2026-03-06

母の親友が死んだ

母の親友が死んだ。

母も、彼女も、自他ともに認める親友だった。

思い出の中の彼女は、母の親友だった。

叔母さんでもない。近所の人の良いオバサンでもない。

彼女といる時の母が、母ではない顔を見せていたから。

彼女は、母を『母』という生き物から人間』にしてくれていた。


そんな彼女と二人きりで話した時に伝えられた言葉がある。

貴方の母は強いひとだから貴方の前では弱音を吐かないと思うの。だけど、本当は貴方のことを誰よりも心配して、愛してくれているのよ」

この言葉は、彼女との秘密の会話だった。

うそんな会話を共有する相手もいない。

この言葉は、私だけのモノになってしまった。

彼女は母のことが大好きだった。

「もし、お母さんに何かあった時、私にも連絡をしてほしい」

そう言っていた彼女の方が、先に居なくなったじゃないか


先日、母との会話でふと思い出して、

彼女SNSアカウントを探した。

投稿2020年で止まっていた。

その後に癌になったからね、と母は教えてくれた。

投稿の中の彼女は元気そうで、朗らかで、生きていた。

SNSの中の彼女は、紛れもなく生きていた。

親友誕生日だったので、アフタヌーンティーに行ってきました』

この投稿の日付は、母の誕生日だった。

はいちいち母と彼女が何処で遊んで、何を食べたのかなんて知らない。

遊んだ時の会話の内容なんて、もっと知らない。

だけど、母が都会に出て、自分誕生日アフタヌーンティーを楽しんでいる様子を思い浮かべて、私は泣いてしまうのだ。

母の親友だった。


どうしてこんなに哀しいのか分からない。

私と彼女はたいして関わりもなかったくせに、

母との思い出を見て泣いてしまう。


母は強いひとだから、やっぱり私の前では泣かなかった。

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