いいか、しんのすけ。
6軸ロボットで意外と誤解している人が多いことといえば、
『ロボット可動範囲の最外径は、ハンド取り付け部(手首)ではなく、手首回転軸の中心部である』という点だ。
この理解を間違えると、物を持てない、目的の場所に運べないロボットになってしまうんだぞ。
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例えば、FANUCのロボット可動範囲の図を見てみよう。
可動範囲(LOCUS)は回転軸の中心(pointA)であることがわかるな。
ここで基礎に立ちかえると6自由度は、
X,Y,Zの位置成分と、
Rx,Ry,Rzの回転成分を持つ。
6軸ロボットの根本の軸J1から先端までの軸J6は、明確に機能が分かれるんだ。
J1-J3は、X,Y,Zの位置を出すことが主要機能。
J4-J6は、Rx,Ry,Rzの角度を出すことが主要機能だ。
人でいうPointAの周辺3軸(J4-J-6)が手首
J1-J3が肩と肘にあたるわけだ。
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ここで手首の自然な向きを考える必要がある。
それは、地面を向いていることだ。
つまり、図でいう手首がまっすぐ左を向いているわけではなく、J5軸が回転し、地面を向いている状態だ。
例えば、座った状態でテーブルの上に置かれているリモコンを手で取って、テーブルの別の場所に置いてみよう。
一番やりやすいのは、リモコンを上から掴んで、その姿勢を維持したまま肘を中心に旋回し動かす方法だ。
このとき手首は力を抜き、リモコンの自重によって下を向いていると思うぞ。
PointAの図の状態は、テーブルに肘をつけて、手の指先までテーブルにくっつけた状態と同じだ。
その状態で手首を動かさずにリモコンを取ると、
肘ではなく手首に負荷がかかっているのが感じられるはずだ。
話をロボットに戻すと、
J4-J6はモノを回転させるとき、可搬重量よりも先にトルクでの負荷で限界がくる。
だから、回転中心部のPointAを可動範囲の上限として書いてあるということは、回転を加味していない無負荷状態だからと覚えるとわかりやすいと思うぞ。
冒頭に言った通り、この理解が誤ったままアーム部を設計、レイアウト検討をすると、トルクオーバーでワークが持てない。
そして、レイアウトもやり直し、干渉関係の成立性も見直しでミスとしては致命傷となる。
今やロボットは馴染みのあるものとなり、単純化されて自由に動かせるという部分だけが強調されている。
しかし、なぜそうなっているのかという根本の部分が置き去りにされやすく、設計や検討にはまだまだ属人的な要素が多数存在するんだ。
原理原則の理解の上にAIを成り立たせられているのか、本業ですら怪しい領域を他分野が成立できるのかが課題と思うぞ。