脳が疲れて「ゴミ屋敷化」する…10万人の脳を見た脳神経外科医が「スマホをベッドに持ち込まないで」という理由
■ベッドにスマホが悪循環の元 また、スマホへの依存が脳疲労の原因となる第二の理由は、「睡眠負債」を招きやすいことです。 ベッドにスマホを持ち込むと、その明るい画面や刺激的な動画が、脳を覚醒させるオレキシンの分泌を促します。 その一方で、眠りを誘うメラトニンは、逆に抑制されてしまうのです。 これにより、なかなか寝つけない入眠障害が引き起こされます。もし無理に寝つけたとしても、睡眠が浅くなるため、夜中に何度も目が覚めたり(中途覚醒)、朝早くに目覚めたり(早朝覚醒)しやすくなります。 そして、睡眠負債が積み重なり、それがさらに脳疲労を加速させるという悪循環に陥ってしまうのです。 さらに、第3の理由として、スマホによってあなたの貴重な時間が奪われてしまうことも挙げられます。 もし「だらだらスマホ」している時間を、散歩に出かけたり、サウナでリラックスしたり、自然に触れたりすることに使っていたらどうでしょう。きっと、脳疲労の回復につながる機会を得られたはずです。 息抜きのつもりの「だらだらスマホ」が、じつはあなたの脳疲労をさらに悪化させている現実を、ぜひ理解してください。 ■がんばり屋さんほど脳が壊れていく 疲れている理由③ 常態化する「マルチタスク」 ビジネスパーソンが脳疲労に陥る三つ目の要因は「マルチタスク」です。 私たちの脳は、いくつもの仕事を同時並行でこなすことが苦手です。原則として、脳は目の前の1つの物事にしか集中できないように設計されています。 2つ以上の案件を同時並行でこなそうとすると、脳疲労を起こしてしまい、仕事の能率が悪くなるだけでなく、「うっかりミス」を起こしやすくなるのです。 例えば、プレゼン資料の作成に追われて焦っているときに、同僚から突然大事な話を持ちかけられても、同僚の話の内容は頭に入ってきませんよね。 また、仕事でトラブルが発生している最中に、別の仕事の資料を作成していても、トラブルの状況に気を取られて資料作成が疎(おろそ)かになってしまうことは、想像に難くありません。 実際、私の「もの忘れ外来」を受診されるビジネスパーソンの多くは、日々マルチタスクに振り回されている方ばかりです。 朝から晩まであっちの問題、こっちの問題に駆けずり回り、スケジュールは連日パンパン。常に5つも6つもの仕事に頭を悩ませているようです。 しかも、そういう「がんばり屋さん」に限って、仕事の合間の息抜きにまでスマホを触ってしまう傾向が見られます。その結果、運動不足や睡眠不足も重なり、脳疲労はさらに加速してしまいます。 このように、現代の働き盛りの世代が抱える脳疲労の背景には、「睡眠負債」や「スマホによる情報過多と時間の浪費」、そして「マルチタスクによる脳への過度な負荷」という、現代の日常に深く根ざした要因が複雑に絡み合っているのです。 ---------- 奥村 歩(おくむら・あゆみ) 医学博士 1961年生まれ。おくむらメモリークリニック院長。岐阜大学医学部卒業、同大学大学院博士課程修了。2008年に「おくむらクリニック」を開院し、設置した「もの忘れ外来」ではこれまでに10万人以上の脳を診断した。著書に『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』(すばる舎)、『ボケない技術』(世界文化社)、『スマホ脳の処方箋』(あさ出版)、『脳の老化を99%遅らせる方法』(幻冬舎)、『あなたの脳は一生あきらめない!』(永岡書店)など。 ----------
医学博士 奥村 歩