light
pixiv's Guidelines will be updated on March 18th, 2026.
View details
The Works "間桐慎二がアーチャーのマスターになったようです 小ネタ2" includes tags such as "間桐慎二", "アーチャー" and more.
間桐慎二がアーチャーのマスターになったようです 小ネタ2/Novel by 凍護@コメント嬉しい

間桐慎二がアーチャーのマスターになったようです 小ネタ2

2,524 character(s)5 mins

タイトル通りのご都合世界線話リターンズ、相変わらず間桐さんちのアーチャーさんとわちゃわちゃしてるだけ/HF公開されましたね!安定の間桐家のしんどみにハピネス注入したいです!/もっとまとめて上げるつもりでしたが、投稿欲に負けて一つだけフライングで。他にもストックの小ネタがあるので、もしかしたらここに追加するかもです。

1
white
horizontal

日が沈み、夜の帳が降りた冬木の街。
暖かな街の灯が望める高台にそびえ立つ屋敷の一室では、今日も召喚されし英雄が頭を痛めていた。

数ある客室の一つを借りたエミヤは、今生のマスターである少年から受け取った『宿題』を前にして長いため息をついた。ミルクチョコレート色の肌には疲れが見え、今日も今日とて眉間のシワが消えることはない。
マスターの少年…慎二に任せた『宿題』とは、篭城した相手に行う攻略作戦であった。
現在、第五次聖杯戦争は停滞状態にある。というのも聖杯戦争に蔓延る異常の予兆を見て、自身の陣営の戦力不足を睨んだアーチャーがランサー陣営に休戦を持ちかけたことが端を発する。
大きな動きを見せたライダーの出鼻をくじかれ、有力な三騎士クラスが手を結んだとなれば、他のマスターも迂闊に動けない。
残る一角のセイバー陣営にはランサーのマスター、遠坂凛が接触を試みているらしい。つくづく優秀な魔術師へアーチャーは眩しいものを見るように目を細めた。
しかし、停滞しているとはいえ戦争は継続中。幸運なことに降って湧いた時間で、魔術が未熟なマスターへせめて戦場の把握くらいは…と思い、講師の真似事を始めたのだが。

「く、少し任せてみればすぐこれだ。サーヴァントはスーパーマンでは無いと何度言ったら理解するのか…!」
衝動的に握りつぶしたくなる手を、慎二なりに真面目に考えた答えだからとアーチャーは必死に我慢する。
サーヴァントは確かに強力な使い魔だが、それが敵にもいるという基本をなぜ忘れてしまうのか。僕のアーチャーは最強なんだ!と言われる事に悪い気はしないが、そろそろ現実を知って欲しい。
サーヴァントへの自信がにじみ出ている紙面に現実主義者のアーチャーは肩を落とし、赤ペンを手にしてバシバシダメ出しをしようとしたその時。

「失礼します。お疲れ様です、アーチャーさん」
「桜くん」
コンコンと軽いノックの後、桜は体で押して扉を開ける。紅茶とポットを載せたトレイを持った桜は、何かを書かれた紙を手に疲労感を見せるアーチャーへ肩を揺らした。
「この前教えて貰った淹れ方を早速実践してみたんです。よければお茶にしませんか?」
おぼんのポットから漂う紅茶の香りに、アーチャーの体から力が抜けていく。
初めてアーチャーの前でいれた桜の紅茶は素人の域を出なかったのに、たった数度教えただけで見違えるほど上達してくれた。物覚えのいい教え子にふっと表情を緩めたアーチャーは、机で紙をトントンと揃えると端に避けた。
「心遣い感謝しよう。そうだな、では少し休憩にするか」
快く応じてくれるアーチャーにニコニコと笑った桜は、ティーセットが乗って重いトレイを慎重に運ぶ。
しかし、ソファに座るアーチャーの前のテーブルへそれを置こうとした時、足がもつれてしまった。
「きゃっ!?」
「危ない!」
瞬間傾いたトレイに引っ張られる桜の体に、アーチャーは弾かれたように顔を上げる。刹那スローモーションに写った視界の中で、こちらへ伸ばされる大きな褐色の手のひらへ桜は思わず目を閉じた。

ぎゅっと目を瞑った桜が初めて理解したのは、予感していた衝撃とは似つかない温かい感触。おそるおそるまぶたを開けてみた桜は、視界いっぱいに広がるアーチャーの顔に背を跳ねさせた。
「…っ、アーチャーさん!?」
「服は濡れていないな?大事が無くてよかった」
驚き顔を上げてみれば、上に伸ばされたアーチャーの腕が支えるトレイが見える。補助として腰に添えられた腕に、桜は何が起こったのかを察した。
バランスを崩した際、アーチャーは咄嗟にトレイで食器をすべて受け止め、自ら桜のクッションになってくれたのだろう。しかもあえてソファへ寝転ぶように受身を取ることで、より衝撃を吸収してくれるおまけ付き。
結果転んだとは思えないほど柔らかく受け止められた桜は、体の下にいるサーヴァントへ目を白黒させる。
自分のためにわざわざ配慮を重ねてくれたアーチャーは、ソファに寝転んだままひとまずトレイをテーブルの上に置いた。
「紅茶も無事だな。せっかく君が入れてくれたんだ、無駄になっては勿体ない」
サーヴァントの動体視力により、食器には何一つ欠けがない。無傷のティーセットを横目にした桜が、体制の恥ずかしさに気づいて慌ててどこうとする。

「あっありがとうございます…!すみません、すぐにどきますね!」
「おい、アーチャー。この前言ってたところ直してきたぞ…っ!?」
だが、桜がアーチャーの腹に手をついて起き上がろうとしたその時、タイミング悪く部屋の扉が開いて今度は慎二が顔を出す。
刹那大きく見開かれる瞳に、アーチャーは自身の運の悪さを呪った。
「おおおお前ら!何してんだよ!!」
予想通り始まった大声に嘆息し、ぶるぶると指を震わせてこちらを指差す慎二へアーチャーは桜を体の上に乗せたまま器用に肩をすくめる。
「落ち着け、マスター。少し見れば何があったのか一目瞭然だろう」
「すみません、兄さん。転んだ私をアーチャーさんが助けてくれたんです」
アーチャーの冷静な声に当てられて周りを見渡す余裕の出来た慎二だったが、アーチャーを桜が押し倒している構図は変わらない。
ギリッと強く歯ぎしりをした慎二は行き場のないモヤモヤを払うように尚も声を上げた。
「この…っ!本当に鈍臭い奴だよお前!おい!鼻の下伸ばしてんじゃないぞ!アーチャー!!」
「生憎、これしきで動揺するほど青くはない」
「…そうなんですか……」
慎二の怒鳴り声を涼しい顔で受け流したアーチャーは、近くから聞こえるどこか残念そうな声にハッとした。
陰った桜の横顔に、アーチャーがこほんと咳払いをする。
「…訂正しよう、少し嬉しかった」
「なんっだとお前!!桜!早くアーチャーから離れろよ!」
「いっ嫌です!実は私、さっき足をひねってしまったので…」
「なんだと!?私がついていながらすまない、どこが痛む?」
「だから僕の前でイチャイチャするなよ!!」
途端に頭をかきむしる勢いで慎二が噛み付く。
静まり返る間桐の屋敷で、一室から唯一ぎゃあぎゃあとうるさい声が響くのだった。

Comments

  • 苑子

    アーチャーが出した宿題や添削に素直に取り組む慎二…身近になると可愛い所が分かりやすい…。

    December 16, 2017
  • キョウ
    December 15, 2017
  • クモマ

    ハピネスっ( ゚∀゚):∵グハッ!!こんな間桐さんちも面白いです。

    December 15, 2017
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
Popular illust tags
Popular novel tags