「グッバイ」児童16人の小学校、116年の歴史に幕 近隣校に編入

富田祥広

 今年度いっぱいで116年の歴史に幕を下ろす鳥取市気高町の市立逢坂小学校で、2月22日に閉校記念式典が開かれた。在校生16人と保護者、教職員のほか、卒業生や地域住民ら約320人が参加。児童たちは地域のぬくもりに包まれて新たな春を迎える。

 6年の久野康太さん(12)は、家族6人のうち祖父、父、姉と自分の3世代4人が逢坂小に通った。「僕の家族にとって、とても大切な学校です」。閉校を知ったのは昨年5月。その後、閉校までにやりたいことを実現する「逢坂小学校グッバイプロジェクト」を在校生全員で立ち上げた。

 家族や先生たちと一緒に学校に泊まり、夕食のカレーをみんなで作ったり、キャンプファイヤーや肝試しをしたり。自分たちが考えたクイズやパズルを教室で解いていく脱出ゲーム。地域住民ら約100人にも参加してもらった「オウサカ」の人文字。2千個のドミノ倒しも成功させた。

 卒業式は3月18日。最後の卒業生となる久野さんは、在校生を代表して式典であいさつし、保護者や地域の人たちに感謝の言葉を述べた。

 「この1年、思い切り楽しむことができ、逢坂小学校に心を込めて『さようなら』を言う準備が少しずつできました」。そして、誓った。「僕も未来の逢坂に貢献できる大人になりたいと思っています」

 逢坂小は1909(明治42)年に尋常小学校として開校。当時は196人の児童がいた。明治、大正、昭和、平成、令和――。五つの時代の卒業生は計3520人だ。

 しかし、近年は児童数の減少に歯止めがかからず、今年度は16人。6年2人▽5年4人▽3年3人▽2年2人▽1年5人で、4年生はいない。

 市教育委員会は、気高町内の小学校4校を再編・統合し、2031年度に新設校を開く方針だ。ただ、4校の中で最も児童が少ない逢坂小については、保護者らの要望を踏まえ、統合に先行して今年4月に近くの浜村小に編入する。市教委は「逢坂小の児童数は今後も20人前後が続く見通しのため、早い段階で相応の児童数を保ち、より良い教育環境を整えたい」としている。

 閉校記念式典で第32代の田見栄校長は16人の児童に向け、「編入先の小学校でも、進学する中学校でも、たくさんの出会いを楽しみに、希望を持って4月を迎えてください」と語りかけた。

 会場には卒業年度ごとの集合写真や卒業アルバムなどが展示され、卒業生らが自分の姿を探したり、久しぶりに会った知人らと思い出を語り合ったりしていた。

 市内の堀尾京子さん(76)は1961年度の卒業生。64年前のモノクロの集合写真で自分を見つけ、「なつかしくて涙が出る。母校がなくなるのはとっても寂しい」と話した。

この記事を書いた人
富田祥広
鳥取総局
専門・関心分野
国内社会、ルポルタージュ

関連トピック・ジャンル