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【クロスオーバー企画/ウマ娘×アイドルマスターシャイニーカラーズ】トレセン学園へ長期出張に来たプロデューサーが経験した修羅場/Novel by トウカ

【クロスオーバー企画/ウマ娘×アイドルマスターシャイニーカラーズ】トレセン学園へ長期出張に来たプロデューサーが経験した修羅場

11,332 character(s)22 mins

【ウマ娘×アイドルマスターシャイニーカラーズ】

ある日、リアル友人と会話してたら「エアグルーヴと樋口円香で自分のこと取り合ってほしい」という流れになりまして(というか発言者は私なのですが)……。
こんなクロスオーバー小説を書きました。いや~修羅場ギャグって書くの難しいですね……。

ちなみに著者はシャニマスエアプです。二次創作イラストやゲーム画面のスクショでしか件のゲームを知りません。ただ、ああいう面倒くさい女性は好みです!!
尚、二人とも好感度ほぼマックスです。

キャラクターの解像度が低かったり、解釈違いなどありましたら申し訳ございません。
楽しんで頂ければ幸いです。

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 働きづめで過ごした長い長い一週間が終わり、やっとゆっくり過ごせる土日が来ることを――

 ――その瞬間まで彼は心から信じていた。

 いつも通りの彼の自宅――扉を開け、土間に足を踏み入れた彼が最初に見たのは、見覚えのある、というより見覚えしかない女性が二人。
 クリーム色の艶を振りまく清潔なフローリングの上で、どちらも敵意を隠さずに睨み合っていた。

 一方は物静かな雰囲気を纏ったウマ娘。通常の人間とは違う人体構造の一つである、頭部から伸びる二対のウマ耳はしかし、後ろへと垂れ下がっていた。
 不満を抱いていることの厳密なる証拠である。
 それだけではない。ここまで不機嫌でなければ涼やかな印象を与えるツリ目は、不機嫌によってであろう、眉間の筋肉を酷使させ目尻の角度を上げていた。
 通常であれば彼女の流麗な黒のボブカットと相まって大人びた美女を演出することが容易に想像できるその端正な相貌はしかし、先述の理由により冷酷な悪女を形作っていた。
 かたや、毛先にウェーブがかかった茶髪をかき分けながら、帰宅者である彼を一瞥する人間の女性。
歳は十代後半に差し掛かろうというところであろうか。
 落ち着き、というよりも達観や淡白――ともすれば憐憫といった領域に近い表情を張り付けながら、黙して相手の女性を見据える。
 妖艶さを振りまく彼女の目元の泣き黒子も、敵を威嚇、挑発するシンボルへと意味合いが変わっていた。

「……え?」

 数秒。脳が事態を理解出来ず、彼が吐き出したアウトプットはそんな素っ頓狂なセリフであった。


「貴様か。おかえり。今日もご苦労だった」
「ようやくお帰りですか。相変わらず仕事熱心ですね。ミスター・ワーカーホリック」
「いやいや!! え、ちょ……エアグルーヴ、と、円香、か……どうしてここに?」

 彼の質問への返答代わりに、そんなことより、と二人の声がハモる。

「……この女は誰だ?」
「……この方は誰ですか?」

 部屋の温度を数度は下げようか、というほどのプレッシャーを感じさせる声音だった。

「え、えっと……エアグルーヴ、こちらは樋口円香。俺の担当しているアイドルの一人だ。円香、一応君からも挨拶を……」
「……樋口円香です。初めまして」
「……」

 円香の自己紹介に、憮然とした態度でエアグルーヴは無言を貫いた。
 そんな剣呑な雰囲気に気圧されながらも、彼は負けじと言葉を続ける。

「そ、それから円香、そちらは俺の担当バ、エアグルーヴだ」
「……エアグルーヴだ。コイツには私のトレーナーとしてサポートを頼んでいる」

 エアグルーヴの言葉に表情一つ変えることなく沈黙すること数秒。
 抑揚がほとんど無い、淡白な口調で円香は言葉を紡ぎだした。 

トレーナー・・・・・さんですか。貴方の事だからどうせロクな食事をしていないだろうと思って来てあげたら……どうやらお邪魔だったようですね」

 元から彼に対して突き放した態度で接する彼女だが、いつも以上にその挨拶には冷たさが籠っていた。

「まどっ――違う、これは」
「取引先の女性にこんなことやらせてるなんて……相変わらず変態なんですね。……ああ、それとももうアイドルのプロデューサーは辞めてしまったんですか?」
「い、いや、辞めないよ! 俺は皆の担当プロデューサーなんだから!」

 そう、彼は283プロダクションという芸能事務所のプロデューサーであった。
 普段は所属するアイドルの現場への送迎や取ってきた仕事の割り振りや書類制作、監督やテレビのお偉いさんとの打ち合わせ、果ては事務所の清掃や備品の買い出しといった雑用まで、文字通り馬車馬のごとく働いている。
 そんな社畜と言っていいほどの彼がなぜウマ娘のトレーナーをしているのか。
 この疑問を解明するためにはまず、少し前に立ち上がった283プロダクションとトレセン学園との合同ライブ企画の説明から述べるべきであろう。

 トレセン学園――
 正式名称は『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』
 トゥインクル・シリーズなどのレースで活躍を目指すウマ娘の学生が集まる、全寮制の中高一貫校。レースを見に来た観客の期待に応えるため、数多のウマ娘達が切磋琢磨し、名声と賞賛を得んと日々過酷なトレーニングに励む、トップレベルの教育機関である。
 学園発足から短くない年月が経っているが、ウマ娘たちによる激しい魂のぶつかり合いと熱いドラマが繰り広げられる数多のレースは、今でも観客を感動の渦に巻き込むほどの圧倒的な迫力と魅力を生み出し続けていた。

 だが、感動的なのはレースだけではない。
 レースの後に行われるウイニングライブ。これもまたレースに負けず劣らずの激しい盛り上がりを見せるパフォーマンスなのだ。
 そこに目を付けたこのプロデューサーは、早速先述の企画を立ち上げ、トレセン学園の秋川やよい理事長に接触。
 話を聞いたやよいはこの企画を快諾し、せっかくならばということで長期出張という形でトレセン学園を見学することになった。
 283プロとしても一緒に仕事をする組織を知るため、彼の"長期出張"を許可した。
 こうして、彼は学園近くにマンションを借り、主にトレセン学園にて仕事をする運びとなったのだが――

 如何せん、彼はトレセン学園においても優秀であった。
 283プロダクションで働いていた頃の仕事優先の気質が活かされてしまった、とでもいうのか。
 今まで競バなど関わったことが無いにも関わらず、熱心にこの業界のことを熟知していった。
 そんな熱意と意欲が評価されたのか、ある日突然やよいから「トレーナーになってみないか!」と誘いを受けることになった。
 最初は驚愕と困惑のあまりうまく返答できなかったが、本人のチャレンジ精神に火が付いたのか、程なくしてトレーナーと相成ったわけである。

 そして彼の担当バとして白羽の矢が立ったのが、エアグルーヴである。
 学園を見学していた彼を案内することで、多くの時間を共に過ごしたということで、適任であろうと選出されたのである。
 本来ならば生徒会長であるシンボリルドルフがこの仕事を行うべきだったのだが、彼女は生徒会長としての数多くの業務があり、それを慮った副会長のエアグルーヴが代行を行っていた、という次第である。

「ふっ、どうですかね。ここまで本気で――ましてやトレセン学園のウマ娘を自宅に迎え入れて家事をさせるだなんて……」
「家事は私がしたくてやっているだけだ。そこの男は関係ない」

 事の成り行きを見守っていたウマ娘――エアグルーヴが口を挟んでくる。

「そいつはトレーナーとしての仕事ぶりは優秀だが、私生活がまるでダメでな。こうしてたまに私が食事や部屋の掃除を行っているんだ。私の趣味みたいなものだし、なによりこの男のおかげでレースでもいい成績が残せているからな。僅かばかりの感謝の気持ちだ」
「相変わらず女の心に潜り込んで掌で転がすのがお得意なようで。ミスター・ジゴロ。というか、どうして貴方がトレーナーをやる必要が? この長期出張の目的ってトレセン学園のライブ視察が目的ですよね?」
「そ、それが……トレセン学園は慢性的なトレーナー不足に悩んでいるようで……たまたま調子の悪いウマ娘さんにアドバイスしていたら、秋川理事長が『少しの間だけでいいからトレーナーになってくれ!』って頼まれてしまって」
「……貴方がお人好しなのは知っていましたが、まさかここまで絶望的なほどだとはわかりませんでした……」

 わざとらしく肩を竦め、大きなため息を零す円香。

「貴方は所詮アイドルのプロデューサー。トレーナーのような専門家じゃない。余計なことはせずに自身の職分のみを優先して仕事していればいいんです。そもそも、競争バの専門知識も無い素人がトレーナーなんて、ウマ娘の人生を狂わせるとか考えなかったんですか?」
「で、でもこのエアグルーヴは色んなレースで何回も優勝するぐらいまで導いて――」
「それはエアグルーヴさんが優秀だっただけです。今まではビギナーズラックが運よく続いていただけ。これからもずっと好成績を出し続けられるなんて、どれだけおめでたい頭しているんですか?」

「……おい」

「もう一度言います。貴方は所詮アイドルのプロデューサー。こんな公私混同な関係は今すぐに止めるべきです。ただでさえ担当バに迷惑をかけているのに、これからもずっとこんなことさせるつもりですか? ミスター・堕落男」

「おい」

「早くエアグルーヴさんを帰宅させてあげてください。家事の続きは私がやりますから。どうせ散々散らかした上に食事もコンビニ弁と――」


「――いい加減にしろ!! たわけがっ!!」


 制止の発言を無視されただけでなく、自身のトレーナーへの侮辱に耐えかねたのであろう、エアグルーヴが怒声を上げた。

「お前、コイツの担当アイドルなのだろう? どうしてそこまで自分のプロデューサーを悪く言えるんだ!?」
「……別に、貴方には関係のないことです」
「関係ない……だと?」
「ええ。彼はトレーナーではなく私のプロデューサーなのですから。この男はトレセン学園の視察が終わったら、もうここに来ることは無いでしょうし。部外者・・・に自分の世話させていることを責めているだけです」

 部外者、という単語をあからさまに協調しながら言う。
 ふふっ、と円香は僅かに口角を上げて微笑を浮かべた。

「関係は大いにあるぞ。レースに勝てるようになったのはコイツのおかげだ。確かに貴様が言うように、私の力というのもあるかもしれない。だが、生徒会の仕事や花の水やりなんか手伝って、私を支えてくれたのも事実だ。それに、コイツはしっかり言ってくれたぞ。『ずっと私を支える杖になる・・・・・・・・・・・・』ってな」



「………………は?」



「トレーナー、この際だからハッキリ言ってやる。こんな暴言や嫌味ばかり言うアイドルのプロデューサーをやるよりも、貴様はトレーナーとして働いたほうが良い。私が保証する」


「………………」


「ま、円香……」

「……本当なんですか?」

「えっ?」

「彼女の発言は本当なんですか、って訊いているんです!!!!!」

「う、うん。言ったよ……」

「それは何故?」

「……エアグルーヴと話してみて思ったんだ。言い方は厳しいけれど、思いやりがあっていいウマ娘だなって。きっと自分にも他人にも厳しいから、知らないうちに自分のことも追い詰めちゃうこともあるだろうから、その時は俺が支えてあげようって思って」

「……いいですか? 貴方はトレーナーなんかじゃないの。そうやってただの仕事上での関係しかない女性に歯が浮くようなセリフを繰り返してるから、こんな誤解を招くんです」

「いや、誤解なものか。現にこうしてコイツは私を支えるために身を粉にして働いてくれている。そんなコイツのために、私も出来ることをしてやろう、と思った。それだけだ」

 今度は、エアグルーヴが勝ち誇ったような笑顔を浮かべた。

「ここまで言えばわかるだろう。ほら、さっさと帰れヒト耳娘。先程の私のトレーナーに対する侮辱だけで、本来ならば力づくで追い出してやるところを、コイツの担当アイドルということで穏便に済まそうとしてやってるんだ」
「初対面の人物に差別発言ですか……トレセン学園の教育はどうなっているのか……レース以外のレベルがよほど低いとみえます」

 ギリッ、と奥歯を噛む音を出しながら、円香は視線だけをプロデューサーに向けた。
 不快感丸出しの、睨みつけるだけで人を殺せそうな、危険極まりない視線だった。

「忠告します。合同ライブなんて企画は白紙に戻した方がいいですよ。所属アイドルがウマ娘達にどんな嫌がらせされるかわからない」
「い、今更中止になんて出来ないよ……」

「……へぇ、貴方はこのウマ娘の肩を持つんですね」
「そ、そうじゃないよ……」
「トレーナーだなんて担がれていい気になって……ホント単細胞みたいな脳味噌してますね」
「何度も言わせるなよヒト耳娘。私のトレーナーを侮辱するな」
「……大体出張なんて大げさなことしなくても、視察なんて長くて数日やればいいでしょう」
「……貴様、無視か?」
「ああ、すみません。私に対して話していたんですか? 生憎私は『ヒト耳娘』なんて名前ではありませんので」

 口調だけは弾ませて、しかしどこか冷ややかに、挑発的な態度は変えることなくエアグルーヴへと向き直る。

「ほぅ、ならば言ってやる。樋口、私のトレーナー・・・・・・・を侮辱するのはやめろ」
「さっきの話を聞いていなかったんですかね? この人はトレーナーじゃなくて私のプロデューサー・・・・・・・・・。勘違いしないで」
「いや、円香以外にも担当しているアイドルはいるから、正確には"私たちの"じゃないか?」

「あ"""""!?!?」

「ひっ……!!」

「……とにかく、部外者であるエアグルーヴさんはこの人と関わる必要なんてない。そっちこそ早く帰ったら? レースの練習って朝早いんでしょ?」
「さっきから部外者というが……そういう貴様はこの男の事をどこまで知っているんだ?」
「全部ですよ。全部」
「ほぅ……例えば?」
「そうですね……好きなカップラーメンは北海道味噌とトマトチキン、時期によっては鶏白湯。好きなコンビニ弁当はチキン南蛮弁当か幕の内弁当。床の掃除は月に一回やれれば奇跡」
「うぐっ……」
「洗濯物はたまに洗濯機を回した後そのまま寝てしまうこと多数。カビを生やして捨てたTシャツやタオルの枚数は数え切れませんよね?」

 呆れた眼差しを向ける円香を直視できず、プロデューサーは目を逸らした。

「ならば……そうだな、コイツが中学の時の部活は?」
「サッカー部。試合でシュート決めようとしたらボールを外してそのまま転倒して複雑骨折したんですよね」
「初デートの相手は?」
「大学の時出会ったアルバイト先の先輩。まぁ、楽しいデートになるかと思いきや、カフェで宗教勧誘されたそうで。ふっ、憐れな思い出」
「貴重な休日に、そいつに自炊させたら何を作ったか、知ってるか?」
「納豆プリン。その名の通りプリンに納豆をかけて食べようとしてましたよ、その男」
「……疲れすぎたあまりトイレで寝ててスタッフにたたき起こされたことは知ってるか?」
「もちろん。しかも男女間違えて入りましたからね。発見した人によっては痴漢で捕まって今でも刑務所ですよ」
「……何でそんなことまで知ってるんだ、って二人に対してツッコミを入れるところなんだろうけど、ごめん。今の俺、涙が止まらなくてそんな余裕無いや……」
「……ホント、出張前と全然変わってない。『男子、三日会わざれば刮目して見よ』って言葉は貴方には当てはまらないようですね」
「軽蔑オーラがデカすぎて円香が巨人に見えてくる……」
「自分のドジっぷり、お人好しぶり、そしてだらしなさを再認識させられて貴方が小さくなっているだけでしょ。ミスター・調査兵団」
「……食われるの? 俺」


「――ふん、その程度で理解者面か……」

「は?」

「コイツが最近ダウンロードした18禁同人ゲームのタイトルまではわからないだろ?」

「愚問ですね。『俺だけにキツく当たるしっかり者なクール系幼馴染がベッドの中ではニャンニャン甘えてくる猫系女子だった件』ですよね?」
「ちょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!????? ま、円香!?!? え、ちょ、なんで知ってんの!?」
「ふっ、甘いな。正確には『黒髪ショートの姉御妻にしっとりと癒される新婚生活~夜の営みもずきゅんどきゅん~』だ」
「いやいやいや!! だからエアグルーヴもなんで知ってんだよおおおおおおおおおお!!!!!?????」
「は? 何ですかそのクソゲー。というかいつ買ったんですかそれ。今すぐPCから消してください」
「いや、エアグルーヴの担当になってしばらくしてから、かな。あ、あと、クソゲーなんかじゃないよ。時に厳しく時に優しい年上妻との甘いひと時を楽しめる神作ひ――」

「消せ」

「うぅ……円香怖い」

「くくっ……自分のパートナーの事も全然知らないではないか」

「うるさい。今回の質問はあくまでイレギュラー。どこぞのウマ娘に誑かされて一瞬の気の迷いで買っただけ」
「往生際が悪いぞヒト耳娘。そんなだからコイツはパートナーとして私を選んだんだぞ」
「は? そんなことこの男は一言も言ってないし。ウマ娘って耳が良いんじゃありませんでしたっけ?」
「認めたくないのはわかるが……現実を見たほうが良いぞ。なぁに、結婚式ぐらいには呼んでやる」

「………………」

「いや、エアグルーヴ、そんな関係じゃないでしょ俺たち」

「……何だと?」

「いや、その……気持ちは嬉しいけど……それに俺にはまだアイドル達をプロデュースするっていう仕事があるから」
「……さっきも言っただろう。貴様はプロデューサーよりもトレーナーに向いていると。悪いことは言わん。この出張を機にトレーナーに転職すべきだ」
「……もちろん競バは面白いよ。それからウイニングライブも圧巻だった。もっと見ていたいし、なんだったら関わってみたい。でもさ、283プロダクションには俺の事を頼りにしてくれるアイドルたちがいるから……」
「この女のように……冷酷な発言や態度を取るアイドルと仕事をしなくてはいけなくなるかもしれないのだぞ」

「そういうのは慣れているよ。それに、発言や態度は刺々しいかもしれないけど、円香は優しい子だよ。言葉や行動の節々に気遣いや注意すべき点が含まれていたりもするし……。実際、俺が気が付かなかった改善すべき点とか勉強になったし」

「……ふん、相変わらずお人好しですね……」

「ここまで言ってもダメか……」
「ごめんね、エアグルーヴ」

「だが、自分の仕事に熱心な貴様も好きだ」

そう言うと、プロデューサーの頬にキスをした。

「なっ……!! エアグルーヴ!!」

「はぁ!?!?」

驚きの声を上げるプロデューサーとその担当アイドル。

「勘違いするな。私はまだ諦めたわけではない。必ず貴様をプロデューサーから私のトレーナーにする」

「はっ……はははっ……これは大変なじゃじゃ馬の担当になってしまったようだ……」

「………………」

「ま、円香?」


「……何なんですかさっきからコレ」
「円香……」
「さっきから下らない茶番を見せてきて……そんなにトレーナーは楽しいお仕事ですかっ……!」
「あ、いや、だから誤解だ」
「どうですかね。担当バからキスされて……だらしない顔を晒して……自身の担当アイドルがすぐ傍にいるのにほったらかしにして……。結局貴方は自分が支えるべきアイドルの事なんて忘れてしまったというわけですね。失望しました。ミスター・無責任」

「円香、話を――」
「もういいです。私は本当にお邪魔のようですから……帰ります。失礼しました」

そのまま急に背を向けると、ドアを乱暴に開け放って、円香は立ち去ってしまった。

「ちょ、待って……円香!」

プロデューサーの制止の声も虚しく、遠ざかっていく足音だけがその場にやけに重く響いた。

「ごめん、エアグルーヴ。行ってくる」
「……はぁ、放っておけ、と言いたいところだが……さっきあんなことを言った手前、止めたりはしない」

呆れたようにため息を吐きながら、エアグルーヴは肩を竦めた。

「……ありがとう」



Comments

  • ガンギマリ

    す、すげぇや!ニヤニヤしながら読んじまった!

    March 24, 2022
  • 茶飯カラスは何故踊る?

    最高でした!

    March 1, 2022
  • 連絡兵

    フジと咲耶とかふゆこダスカとか妄想がはかどりますねぇ!

    December 30, 2021
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