決別

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 昨日、いままでの物語とケリをつけに和泉中央にまで行ってきた。いままでの物語、と書いたのは、そこにある大学、桃山学院大学へのおもいをずっと整理できずにいたからだった。

 放送大学から正式な合格通知を発送します、とのメールが届いたいまこそ、桃山と向き合うべきタイミングかもしれないな、と考えた。

 なにより、向き合いざるを得なかった。

 南海泉北線に乗り、和泉中央に。

 そこへ向かうまでのあいだ、不思議とおだやかだった。桃山の学生だったころに戻りたいとか、そこでやり直せたら、との感情はまったくなかった。

 理統だが、桃山を1年で中途退学している。既卒ではなく、中退だからこそ、こことの物語が未了のままいまも続いていたのだ。

 それはさておき、和泉中央駅に着いたとき、相も変わらず田舎と都会の融合した不思議な場所だな、としみじみとした。



 和泉中央で一人暮らししていたころ、ここのイズミヤには何度もお世話になった。ここの松屋と吉野家で夕食を食べたりもした。

 ここは理統のおもいでの地だ。

 桃山学院大学の広告。



 工学部が新設されるのは知っている。

 文系大学からの初の理系学部、とだけあってか、大学側も工学部を大々的に宣伝しているふうに見受けられる。

 エスカレーターを登り、陸橋に。

 ここから見渡せる景色がとても美しいのだ。



 景色を眺めたあと、ひたすら歩く。

 桃山学院大学は和泉中央駅から何キロか離れた場所にある。Googleマップを使えば距離を測定できるけども、距離はともかく、駅から大学までがとにかく遠いのだ。

 道をひたすら歩き、大学の外観が見えてきた。



 大学の敷地内の重機があるのは、工学部の校舎を新設しているためである。



 付近までやってきた。



「桃山学院大学」と書かれてある。

 これを見たとき、「ああ、かつてはここの学生だったんだな」とおもって。けど、一方で、「こことの縁はもう切れたんだな」とも実感して。

 心境はとにかく複雑だった。

 直進して付近にあるローソンへ。

 そこでバンホーテンのココアを買い、マールボロを吸いつつそれを飲んだ。

 桃山にいた頃の理統はまだ18歳で、煙草をもちろん吸えなかった。けども、いまでは当たり前みたいに煙草を吸えて。

 かつてそこにいた自分と、いまはそこにいない自分。2つの交点が昨日、交わった気がした。そして、昨日、交わったそれをようやく抱きしめ、許してあげられた気がした。

 それがずっと中ぶらりんのままで。それを抱きとめる場所も器もなく、くるしい状態が長らく続いていた。

 放送大学から正式な合格通知を発送します、とのメールが届いたとき、「あなたの居場所はもう過去にはありませんよ。これからは放送大学なんですよ」と言われている気がした。

 もう、だらだらと続いてきた、断ち切れなかった未練を潔く断ち切ろう、と。

 覚悟が固まった。

 大学付近を離れ、泉ヶ丘へ。

 そこに向かう前に撮った1枚。



 理統は和泉中央のこのスポットがすきで、大学からの帰り道、この風景を意味もなく眺めるのがすきだった。

 泉ヶ丘に行ったあと、合格祝いにとケーニヒスクローネでスイーツと551の蓬莱で焼売と豚まんを買った。

 合格通知が届くのを待ちきれず、フライングしてしまったのはわかっている。が、待ちきれなかったのだ。ゆるしてほしい。







 ケーニヒスクローネの商品はこのクオリティで600円ほど。スイーツが盛りだくさんでプリンもかなり濃厚、コクがある。このクオリティで600円ならば、安いほうではなかろうか。1週間に一度は食べたいほどだ。

 豚まんは2個入りだったのだが、そのうちの1個を食べてしまった。

 焼売も撮る前に食べてしまった。

 申し訳がない。

 夕食を認めたあと、入浴した。

 昨日、和泉中央に行った総評としては、ここへは遅かれ早かれ行かねばならなかった。ここへ行き、桃山との区切りをつけねば理統は次に進めなかった。

 昨日、問題にようやく区切りがつき、縁がとっくに切れているのも実感した。

 中退に関してだが、一度中退を選択し、そこから大学に入り直す、との選択は甘くない。理統は桃山を中退して以後、放送大学に戻るまでにかなり苦労した。

「苦しかったら中退しなよ」と中退を勧める風潮があるが、理統は中退を安易に勧めない。ひとと関わるなかで、自分がもしも大卒だったら、とおもわされる瞬間に何度も遭遇したからだ。相手が無意識のうちに学歴フィルターを発動し、自分はそれによって弾かれたな、とおもう瞬間も多かった。

 大学に一度入れたのならば、中退を選択する前にそれが自分にとって本当に悔いのない選択かを考える時間は必要かもしれない。

 ここまでいろいろと書いた。

 もう、桃山の物語は終わった。

 次に、進んでも構わない。

 次に、進まねばならない。