外国人観光客の身勝手な行為に悩まされてきた住民の声を受け、神奈川県鎌倉市は本格的に対策に乗り出した。一定の効果は出ているが、住民は「注意してもキリがない」と困り顔だ。
【写真】いまだ!フォトスポットから一斉にシャッターを切る観光客
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踏切近くに「フォトスポット」
住宅地のわきを江ノ島電鉄の小さな電車が走る。その奥には夕日に輝く湘南の海が広がる――。
江ノ電・鎌倉高校前駅の踏切は、人気漫画・アニメ「スラムダンク」の「聖地」として知られる人気の観光スポットだ。
2月上旬、半年ぶりに踏切を訪れると、その隣の「腰越ラッコ公園」には、60人ほどの観光客が集まっていた。
踏切に隣接するこの公園に、撮影用のスペース「フォトスポット」が設けられたのは昨年秋のことだ。鉄パイプの手すりも設置された。公園内では、観光客らが周囲に気を配りながら、譲り合って撮影する秩序が感じられた。
警備員が声がけして注意喚起
だが、公園の外では、警備員は「歩道に出ないでください。公園で撮影してください」と、電車が近づくたびに大きな声を上げている。踏切周辺の様子を少し離れた場所から撮影すべく、かばんからカメラを取り出そうとした瞬間、記者にも警備員から鋭い制止の声が飛んだ。
「ノーフォト。そこから撮影できません。カメラをしまってください」
鎌倉市から取材許可を得ていることを説明したが、こうした警備員らの努力によって、踏切周辺の秩序はなんとか保たれているようだ。
現在も、スラムダンクに登場した「踏切で江ノ電が通過するのを待つ主人公」のシーンと同じ構図で写真を撮るためか、公園わきの歩道から踏切にレンズを向けようとする人が後を絶たない。「公園からだとちょっと角度が違うんだよなあ」とぼやく観光客もいる。
だが、半年前はもっとひどい状況だった。歩道どころか、踏切前の路上で観光客がカメラを構え、交通の妨げになっていた。
鎌倉市が昨年10月から対策
鎌倉市は「鎌倉高校前駅周辺における秩序維持」を目的に、昨年10月1日から実証実験を開始した。AIカメラや注意喚起看板を設置し、今年3月31日まで毎日、警備員4人前後を配置する。
警備員の一人は、「注意の仕方のバランスが難しい」と漏らす。
「みなさんここへ来ることを楽しみにしているので、その雰囲気を壊したくはない。でも、日本人も含めて、マナーを守らない人にはどうしても厳しく対処せざるを得ない」(警備員)