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正妻戦争 in恋慕輪廻基地カルデア Ⅱ/Novel by しもつけのかみ

正妻戦争 in恋慕輪廻基地カルデア Ⅱ

7,887 character(s)15 mins

本作品には以下の要素が含まれます。読む前に一度ご確認ください。
・本作品のカルデアは、メインストーリー1部、1.5部終了時点であり、召喚されているサーヴァントはその間のメインストーリー、イベントで登場した者に限る。
・マスターは男である。
・聖杯は特異点回収後、未だ一度も使用していない。
・若干のキャラ崩壊。

あけましておめでとうございます。今年もできる限り作品を書いていこうと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
感想等のコメントはどしどしお書きください。毎度全て読ませていただいております。

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諸葛孔明と別れた後、カルデアの廊下を歩いていく。先ほどから建物が若干揺れているが、大方アルトリアとモードレッド、あるいはエレナとエジソン、テスラが戦っているのだろう。とにかく先ほど聖杯の部屋の番を頼んだ武蔵坊弁慶の元へと足を運ぶマスター。

しかし道中。小さな人影が現れる。

「お母さん?」
「ジャック」

ジャック・ザ・リッパ―。19世紀にロンドンを恐怖のどん底に叩き落した猟奇殺人鬼。そのはずなのだが、しかし目の前の少女は外見に目をつむればただの幼女である。彼女が自分を、あるいは出会った人間を自身の母であるとまず疑うのは、母の温もりを知らぬせいか、あるいは知っていてそれを探しているのか。

カルデアに召喚した際も、雛鳥の認識が如く自分を「お母さん」と呼んだ。当然違うのだが、しかし彼女は彼が自身の母親(に相当するポジション)であると認識し、マスターではなくお母さんと呼ぶ。最初は不慣れであったが、彼も長い付き合いの中で段々と慣れた。源頼光ならまさしく適任なのだろうが……。

「どうしたの、ジャック」
「お母さん、今一人?」
「え?ああうん。ジャックもかい?」
「うん。今みんなで探し物してるんでしょ?」
「(聖杯のことか……)そうみたいだね」
「お母さんも探してるの?」
「う~ん、どっちかっていうと隠してる側かな。宝探しをしているんだよ」
「宝探し?ふ~ん………」

幼女である。無知である。非常識である。

故に彼女が向けている感情は、おそらく母親への求愛であって、それはある種の被庇護欲だろう。だからこの騒動に彼女は関わらないだろう。と、マスターは考えていた。しかしその予想は外れることになる。

「ねえ、その探し物が見つかったら、”お母さん”になれるんでしょ?」
「えっ」
「みんな言ってたよ。じゅにく?するとお母さんとの子どもができて、お母さんになれるんでしょ?」
「そ、それは……」

再三述べるが、ジャック・ザ・リッパーはその体は幼女である。何も知らない人に彼女を見せたら、少しおかしな格好をした小学生にしか見えないだろう。そんな少女が受肉し懐妊するなんて、常識的に考えて犯罪である。そもそも彼女の体ではまず適齢期にはまだ達していないだろうし、それを抜きに単純に結婚だけでも十分に事案である。

これは聖杯の使用云々の話ではない。こんな幼い女の子と関係を持つのはあり得ないということだ。

「……ごめんねジャック。聖杯を使うわけにはいかないから、たとえ見つけてもお母さんにはなれないんだ」
「そうなの?」
「うん。でも俺はジャックのお母さんだから、安心していいんだ」
「……そうだね。うん。でもそしたらお母さん」
「うん?」
「聖杯は誰にも使わせちゃいけないんだよね?」
「まあ、そうだね」
「じゃあ使おうとしている皆は、殺した方がいい?」
「………いや、しなくていいよ。俺が自分で止めるから」
「そっか。でも困ったらいつでも呼んでね」
「分かった。ありがとう」






「そこをどいていただけませんか?私にはやることがあるのです」
「残念ですがそれはできません。というか、おそらく私たちは考えていることは同じでしょう」
「そうですね。ええ言い方を間違えました。諦めて私に譲りなさい」
「それこそできません。お互い血を見るのは嫌でしょう?」
「しかし貴女がそこをどかないなら、仕方ありません」
「そうですか。それでは──────」
「「力で雌雄を決するのみ!!」」

並々ならぬ気迫。かの宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島での立会も、このようなものだったのだろうか(まあ本人たちに聞けばいいのだが)。しかし今回は両名とも剣豪ではない。かと言って文化人というわけでもない。戦場に出た英雄である。

ジャンヌダルク。この名前を聞いて読者諸君はどちらを想像するだろうか。人々を戦場で鼓舞し導いた聖女の姿だろうか。それとも、私利私欲のために敵国に渡され焼き殺された悲劇の女の姿であろうか。その輝かしい、反面忌々しい人類史の、美しい汚点。ここにいる女人二人のうち、一人はこのジャンヌダルクであった。それはその忌むべき結末の前の、穢れなき聖女。クラスはルーラー。その旗こそ勝利の証。

と、ここまでは普通の説明であるが、今回は特に語らなくてはならない要素がある。それは──────、

「マスターの”姉”として、カルデアには彼にふさわしい女性はいないと判断しました。こうなっては私がマスターを、いいえ弟を幸せにします!」

”姉なる者”である。

自称姉。姉を語る変人。天才や英雄に変人は多いものだが、しかしこれは常軌を逸している。何故彼女が自分のマスターの姉を名乗るのか、それは実のところ彼女しか知らぬことである。したがって皆この言動に理解は示さないが、”姉弟並みに仲が良い”で片づけてしまいがち。それが今回の正妻戦争にてその本領を発揮し、聖杯奪取を目論んでいる。ここに至るまでに止めるよう説得してきたジル・ド・レェ(両名)を倒している。

対してお相手は、平安時代源氏武者を取りまとめた源氏棟梁、源頼光である。クラスはバーサーカーであるが、亜種特異点下総国にて変性した霊基なれば、狂化はしておらず、比較的温厚な性格である。その強さはカルデア内で比肩できるサーヴァントは少なく、主戦力となる女武者である。

と、ここまでは普通の説明であるが、今回は特に語らなくてはならない要素がある。それは──────、

「マスターの”母”として、我が子を安心して任せられる方はいないと判断いたしました。よってこの頼光、母たる責任を以てマスターの妻となります!」

”母なる者”である。

自称母。母を名乗る変人。鎌倉以前の武士は狂人多しと語られることは多いが、しかしこれは常識を逸脱している。何故彼女がマスターの(それ以外も多分に含まれるが)母を名乗るのか、それは彼女の性とも言える母性本能の爆発的な量。したがって大半の人々はこれを理解できないが、”まあおふくろさん的ポジションか”で片づけてしまいがち。それが今回の正妻戦争にてその本性を発露している。ここに至るまで止めるように説得してきた坂田金時を撃破している。

「「いざ!!」」

母と姉。変人と変人。はた迷惑ここに極まれり。






マスターは廊下を歩く。カルデア内が各地で起きている戦闘により揺れている。

違和感がないだろうか?そう、ここまで大騒ぎをしているのに、警報の一つも鳴らない。防壁は降りず、点灯は光らず、平穏を偽っている。

マスターは現在カルデアの管理をしているダヴィンチを探していた。彼女は女性で、マスターとの絆も十分でその戦争に参加する可能性もあったが、しかしそれでもカルデア全体のシステムを無効化することはしないだろう。それでは外敵がいた際にマスターの身が危ない。

となると次に考えられるのは、なんらかの要因でシステムがダヴィンチ以外の何者かによって停止させられている。

「まずはダヴィンチに会わないと……ん?」

彼女の工房を訪れると、そこにいたのはレオナルドダヴィンチであった。しかし彼女は机に突っ伏してすぅすぅと寝息を立てている。

「寝てる……」

起こそうと揺らす、声をかける等してみるが、どれも効果なし。さてはこれはどうしたものかと考えあぐねていると、マスターの手に不慣れな感触があった。

ぶよぶよ?ぐにぐに?軟体動物の、つまりはクラゲのような、しかしそれでいてしっかりとした弾力のある感触。それは普通に生活していればなんとなく想起できるものであるが、問題はその大きさであった。それは指、掌、肘、腕、肩へとのび、あっという間に両腕がからめとられてしまう。何事かと振り返ると、邪悪な微笑を浮かべる少女がいた。

「こんにちは、マスター」
「あ、アビゲイル……」

アビゲイル・ウィリアムズ。クラスはフォーリナー。この英霊の成り立ちは語ることが多いが、特にここで記さなくてはならないのはその歴史的背景ではなく、彼女が外宇宙の邪神と接続した数少ないサーヴァントの一人であるということだ。少女のその華奢な体躯、純朴な性格、透き通る美しい声、評価されてしかるべきものは全て二の次である。

触手。生物に例えるとタコに近しいが、その大きさは現にマスターが捕まっている通り甚だ大きい。虚空よりそれは現われ、彼女の手足のように使役されている。

「な、何してるの?」
「えへへ、マスターったらいけないわ。もう分かっているんでしょう?ジャックや北斎さんが言っていたもの。”聖杯があればマスターと夫婦になれる”って」
「あー……可能ではあるけど俺はするつもりは……」
「まあマスターったらまた。こんなやり方よくないのは分かってるけれど、でもこの状況、マスターはもう諦めるしかないの」

彼女の皮膚が変色する。髪も、瞳も、表情も変わる。それは同期した邪神の性質が色濃く出た、邪なるアビゲイル・ウィリアムズ。触手は足に延び、マスターは吊るされるような形になる。

「ま、待つんだ!聖杯は──────」
「知ってるわ。以前聞かせてもらったもの。でも私は自分の願いを、欲望を簡単に手放せるほど、良い子じゃないの。それと、これが一番肝心なのだけど……私、マスターが好き」
「嬉しいが今はやめておかないか?話せばきっと」
「いいの。マスターは優しいから。首を縦に振ってくれない。だから悪いのは私よ、マスター」
「待って──────」

マスターは吊るされたまま、アビゲイルは実に優雅に廊下を進む。マスターはあがくが、触手からは抜け出せない。ダヴィンチは未だ眠っている。世界の外側、フォーリナーである彼女を止められるサーヴァントは数少ない。救援が来たとして、彼女には叶わないかもしれない。

マスターは意を決して言い放つ。

「ごめんアビゲイル」
「え?」
「”ガンド”──────ッッ!」

ガンド。礼装魔術の一つであり、対象の行動を一時的に制止させる、所謂バインド魔術。

「ま、すたぁ」
「気持ちは嬉しいけど、やっぱり諦めて!今度埋め合わせするから!」

触手が離れた瞬間、マスターは全力疾走で廊下を駆け抜けた。






「あら」
「ん」

こういう時でなくても、対立してしまうサーヴァントはいる。既に登場しているエジソン、二コラ・テスラが良い例である。いざという時は協力して敵に立ち向かうことができるのだが、基本的には仲が悪い。慣れれば大したことではないし、同じマスターに仕えるサーヴァントとして分別はつけられるが、それでも仲が悪い。

諍い、不仲などあって当然。そんな些事よりも人理修復こそが最優先であったカルデアでは、これは特に問題視されなかった。一度生を終えた英霊たちは、嫌いな相手との付き合い方も大体分かる。しかしこのエジソンたちの事例は、英霊となった後で不仲になるケースである。

ここにもそんな二人がいた。

「御機嫌よう。こんなところで奇遇ですね」
「白々しい。目的もこれから起こることも分かっているのだろう。それともいちいち挨拶と嫌味を言わないと死んでしまうのか?」

先ほど述べたジャンヌダルクの、火刑に処された後の話。信じたものへの絶望、めらめらと自身に這い寄る理不尽、文字通り燃えるような怒り、それらが聖女としての彼女を殺した。この恨み、この痛み、この憎しみ、この怨嗟、全て全て忘れまい。死後も一切合切を許すまじと心に誓う。

そして英霊となった後、彼女のそういう部分が、オルタとして顕現する。その姿は、先述のジャンヌダルクとは雰囲気がまるで違う。同じ顔、同じ声、同じ人物でありながら、その邪悪、その憎悪、その嫌悪は計り知れない。クラスはそんな彼女のふさわしいアヴェンジャー。

「そうね、言葉なんていらなかったわ。どうせ今から殺すから」

対して立ちふさがる女も、またオルタであった。

アーサ王伝説、その輝かしいブリテン島統一の歴史は知らぬ者はいないと言えるかもしれないが、その後、同じ円卓で起きた凄惨な殺し合いと、果てにカムランで討たれた王の話も無視してはならない。滅ぶべくして滅んだのか、偶然を超えた偶然なのかは定かではないが、キャメロットを統治した王の末路は決して美しいものではなかった。

そのせいなのかはこれもまた定かではないが、アルトリア・ペンドラゴン・オルタ、クラス・セイバーが現界した。キャメロットも円卓もなき今、彼女は復讐も悪事も考えてはいないが、それでもオルタとしての邪悪さ、光の当たらない者としての性質は健在である。

「マスターの手前控えていたが、こうなればだれにも止められない。今こそ白黒つける時が来たというわけだ」

二人が争うことは、別に不思議なことではない。亜種特異点新宿でも二人は不仲であった。しかし分かっているなら、こういう時の二人には近づくべきではない。

しかし悪運が強いのか、マスターはここに遭遇してしまうのである。

「ぜぇっ、ぜぇっ……。自分のサーヴァントにガンドを使うのは、気持ち的にあれだったけど、仕方ないよね、こういう場合は……」
「…………」
「…………」
「あれ?ふ、二人ともここで何を──────」

瞬間。マスターは後方に飛ばされる。これは攻撃によるものではなく、攻撃の衝撃によるものだ。そのまま廊下をごろごろと転がり、やがてぐったりと止まると、息も絶え絶えにマスターは呟く。

「こ、こっちもか…………」
「あんた、少しは気をつけなさいよ。もう少し力が強かったら、いくら礼装をつけてるコイツでも内臓が潰れてたわよ」
「貴様こそ、あんな勢いでマスターを掴もうものなら骨が折れてもおかしくない。私は貴様のその汚らわしい手からマスターを守ったに過ぎん」

ここもまずい、逃げるしかないと思いこっそり動くマスターを二人は見逃さない。

「マスター」
「あんた」
「は、はい」
「これからこの売女を殺しておくから、聖杯を持ってきてください。その後、婚姻を執り行います」
「このクソ女は無視しなさい。聖杯を持ってきて受肉したら、まずはこいつの亡骸を燃やし尽くすわよ」
「そ、その、聖杯は使いたくないというか俺は結婚する気はないというか……」
「…………」
「燃やされたいの?」
「い、行ってきまーす!!」






カルデアの各地での争いがピークに達し、関係のないサーヴァントすらその仲裁に向かわなければならない段階になってきた頃。

「やあマスター。あの二人からは逃げ切れたんだね」
「マーリン!」

内乱の如く混沌の極みであるカルデアで、ただ一人涼しげな顔で話しかけてきたのは、魔術師マーリンである。アーサー王伝説における宮廷魔術師であり、アーサー王を導いた歴史の立役者。夢魔と人間の混血にして、楽園に住まう者。

キャスタークラスのサーヴァントはこのカルデアに数多くいるが、中でもマーリンは最高峰の魔術を持っている。支援魔術なら彼に勝るものはいないかもしれない。かの王を助けたというのも納得である。

「昼寝から起きたらカルデアのあちこちでバトルが起きててびっくりしたよ。まあ起こしに来たのはキャスパリーグなんだけどね」
「フォウくんが?」
「フォ――――――――ウ!」

マーリンの足元から、猫ともウサギとも言えない謎の生物、フォウくんが現れた。数々の冒険の中、危険だろうがなんだろうがついてきて、もはやいるのが当たり前の存在。何故かマーリンにのみあたりが強いが、苦楽を共にしてきたマスターには、家族と言ってもいいほどの動物である。

「マーリン、実はかくかくしかじかで……」
「なるほど。いやあマスターも罪な男だね。サーヴァントを惚れさせちゃうなんて中々できることじゃない」
「言ってる場合じゃない。確かにみんなの気持ちは嬉しいけれど、聖杯を使うのはやめさせたいんだ」
「分かってるよ。ここに来るまでにぐるっと中を見回してきたからね。まだ誰も聖杯を手にしてないけれど、時間の問題かな」
「マーリン。悪いんだけど力を貸してほしい。皆を止めるのを手伝ってくれ」
「嫌だ」
「え」
「フォーーーーーーーーーウ!?」
「こらキャスパリーグ、脛を蹴るのはやめてくれ!地味に痛い!」
「ち、ちなみに理由は?」
「理由?それは、僕の手じゃもうどうしようもないからさ」

明るい口調で言うマーリン。対してマスターは苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。

「おいおい待ってくれ。別にサボりたいわけじゃないぞ!ちゃんとした理由があるんだ」
「まあ、確かに皆の相手をしてなんて誰でも断るよね…………」
「だからそうじゃない。いいかい、今止めなくてはならない相手は他にいるんだ」
「ほかに?誰?」
「ほら、なんかここまでで誰か足りないと思わない?このカルデアで重要な人を忘れてると思わない?」
「誰か……忘れて……あっ!!」

この時、彼は最大にして最強の盲点を思い出す。普段一緒にいて、あまりにも信頼し過ぎていて、考えもしなかった彼女のことを。

「マシュ────────────!!」






キャスパリーグに叩き起こされて、しぶしぶカルデアの様子を見ていたマーリン。廊下を歩いていると、奇妙なものに気づく。

「ここの壁、変な削られ方をしてるな……。爆弾や斬撃じゃこうはならない」

それは異様な壁の損傷であった。まるでえぐり取られたようなそれは、廊下の壁面の所々にあった。カルデアの基地内の壁は、当然の話であるがかなり頑丈に作られている。ロケットランチャー程度では外装を剝がすくらいしかできないし、サーヴァントでも完全に壊すのは時間がかかる。それをこんな壊し方をするとなると考えられるのは一つしかない。魔術の行使である。

「どんどん奥まで続いてるな……」

損傷を追うように進んでいくと、突如謎の巨体が現れる。

「!? ゴーレム!!」

ゴーレム。魔術によって作られてヒト型の像。それは魔力によって動き、材料によってはサーヴァントにも匹敵する強力な兵士にも成り得る。どうやらマーリンに対しては敵意はないがこの壁の損傷は、ゴーレムを作るために削られた跡であったことが分かった。

ゴーレムはさらに奥へと進んでいく。その方向からは、誰かが戦っている音が聞こえた。マーリンも駆け足でその音の方向へと向かう。

「いったい誰が──────」

そこにいたのはゴーレムの群れと、何かと戦うアヴィケブロンの姿が。相当苦戦しているようだ。何かに果敢に進んでいくゴーレムたちは、次々に砕かれ、潰され、殲滅される。

相手は目にも止まらぬ速さで動き、目にも映らない速さで攻撃していた。サーヴァントの動体視力を上回るサーヴァントが、果たしていただろうかとマーリンが考えていると、一瞬、その相手の姿が映った。

「あれは──────」

大盾。それは英霊ギャラハッドより賜りし全てを守り通す盾。彼女にだけ、シールダーの彼女にだけ許された守りにして攻撃。見間違えるはずもない。彼女がいなくては人理修復はあり得なかったのだから。

デミサーヴァント、マシュキリエライトである。


Comments

  • ユニーグ@多方面にて活動中

    珍しくマーリンがまともな考えを…続き待ってます!

    January 6, 2022
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