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【4分で読める】服薬指導が劇的に変わる??握手会の脳科学と「手袋越しの信頼」を作る技術

​こんにちは、そしてお疲れ様です。Nemo訪問看護師です。最初の【結論】と最後の【まとめ】だけでも閲覧もありがとうございます。

​【結論】

​服薬コンプライアンスの低下は「認知機能」ではなく「看護師への不信感」が原因の場合があります。その対策一つとして握手で、脳に「信頼」を与えましょう。

​1. なぜ人は「握手」に大金を払うのか?

​皆さんは、なぜアイドルとの握手会に何千円、何万円ものCDを買って参加する人がいるのか、考えたことはあるでしょうか?

好きな人に会いたいから」はもちろんですが、脳科学的に見ると、そこには以下の快楽物質が分泌されます。

​オキシトシン:安心感、癒やし、信頼(通称:愛情ホルモン)

​ドーパミン:ワクワク感、高揚、意欲(通称:報酬系ホルモン)

皮膚と皮膚が触れ合うことで、それらが同時に分泌されます。つまり、握手とは単なる挨拶ではなく、「安心」と「興奮」をセットで脳に焼き付ける行為なのです。

​2. 薬を飲まない患者さんへの「処方箋」としての握手

​「何度言っても薬を飲んでくれない」という悩み。それは患者さんの認知力や理解力の問題ではなく、実は「指導してくる看護師(あなた)との信頼関係がイマイチだから」というケースが少なくありません。言うことを聞きたくない相手の指示は、誰だって守りたくないものです

​そこで提案したいのが、「訪問の開始時と終了時の握手」です。

​開始時:「今日もあなたのために来ました」という受容のメッセージ(オキシトシン分泌による癒やし

​終了時:「また来るまで元気でいてください」という約束のメッセージ(ドーパミンによる意欲向上

​もちろん、今の時代、感染予防の観点からスタンダードプリコーション(手袋着用)は必須です。
手袋越しであっても、手を握る「」や「体温」は伝わり、非言語の信頼契約を結ぶことができます。関係性が改善されると、驚くほど服薬コンプライアンスが向上することがあります。

​3. 特定行為研修で変わった「手のひら」の感覚

​私は看護師特定行為研修(在宅パッケージ)を修了していますが、この研修を経て、私のキャリアと看護観は大きく変わりました。

ぶっちゃけ、研修で最も変わったのは「」の感覚です。以前は「バイタル異常なし」と確認するだけだった接触が、医学的知識と臨床推論を叩き込んだ結果、高度なセンサーに進化しました。

脱水の兆候はないか(皮膚のツルゴールや湿潤度から水分バランスを推論)

​循環動態はどうか(脈の立ち上がりや強さから心機能を推論)

​末梢循環不全はないか(冷感や色調からショックの予兆を推論)

​これらを瞬時に評価しながら、同時に手を包み込むように触れることで、利用者さんの脳に「この手は私を理解し、守ってくれる手だ」という情報を送っています。

知識」という裏付けがあるからこそ、自信を持って握手ができる。不安そうにしている利用者さんの手に触れる時も、そこに解剖生理学的な根拠とアセスメントがあるだけで、伝わる安心感の深度がまるで違います。これは研修を受けたからこそ得られた、プロとしてのリアルな実感です。

​4. ただし、人間はそんなに単純ではな意!!

​ここで一度、綺麗事をひっくり返しましょう。

手を握れば信頼関係ができる」なんて、教科書通りの甘い話だけではありません。人間には防衛本能があり、他人がパーソナルスペースに入ってくることを本能的に不快に感じる人もいます。

​皆さんも、満員電車で知らないおじさんと肩が触れ合って「癒やされる」ことはないですよね? むしろ不快でストレス(コルチゾール上昇)を感じるはずです。

利用者さんも同じです。「看護師だから」というだけで、無条件に身体接触を受け入れてくれるわけではありません。特に、認知症の方や精神疾患のある方の中には、触れられることを「攻撃」や「拘束」と捉える方もいます。

「人間は基本的に他者を警戒する生き物である」という防衛本能の視点を持たずに無遠慮に手を出すのは、地雷原を歩くようなものです。

​5. 今すぐ使える!「5%の危険信号」を見抜く技術

​では、どうすれば「侵襲」にならずに「信頼」を得られるのでしょうか? 明日から使える2つの技術を共有します。

​5-1.「下から」支える

上から掴むと、脳は「拘束(支配)」と認識します。ユマニチュードの技法でもありますが、必ず自分の手が下から、同じ高さで支えるように触れてください。これは「私はあなたを支えます」という非言語メッセージになり、防衛本能を解除しやすくなります。

5-2.​「拒絶」の微細なサインを見逃さない

触れた瞬間、筋肉がキュッと硬くなったり、目線が泳いだりしたら、それは「5%の危険信号」です。すぐに手を離し、物理的な距離をとってください。ここで無理に縮めようとすると、関係は破綻します。引く勇気を持つことも、プロのタッチング技術です。

​6. 【まとめ】

​握手会のアイドルが、ファンの剥がし(時間制限)があっても一瞬で心を掴むように、私たちも限られた訪問時間の中で、プロとして「」を使いこなしていきましょう。

その手袋越しの温もりが、薬を飲むきっかけになるかもしれません。


​最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「なるほど!」と思ったら、ぜひスキやフォローをしていただけると嬉しいです。

毎回のスキ、コメント、記事購入等いつもありがとうございます。大変感謝しております。励みになります。関連記事もありますので、参照していただければ幸いです。

​参考・引用書籍

​1. 『ユマニチュード入門』

(本田美和子 / Yves Gineste 著)

​記事内で紹介した「掴むのではなく支える」技術の原点です。写真が多く、明日からのケアですぐに使える具体的な「目の合わせ方」「触れ方」が学べます。新人さんもベテランさんも、一度は読んでおくべきバイブルです。

​2. 『予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』

(ダン・アリエリー 著)

​人間がいかに感情や環境で不合理な判断をするか(なぜ握手にお金を払うのか等)が楽しく学べます。看護の専門書ではありませんが、「人は理屈だけでは動かない」という視点は、コンプライアンスの悪い利用者さんへの対応にも応用できる名著です。


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