プロ野球の横浜DeNAベイスターズは2020年、新たな時代に突入する。球団は25日、今季の新スローガン「NEW GENERATION IS HERE.(新しい世代は、もうすでにここにある。)」を発表。さらにチームの大黒柱として活躍し、米大リーグのレイズに移籍した筒香嘉智外野手(28)に代わって、4年目の佐野恵太内野手(25)が新主将に任命された。神奈川新聞の取材に「先輩と年下のパイプ役として、明るいチームを受け継いでいきたい」と語った若きリーダーが、22年ぶりのセ・リーグ優勝へナインを引っ張る。
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DeNA新主将に佐野 スローガンは「新世代はここに」
「DeNAベイスターズ」に生まれ変わって3代目。新スローガンの象徴とも言える佐野恵太主将が誕生した。キャプテン制を導入する球団の中では現役最年少となる大抜てきに「やりたくてもやれるものじゃない。光栄なことだし、うれしい」と笑顔を見せる。
2019年末、横浜駅西口のホテルにラミレス監督から呼び出され、直々に通達された。5年間主将だった筒香のメジャー移籍が決まった直後だった。「まさか今日自分が言われるのかな…」。広陵高(広島)、明大では副主将。初の大役にドキドキしながら耳を傾けていた佐野に「明るいキャラクターを変える必要はないよ」と指揮官は言葉をかけたという。
昨季は自己最多の89試合に出場し打率2割9分5厘。「近い将来中軸を打つ」(ラミレス監督)との期待から11試合で4番を任されるなど飛躍の1年を過ごした。「主将と言えば一番実績があってレギュラーというイメージ」と佐野。描く理想に追いつくためにも、今季はレギュラーポジションを奪うことが至上命令となる。「スタメンが確約されたわけじゃない。チャンスをつかまないとっていう重圧を自分にもかけている」と強い覚悟で挑む。
17年の入団当時から、チームの主軸を張っていた筒香はやはり偉大だった。「実績も圧倒的。とにかくすごい人」。特に思い知ったのは昨季のことだ。
春先によもやの10連敗。沈みがちな選手たちが多い中、筒香は下を向くどころか、切り替える大切さを教え続けた。「くよくよしている暇はない。早く帰ってあした頑張るぞ」。「チームメートの和ませ役」佐野は、筒香の指名を受け、試合開始前に野手の士気を高める「声出し」で笑いを取るのが日常になっていた。
「筒香さんのまねはできるものじゃない」と、1人で大きな穴を埋められないのは承知の上だ。就任に当たり、筒香からも「大変なのは大変やぞ。でも形にとらわれなくていいから」とアドバイスをもらったという。まだ4年目の25歳。チームの顔ぶれを見れば先輩の方が多いが、「チームメートに恵まれているし、やりにくさは感じない。不安はない」と頼もしい。
今オフは、グアムでソフトバンク松田宣の自主トレーニングに参加し、5年連続全試合出場中の36歳のトレーニング量に舌を巻いた。「ベイスターズなら最年長。自分と一回り違うのに、あんなに体力があるから試合に出続けられるのか」。最高の手本に触れた経験は必ずや生きるはずだ。
主将の重責は計り知れない。ミーティングなどチームのことで時間を割き、チームメートの観察眼も求められるだろう。ただ「5年後、10年後も強いベイスターズであるためには若い力が出てこないといけない。僕が前に出ていきたい」と意欲を燃やす。
大きく羽ばたく1年へ、最後は持ち前の明るさで言い切った。「自分のこともチームのこともどっちも10割で頑張る。倒れたら倒れたで経験になる。全力で駆け抜けたい」
監督は「明るいキャラは変える必要ない」
横浜DeNAベイスターズは25日、佐野恵太内野手(25)が新主将に決まったと発表した。「DeNAベイスターズ」になってから石川雄洋、筒香嘉智の両選手に続く3代目のキャプテンは、神奈川新聞の独占インタビューで意気込みを語った。
―主将就任おめでとうございます。
「監督から指名してもらえたのは光栄なこと。主将はなかなかできるものじゃない。やりたくてもやれるものじゃないと思うのでうれしいですね」
―任命された経緯は。
「(昨年)12月末に監督から横浜駅西口にあるホテル飲食店に呼ばれました。『筒香さんの次の主将をやってもらおうと思う』って。監督と一緒に食事したのは初めてだった。主将ってきょう言われるのかなってドキドキしながら行ったのを覚えています」
―監督から期待の言葉は。
「主将になったからといって、明るいキャラクターを変える必要はない。もちろんしゃべらなきゃいけないときはしゃべらないといけないし、鼓舞するときもあるよと」
連敗中も筒香さんは下を向かなかった
―筒香選手の後を継ぐことについては。
「もちろん筒香さんは実績が圧倒的ですし、チームの主将としてもすごい人だなと思いながら見ていた。正直なところ、僕が次の主将として不安はありますけど、筒香さんが残してくれたいいものを継続できるようにしたいです」
―入団後は筒香選手がずっと主将だった。彼のキャプテンシーをどう見ていたのか。
「チームが連敗中の時期でも筒香さんは決して下を向くことなく、毎日チームのみんなとコミュニケーションを取っていた。どうしても暗くなりがちなところを雰囲気良く毎日試合に挑んでいた。当時はあまり感じることなかったですけど、いざ主将に任命されてからはそのときを振り返ったりします。あんなに負けが続いてたのに、あんないい雰囲気で野球ができてたんだなって」
―春先10連敗してもチーム内にさほど悪い雰囲気は広がっていなかった。
「そうですね。毎日試合が続くので、負けたからって、ロッカーでくよくよしてる暇はない。『早く帰って明日頑張るぞ』って筒香さん、よく言ってました」
―その連敗中に、佐野選手は筒香選手からの指名で「声出し」を任されることが多かった。ガッツポーズをして選手たちに気合を入れることもあった。
「そういう雰囲気づくりは継承したいですね。暗い顔をしながら野球をするのはベイスターズに合わないと思うので」
明るいチームを継続させたい
―今まで主将の経験は。
「小学生のときは主将でしたが、その後はずっと副主将でした。広陵高、明大でも」
―主将のイメージは。
「一番実績があってレギュラーの人。だから監督に言われて、まさか僕がという思いはあった。実績はこれから頑張ってつけていきたい。雰囲気のいいチーム、明るいチームは継続させていきたい」
―新しくこんなことをやってみたいなと思うことは。
「僕はまだ年齢で見たら真ん中より下。先輩のほうが多い。チームが一致団結できる上と下のパイプ役になりたい」
―主将となれば調子が出ない選手や落ち込む選手に声を掛けるなど、周囲の目配りも大事になってくる。
「いいチームメートに恵まれていると思っています。まだ4年目でプロの世界を知っているかと言われたら分からないですけど、先輩に萎縮するとかってことは本当になくて。大変だとは思いますけど、やりにくいとかそういう不安はないですね」
―主将になっても自ら声出しも続けるか。今まで筒香選手は任命者だったが。
「そうなんですよ。どうしましょうか。毎試合あることなんで、一つ、いい声出しのルールができたらいいなあって思います。声出しでも後継者というか、下から明るい選手がどんどん出てきてくれたらうれしいなぁ」
筒香さんのまねはできない。監督も望んでいない
―1月はグアムでソフトバンク松田宣らの自主トレーニングに参加した。チームメートから激励は。
「(グアムで一緒だった)嶺井さん、宮崎さんからは頑張れと言ってもらいました。『今まで通りに接しづらくなるやん』って冗談も言われましたが(笑)」
―筒香選手から引き継ぎやアドバイスは。
「直接話していただける機会をつくってもらいました。『大変なのは大変やぞ。でも形にとらわれるなよ』って言ってもらいました」
―形にとらわれず自分らしさも出していく。
「筒香さんのまねをしろと言われても、そう簡単にできるものじゃない。指名してくれた監督もそれを望んでいないと思う。さすがに180度は変わらないと思うので、良いように形にできたら」
若い選手がチームを引っ張る
―新主将として臨む今季の個人目標は。
「僕はまだまだレギュラーの立ち位置じゃない。昨季は(プロ)3年間で一番、打席数も試合数も多かった。この1年でチャンスをつかまないとっていうプレッシャーは自分にもかけながらやっています。主将としてチームのことを見ていくのは一生懸命やるけど自分のことも一生懸命やる。規定打席に到達できるような1年間にしたい」
―新スローガン「NEW GENERATION IS HERE.(新しい世代は、もうすでにここにある。)」も発表された。佐野選手がその象徴になる。
「大黒柱の筒香さんがメジャーに挑戦するので、もっともっと若い選手がどんどんチームを引っ張っていくようにならないと。5年後、10年後も強いベイスターズであるためには、やっぱり若い力が出てこないといけない。僕もどんどん前に出て行けるように頑張ります」
―主将となれば、自分の練習をやりながら主将の業務もある。どうマネジメントするか。
「どうなるか分からないですけど、1年間まずは全力で駆け抜けてみようと思います。自分のこともチームのことも。自分の練習を削ってチームのことを考えようかなってなると、どっちもおかしくなると思う。だからどっちも10割で行こうかな。それで倒れたら入院します(笑)。ぶっ倒れたのも経験になりますから」