石若駿Shun Ishiwaka

 




1. 響 (ひびき) [SOUND]

Q:2025 年、世界のノイズに塗りつぶされることなく、心に深く、静かに突き刺さった「音」。

A:Wolfgang Muthspiel "Rising Grace"というアルバム。2016年の作品ですが、今聴き返すと、共演者同士 の思いやる気持ちのやり取りが聴こえるようになりました。



2. 景 (ひかり) [MOMENT]

Q:誰かと、あるいは自分自身と「繋がった」と感じた 2025 年のライブ光景。

A:12 月に行われた Montreux Jazz Festival にて、ハーピー・ハンコックのステージで演奏できたこと。幼い頃から聴いていた憧れの音楽家と演奏できたことで、ジャズを始めた当時の記憶と、ジャズにのめり込み、歴史を追って聴き漁った記憶と、現在の自分の音楽の活動が繋がり、次なる自分の音楽の責任と未来を想像しました。



3. 航 (わたる) [FICTION]

Q:年間を通して、創作の糧、あるいはメンタリティ座標となった作品。

A:Motian in Motion というドキュメンタリー映画。尊敬するのドラマーの Paul Motian を追った作品です。彼の周辺のミュージシャンの言葉から、彼がどんな人間だったかが浮かび上がってきます。人物を知ることで、さらに音楽の解像度が上がってきます。ちょうど海外でのツアーでライブ終わりにバンドメンバーと鑑賞して、それぞれみな自分自身とも重ね合わせた瞬間があったかもしれません。



4. 触 (ふれる) [MATTER]

Q:制作や日常生活に温かさを与えてくれて、身体の一部のように馴染んだ「モノ」。

A:Sony のヘッドホン 人生で初めて外出用のヘッドホンを使い始めました。いままでは耳穴が密閉されて音楽を聴いていましたが、ヘッドホンになることで今まで以上に、自分と音楽の空間を俯瞰して聴けるようになったと思います。



5. 律 (リズム) [CONTINUITY]

Q:激しく動く時代の中で、変えずに続けてきた「自分だけの儀式」。

A:鏡に映った自分をみて、「あなたは大丈夫か!?」と理由もなく問いかけること。一番近くにいる自分に心配してあげることで、一瞬で自分に立ち戻ることができるような気がします。









一年の余韻を胸に、私たちは2025年の足跡を振り返ります。本プロジェクト『Traces』には、国境や言語を越え、アジアを横断する音楽家とその歩みを支える共鳴者たち、総勢30名超が集結しました。

5つの漢字に託された、私たちが大切にしてきたもの。
個々の記憶に深く宿るぬくもりをアーカイブし、リスナーや読者へと届けていく。

The Artists:
「響、景、航、触、律」

The Pro-Voices:
「兆、韻、拓、伴、芯」

正解のない、不安な時代だからこそ。
この言葉たちが、小さくともしなやかな「可能性」の種となることを願って。
分断を越え、新しい時代の「輪郭」を、共に手繰り寄せるように。



Curation:Zing
Edit:neciak
Design:10000





石若駿 Shun Ishiwaka

打楽器奏者、作曲家、音楽家。

1992 年北海道生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校打楽器専攻を経て、同大学を卒業。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。自身のプロジェクトとして Answer to Remember、SMTK、Songbook Trio を展開。また作編曲家としてサウンドプロデュースや楽曲提供を行う。これまでに日野皓正、くるり、椎名林檎、米津玄師、星野源、KID FRESINO、君島大空 合奏形態 等、数多くのアーティストのライブ・レコーディングや海外アーティストの来日公演に参加。

2023 年公開の劇場版アニメ「BLUE GIANT」では登場人物・玉田俊二のドラムパート実演奏を手掛ける。2024 年にリリースしたAnswer to Remember『Answer to Remember Ⅱ』が第 17 回 CD ショップ大賞 2025  ジャズ賞を受賞。2025 年 12 月、最新アルバムとして、石若駿トリオ『Live at ALFIE "Temporal Cubic"』、石若駿、市野元彦、Kanoa Mendenhall『TEINE』の 2 作を同時リリース。他に類を見ないアプローチで音楽シーンに影響を与え、新たな潮流を生み出している。



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