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原田元環境相、旧統一教会名称変更を国に要求「選挙で世話に、当然」

編集委員・沢伸也 島崎周

 原田義昭・元環境相(81)が朝日新聞の取材に応じ、旧統一教会が2015年に名称を「世界平和統一家庭連合」に変える前に、教団から依頼を受け、名称変更を認めるよう所管の文部科学省に働きかけたと証言した。教団から選挙支援を受けていたことを理由に挙げた。

 教団は「世界基督教統一神霊協会」の名で創立され、「統一教会」として知られた。1980年代以降、霊感商法や高額献金が問題化。元文科省幹部によると、教団から97年以降、名称変更の相談を受けたが、「正体隠しにつながる」として断った。教団はその後も申請を試み、変更は第2次安倍晋三政権下の15年8月に認められた。名称変更の申請先は文科相(当時は下村博文氏)で、実務は文科省の外局である文化庁の宗務課が担った。

 教団の内部文書で、教団の元会長らが韓国の総裁に政治家との関わりなどを報告した内容とされる「TM特別報告」では、原田氏は「2015年、日本統一教会が家庭連合に名称変更する際、非常に大きな貢献をしてくれた国会議員」「私たちと本当に近く、私たちの集会には必ず来てくれるほどの人物」と紹介されている。原田氏は今回、TM特別報告などに関して朝日新聞の取材に応じた。

原田氏の一問一答

記事の後半には、原田氏との一問一答があります。

教団幹部ら「文科省に訴訟をしたい」

 原田氏によると、教団幹部ら数人が15年、自民党衆院議員だった原田氏の議員会館の事務所に来た。「文科省が名称変更を認めない。訴訟をしたい」と相談を受けたという。

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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部=2025年3月25日午後、東京都渋谷区、小宮健撮影

 弁護士資格を持つ原田氏は「訴訟はプラスにならない」と進言。文化庁の担当幹部に自ら電話し、名称変更を認めるよう求めた。文化庁幹部は明言を避けたという。

 電話は「変更が認められる3~4カ月前」で、回数は「1、2回」という。後に教団幹部から「名称変更ができた」と報告があった。幹部らは「非常に喜んでいた」という。

 教団による被害救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は15年3月、名称変更の申請を認めないよう求める文書を下村文科相あてに送っていた。

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記者会見する全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士ら。右から紀藤正樹氏、木村壮氏、山口広氏、吉田正穂氏=2026年3月4日午後1時42分、東京都千代田区、藤原伸雄撮影

「お世話になったところの陳情、応えるのは当たり前」

 原田氏は取材に、教団幹部らについて「今までの統一教会の名前では社会的評判が良くなかったから、変えようという気持ちがあったのだろう」と推測。「私の電話によって名称が変更されたかどうかはわからない」としつつ、「選挙の際に電話かけやビラ配りなどで大変お世話になったから、何か行動してやりたいと考えていた。お世話になったところから陳情を受ければ、応えるのは政治家として当たり前だ」と話した。

文科省幹部らは取材に

 文化庁宗務課は取材に「ご指摘のような働きかけについては確認されていない」とし、名称変更について「宗教法人法の規定に従って手続きを行い、法的な検討を重ねた結果として事務的に判断をしたものです」と答えた。15年当時の担当課長と担当部長は取材に、「取材に答えられない」「差し控える」とした。

 教団は取材に「名称変更の手続きを受理してくれない原因を知りたくて、原田議員を含め2人の議員に相談した。政治家を動かして圧力をかけようという意図はなかった」とした。

 原田氏は福岡県出身で1970年に通産省(経産省)入省。90年の衆院選に初当選し、8回当選後、2021年に落選した。小泉純一郎政権で03~04年に文科副大臣、第2次安倍政権で18~19年に環境相を務めた。23年に旭日大綬章を受章。現在は弁護士事務所代表。

 教団を巡っては、東京高裁が3月4日に解散を命じる決定を出し、清算手続きが始まっている。

原田氏との一問一答

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原田義昭氏=2024年10月20日、東京都中央区、高島曜介撮影

 原田義昭元環境相との主なやりとりは次の通り。

 ――教団の元会長が韓国の総裁に報告した内部文書とされる「TM特別報告」に、旧統一教会(教団)の名称変更で重要な役割を果たしたとある

 旧統一教会の幹部数人が議員会館の事務所に来て、2~3回会った。名称変更を受け付けないから文化庁を訴えるという話だった。

 ――どう答えたのか

 役所に対しての訴訟はプラスにならないと言った。頭を下げて相談したほうがいいと思った。

 彼らの中には、やっぱり今までの統一教会の名前じゃ社会的評判が良くなかったから、それを変えようという気持ちがあったのだろう。

 ――どう対応したのか

 文化庁の担当幹部に1、2回電話して聞いた。イエスともノーとも言えないような感じだった。

 ――その後どうなったのか

 3、4カ月後、名称変更できたと教団幹部から連絡があった。すごく喜んでいた。

 ――名称変更に関与した理由は

 選挙で電話かけやビラ配りなどで、お世話になっていたから、何か行動してやりたいとは思っていた。そういう団体から陳情を受けたら、動くのは政治家として当たり前だ。

名称変更をめぐる経緯

旧統一教会の名称変更をめぐる経緯

1954年 ソウルで「世界基督教統一神霊協会」(統一教会)創立

 64年 日本で宗教法人として認証される

 97年 教団が文化庁に名称変更を相談

2015年3月 全国霊感商法対策弁護士連絡会が文科相らに名称変更を認めないよう申し入れ

     教団の依頼で原田義昭氏が文化庁に名称変更を働きかけ

   6月 教団が「世界平和統一家庭連合」への名称変更を申請

   7月 文科省が申請を受理

   8月 文科省が名称変更を認める

 22年7月 安倍晋三元首相銃撃事件

     名称変更の経緯が国会で追及される

 23年3月 名称変更の文書開示が一部なのは不当だとして神戸学院大教授が国を提訴

 25年11月 大阪地裁が不開示とする国の決定を違法として取り消し。その後に原告と国の双方が控訴

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この記事を書いた人
沢伸也
編集委員|調査報道担当
専門・関心分野
埋もれている社会問題
島崎周
東京社会部|文部科学省担当
専門・関心分野
性暴力、性教育、被害と加害、宗教、学び、人権

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