戦闘が拡大するイラン情勢の影響で、周辺国のアラブ首長国連邦(UAE)とオマーンに滞在していた邦人と外国籍家族が8日夜、政府のチャーター機で成田空港に到着した。帰国して安堵(あんど)した表情を浮かべる人がいる一方、今も現地で足止めされている人もいる。
中東からの退避の動きは進んでおり、9日もサウジアラビアからチャーター機で邦人らが日本に帰国する予定だ。
大学の卒業旅行で友人2人と欧州を訪れていた20代の男性は、日本へ帰国する途中の2月27日、航空機の乗り継ぎでカタールの首都ドーハの空港に降り立った後、予約していた日本への便が突如、欠航になった。
空域閉鎖で全便の運航が停止され、その日からホテルへの宿泊を余儀なくされた。屋内にいても爆発音のような激しい音が聞こえ、部屋の壁が揺れることもあったという。「まさか知らない土地で戦争に巻き込まれる恐怖を実感するとは思わなかった。いつ帰国できるか分からず精神的につらかった」
それでも日本政府のチャーター機に搭乗できることになり、8日、政府が手配したバスに乗り約500キロ離れたサウジアラビアの首都リヤドへ。9日にリヤドから日本へ飛ぶ航空機に搭乗する予定で、男性は「無事に飛ぶかという不安は残るが、帰国のめどが立って安心している」と話した。
ただ、希望者全員が今回の政府のチャーター機で帰国できたわけではない。
UAEのドバイに住み現地の不動産会社に勤務する田口修一郎さん(38)は、8日にオマーンから離陸するチャーター機での帰国を希望したが、かなわなかった。
現地の日本大使館は、チャーター機が出発するオマーンまで向かうバスの席数に限りがあり、子どもや高齢者、短期旅行者らを優先的に乗車させる場合があると説明。田口さんによると、希望しても搭乗できなかった知人が複数いる。
田口さんは「ミサイルが飛んでくる可能性があるというスマホの警報音が1日2~3回鳴ることもある。思ったほどビジネスには影響は出ていないが、危険度が高まっている感覚はあるので、いったん日本に戻りたい」と話しており、今後も政府発の情報を注視していくつもりだ。【巽賢司、西本紗保美、垂水友里香】