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「ガバメントクラウド、そのままやるんすか」で起きる利益相反と情報漏洩リスク

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https://yakan-hiko.com/kirik.html


 某所で『スナックまさこ』とかいう森亮二先生ご謹製のお座敷で語られた内容のメモが回ってきていて、ああ、世の中そっちなんですかねと思っていたら、朝日新聞でこういう記事三部作が出ていたわけです。

 なんじゃこりゃ? いや、問題意識は分かるんですけどこれ3年前に岸田文雄政権でデジタル大臣を務めておられた河野太郎さんの大臣記者会見で日経大豆生田崇志さんや長倉克枝さんが質問していた「本当に25年3月末に自治体データ標準化の実施ピン留めを外さないんですか」問題に敷衍していることですよね。

 おそらく、若江雅子さんもご取材を進めていくなかで、取材し切れずにある種の見切り発車で記事にせざるを得なかった何かがあるのかと邪推するわけdすが、記事でも触れておられるように当面の最大の問題は難儀な工程を押し付けられた地方自治体や地元ベンダーさんたちが膨れ上がったシステム予算の割にたいした行政効率化も進められない施策に多額の資金を投じさせられ、それを河野太郎さんが「デジタル庁が費用も技術難題も全部責任を持つ」と大見得を切り、さらにそれに具体的な何かを弥縫策としてお示しできず、日本各地でデスマーチ的炎上が広がっているけどこれほんとどうするんだよという話に尽きます。

 ただ、問題の本丸はデジタル庁を立ち上げた当初、(なぜか記事では菅義偉さんが政治決定の中枢ということにさせられているけど菅さんがこだわったのは日程だけだと思うんですが)初代デジタル大臣平井卓也さんと官民人材が同じハコで働くとしたデジタル庁立ち上げ時点での各種方針とそれに伴う施策、人事の超無理筋が4年間の時を経て、日本の『デジタル主権』における敗戦という形で跳ね返り、我が国のコンテンツ収支は猛烈に悪化し、外資系ビッグテックの皆さまに地方自治体経由で国富が兆円規模で流れ出ている現状を解決せしめるには至らない状態になった、というのがポイントだろうと思います。

 さらには、今回槍玉に挙がっているAWSもそうですが、実際にはGSSというかもっぱらTeamsほかMicrosoft製品が各種問題を把握しながらも解決しないまま採用にいたり、その結果、Microsoft製品固有のセキュリティ問題(バグではなく、あくまで仕様とされている)が未処理のまま見切り発車されることで、過去からいままで、そしていずれ解決されるはずと願う未来まで地方自治体だけでなく日本政府の情報は危機に晒され続ける虞がありますよね、ということに他なりません。

 とかなんとか書いているうちに、日経ビジネスで吉野次郎さんも政府情報システム関係での事実上のベンダーロックインの問題に敷衍して「政府のサイバー防衛に穴」なる微妙記事も出ていました。これ、アクセンチュアの話ですよね。この辺の国策に関わるところで外資系コンサルを入れてしまうあたりに我が国の情報管理の在り方とは何かという深淵な問題に思いを馳せたくなるところではございますが、漏洩してんじゃねえよってのは当然みんな思うところでありまして… ということで、掻い摘んで気になることや、個人的に問題の本質なんじゃねえのと感じているところ、関係者と議論している内容を踏まえて、守秘義務に触れない程度に有料記事として全力でほのめかしたいと思います。

問題の本質は「デジタル主権」の喪失

 物事の発端は、そもそもAWSがこんなビッグなシェアを日本の公的情報システムでガメてていいのという話からスタートします。多くの記事やセキュリティ関係のニュースレターでも触れられていますが、日本政府が推進する「ガバメントクラウド」で、米アマゾンのクラウドサービスAWSが97%のシェアを占めている——しかし、この数字だけを見て「外資依存が問題だ」と論じるのは、症状を見て病気の本質を見誤ると思うわけですよ。そうじゃねえんだよ。AWSが安全で効率的でコスト的に見合うクラウドなんだとしたら、別にそれを止める必要なんてどこにも無いんですからね。我が国の高性能半導体のかなりの割合は海外依存だ、と言われて「大変だ、じゃあ全部国産化しろ」って言い出すのは甘利明御大だけで充分です。

 本当の問題は、なぜこのような状況が生まれたのか、という点にあります。
 26年1月22日付の朝日新聞若江雅子さんの記事は、デジタル庁が「回転ドア」人事を推奨し、アマゾン出身者が職員として採用されている実態を報じましたが、そもそも、彼らを除いてデジタル庁ほか日本のデジタル発注を担う人材をどこから連れてくるべきだったのか、日本政府、日本経済、日本人・日本社会にとって、最良最善のデジタル発注とは何であるべきで、国家が考えるべき目指すセキュリティ思想や実装とは何であるかという、割と根本的なところを考えなければならないのです。

 結論から言えば、デジタル庁の要職に米国IT企業の出身者や現職幹部が多数登用され、彼らが自社に有利な仕様を政府の方針として決定してきた、そしてそれは初代デジタル大臣に就任された平井卓也さんの決定以降、ずっとこれが続いているという、構造的な利益相反が存在があるからです。AWSの圧倒的シェアは、その「結果」にすぎません。

我が国のガバメントクラウドを設計したのは「元AWS社員」

 では、ガバメントクラウドの構想・要件定義・業者選定を主導したのは誰だったのでしょうか。

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「ガバメントクラウド、そのままやるんすか」で起きる利益相反と情報漏洩リスク|山本一郎(やまもといちろう)
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