星南が先輩の元カノの写真を見つけてしまい、嫉妬で狂いまくる話
キャラ崩壊してるかもです。
星南が嫉妬に狂いまくる印象がなかったから書くの難しかった。
あとアイドル視点で書くの難しいですねぇ。
- 289
- 388
- 8,228
えっ、これはなんなの……?
ある日の事務所。
私は先輩が居ないうちに戻ってきた時用に驚かそうと思って机の下に潜り込もうとしていた。
その時だった。
「あら?これは何かしら。質感的に結構古そうなものだけど……」
それを見た瞬間息が苦しくなって私は呼吸さえも忘れてしまった。
先輩が……私の知らない女と恋人繋ぎをしながら満面の笑みで……ツーショットをしている?
隣に並ぶ女は誰なの?
しかも、ライブで成功した時とはまた別の顔を、先輩はその人にむけていた。
……ふざけないで。
胸の奥が、焼けるように熱くなっていく。
先輩に過去があることくらい、普通に考えれば当然だわ。
分かっている。
分かっているのだけれど。
私の知らない先輩が、誰かの記憶の中に大切に保存されているという事実が、反吐が出るほど不快なの。
「……星南さん?どうしたんですか、そんな怖い顔をして」
その時、今1番聞きたくなかった声が背後から聞こえてきた。
私は反射的に写真を隠そうとしたけど、──やっぱりやめた。
隠すなんて負けを認めているみたいじゃない……。
「……別に。ただ、先輩の管理能力を疑っていただけよ」
「管理……?すみません、何かミスでもありましたか」
「ええ、大ありよ」
私は先輩の前にに立ち上がり、一歩一歩と距離を詰める。
驚いたように目を見開く先輩の胸ぐらを、私は迷わず掴み寄せてしまった。
「……星南さん!?近いです、落ち着いてください」
「落ち着いていられるわけないでしょう?……ねえ、先輩。この女、誰なの?」
突き出した写真を見て、先輩は一瞬絶句した。
それから、困ったように眉を下げて溜息をつく。
「……昔のことですよ。今はもう、連絡も取っていませんし」
「連絡なんてどうでもいいわ。問題なのは、先輩の脳内よ」
掴んだ手に力を込める。
至近距離で睨みつけると、先輩の瞳に私の姿が映った。
今の私ってとても惨めわね……。
嫉妬がさらに膨らんでいき自分が嫌になる程だったけれど、感情を抑えるなんて今の私にはできなかった。
「先輩の細胞一つ一つが、一瞬でも私以外の女を思い出していると思うだけで……気が狂いそうだわ」
「星南さん、それはあまりに……」
「黙りなさい!先輩の今も、未来も全部私のものなの。十王星南をプロデュースすると決めた時から、先輩の記憶の中は私だけで埋め尽くされるべきなのよ!」
自分でも支離滅裂だと分かっている。
でも、言葉を紡ぐ度にそれは止めるのを知らなかった。
先輩が、かつて誰かのために笑い、誰かのために奔走していたという事実を、今すぐこの世から消し去りたかった。
「……上書きしなさい。今、この瞬間の熱で、そんな古臭い記録なんて全部焼き捨て、──」
「……星南さん。貴方は、そんなことを気にする必要なんてないのに」
「気にするわよ!大好きだから、一番じゃないと嫌だって言ってるのよ!!」
「えっ……」
叫んでから、ようやく自分の言葉に気づいた。
……やってしまった。
顔が沸騰しそうに熱くなる。
「……あ、今の『大好き』は、アイドルがプロデューサーを信頼しているという意味で……っ!」
「……星南さん。耳、真っ赤ですよ」
「うるさいわね!先輩がいつまでも過去に縋っているから、私がわざわざ分かりやすく教えてあげたんじゃない!」
私は先輩を突き放すことができず、逆にお仕置きするように、その胸元に額を強く押し当てた。
「……いい?二度と私の前で、他の女を思い出させるような隙を見せないで。そして、今すぐその写真も捨てて頂戴……」
「……はい。分かりました。俺の『一番』は、今もこれからも星南さんだけですよ」
さも当然のように言われて、また私は心を抉られた。
「……ならいいわ。この話は終わりよ!」
そう言い捨てて、私は出口へと歩き出そうとした。
だけど、握りしめた拳の震えは止まってくれない。
写真は捨てると言わせた。
一番だとも言わせた。
もう、十分心のモヤモヤを晴らす材料は揃った筈なのに……。
……どうして。
どうしてこんなに、胸が苦しいのよ。
その時、背後から衣擦れの音がして、私の視界が真っ暗になった。
「……っ!?先輩、何をして——」
強引に肩を掴まれ、振り返らされた先。
そこには、いつもの沈着冷静な先輩がどこか必死な眼差しをしていた。
逃げようとした私の体は、そのまま先輩の腕の中に閉じ込められる。
「……離しなさい。私はもう、怒っているんだから」
「離しませんよ。こんなに震えている人を、一人で帰せるわけがないでしょう」
背中に回された彼の手が優しく私を抱きしめる。
厚い胸板から伝わってくる、一定のリズムの鼓動いや、少し早く動いているのね。
それが私の乱れた心拍を、少しずつ塗り替えていくのが分かった。
「写真は、今この場でシュレッダーにかけます。星南さんが嫌だと言うものは、俺の側には一切置きません」
耳元で囁かれる低い声は嫌いだと思っていた先輩が何故だかいつも以上にかっこよく思わせた。
「ですが、過去を悔やむのはもう終わりにしませんか。俺がその人と過ごした時間よりも、これから星南さんと作る時間の方が、ずっと、ずっと濃くて長いものになりますから」
「……そんなの、証明できないじゃない。先輩の気まぐれかもしれないわ」
「なら、証明させてください。星南さんが、俺に過去があったことすら忘れてしまうくらい……俺が星南さんを、甘やかし続けますから」
先輩は私の髪にそっと触れ、顔を覗き込んできた。
潤んだ私の瞳と、至近距離で視線が交差する。
「……星南さん。さっきの『大好き』、嬉しかったです。……俺も、そのっー、星南さんのこと……大好きですし」
「……っ!それは、アイドルの担当として……でしょ?」
私が最後の手行を試みると、先輩は少しだけ意地悪く微笑んだ。
「いいえ。……少なくとも、過去の誰かに向けたものより、ずっと、世界で一つだけの大好きです」
……そんなことっ、言われたら…完全に私の負けじゃない。
私は力なく彼の先輩に顔を埋めた。
沸騰しそうなほどの羞恥心と、それを上回るほどの圧倒的な安心感。
嫌いだと思ったはずの先輩に対する感情がぐちゃぐちゃになっていた。
「……先輩は、本当に最悪のプロデューサーね。……そんな口実で、私を一生縛り付けるつもりかしら」
「ええ。契約期間は、一生ですよ」
冗談めかして言う先輩に、私はもう怒ることさえ忘れていた。
「……あと5分。いえ、10分。……このまま私を支えていなさい。これは、先輩が私につかせた『嘘』の……代償なんだから」
事務所の窓から差し込む夕陽が、二人の影を長く、一つに重ねていた。
机の上の写真は、もう視界に入らない。
今の私を支配しているのは、過去の誰かへの嫉妬ではなく。
目の前の先輩がくれる、あまりにも甘くて独占的な暖かい体温だった。
星南は嫉妬はするでしょうけど、嫉妬に狂うは確かに想像が難しいですね(コミュで佑芽の嫉妬深さに驚いてましたし)ただ、独占欲みたいなのは見せてる(気がするので)このくらい思っているかも?
