三重県教委は5日、県立学校で令和6年に発生した「いじめ重大事態」の調査委員会による報告書を公表した。トイレの個室で知的障害のある生徒を撮影し、SNS(交流サイト)に投稿した行為を、いじめ防止対策推進法に基づく「いじめ」と認定。「性暴力とも認識すべき重大な人権侵害」と非難した。
報告書によると、事案は令和6年10月に発生。県立特別支援学校に通う男子生徒=当時(17)=が校内のトイレの個室にいたところ、県立高2年の男子生徒=当時=が個室のドアを蹴った。
さらに、県立高1年の男子生徒=同=はドアが開いた後、特別支援学校の生徒が下着を下ろして便座に座っている様子をスマートフォンで撮影。この動画をインスタグラムに投稿した。
これらの行為に対し、報告書は「被害者に心身の苦痛を感じさせることは言うまでもない。その場の状況を受け入れ、一緒に楽しむ行為もエスカレートさせる」などと指摘した。
動画の撮影や投稿については「性暴力と認識すべき。半永久的に残り続け、回復困難な被害を生じさせかねない。刑事罰にも該当しうる犯罪行為で、決して許されない」と非難した。
被害生徒は同年10月下旬から約4カ月間にわたって不登校となった。男子生徒は調査委の聞き取りに、撮影や投稿をした理由について「面白いと思った」と話していたという。
報告書は、保護者らに「動画を削除した」と虚偽の説明をしていたことなど、学校の対応にも問題があったと指摘。「初動対応が不登校の長期化を招いたと言わざるを得ない」としている。
この学校は県立高と特別支援学校を併設し、同じ校舎を使用している。報告書は両校間の連携不足も課題に挙げ、相互理解の促進などを提言。いじめの対策組織を合同で設ける検討も促した。
調査委員長の白山雄一郎弁護士は5日の記者会見で「SNSを使ったいじめが増えている」と指摘。「使い方を間違えば加害者になることを認識させるなど、対策を進めてほしい」と述べた。
事案は動画の投稿を見つけた外部からの通報をきっかけに発覚。学校は昨年1月、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定し、調査委が関係者への聞き取りなどを進めていた。