「全員無事でごめんなさい」 高校生が詩に込めた"怒りと諦め" 震災15年の今伝えたい願い #知り続ける
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『潮の匂いは世界の終わりを連れてきた。』 これは宮城県東松島市で被災した女子高校生が詠んだ詩「潮の匂いは。」の一節だ。彼女は文芸部だった3年時に「気持ちに区切りをつけたかった」と詩をしたためた。
『潮の匂いは友の死を連れてきた。冬の海に身を削がれながら、君は最後に何を思ったのだろう。』 小中と一緒に過ごした近所の友人とはつまらないことでケンカをしたままだった。避難所で手に取った新聞の死亡欄にその子の名前を見つけた。
東松島市では震災で1,100人以上が亡くなった。家族を亡くした人や大事なものを失った人が多くいる中で、この15年抱えてきたうしろめたさのような感情がある。 「当時の文芸部の顧問に『うちは全員無事でごめんなさい』と言ったことがあります。自分の家族が無事だったのは良かったと思うけど、自分が被災者という顔をして暮らしていいのか。同じ目線で語れないんじゃないかと」
10m超の津波…日常と乖離した“匂いと湿気”
2011年3月11日。当時、高校1年生だった片平侑佳(かたひら・ゆか)さんは姉と妹、祖父母の5人で海岸から1.2kmほどの場所にある東松島市野蒜地区の自宅にいた。 通っていた高校が入試業務のため、たまたま生徒は自宅学習となっていた。すると突然、「柱を支点にぐるぐる振り回されるような揺れ」に見舞われた。
姉が直感的に避難の必要性を訴えた。しかし祖父母は、ここまで津波は来ないから自分たちは逃げないというスタンスだった。家族の中でも意見が割れていた。片平さんが、2階から見える景色に異変を感じたのはそんな時だった。 「海岸の松林が風がないのに大きく揺れて泥水がザラザラ流れてくるのが見えて…顔を上げたら壁みたいになって津波が押し寄せてきたんです。数十秒の間にどんどん水かさがましてこのまま死ぬんじゃないかって」
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