母の親友が死んだ。
叔母さんでもない。近所の人の良いオバサンでもない。
彼女は、母を『母』という生き物から『人間』にしてくれていた。
「貴方の母は強いひとだから、貴方の前では弱音を吐かないと思うの。だけど、本当は貴方のことを誰よりも心配して、愛してくれているのよ」
彼女は母のことが大好きだった。
「もし、お母さんに何かあった時、私にも連絡をしてほしい」
先日、母との会話でふと思い出して、
その後に癌になったからね、と母は教えてくれた。
『親友の誕生日だったので、アフタヌーンティーに行ってきました』
私はいちいち母と彼女が何処で遊んで、何を食べたのかなんて知らない。
だけど、母が都会に出て、自分の誕生日にアフタヌーンティーを楽しんでいる様子を思い浮かべて、私は泣いてしまうのだ。
母の親友だった。
どうしてこんなに哀しいのか分からない。
私と彼女はたいして関わりもなかったくせに、
母との思い出を見て泣いてしまう。
母は強いひとだから、やっぱり私の前では泣かなかった。