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同じコメなのに、精米して1ヶ月強で処分してしまうものと、精米して1年間売れるものがあるのはなぜ? #エキスパートトピ

株式会社office3.11代表取締役
2026年2月上旬に精米された山形県産「つや姫」(左)と2025年11月に精米された新潟県産「新之助」(右)(筆者撮影)

2026年2月、ある食品小売店で山形県産「つや姫」が置かれていた。精米時期は2026年2月上旬。

3月に別のスーパーで見たのは新潟県産「新之助」。2025年11月10日に精米され、賞味期間は1年間(2026年11月10日)。

よく目にするのは写真左の表示が多い。

精米後1ヶ月強でスーパーは商品棚から撤去する。廃棄する、あるいは従業員に安く売る、フードバンクに寄付する、コメの納入業者に返品し外食産業にまわす。

精米して2ヶ月以上経ったコメを消費者が商品棚で目にすることはない。つまりコメの販売期限は1ヶ月強しかない。

ココがポイント

スーパーには、賞味期限のない米の鮮度は精米時期を基準に判断し、精米後1カ月強で商品棚から撤去する商慣習がある。
出典:SDGs ACTION 2024/10/4(金)

お米は生鮮食品と同じです。お米には、賞味期限は書かれていませんが、長期間保存すると劣化していきます。
出典:北九州で無農薬・特別栽培米の玄米扱う梶谷米穀店 | 九州産の無農薬米や特別栽培米の玄米ならおまかせのお米屋さん 2015/7/5(日)

冬は2ヶ月程度(中略)過ぎたからといってすぐにだめになったり不味くなったりするわけではありません。
出典:お米の通販 大米米穀店|出産内祝い体重米・結婚式ギフト 2021/6/7(月)

アイリスオーヤマの特徴的な低温製法米(中略)」酸素や湿気を遮断し、最大1年(未開封時)の長期保存が可能です。
出典:ハウスケアラボ 2025/10/14(火)

エキスパートの補足・見解

JAS法および食品衛生法で、精米は生鮮食品として扱われ、賞味期限の表示義務がない。そのためスーパーには賞味期限のないコメの鮮度を、精米時期を基準にして判断し、精米後1ヶ月強で商品棚から撤去する商慣習がある。

一方、精米のおいしさ(賞味期限)を調べた研究者によれば、保存温度25度で2ヶ月、20度で3ヶ月、15度で5ヶ月、5度で7ヶ月という(Yokoe and Kawamura, 2008)。

アイリスオーヤマは15度以下の低温管理でコメを保管・精米・包装しているので品質を保ちやすい。トップ画像の写真の右側がアイリスオーヤマの販売するコメだ。精米してから1年間もの賞味期間がある。

アイリスオーヤマによれば、コメの包装に窒素入り高機密パックを使い、脱酸素剤を同封することで、劣化の原因となる酸素や湿気を遮断し、未開封の場合、1年間は鮮度保持できるという(拙著『私たちは何を捨てているのか 食品ロス、コロナ、気候変動』ちくま新書)。

日本の多くのスーパーでは精米して1ヶ月強で棚から撤去してしまう。精米すれば品質や味が落ちるので仕方がないかもしれない。だが、そのような商慣習は昨今コメ不足になった現状も踏まえ、見直したらどうか。

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株式会社office3.11代表取締役

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書『私たちは何を捨てているのか』『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』『SDGs時代の食べ方』等、13冊(累計16万部)。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞など受賞

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