東大野球部の現役選手が司法試験に合格、ゴールドマン内定の慶應野球部生…日本特有の「文武両道いじめ」が球界から消えつつある理由
海外では名門大卒の選手は多い
しかし海外に目を向けると、このような日本の「文武両道=必敗」という信念のほうが、実は特殊なのではないかと思わされる。たとえばニューヨーク・ヤンキースなどで投手として通算270勝を挙げたマイク・ムシーナはスタンフォード大学で経済学の学士号を取得しており、’17年のWBCでMVPを獲得したマーカス・ストローマンも名門デューク大学で社会学の学士号を取得している。 現役選手では、ロサンゼルス・ドジャースで大谷翔平の同僚であるトミー・エドマンはスタンフォード大学で数理・計算科学の学位を取得しており、今年横浜DeNAベイスターズでプレーしたトレバー・バウアー、そしてヤンキースのエースであるゲリット・コール(2025年シーズンは手術のため全休)はともにUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)出身である。 ここで名前が挙がった大学はすべて「世界大学ランキング(Times Higher Education)」で、日本のトップである東京大学と同等かそれ以上に位置している。もちろんアメリカの文武両道メジャーリーガーはやや例外的な存在ではあるが、日本で東大卒・京大卒のプロ野球選手がリーグの看板選手として活躍する姿は、これまでほぼ見られなかった。 なぜなのかはいくつか仮説があり得るが、私としては「文武両道=必敗」という信念が大きいのではないかと考えている。野球強豪校出身のの選手やコーチは野球一本でやってきたことに誇りを持っている一方で、東大卒・京大卒のような選手が活躍されては自分の存在意義に関わる。すると「文武両道」を実現できそうな選手に対して必要以上のプレッシャーがかかる――これが基本的なメカニズムだったのではないか。 要するに、野球界では「文武両道いじめ」のようなことが起こってきたのではないか、というのが私の仮説である。これをプロ野球関係者に何度か問うてみたところ、明確に否定した人は今まで一人もいなかった。