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The Works "その体は―――" is tagged "FGO" and "アーチャー(エミヤ)".
その体は―――/Novel by kamisiro020918

その体は―――

2,667 character(s)5 mins

FGOでの自カルデアでのお話。タイトル通り、アーチャー(エミヤ)とのお話。
その詠唱と心象風景にマスターは何を思うのか・・・?

※これは自身における解釈である為、意見の食い違いや解釈違いはあるでしょう。ただ、これが自身における解釈なので、それを文章にしただけです。
もし納得出来ないと途中でも思ったのなら、即座に読むのを止めるのをお勧めします。

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I am the bone of my sword.
――――――体は剣で出来ている。

Steel is my body, and fire is my blood.
 血潮は鉄で 心は硝子。

I have created over a thousand blades.
 幾たびの戦場を越えて不敗。

Unknown to Death.
 ただの一度も敗走はなく、

Nor known to Life.
 ただの一度も理解されない。

Have withstood pain to create many weapons.
 彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。

Yet, those hands will never hold anything.
 故に、生涯に意味はなく。

So as I pray, unlimited blade works.
 その体は、きっと剣で出来ていた。



その詠唱を聞き、世界が変わった時の俺の気持ちをどう表せば良いのか、今でも迷い続けている。
見果てぬ荒野に、墓標のように突き刺さる数えきれない程の剣。空にはいくつもの大小様々な歯車が絡み動き続けている。
戦場の跡とでも表現するべきか、戦士達の墓標とも言えるこの心象風景(世界)。これがいわゆる『固有結界』と言われるモノなのだと、後に知る事になる。

見果てぬ夢を追い求めたモノ。

見果てぬ夢の先の現実。

助けた人物に裏切られ、現実に裏切られ、理想にまで裏切られた彼の人生(世界)。
それがこの心象風景だと知り、俺にはなんとも言えない苦悩を抱えた。


希望と夢に憧れるのは平凡だろうとなかろうと、誰しもが持つモノだと俺は思っている。
幼い頃に叶う筈の無い夢を持つ者も居れば、夢を実現させるために努力し、叶える者も居る。大抵の場合は、叶わぬ夢である事が多いが。

だが・・・、これはあまりにも悲しすぎる。そう、事実を知ってしまった時の俺は思ってしまった。


求めていたモノには真逆のモノが存在しなければならない。
『正義』に対して『悪』という存在が無ければその理想は成り立たない。
それが例え、別の誰かの『正義』だとしてもだ。


『正義』の定義とは何だ?『悪』の定義とは何だ?
困っている人を助ければ『正義』なのか?人を傷付ければそれは『悪』なのか?
『死』に救いを求める者も居れば、『生』に苦しむ者も居る。
だから世界には『必要悪』という言葉が存在するのだろうか?


俺自身、数々の特異点を巡り、明確な『悪』と言われる存在と立ち向かってきた。それが俺にとっての役割でもあったし、俺にとっての『正義』でもあったから。
多くの英霊と交流し、共闘し、敵対し、それに打ち勝ってきた。正しい歴史にする為に多くの戦いを経験した。
それでも、俺の中で彼の経験に対する疑問と、定義に対する答えは見つからなかった・・・。


その苦悩を抱え切れず、話があるとマイルームに誘い、本人に向かってその疑問を問いただしてみた。
『貴方が抱えた理想の果ての結末に、後悔は無かったのか?』と。
それに対しての返答は、なんとも言えないが、彼なりの答えは出ていたのだと思う。


「・・・私も初めは絶望もした。理想に裏切られ、ひたすら抱き続けた信念も摩耗し、過去の自分を憎みさえした。
 だが、今ではそれはもう過去の話だ。私の人生は既に終え、今はマスターである君と歩む日々を送っている。
 不本意ではあるが、かつて私が抱いた『理想』の道を進んでいるとも言えよう。真逆とも言えなくも無いがな。
 人理修復という『正義』の名目で、多くの『敵』を倒して来た私が、『正義の味方』というのは何とも皮肉な話だ。
 誰も傷付かない世界等存在しない。それは既に私が歩んだ人生(経験)にて証明されている。
 だからこそ、私はマスターである君の『使命』であり、『役割』でもある特異点の修復に協力している。
 
 ・・・だから、君はその事に迷いを感じてはいけない。それが正しい事だと認識すると良い。
 人理修復の為の行動は、人間からすれば誰もが願う『正義』だ。世界を壊す者は『悪』だと認識しろ。
 すぐにそれを受け入れろとは言わない。だが、覚悟は決めておくものだ。
 君は―――世界を救う為に、間接的に自身の手を汚しているという事をな。
 だが、君の心は絶望してはいけない。その信念を曲げてはいけない。
 その迷いはいずれ致命的なミスへと繋がり、己の行動に迷いが生じてしまう。
 もし苦悩するようであれば、誰かに助けを求めれば良い。
 君に協力している者は大勢居るのだ。私やマシュ、カルデアのメンバー全員がな。
 相談でも良い。涙を流すのも良い。苦悩をぶつけるのも良いだろう。
 それが、『人間』である事の証明でもあるからな。では、失礼するぞマスター。私も少し私用があるからな・・・」

 そうして、彼は部屋を出て行った。多くの戦場を切り抜けてきた、赤いマントをなびかせながら・・・。


―――結局の所、俺自身の悩みの答えは出ていない。だけど、俺の『使命』は、俺の『役割』は大事な物なのだと、今はそう解答を出し、人理修復、世界の証明の為に行動を続けている。
それが今自分が出来る『正義』であるから。2017年に生きる人間の誰もが願う希望だから。
だから俺はこれからも戦い続けるのだろう。多くの英霊(サーヴァント)達と共に。多くの協力者と共に。


―――体は剣、血潮は鉄、心は硝子で出来ている。
強靭な肉体に強い信念、されど心は脆いモノ。それが彼が行きついた結末だと言うのだろう。

『無限の剣製(アンリミテッドブレードワークス)』。それは、かつて一人の人間が行きついた理想の果てであり、残酷な現実。彼の人生の墓場とも言える世界なのだろう。
その世界には、誰にも理解される事の無い、既に勝利も無く、敗北も無くなった1つの人生が残っていた。
今ならその世界に対しての答えは出ている。それは、誰にも批評も批判もされる理由の無い、全力で生きた一人の人物の生き様だったのだろうと・・・。



終わり

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