超かぐや姫 温度差の考察
※ネタバレを含みます※
※いち個人の考察であって「これが正解」と主張するものではありません※
超かぐや姫は熱中している層と、一歩引いた目線で見てる層が居る。
【1.世代の越境】
(映画ではないテレビ放送の)アンパンマンに対して「ドラマや葛藤がない」と批判する大人は居ない。
アンパンマンは明らかな子供向けで、子供向けのツラをしてるから、その意見は的外れになる。
そして、SNSには「アンパンマンを絶賛しているファンの声」はほぼ無い。読み書きできないから。
問題はここから
17~22歳(高校生~新社会人/大学生)をメインターゲットに据える作品の場合…。
アンパンマンの時と違って彼らはSNSに居るし、読み書きできるので、アンパンマンの時では起こらなかった世代の越境が起きる。
さらに、アンパンマンと違って絵柄から明確に「どの世代向け」を読み取りづらい。
となると「この世代にはウケるけど、この世代にはイマイチ」みたいな意見が同じコミュニティ内で発生する事になる。
これが温度差が生じる1段目の理由。
【2.老いによる感性の鈍化】
思い出してほしい。
子供の頃、どれだけゲームや漫画の凄さを両親語っても、両親は興味あるような無いような反応だったと思う。
(作品に興味があったというよりは、愛する我が子が興味があるものに興味があるぐらい距離感だった)
ニコニコ動画全盛の頃(2010年前後)、ニコ動にのめり込んでた世代と、ニコ厨を馬鹿にしてた世代があった。
ボカロでも、歌い手でも、アニメでも、漫画でも、似たような感じってあった。(同世代で馬鹿にし合うケースもあるけど)
結局の所、人間は老いによって、感情や感動に鈍感になってくるし、世代別で価値観も変わってくる。
もちろん「全ての人のが世代によって定義されてる」なんてことはあり得ないけど(個々による)
「世代によって、価値観や感動への感度に傾向が変わってくる」ぐらいはある(傾向の話)
そうでなければ、フィクションの中で「野球に熱中している親父と、それを冷ややかな目で見ている家族」なんて描写はされない。
【3.かつて若かったオタク達】
けいおんに熱中したオタク達へ、思い出してほしい。
ゆるふわな女子高生がGO!GO!MANIACなんて弾けるわけない!リアリティがない!なんてツッコんでいたか?
ギャルゲに熱中したオタク達へ
何の取り柄もない冴えない地味な主人公が美女数人にモテモテな状況にリアリティがない!なんてツッコんでいたか?
美少女が戦争に行く作品や兵器になっちゃう作品に熱中したオタク達へ
兵站とか、戦場のリアリティが描かれてない!なんてツッコんでいたか?
もちろん、ちゃんとツッコんでた人も結構な数居たと思うけど、その人たちはこう思ったはずだ。
「野暮なツッコミだ」と。
見たい物が見れればいい。
楽しみたい事が楽しめればいい。
少々の整合性やリアリティや説得力は犠牲にしていい。
ツッコミ所をうっすら感じながらも、それら全部を飲み込んで、野暮なツッコミだとして、見たい物を見て、楽しみたいように楽しんできた。
そうじゃない人もいるけど、若いほどそういう楽しみ方ができる。
【4ー1.超かぐや姫への批判】
要点をまとめると「リアリティが無くて、共感できない」に収束する感想が多いと思う。
(苦悩/葛藤がない、ドラマがない、現実味がない、超人すぎる、描写のリスペクトのなさ、etc…。)
この作品がアンパンマンと同じように、いい歳こいたおじさん向けではないと解釈して、所謂若者向け(17~22歳(高校生~新社会人/大学生))だとするなら、しっくりこないだろうか?
スマホネイティブ、なりたい職業ランキング1位はYouTuber。そういう世代。
そういう世代が見たい物って、インフルエンサーとしてのサクセスストーリー。
超かぐや姫はこの世代向けたなろう小説であって、島耕作であって、ヒロインにモテモテのギャルゲなのよ。
どこまでいってもエンターテインメント。
見たい物が見れればいい。
楽しみたい事が楽しめればいい。
この観点で言えば、超かぐや姫はよくできてる。
ちゃんと成功するし、説得力も用意されている。
なんなら「宇宙人なので、神格化された人気者です」ぐらい言われた方が一周回ってリアリティある。
どれだけ優秀な学歴があっても、ゲームが上手くても、人間である限りは同じ地平に居る。
「神という圧倒的に上のレイヤーの存在だからです」のがしっくりくる。
今やインターネット人気者の代名詞となったニコ動上がりの配信者たちはエペやってる。LOLやってる。
その原風景となる謎ゲームはちゃんと出てくる。
そのゲームが物語にどう絡んでくるのか?とか「戦略ガー」とか関係ない。原風景で勝って、人気者になってゆく景色が見たいんだよ。
そして俺たちも、けいおんに夢中だったし、ギャルゲに夢中だったし、兵器を美少女に擬人化してた。
【4-2.超かぐや姫の感想】
自分はたいして絵が描けないから、こんな自分が評価するのはおこがましいくらい、作画良かったし、映像良かったし、アニメーション良かった。
そして何より「その瞬間を切り取ったエモーション」を適切に表現できてたと思う。
(おじさんからしたら浅い描写だったとしても、存在する事が重要)
この瞬間のエモーションが立派な映像表現で流れてくる事こそ「見たい物が見れればいい」「楽しみたい事が楽しめればいい」というエンターテインメントの心臓を捉えてる。
ここに「純粋に乗れなくなくなっちゃった」は、かつてオタクだった俺たちもちゃんと年をとったって事なんだよ。
けいおんが楽しめなかった、ニコ動が楽しめなかった、そういう世代に差し掛かったターンなのよ。
ただ、若者に対する説得力を持たせるためのプロップとして用意したワールドイズマインがミスコミュニケーションな側面はあると思う。
(「ボカロを代表する曲を持ってこよう」ってなったら、supercellになるのは仕方ないけど)
実際の所「当時のワールドイズマインに熱狂してた若きオタク世代向け」ではない。
「当時のワールドイズマインに熱狂してたオタクのエモーションを知らない若者向け」の作品。
だから、ここは米津玄師さんにハチ名義でボカロっぽい曲書いてもらってもよかったかもしれない(?)
あと、ぼざろ人気の構造を狙ってこの形に落とし込んだとしたら「商業的によくできてる」そのものだと思う。
【5.かつてオタク(若者)だった俺たちの絶叫】
そんなわけで、超かぐや姫に対する温度感の差の原因は世代の越境と、歳をとったオタクと若きオタクの感性の差なのでは?という話でした。
おじさんは若者に茶々を入れないであげてほしいし
若者は超かぐや姫を「つまらんん!」って言ってくるおじさんをスルーしてあげてほしい。断末魔だから。
人ってそうなっちゃうんだなって思った。
超かぐや姫に対して、こんな文章をしたためてしまう自分を含めて。
オタクに、ありがとう
オタクに、さようなら
【番外編.すっきりできないおじさんへの特効薬】
超かぐや姫を見てモヤついてしまった人は、是非下記動画を見て欲しい。
なんなら、この動画を見て完結すると言ってもいいと思う。
【映画レビュー】超かぐや姫を見て嘔吐、号泣する底辺クソVTuber
個人的にありもしないポケモンバトルでリアリティのある負け方してる妄想がめちゃくちゃ好き。
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