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正妻戦争 in恋慕輪廻基地カルデア Ⅳ/Novel by しもつけのかみ

正妻戦争 in恋慕輪廻基地カルデア Ⅳ

6,605 character(s)13 mins

本作品には以下の要素が含まれます。読む前に一度ご確認ください。
・本作品のカルデアは、メインストーリー1部、1.5部終了時点であり、召喚されているサーヴァントはその間のメインストーリー、イベントで登場した者に限る。
・マスターは男である。
・聖杯は特異点回収後、未だ一度も使用していない。
・若干のキャラ崩壊。

感想等のコメントはどしどしお書きください。毎度全て読ませていただいております。

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打倒マシュ・キリエライトのため、アルトリア・ペンドラゴンとモードレッド、エレナ・ブラヴァツキーとエジソン、ニコラ・テスラの五名はさらなる仲間を求めて基地内を巡っていた。カルデア内では正妻のための聖杯をめぐっての争いが随所で繰り広げられており、時折基地内が揺れるほどの振動があった。さらには壁や天井や床には夥しい数の損傷があり、その戦の大きさが伺えた。

その戦いにより、戦闘不能になっているサーヴァントもいた。例えばマスターに狂気的な愛情を抱いていた清姫は、エリザベートととの激しい戦いの末に相打ちになり敗退。静謐のハサンは聖杯強奪を目論む女性サーヴァントを毒殺するために暗躍していたが、百貌のハサンと呪腕のハサンによって阻止されている。さらにマスターのガンドによって動きが取れなかったアビゲイル・ウィリアムズは目覚めたレオナルドダヴィンチに見つかりしこたま怒られている。

そんな脱落者も少なくない中、五人が基地内を進んでいると激しい戦闘の音が聞こえてきた。

「あれは……」
「うむ?源頼光とジャンヌダルク……?」

太刀が振るわれ、軍旗が翻る。一人は武者。一人は聖女。

「流石ですね。私の攻撃をこれほど受けきるとは」
「貴女も太刀に槍に斧に弓にと、よくもまあそれだけの武器を扱えるものです」
「当然です。源氏武者なら武芸百般。武器なら大抵は扱えます。それにしても貴女、本当に戦士や軍人ではないの?並みの防御力ではありません」
「確かに戦いを先導したことはありますが、私は本来戦う側の人間ではないのです。正直苦手なので、そろそろあきらめてほしいのですが」
「それは無理な話──────あら?」
「うん?」

二人が五人を見つける。その奇妙な組み合わせに闘争の雰囲気は消え、互いに刃を収める。

「取り込み中申し訳ない。私はエジソン。こちらエレナくんと二コラ、アルトリア・ペンドラゴンとモードレッドだ。少しお話を聞いていただきたい」
「まあ皆さん、こうしてお話しするのは初めてですね。自己紹介ご丁寧にありがとうございます。私は源頼光、バーサーカーです」
「私はジャンヌダルク。クラスはルーラー。それでお話と言うのは?」
「うむ、実は……」

かくかくしかじか。

「なるほど……マシュさんが……」
「不服ですが、確かに休戦をした方がよろしいかと」
「私は構いませんよ。頼光さんは……」
「私も依存ありません。聖杯が既に私以外の手に渡った以上、ここでの小競り合いは意味がない」
「であれば決まりだな。お二人にも是非お力を貸していただきたい」
「それは構いません。ですが一つ疑問が」
「なにかしら?」
「マスターは今どこに?」
「マスターか……」

五人は道中、マシュに対抗できる戦力を確保を目指しつつ、その一方でマスターのことも捜していた。というのも、サーヴァントの使役者たるマスターの力を借りれば、マシュ一人を抑え込むのは勿論、この争いそのものを止めることもできるだろう。しかしその肝心のマスターが見当たらない。

「我々もまだ見つけていない。霊的パスはまだ繋がっているからどこかで生きているのは確実なのだが……」
「レイシフトしたわけでもない様子。となればこのカルデアにいると思われるが……」
「既にマシュに捕まったか?」
「「「「「……………………!!」」」」」
「急ぎましょう。七人いればたとえ聖杯を持つマシュとはいえ勝てるはず」
「お二人はどうだ?魔力の方は」
「俺は問題ない」
「私も同じく。それにいい加減彼女を止めないと」
「了解した。件の人物の居場所は……皆分かっているな」
「ああ。バカでかい魔力が匂ってくる。あいつ、今誰かと戦っているな」
「行きましょう。私たちでマシュを止めるのです」






「くっ!」
「無事か!?」
「当ったり前でしょ!それより前!」
「ぐっ……!」
「ふふ ふふふ 大丈夫ですかぁ?二人とも」

膝をつき荒い息を整えるのは、既に宝具を4回も使用して魔力が限界のジャンヌダルク・オルタと、なんとか立ってはいるが目が霞み、腕が痺れてきたアルトリア・ペンドラゴン・オルタの二人である。激戦の果てに当たりは爆発が起きたような損傷具合であったが、その中で唯一、場違いのような無傷の綺麗な体をした少女が一人。聖杯に最も近いサーヴァントであり、魔力の爆心地。

「マシュ……あんた、割と図太い性格してるとは思ってたけど、そこまでするなんてねぇ!」
「え?愛する人のために全力を出す。それは当然のことでは?」
「ふっ……確かにその通りだ。こいつとつまらない争いをしている場合ではなかったな」
「というかジャンヌさんはマスターのこと好きだったんですか?普段の言動からはとてもそうは思えなかったのですが……」
「そ、それは……」
「照れ隠しだ。こんななりで中身は乙女らしい」
「あんたは余計なこと言うんじゃないわよ!」
「あはは!可愛らしいですね。それが私の先輩に向けられていなければ、応援できたのに」

不気味な笑みが消える。その瞬間二人の視界から消えるマシュ。直後、マシュの盾がジャンヌ・オルタの頭部に思い切りブチ当たった。

「────────────」
「なっ……!」
「ああ、少し腹が立ったのでつい殴ってしまいました。ああ耳と鼻から血が出てる。痛そうですね」
「ま、マシュ……」
「大丈夫です。すぐにアルトリアさんも、殺してあげますから」






「む!サーヴァントが一人酷く弱っているようだ。急げ!」
「もうすぐだ!皆、作戦は分かってるな?!」
「ええ!ようは皆の攻撃を思い切りぶち込む!」
「作戦とは呼べませんね……まあ分かりやすくていいですけど!」
「私は皆さんを宝具で守りますので、攻撃は任せます!」
「おう!父上、今度こそ勝つぜ!」
「無論です。これ以上好きにはさせません」

七人が廊下を駆ける。すると目の前に恐ろしい光景が広がった。

「こ、これは──────」
「マシュ!」

アルトリア・ペンドラゴン・オルタの顔面を掴み、そのまま全身を持ち上げる。足元には死にかけているジャンヌ・オルタが横たわっている。マシュは怒りとも喜びとも捉えられる笑みを浮かべている。

「ああ、皆さん──────」
「マシュ、命令するわ。今すぐ彼女を離して、聖杯をこっちに渡しなさい」
「………?」
「な、なにしてるの。早くしなさい」
「エレナさん……状況を理解してます?いまこちらには二人の人質がいるんですよ?どうしてそっちが命令しているんですか?」
「くっ……………………」

マシュは心底不思議そうな顔をした。しかし警戒しているのか、はたまた自分の敵が自分に命令してきたことに対して怒りを覚えたのか、アルトリア・オルタの顔を掴む手の力を強めた。苦しそうに呻き、手をはがそうと藻掻くが、今のマシュにとっては羽虫ほどの力であった。

「さあ皆さん、二人を殺されたくなかったら大人しく武器を捨ててください」
「…………」
「エレナくん、これは……」
「………やむを得ない、わね」

それぞれが剣を、魔術書を、太刀を捨てようとする中、二人のサーヴァントが声を上げた。

「その必要はありません」
「皆さん、戦う準備をしてください」
「ジャンヌ!?」
「父上!?」
「反転(オルタ化)しているとはいえあれは私の分身。であれば思っていることは大体分かります」
「人質となり敵の道具として利用されるくらいなら、私は死を選びます。それにマシュ」
「なんですか?」
「貴女は自分以外の女性サーヴァントを殺すつもりなんですから、人質を取るには人選がナンセンスです」
「………………確かにそうですね!」

マシュが手を離す。

「ということはやはり、私たちは殺し合わなければならないのでしょう」
「ええ。貴女が諦めてくれればその限りではないですが」
「それはできません。先輩は私の先輩なので、他の方に生きていてもらっては困ります」
「なるほど。会話はここまでが限界だろう。もはやここから先は拳で語り合うのみ!」
「ええ!皆、行くわよ!」







さあここから盛大な殺し合い。一人のマスター、一人の男の隣をかけた争いは、一人の少女の恋慕の暴走によって今まさに総力戦となり始め、その剣、その盾、その想い、その欲、その力、その魔術はぶつかろうとしたその時。

「はいはいストップストーップ!!」
「「「「「「「「え?」」」」」」」」

動きが止まる視線が声の方を向く。そこにいた誰もかれもが闘争の熱を失う。否、そうせざるを得ない。

「全員武器を捨ててくれ。でないと彼の命がここで終わってしまうぞ?」
「……………」

現れたのはマーリンとマスターであった。しかし仲良く登場と言うわけではない。マーリンはマスターの首を左手で掴み、さらに右手の魔術でこしらえた光の剣を喉元にあてがっている。そうその絵面はまさしく脅しであった。

「先輩!」
「ま、マシュ………」
「おおっと近づくんじゃないよマシュ。それ以上こっちに来たら容赦なくマスターの喉を斬るからね」
「くっ………!!」
「おいマーリン!どういうことだ!」
「どうもなにも、見た通りさ。身内で殺し合うなんて僕には見てられなくてね。二度目の警告だ。武器を捨ててくれ。でなければ彼を殺す」
「………皆、言う通りにしましょう」

この脅し。実はマシュを除く七人にとってはそれほど問題ではない。マーリンの言うことが本当であればマシュとの戦闘を避けられるし、その後の展開によってはこの正妻戦争自体、最初のフェアな状態に持ち込むことができる。終戦とはいかずとも、停戦にはできる。

しかしマシュにとっては、今絶対の優位であるこの状況がなくなってしまう。マシュの本来の戦闘能力はそこまで高くないし、現在は目下調整中の肉体で、今こうして動けているのも聖杯によるところが大きい。想いの力など、結局は根気であり、それは限界がある。つまり勝負を決めるなら今、ここしかない。

「マーリンさん」
「なんだい?」
「脅しにはなりえませんね、それは」
「ほう?」

マシュが盾を構える。

「貴方が現界しているのは先輩の召喚のおかげであり、もし先輩が死ねば貴方は他のサーヴァントとは違い”楽園”に戻ることになる。座に還るのではなく、再び幽閉されることになる。つまりこの脅し、人質となっている先輩の交渉材料としての価値はなく、よって私が言う通りにする必要はありません」
「………やっぱり賢いね。でなければ彼の最も近い従者としてここまで来れないか。うん確かに君の言う通り、僕は彼を殺したくないし、楽園は正直退屈でしょうがないから戻りなくない」
「……であればマスターを──────」
「だけど、脅しは本物だ」

刃をマスターの首に当てて、ほんの数センチ引く。すると皮膚と光の接地面から、真っ赤な血が噴き出した。

「がはっ…………!?」
「「「「「「「「!?!?!?!?!?」」」」」」」」
「せ、先輩ッッ!!」
「やっぱりこれくらいしないとね。ほらさっさと武器を捨ててね。でないと」
「す、捨てます!だからマスターを離してください!」
「うわぁすごい掌返し!まあ悪くない気分だね。ほら、他の皆も」

マシュが盾を手放す。アルトリアたちもその武器を捨てる。

「よしよし。それじゃあマシュ、その聖杯、こっちに渡してもらおうか」
「そ、それよりも先輩の治療を」
「するとも。でも間に追うかどうかは君の行動次第だ」
「わ、分かりました」

マシュが聖杯を放り投げる。マーリンがそれを受け止めると、次にマーリンは自身のその高度な魔術でもって治療を………しなかった。光の剣が消えると、それに伴い首から噴き出た血が、服に付いた血痕が、苦しそうなマスターの顔が、消える。そして現れた時と同じ、いつもの凛々しくも優しい顔が現れる。

「え?」
「はいマスター、これ聖杯ね」
「うん。ありがとう」
「え、ま、マスター?貴方、どうして……」
「うん?ああごめんねエレナさん。実は………」
「ここでネタ晴らし。実は今死にかけてたマスターは……全部僕の幻術でした!!」
「…………………は?」

ウキウキと、まるで夏休みに旅行に出かける小学生のような笑みを浮かべるマーリン。マシュは唖然と口を開け、他のサーヴァントは一瞬驚いたものの、「ああそういうことか」と呆れた表情を現した。

「派手な演出だったろう?本来なら幻術が看破されてしまうのだけど、聖杯の絶対的魔力におかげでこっちの魔術のオーラを誤魔化せた!いやあ作戦は成功だ!」
「ありがとうマーリン。おかげで聖杯を取り戻せた」
「つまりあれかね?すべてはマスターとマーリン殿の演技であったと」
「うん。こうでもしないと皆落ち着いてくれないかなって思って」
「せ、先輩…………」
「マシュ、俺にとってはマシュが一番だけど、他がいらないなんてことはないよ」
「しかし痴情のもつれは嫌だねぇ。それは散々見てきたんだけどいつみてもろくなもんじゃない」
「つまり……これにて一件解決かな?」
「釈然としないけれど、まあいいわ」
「マーリン、気に入りませんが今回は助かりました」
「俺は戦ってもよかったけどな!そっちの方が分かりやすい」
「う~ん、母としては、まあ現状維持でも納得しましょう」
「私も弟がそれでいいなら文句はありません」

さてこれにて正妻戦争は無事解決、とはいかない。

「ではマスター」
「うん。お願い」
「? マスター、何をするつもりですか?」
「いや、今回の件で建物も皆もボロボロでしょ?だから”なかったことにしよう”と思って」
「どういうことですか」
「僕は夢魔の血が混じってるからね。この建物の範囲限定なら、数時間、時を巻き戻すことができる。ああいや、”夢”として無かったことにできる」
「つまり今までの出来事は俺が見ていた夢だったということで。でも今度からもっと皆と向き合わないとね。今回の件で俺もよくよく理解したよ」
「それじゃあ皆。もう朝だ、夢から覚めなさい」






「そういえばマスター、聖杯があればもしかして──────」
「え?…………ああっ、ごめんアヴィケブロン、用事思い出した!」
「うん?そうかい?ならまた後で」
「うん、じゃ!」

そう言ってアヴィケブロンの言葉を強引に遮り、足早に部屋を出ていく。廊下を進み、たどり着いたのはダヴィンチの工房である。

「おや、どうかしたかね、マスター」
「少し聞きたいことがあって」
「ほう?」

かくかくしかじか

「なるほどね。君の懸念はもっともだ。だが幸いにも聖杯は全て健在。サーヴァント同士の衝突も起きていない」
「そうですか。良かった……」
「しかしマーリンの魔術、一連の出来事を君が見ていた夢として帳消しにするとは。やってることはほとんど過去改変、特異点と同じことだよ。カルデアのデータベースには一連の行動は記されていないが、何者かに防衛機能を停止させられた形跡がある」
「アビゲイルか……」
「うん。記憶には残らずともその痕跡は残る。ホームズ当たりならもしかしたらこの出来事を推理してしまうかもしれない。しかし彼は紳士だ。そんな野暮は思いついても口にはしないだろう。……しかし君の話が本当なら、ここはまさしく在りし日のバルカン半島だね。いつ爆発してもおかしくない」
「そうだね。悪いけど、聖杯の管理をくれぐれも強化してほしい」
「勿論だとも。私の技術の全てを以て、正夢にはしないさ」






これにて、正妻戦争は一応の終結を見ることとなる。しかし────────────

「ンン、
「ンンンンンンンンン、
「なるほどなるほど。人理を守る最後のマスター、まさかまさかカルデアの中にいてすらこのような事態に巻き込まれるとは
「であればそう、拙僧あしや──────いいえ、このリンボ、次なる動乱の際は少し戯れたく思います」

たった一度で終わるわけはなく…………………………。

続く



Comments

  • Isaac13

    やはりお前かわらびマン

    September 18, 2024
  • 獅唵 狗髏之

    おのれ、ディケイ…リンボォォォ!!!

    February 15, 2022
  • アカシア

    リンボォォォォォォ!

    January 22, 2022
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