無尽に「リンク」させ、ネットワーク化するものだったのだ。 ようやく私は、情報の「管理」という終わりのない重労働から解放され、情報の「結合」という本来の知的生産のスタートラインに立つことができた。 #いなば博士の知的生産の方法 #Scrapbox #Cosense #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-26 17:47:12
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 11】 文中のキーワードを [ ] で囲む。その一瞬の動作が、知の風景を一変させた。 Scrapbox(現Cosense)におけるリンクは、単なる参照ではない。それは、数年前に埋もれたはずのメモを、現在の思考の最前線へと引きずり出す「知の導線」だ。 過去の自分が残した断片が、今の着想と火花を散らすように結びつく。検索せずとも「向こうからやってくる」知の連鎖。このネットワーク的な体験こそが、知的生産の理想形だと確信した。 しかし、研究者として膨大なデータを蓄積していくうちに、拭いきれない懸念も生じ始めた。 それは「データの所在」への不安だ。クラウドに依存し、特定のプラットフォーム上にのみ知を預けることへの抵抗感。また、他のツールとの柔軟な連携や、より高度な構造化を求める私の欲望に対して、少しずつ摩擦を感じるようになった。 この「リンクの魔力」を維持したまま、いかにして自分の手元(ローカル)で知を統治するか。私の旅は、次なる理想の地を求めて再び動き出した。 共感したら、フォロー、いいね、リポストをお願いします。 #いなば博士の知的生産の方法 #Scrapbox #ナレッジマネジメント #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-27 19:22:20
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 12】 長い放浪の末、私はついに一つの「終着点」に辿り着いた。それが Obsidian だ。 決め手は、究極の「ローカルファースト」。クラウドという他者の手に知を委ねる不安を払拭し、すべてのデータを自分のPC内に保持できる安心感。そこに、Scrapboxで目覚めた「リンクの魔力」が共存していた。 移行当初は「また新しいツールか・・・」と半信半疑だった。しかし使い込むほどに、これが単なるツールではなく、思索のための「環境(エコシステム)」であることに気づかされる。 10年後、20年後も確実に読み返せるMarkdown形式。 それは、四半世紀前にVZエディターで学んだ「プレーンテキスト」の強靭さへの回帰でもあった。 独自のプラグインで拡張し、自分専用の知の迷宮を構築する。 情報を特定のプラットフォームに閉じ込めないこと。これこそが、研究者としての知的資産を守り、育てるための最適解だったのだ。 #いなば博士の知的生産の方法 #Obsidian #Markdown #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-02-28 20:12:57
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 14】 「フォルダを捨てる」。 それは、整理に執着してきた私にとって、最も「勇気」を要する決断だった。 Obsidianにはフォルダ機能がある。しかし、私はあえて過度な分類をしない「整理しないノート術」を実践している。かつての私は、美しく整った本棚のようなフォルダ構造こそが知の完成形だと信じて疑わなかった。 だが、今の私の「本棚」は、物理的な場所を持たない。 構造を規定するのはフォルダではなく、情報の間に張り巡らされた「リンク」だ。大事なのは「どこに置いたか」ではない。「何と繋がっているか」なのだ。 皮肉なことに、情報を固定された場所に閉じ込めない(整理しない)ほうが、知は柔軟に呼吸し、予期せぬ活用へと繋がっていく。強力な検索機能があれば、迷子になることもない。 分類という「管理のストレス」から解放された今、Obsidianは単なるツールを超え、日々の頼もしい相棒となっている。 #いなば博士の知的生産の方法 #Obsidian #断捨離 #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: [x.com/inabakeishin/s…](https://t.co/6CnftvHmNz

2026-03-02 17:28:03
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 15】 知の「司令塔」を、一箇所に定める。 毎日、その日の日付を冠した「デイリーノート」を1枚作る。かつて私は日記、タスク、メモを別々のアプリで管理し、情報の断片化に悩まされていた。しかし今は、この1枚のノートが1日のすべての起点となる。 浮かんでは消える着想も、目先のタスクも、読書の断片も、まずはデイリーノートという「時系列の川」へと迷わず流し込む。 重要なのは、そこからだ。流し込んだ情報の断片を、リンクによって個別のテーマ(ページ)へと切り出し、接続していく。これこそが、流れ去る「フロー」を、蓄積される「ストック」へと昇華させるプロセスだ。 「何を書くか」に迷う時間はもうない。 すべてを一度「川」に預け、そこから知のネットワークを編み上げていく。デイリーノートという母艦を得たことで、私の知的生産は、断続的な作業から、淀みのない「循環」へと進化した。 #いなば博士の知的生産の方法 #Obsidian #デイリーノート #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-03-03 18:22:14
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 16】 昨日の自分は、未来の自分への「最良のアドバイザー」になれる。 以前の私のメモは、書いた瞬間に満足し、そのまま忘却の彼方へ消えていく「死んだ記録」だった。しかしObsidianのテンプレート機能を使い、デイリーノートに「過去のメモ」や「ランダムな断片」が自動表示される仕組みを整えてから、景色が一変した。 毎朝、以前の自分が何を考えていたかが不意に目に入る。 忘れていた着想が、今の研究課題と火花を散らすように結びつく。この「記録」と「再会」をセットにすることで、断片的な情報は、確かな「知識」として自分の中に定着していく。 ノートを見返すことは、過去の自分と対話すること。 この静かな対話から一日を始めることが、今では欠かせない知の儀式となっている。 #いなば博士の知的生産の方法 #Obsidian #振り返り #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-03-04 21:02:33
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 17】 ノートは、一枚で完結する「紙」ではない。知の海を繋ぐ「結節点(ノード)」だ。 Obsidianの真骨頂は、[[ ]] で囲むだけの双方向リンクにある。かつてScrapboxで体感したあの快感が、今、自分のローカル環境で自在に再現されている。デイリーノートに書き留めた断片をブラケットで囲った瞬間、それは孤立したメモから、知のネットワークの一部へと変貌する。 かつての私は、ノートを「情報の収納場所」だと思っていた。しかし今は違う。ノートは思考の火花を散らすための「接続点」なのだ。 数年前に読んだ「論文A」の理論と、今日目にした「ニュースB」の断片が、私の思考というフィルターを通じて、一本のリンクで結ばれる。その時、既存の情報の組み合わせから、全く新しいアイデアが立ち上がってくる。 知的生産の本質は、情報を「貯める」ことではなく、情報の間に「関係性」を編み上げることにある。双方向リンクという魔法を手に入れたことで、私のObsidianは、単なる記録ツールから、自律的に思考を深めてくれる「共創のパートナー」へと進化した。 #いなば博士の知的生産の方法 #Obsidian #アイデア発想 #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-03-05 20:22:32
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 18】 グラフビューで思考を俯瞰する. Obsidianには、ノートのつながりを星空のように可視化する「グラフビュー」がある。 自分の知識の全体像など、想像するしかなかった。しかし、Obsidianで自分の脳内が可視化される。「この分野とこの分野が意外に近いぞ?」という発見。俯瞰することで、研究の欠けているピース、「盲点となっているつながり」が見えてくる 。 #いなば博士の知的生産の方法 #可視化 #脳内地図 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-03-06 21:18:57
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 19】 読書は単なる「消費」ではない。もちろん、読む楽しみもある。そして、私にとって特に重要なのは、知の資産へと変換するプロセスだ。 かつての私の読書は、読みっぱなしで終わっていたことが多かった。重要だと思った箇所に付箋を貼っても、本を閉じればその記憶は霧散し、付箋の場所さえ忘れてしまう。しかし今、Kindle UnlimitedとObsidianを連携させたシステムが、その停滞を打ち破った。 Kindleでのハイライトは、コマンド一つで自動的にObsidianへと同期され、即座に「ノート」へと昇華される。そこに自らの言葉で思索を追記する。この一連の流れが、単なる読書を「一生モノの資産」へと変えていく。 一方、紙の書籍との付き合い方も劇的に進化した。 付箋を貼った重要箇所を、読後に高速でレビューする。そして必要な箇所だけを、ページ数と共に「音声入力」で吹き込む。その音声を生成AIで精緻に文字起こしし、Obsidianに格納する。 タイプするという重労働から解放され、思考の純度を高めることだけに集中できるようになった。デジタルとアナログ、そしてAIが融合したとき、私の読書は「忘却との戦い」から「知の拡張」へと、そのステージを変えたのだ。 #いなば博士の知的生産の方法 #Kindle #Obsidian #読書術 #生成AI 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-03-07 19:41:27
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 20】 論文は、小さな「原子」の衝突から生まれる。 社会学者ニクラス・ルーマンが提唱した「Zettelkasten(ツェッテルカステン)」。1枚のカードに1つのアイデアだけを記すこの手法は、デジタル時代の今、Obsidianという最高の器を得て真価を発揮している。 かつての私は、京大式カードや野帳、KJ法に親しみつつも、いざ執筆となると真っ白な画面を前に立ち尽くしていた。しかし、今は違う。 日々の思索を「原子」のような小さな独立したメモに分解し、それらを双方向リンクで緩やかに繋いでいく。すると、ある瞬間、個別の断片たちが自己組織化を始め、気づけば論文、アイディアの骨子が、向こうから浮かび上がってくる。 「小さく書いて、大きく育てる」 書くことは、苦行ではない。育てた知の欠片を、パズルのように組み上げていく歓びだ。アナログの知恵とデジタルの融通無碍な結合。 このルーマンの思想こそが、私の執筆活動を劇的に軽やかにしてくれた。 #いなば博士の知的生産の方法 #Obsidian #Zettelkasten #論文執筆 #ルーマン

2026-03-08 22:13:40
稲場圭信@大阪大学大学院教授(人間科学研究科、共生学) @inabakeishin

【いなば博士の知的生産の方法:遅々たる歩み 21】 文献管理は、研究者の「命」であり、同時に最大の「苦行」でもある。 かつての私は、論文PDFをダウンロードしては、ファイル名を著者名と年号にリネームし、幾重にも重なるフォルダの奥底へ手動で格納していた。その管理コストは膨大で、本来の目的である「読むこと」に辿り着く前に、思考のエネルギーを使い果たしていたのだ。 しかし今、私の手元には Zotero という最強の執事がいる。 Chrome拡張機能の「Zotero Connector」で、ブラウザ上の論文をワンクリック保存。それだけで、書誌情報からPDFまでが瞬時にライブラリへ吸い込まれる。さらに「Attanger」プラグインを組み合わせることで、PDFのリネームも、クラウドストレージとの同期も、すべてが全自動で行われる。 管理の手間を「ゼロ」に近づけること。 それは、情報の「所有」に執着するのをやめ、情報の「摂取」と「血肉化」に全神経を注ぐための決断だ。不毛なリネーム作業から解き放たれたとき、私の研究時間は、ようやく真の意味で「思索のための時間」へと回帰した。 #いなば博士の知的生産の方法 #Zotero #文献管理 #研究術 #知的生産の技術 連載の第1回はこちら: x.com/inabakeishin/s…

2026-03-09 18:59:36
まとめたひと
斉藤大法 Daiho Saito(Buddhist Priest・Psychiatrist) @whidaiho

僧侶・精神科医・カウンセラー。難病に苦しんだのち医学の道へ、さらに仏教の僧侶となる。唱題プラクティス(唱題行)を中心に、カンボジアや日本で社会的諸問題に取り組んできました。カウンセリングや、唱題プラクティスへの参加ご希望の方は、要唱寺のウェブサイトをご覧下さい。お問い合わせ、ご相談なども気兼ねなくご連絡下さい。

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    ティルティンティノントゥン@tiltintninontun

    8bit パソコンの初期、ワープロソフトを何買うか悩んでいたら「お前は書いて印刷するだけだろ?いろいろ凝らないんだろ?エディタでじゅうぶんじゃん」って言われた。けど印刷ページが昇順だといちいち手間がかかる、降順印刷もできるP1-EXE にした。

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