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美容師兄貴と女子高生弓子の話/Novel by あさか

美容師兄貴と女子高生弓子の話

13,701 character(s)27 mins

 何番煎じか分からないけど美容師兄貴と女子高生弓子ネタ。仕事の引継マニュアルが思うように作成出来ずにカッとなってやった。反省はしているが後悔はしていない。けど引継マニュアルが出来たら消そうこれさすがに推敲無しとか正気に戻ったらしねる。槍弓というより槍と弓の出会い編?出来上がる前、互いに気になり始めた辺り?それはそうとして光の御子は夏至生まれだと言う事は百も承知ですがそれは一時的に神棚にお供えして見なかったふりをいたしまして、3月末生まれの弓より一週間遅れの4月頭に槍の誕生日があって、幼稚園にしろ小学校にしろ中学校にしろ高校にしろ弓が1年早く就学することに毎回駄々をこねて「たかが一週間の差で学年が違うとか納得いかねー」とぶすくれるショタ兄貴が見れる幼馴染み槍弓どこかに落ちてませんか。若しくは恋愛感情全く無しで「溜まってるからヤらせろー」「その場合、私が受けるメリットはなにかね」「えー、気持ち良くしてやるぜ」「身体への負担が大きすぎる。却下」なんて会話が日常茶飯事の幼馴染み槍弓(♀)とかも読みたいです誰か書いて下さいお願いします。/表紙はこちらよりお借りしています。illust/33071782

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 手入れの行き届いた指先が頭皮を適度な力で擦り血流を促し、汚れと共に凝りを洗い流していく。たっぷりとした量のシャンプーが泡立てられて弾けるシュワシュワと言う音が耳元を心地よく擽り、熱めのお湯が洗い流してゆくのが堪らなく気持ち良い。静かな店内に流れる上品でゆったりとしたリズムのBGMと相俟って軽い睡魔に誘われる。
 これだけは、この美容院を紹介してくれた友人に素直に感謝すべきだ。
 とろとろと、ともすれば融けて形を失いそうな意識の片隅でそんなことを思う。
 元々清潔で不快感を与えない身形であれば他は気にする必要がないと思っているエミヤである。当然のように髪も見苦しく無く纏めてあれば委細を構うことはせず、洗髪しっぱなし乾かしっぱなしが常で、整え纏めるために櫛を入れる事はあっても手入れなど思いの及ばないことであった。そんなエミヤだから散髪も当然のように自分で行っており、切りっぱなしでケアを行わない結果の積み重ねが毛先の荒れとなり髪質の劣化とともに現れていた。だが、もともとが強(こわ)い髪質であったためか人が眉をしかめるような櫛通りの悪さや手で梳いた時の不快感などもエミヤは気にすることなく、幼い頃からの習慣に従って自分で整えていた。
 のだが。
 そんなエミヤに一言物申したのは高校に入ってから出来た友人だった。
 丘の上の洋館に住む彼女は何もかもがエミヤとは正反対で、いつでも頭のてっぺんから指の先まで手入れの行き届いた完璧な装いをしていて、学校中の男子生徒は勿論のこと、面倒見の良い性格もあって女子生徒からも人気を集めている。そんな中、大勢居る彼女と親しくなりたいと思っている生徒ではなく、たいした接点もない自分が何故彼女と親しくなれているのか、時折エミヤは疑問に思うが、それを彼女にぶつけても「あら、私が気に入ったというだけじゃ不満なの?」と流されてしまいエミヤが納得できる答えは返ってきたためしがない。
 そんな彼女とショッピングモールのある新都へ買い物へ出かけた折、休憩で入ったカフェでの会話がきっかけで生まれて初めてエミヤは美容室という場所へ足を踏み入れる事になったのだ。
「いらっしゃいませ。……って、なんだ嬢ちゃんか」
「あら、なんだとはご挨拶ね。そんな口をきくなら、もう二度と来てやらないわよ」
「そりゃ勘弁してくれ。あんたが来てくれないと、張り合いが無くなる」
「そう思ってるなら、お客に対してあんな口を叩くものじゃないわね。ぞんさいに扱われてると受け取られたら二度と来てくれなくなるわよ」
「嬢ちゃんだから軽口を言ったとは思ってくれないわけね。今後のためにも肝に銘じておきましょ」
「そうしてちょうだい。私だって一度は見逃せても二度目以降はわからないんだから」
 こ洒落たドアを開けた途端、友人と店員の間でぽんぽんと飛び交う会話について行けず、エミヤの眼が丸くなる。学校ではミス・パーフェクトと呼ばれ完璧な優等生という言葉を体現する少女であるが、その実、結構我の強い性格をしている。学内で彼女がかぶっている猫は完璧でエミヤとてこうも学校外で会う機会が多くならなければ、今でもお淑やかな少女だと認識していただろう。だが、こうも遠慮のない会話を年上の相手と交わせる程だとはついぞ知らなかった。
 エミヤにしてみると、目上の相手に対するにはどうも礼儀から外れているように思われる言葉も、相手は笑って許容している事から、少女と会話の相手の付き合いがそれなりに有る事を窺わせた。
 だが、私はどうしたらいいのだろうか?
 何の説明も無く半ば引きずられるように強引に連れてこられたエミヤは、その存在を忘れたかのように店員との会話に興じる少女の背後で立ちつくすしか出来なかった。
 扉を開けた途端に漂ってきた微かな薬品臭が混じる柔らかな香りに戸口から窺える店内の様子、戸口脇に掲示されている看板のメニューから、この店が世間では美容室と呼ばれる場所だという事は分かる。
 分からないのは、何故自分がここに連れてこられたか、だ。
 つい先程、散髪は自分で行っていると確かに彼女に伝えた筈で、だからエミヤには美容室で果たさなければならない用がない。一生縁がないと思っていた場所に連れてこられても困惑が深まるばかりでちっとも馴染む事が出来ない。
 愉しげに続く会話に口を挟む隙間など無いが、どうにかして少女に自分には場違いだと伝えなければ。そしてここまで連れてきてくれた少女には申し訳ないが、部外者の自分は席を外すべきだと意思表示しなくては。
 場の空気を壊すのは忍びないが、いつまでもこのままでいて良いはずが無い。エミヤがそう決意してなるべく会話の邪魔にならないタイミングで辞去を伝えようと、一向に薄れない居心地の悪さを胸に納めて二人の会話に耳を澄ませ始めたその時。
「んで、本日はどういったご用で?嬢ちゃんは先週来たばかりだし、いつものじゃねえよな」
「ああ今日は私の用じゃないの。見て欲しいのはこの子よ」
 この子、という言葉と共にエミヤの背が押される。
「え?ちょっと、凛っ!」
 思いがけないタイミングで話を振られてぎょっとした。慌てて傍らの少女へと視線を向ければ、にっこりと笑う少女が視界一杯に広がる。思わぬ近さに軽く仰け反り、肩を押して距離を取ろうとするが、何故か少女はずずいと近づいて、頭半分ほど上にあるエミヤを睨め付けた。顔は笑っているのに眼が笑っていない。
 顔形の良い美少女が極上の笑顔を湛えているのにそれが表面だけというのがここまで迫力のあるものだったとは。
 それなりに重ねた付き合いから、少女が怒っている事を察して口を紡ぐ。
 宥めようにも何に対して少女が腹を立てているのか、さっぱり心当たりが無い身としてはどんな言葉が効果的なのかも分からない。
 今日一日分の自分の言動を振り返っても特に怒らせるような事はしていない筈―――。
「聞いてちょうだい、クー・フーリン!この子ったら、髪は普通のハサミで自分で切って、その上手入れも何もかもやったことが無いって言うのよ!!」
「はあ、そりゃまたなんていうか……すげえな」
 生まれてから今までずっと?一度も?というか、普通のハサミってなんだ?俺は賛成出来ないが、散髪用のハサミも市販されてるのに普通のハサミ?あの紙やらガムテープやらを切る事を主目的としたハサミで髪を切っているだって?
 どこか呆然とした風で事実を確認しようとする言葉に、うっすらと頬に血が昇るのを自覚する。
「な、凛!!幾ら君でもこんな場所で何を言い出すんだ!!!」
 エミヤだってこのことを誰彼構わず吹聴している訳ではないし、プライベートをこんな見ず知らずの赤の他人に暴露されて喜ぶような露悪趣味も持っていない。
 一般常識から外れ気味にあるエミヤとてそのぐらいの羞恥心は持ち合わせていた。
「良いからエミヤは黙ってて。年頃の女の子がお洒落に興味がないってのも由々しき事態だけど、自分の身体の手入れ一つもしたことがないって方が今は大問題よ!!」
「幾ら君でも、私の事に口を出す権利は無いだろう!?」
「あのねぇ、私だって無差別に他人の事にいちいち構う気はないわよ。だけど限度ってものがあってね。貴女の場合、最低限すら行おうとしないじゃない。私の友人がそんな状態に疑問を持たないっていうのを見過ごせますか!!」
 エミヤにはさっぱり分からない謎の使命感に燃える眼差しが反論は許さないとエミヤの口を封じてしまう。
 それでも何か言わなくてはと思うのだが、今の少女に何を言っても逆効果になりかねない事は機微への鈍さに定評のあるエミヤにも察することが出来て、何を言えば少女の翻意を促せるのかが分からない。
「ふーん。元は良いのにもったいねえ話だ」
 思いがけず近くから聞こえてきた声にはっとして視線を向ければ、いつの間に近づいたのかエミヤの髪を手にとってしげしげと観察する男がいた。常に接しているから移ったのか、男の身体から店に漂うのと同じ匂いが香る。
「な、何を」
「何って、嬢ちゃんの注文はお前さんの髪をどうにかしろってことだろう?ならどうするか決めるためにも髪のチェックはしないとな」
 この店では客の許可を取る前に、こんな事をするのか。そう言って背の半ばまである髪を弄る男の手を払って踵を返して立ち去る。
 訳も分からず連れてこられた先で不愉快な対応をされた客の反応としてはこれしかないだろう。
 実際、そうしかけて―――、エミヤの足はその場に縫い止められた。
 傍らを陣取る友人ががっちりと腕を掴んで離さなかった事もある。初見の客に対するには馴れ馴れしすぎる対応に不快を覚えたとはいえ、それを理由にこちらも同程度の態度を取ってやり返す程度の低さに躊躇いを覚えたという理由もある。
 だが、その紅の瞳が。
 最上級の輝石もかくやと思われる、活力に満ちた紅の双眸がひたりとエミヤに据えられていて。
 その輝きがエミヤを射すくめた。
 人が好きなのだろう。宿す光には暖かみすら感じられるのに、両足が、体が、腕が、何故か呪縛されたように動けない。
「私は承諾していない」
 もつれる舌をなんとか動かして、勝手に話が進む事に意義を差し挟む。口に出す気もないし決して口にすることはないが、お節介が過ぎる少女の性格を少々恨めしく思う。
 エミヤの事など放っておいてくれればいいのに、育ちの良い彼女はそれが罪悪だとでも思っているのか、事前の想定以上に踏み込んできて好き勝手に掻き回していってしまう。
 その事に戸惑いはあっても不快はなかったから今までそのままにしてきたのだが、流石にこんな事を何度も繰り返されるようでは堪ったものではなかった。
 ここらで釘を刺しておかなければ、果てしなく友人に付き合わされる事になる。そんな被害妄想めいた予感が脳裏をよぎり、エミヤにしては珍しく断固とした声で否やを唱える。
 唱えたつもりだったのだが。
「とは言ってもなぁ」
「お金の事なら心配しなくていいわよ。今日は私のおごりよ」
「と、スポンサー様は仰ってるわけだ」
 諦めろと明るく輝く紅玉瞳が語っている。
「そんな、君に甘える訳には……!」
 そういうつもりで言ったわけではないと慌てて更なる否定を重ねるが、強引さも憎めない個性と成している少女に敵う訳が無く、あっさりといなされる。
「人の厚意を無碍にするものじゃないわ」
 ぐいぐいと背中を押されて、その場に留まろうとする物理慣性との相克の結果、大方の人間と同じ事態に陥った。
 即ち、蹈鞴を踏んで上体が空中を泳ぐ―――。
「っと、大丈夫か?」
 バランスを崩して倒れかけた身体を直ぐ側にいた店員の男に支えられて咄嗟に顔を上げる。
「っ!」
 心配そうに向けられる視界の中に自分の姿が映っている事を認めて、慌てて顔を伏せた。
「大丈夫ですから……」
 もごもごと口の中で呟いた言葉はちゃんと相手に伝わっただろうか。
 見かけよりも逞しい腕の感触だとか、女子高生とはいえ平均よりも身長があり、それに伴い体重もあるエミヤの身体を支えて小揺るぎもしない、見上げなければ視線が合わない長身の体躯だとか、鼻先を擽る蒼い髪とそこから匂う香りの存在だとか、諸々を改めて突きつけられた所為か、先程とは違う意味で何故か頬に血が昇っていた。
「すまなかった」
 しっかりと自分の足で立って、相手の腕を外せたときはほっとした。迷惑をかけた事は確かなので頭を下げれば、そんなに畏まる必要は無いという言葉が降ってくる。
 だが初対面の人間に対して取るべき行動を考えればそんな事は出来ず、しかし私はとエミヤが躊躇する間にもこちらだと誘導される。
「んじゃ、まずはこっちの椅子に座ってくれ」
 了承した覚えは無いのに実に当たり前のように示され、後ろからは無言の圧力を感じて進退窮まったエミヤは。
「よろしくお願いします」
 16年の人生で初めて、美容室の椅子に腰掛けたのであった。
 これがエミヤとこの美容室との出会い。
 その後、詳しく髪の状態を見たクー・フーリンを、この年の女の子がこれはないと世間の常識半分プロ根性半分で嘆かせた、量と長さだけはあった髪はばっさりと切られ―――エミヤが髪型に拘りを持っていなかった事と、ここまで傷んだ髪を補修していくよりは一度リセットかけた方が早いし効率的だし経済的だから女子高生の財布にも優しいだろうと言う判断が合わさった結果である―――お嬢ちゃんぐらいに整った顔立ちならショートの方が、それもベリーショートの方が似合うだろうと言われて「さっぱり分からないから任せる。見苦しくなくしてくれれば良い」と返して友人の呆れ顔と店員の更なる嘆きを誘ったのは笑い話になるだろうか。
 そして今。
「痒いところはないか?」
 定型の問いかけに首を振ろうとして作業の妨げになる可能性に思い至り声を出す。
「大丈夫だ」
 それにふと笑ったような空気のざわめきが伝わってきて何か失敗をしただろうかと、エミヤは薄布の下で僅かに眉を寄せた。この店に定期的に来るようになって半年弱。片手の指の本数を超えるか超えないかといった回数訪れているのだが、未だに勝手が分からず戸惑う事の方が多い。
 その気配が伝わったのだろう、今度ははっきりと苦笑する雰囲気が伝わってきてますますエミヤの眉が寄った。
「そんなに構える必要はねえよ」
 もっと気楽に、シートに身体を預けてなんなら寝てしまっても構わないんだと低い声で諭すように告げられて、難しい事を要求すると内心で嘆息する。
 それでも、ただ単に汚れを落とすだけではなく、血流とかリンパの流れなどを促すように適度な指圧を随所に加えて頭皮を揉みほぐされると、自然と全身から力が抜けるのだから人間の体と心の関係は不思議なものだ。
 家では敬遠しがちな熱い湯でシャンプーを濯がれるが、その熱さこそが心地よいと受け止める。忘れがちな耳の裏にも熱い湯のシャワーで柔らかく刺激され、何とも言えない気持ちよさを覚える。一通り流し終わったら、今度はリンスなのかトリートメントなのかそれとももっと別の何かなのか、こちらのことには疎いエミヤには判断が付かなかったが兎に角種類の違うものを使用してまた最初から同様の行程で刺激される。
 それを数度、飽きることない丁寧な手つきで繰り返す。
 満遍なく塗布し浸透させるためなのだろう。使うものが変わる都度、大きな手の平で少し冷たい感触の残るそれらを髪全体に馴染ませた後、額の生え際からこめかみへと細かく指先で擦り込まれ、そして首筋からうなじへと同じように小さく刺激される。
 作業のために首を持ち上げられる際には、エミヤは勿論頭を持ち上げて協力するが、そこに大きな手が首全体を支える為に添えられて耳の下辺りを滑らかな指で力強く押すように持たれて、その強さがマッサージ代わりとなって思考に軽い痺れにも似た感覚が全身に走った。
 エミヤの身体から日常生活には支障のないほど些細なストレスまでもが融け出していくようで、このひとときは密かなお気に入りの時間になっている。
 店主一人で切り盛りする小さな個人美容室は一度に一人の客と決めているのかいつ訪れても他の客の姿は無く、洗髪の間は場を持たせるための余計な会話も行われないから静かに時間が過ぎてゆく。ゆったりとした動作で行われる単調な作業の繰り返しに解され、変化の少ない空気に晒された知覚がゆっくりと感度を下げてゆく。とろりとした濃密な眠りの気配に絡め取られた意識が瞬きする間に沈み全てが遠くに去ってゆく。
 全く見知らぬと言う訳ではないが、この店がなければ接点の無い他人に身体の一部を弄られてここまで無防備になるなんて。
 湯の温かさと客に触れるからと手入れを怠らない指の滑らかな感触、全く淀みのない動き、男性であるからか自分では不可能な強さで適度に加えられる指圧。仄かに香るシトラス系をベースにしたトワレと男の体臭が混じった香り。それにゆったりと穏やかな店の雰囲気もある。
 この店に充ちる空気が与えられる時間が身体と意識の弛緩を誘い、それに逆らう事を思いつくことが無い。
 こんなに穏やかな時間はいつぶりだろうか。
 半ば以上融けだした思考が徐々に重く鈍くなってゆく事に抗えずエミヤは男の手が紡ぎあげる心地よさの導くままに意識を解かして眠りの縁へと落としていった。


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  • June 10, 2018
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