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其れは、泣きたくなるほどの祈りにて Side:Blue/Novel by なぁぎ

其れは、泣きたくなるほどの祈りにて Side:Blue

2,240 character(s)4 mins

サンプルですよー!   7月14日、王の器6にて発行します。 連載中の 其れは、泣きたくなる程の祈りにて【side:Indigo】 の別バージョン、セタンタ(ショタ槍)×弓、槍弓バージョンになっております。言切と弓+切の親子要素もあるよ!  
■其れは、泣きたくなるほどの祈りにて Side:Blue A5/P52/小説 J-17「ponket!」にて。槍弓スペースではなく切嗣受けスペースになりますのでご注意下さい。この他に、切嗣受け本(但し槍弓臭が漂っています)「きりこん!」、剣+オルタ剣切コピー本「ずるいひと」、ちみっこ無料配布「ちみっこぴーぼん」等を配布予定です。  
 ■取り置きも承っておりますので、ご用命の方はメッセージやツイッターなどでつついて下さればと思います。

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後半部分冒頭より抜粋。


 木々に陽を遮られて、森の中は日中だというのに薄暗い。辺りに漂う雰囲気は、そこがよからぬものの存在に冒されていると知らせている。
 辺りの様子を油断せずに探っていたアーチャーが、魔の気配に振り向きざま剣を振るえば、あっさりと霧散していく黒い影。今日だけで両手の指に余るほどに屠ったそれを見下ろして、アーチャーは軽く舌打ちをした。
「ここまで汚染が酷いとはな」
 呟き、視線を森の奥へと向ける。森の中心部からかなり離れた場所での現象に、事態の悪さが想像できた。
 渋い顔になるアーチャーの横手から、先刻と同じように何かが現れる。しかしアーチャーは今度はそれに振り向かず、それどころか剣を向けることすらしない。
 現れたのは、長い青髪を一つに纏めた、白い顔に赤い瞳の、もう成長期も終わろうかという少年。まだ薄いがしなやかな筋肉の付いた腕に持つのは、複雑な文様の刻まれた赤い槍だ。
「アーチャー」
 少年の呼びかけに、アーチャーは視線を逸らさず問い返す。赤い外套が風に僅かに揺れた。
「どうだった?」
「不幸中の幸い、だな」
 手にした槍を肩に軽く担ぎ直し、それだけを言った少年にアーチャーはもう一度、禍々しい気配を放つ森の中央部を睨み付け、少年を振り返った。
「一端退こう、セタンタ」


 アルスターの領地にある霊地の森。
 そこで異常が確認されたのは、半月ほど前のことだった。
 霊地では魔が発生しやすく、放っておけば発生した魔により霊地そのものが不浄のものに汚されてしまう。故に、定期的に見回り、魔を払う必要があるのだが、アルスターのこの霊地ではそれは季節毎、三ヶ月に一度の頻度で行われていた。
 前回の見回りは一月前。通常、一月で魔が溜まることは考えられない。しかし、連絡を受けたアーチャーとセタンタが駆けつけた時には既に、通常であれば健やかに夏の光を受け輝いている筈の木々は色を失い、その葉を散らしていた。
 通常であれば起こるはずの無い汚染。その原因を推測するならば、やはり外部のものによる犯行の可能性が高いと調べた結果、意外にもあっさりと犯人の目星はついた。
 都を騒がしていた連続猟奇殺人、その犯人がアルスター方面へと逃亡した後、死体となって川で発見された。発見された場所が都近辺だったので事件は都の警察が処理をしたが、その川の上流はアルスター領、霊地の森を通っており、しかも男の死因は溺死ではなく失血死だったという。
 男が何を思いどのように死んだのかは知る術もないが、霊地の汚染の原因は高確率で男だろうとセタンタ達は結論付けた。そうして一応ではあるが原因の特定を済ませ、本格的な調査も今日で一段落し、明日からは本格的な浄化に入る。

 アルスター邸に戻ったセタンタ達は、森の地図を広げて汚染の範囲を確認していく。昼間、アーチャーが居たところから反対側を指してセタンタが報告した。
「反対側は特に問題なかった。多分、微妙に中心地からずれたところでやりやがったんだろうな」
 本当に中心地が汚染されていれば、汚れは同心円状に広がっていくはずだ。だが、調べたところ森の反対側は汚染されておらず、霊地の中央部からやや外れた地点から、力の流れに乗るように扇状に広がっている。
「ルーン石の結界はどの程度の範囲で張ってある?」
「ここと、ここと、ここを起点に正三角形に張った。ルーンの他に小精霊の目も置いてきたから、異変があれば直ぐ分かる」
 汚染を広げないための結界を張った範囲と仕掛けを聞いて、アーチャーは上出来だ、とセタンタを褒めた。
「ふん、オレもいつまでもガキじゃねえんだぜアーチャー」
「そうやって口にするようではまだまだだな君も。だが、成長しているのは認めよう」
 地図に数値を書き込みながらアーチャーが言う。契約を結んだ当初はほんの子どもだったセタンタは、十八になった今ではもうアーチャーと肩を並べそうなくらい大きくなり、学業も武芸も魔術も大きく飛躍した。数ヶ月後には正式に当主の跡継ぎとして承認され、ランサーの名を嗣ぐことが決まっている。
「惚れ直したか?」
「たわけ」
 ニヤニヤしながら問われた言葉を叩き落とし、アーチャーはペンを置いてセタンタに地図を指し示す。出来上がったそれを一別したセタンタの顔が真剣なものになった。
「思ってたより深いとこまでいってんな。ただの汚れでここまでなるか?」
「十中八九、不浄なもので汚しただけではないだろうな。何かの呪いや生け贄の儀を行った可能性が高いだろう」
「呪い!? じゃあ、普通に魔物を退治して土地の浄化作用に任せるってのは」
 無理だろうなというアーチャーの言葉に、セタンタは天を仰いだ。本来、多少の汚れであれば魔を退治してしまえば、あとはその土地の持つ浄化作用により自然と元に戻る。しかし、それが呪いなどより強力で質の悪い汚れになるとそうもいかない。魔を退治した後に土地の浄化が必要になるのだ。
「この辺で浄化の出来る奴ってーと……」
 基本的に浄化の力は、神に仕える神官などの持つ力である。この国では古来よりドルイドと呼ばれる僧がその役目を担っていたが、自然と共に生きる彼らは今ではその数を随分と減らしていた。替わりに台頭しているのは。
「アーチャー、教会に救援を要請することになるぜ」

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