力士は大食いでも「糖尿病」にならないって本当? 筋肉量多くても防げない“意外な落とし穴”とは【専門医解説】
炭水化物を極端に減らすのはNG
Q.力士やスポーツ選手のように職業柄、体を大きくするために体重を増やさなければならない場合、どのように対処することが多いのでしょうか。また、痩せ体形に悩んでいる人が無理なく体を大きくすることは可能なのでしょうか。 飯島さん「力士や重量級のスポーツ選手の増量は、『ただ食べて体重を増やす』のではなく、競技力を保ちながら体格を大きくすることが目標になります。 体重を急に増やし過ぎると、内臓脂肪や脂肪肝が増えやすくなるなど、将来的な負担につながる可能性があるため、日々の目標を適切に設定しながら進めることが大切です。実際には、次の3つが柱になります」 (1)摂取エネルギーを増やす(量と同時に“質”も意識する) ・食事回数や補食で、必要な総量を確保する ・毎食タンパク質を入れて、筋肉の材料を切らさない ・炭水化物は練習の燃料になるため、極端に減らし過ぎない 脂質は1グラム当たりのエネルギーが大きく、増量には役立つ一方で、取り方によってはカロリーが過剰になりやすい面もあります。 そのため「脂質をゼロにする」ではなく、揚げ物や高脂肪の加工食品に偏らないようにしつつ、量を調整することが現実的です。 (2)トレーニング設計(増えた栄養の行き先を筋肉へ) ・競技練習に加え、筋力トレーニングを組み合わせることが多い ・けがで運動量が落ちたときは、食事量や内容を見直す必要が出やすい また、けがをしにくいように負荷を調整し、痛めた場合はトレーニング部位のローテーションを行うなど、継続できる形にすることが重要です。 「良質で大きな筋肉を育てること」が、競技力を保ちながら体を大きくする上での基本になります。 (3)睡眠や休養といった回復を増量の一部として扱う 睡眠が乱れると、食欲や回復が崩れ、脂肪ばかりが増える傾向にあります。体作りでは「食べる」「鍛える」と同じくらい「回復する」ことが大切です。 いびきがひどい場合や日中の眠気が強い場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるため、医療機関で相談すると安心です。 なお、体重だけでなく、代謝の状態も一緒に見ることが重要です。増量が必要な人ほど、体重だけでなく、体の中で何が起きているかも定期的に確認しておくと、早めに軌道修正しやすくなります。 【増量中にチェックすべき項目】 ・体重:週1回 ・腹囲:月1回 ・血圧:週1回 ・血液検査:3〜6カ月ごと ・空腹時血糖、HbA1c ・肝機能(脂肪肝の目安) ・脂質(中性脂肪など) ・睡眠:いびき・無呼吸・日中の眠気の有無 力士やスポーツ選手、痩せ体形で悩んでいる人など、増量が必要な人ほど、体重だけでなく腹囲や血糖値、肝機能、脂質、睡眠を総合的に見て、早めに調整することが安全につながります。ただ食べるのではなく、自分の体と会話をしながら、安全で持続可能な体作りを目指して頑張ってください。
オトナンサー編集部