light
pixiv's Guidelines will be updated on March 18th, 2026.
View details
The Works "引きが偏ったマスターのカルデアの話・後編" includes tags such as "Fate/GrandOrder", "キャス弓" and more.
引きが偏ったマスターのカルデアの話・後編/Novel by 鬼っぽい生物

引きが偏ったマスターのカルデアの話・後編

16,188 character(s)32 mins

後編お届けします、続きそうな終わり方ですが単発予定作品です。上手く締まらなかった…

エミヤオルタさんに諭吉貢いだけど後悔してない…プロトセイバーは連続ログインの石で来てくれた親切。あれですか、エミヤオルタさんに諭吉さんを複数貢いだからですか?もう今月は課金できないよと諦め気味だったのでビクッてなった。エミヤオルタ、プロトセイバー、新宿ワンワンが同期とかなかなかカオス、この3人?で何か書こうと目論見つつ、まずは溜まってるネタを消化しようか、自分。
そして気付いたら300名いっちゃったんですが…200名企画終わってない!ジャックか、ロリか、ロリなのか!?エミヤママにものっそい反響頂いてびくつきました、とりあえず詰まってるネタ順に頑張ります、はい。

私のカルデアの現実はキャスター勢力が過多です、それでもキャスニキは出張ってもらってます矢除け有能。そしてライダーが壊滅的に揃わない、お願いだから撲滅力のある方キテクダサイ…他に撲滅力がある方が居ないのでイベントでお越し下さったサンタオルタ様に過剰労働を強いているのでそのうち粛清されるかもしれません。

二次創作だから何でも有りだよね、と寛大なお気持ちでお読み下さい。公式と食い違いがあっても二次創作だもんね…と流して下さいお願いします。

1
white
horizontal

マスターが現状に不満は無いかと確認を取りに来た後、手持ちの仕事が片付いたなら茶でもどうだとキャスターのクー・フーリンに声を掛けられた。断る理由もない、任されていた入力作業を終えて彼の工房へ向かう前に自室として与えられた部屋に一度戻ると借り受けている緑を基調としたカルデアスタッフ用の制服から自身の装備…赤原礼装へと替える。何というか、この頃はずっと制服姿で管制室に居座ってしまっていたとマスターとの会話で思い返した。服を借りれたのならとついつい制服姿で行動するのが普通になってしまっていた、入力や書類作業に赤原礼装が向かないというのも理由の一端ではあるのだが。
先日キャスターからレイシフト先で大量に手に入れたと譲られた林檎、食材を管理しているスタッフに話を通して小麦やら他の材料を融通してもらい深夜に食堂のキッチンで焼き上げた林檎のタルトタタン。昨日焼いていたのを知っているわけでもないだろうに実に良いタイミングでのお茶の誘いだった、バスケットを投影して中に入れると部屋を後にする。二人で食べるには多いかとも思ったが残ったら残ったでゆっくり食べるか…管制室で食べたい人が居ないか聞けばはけるだろう。幾度も訪れた彼の魔術工房、緑の園を覗き込めば私の来訪に気付いたキャスターがひらりと右手を上げた。

「お疲れさん、変わった茶が手に入ってな。ちと苦いがなかなかクセになる味だぜ?」
「それはちょうど良かった、この前貰った林檎で焼き菓子を作ったので持ってきたよ。」
「お、そいつは嬉しいねぇ…お前さんが作った食い物は美味い。」
「褒めても他には何も出ないぞ、キャスターのクー・フーリン。」

既に茶器の置かれた鉄製のテーブルへ近付くとバスケットを下ろす、私の姿を確認して茶を淹れはじめたキャスターのクー・フーリンが私の手元を覗き目を細めて笑う。バスケットから出した林檎のタルトタタンは両掌を繋げた程度の大きさで、投影で皿を作ると同じく投影で作ったナイフで切り分け一切れづつ皿へ乗せる。彼は林檎が好きだったから二切れ目を食べたがるだろうとホールの残りはそのままテーブルの端へ寄せ、薄っすらと青緑色の液体が満たされた茶器が寄こされるのを受け取る。ミントに似た爽やかな香り、苦めだと言っていたが菓子が甘いので丁度良いだろう。
いただきますと両手を合わせてからまずは淹れて貰った茶を一口、ミントっぽい香りが鼻をスッと抜けるのは悪くない、苦い…だろうか?そこまで苦味は感じない気がするが…もしやキャスターのクー・フーリンは苦味が苦手だったりするのだろうか?内心浮かんだ疑問符を押し込め、自作の焼き菓子にフォークを伸ばす。林檎部分を噛みしめ口内に広がる甘酸っぱさに良い出来だと自然緩む口元を自覚しながら視線をキャスターのクー・フーリンへと向け反応を窺う、細められた瞳は弧を描き頬に詰め込むような勢いで焼き菓子を食す様子に堪えきれず笑ってしまった。
笑う私へ向けられるのは悪戯を見つかった子供の様な表情、口内に食べ物があるからか言葉は返してこなかったが目は笑っていた。空になった皿を無言で私に差し出す、クスクスと笑い止まぬまま二切れ目を皿へ乗せて返すと笑みを深めてまた頬張る彼は少し子供っぽく見えた。何時も落ち着いた表情の彼を見慣れているからか物珍しさも手伝ってチラチラと表情を窺いつつ食べ進める、凝視するのは流石に失礼かとも思ったが…こうやって伺い見るのも行儀は良くないか。

「そんな笑うなって、小腹減ってる時に美味い物食ったら止まらなくなるだろ?」
「いや、他に人も居ないんだし全部君が食べて良いのだから急がなくても…とな。」
「お?何だ、全部貰ってよかったのか?残ったら持ち帰るのかと思ってたぜ。」
「君が食べないというのであればマスターに食べないか聞くが…それか自分で食べるかしかない。」
「あー…お前さんの料理の腕、皆知らねぇもんな…なぁ、エミヤ。お前さん他の奴等と交流する気は?」
「下手とは言わないがそこまでの腕では…ん?」

腕前を褒められて悪い気がする筈も無い、茶器を手にすると耳に届いた言葉に瞬く。視線をキャスターのクー・フーリンに向ければ真剣な表情、もしや私の行動に何か問題があったのだろうか?口内の甘さを流す様に茶を一口、甘い物の後だと確かに苦味が際立つ。他との交流…サーヴァント達との、という意味だろう。廊下ですれ違えば挨拶や会釈くらいはするが其れ位の接点しか無い現状、特に交流をと考えなかったというか…時間があるなら人の手伝いをしようと思うし、手伝う事が無いなら君と話している方が楽しいとは絶対に言えないが…

「いやな、お前さんが交流が苦手ってならと思っていたんだが…ドクターやらとは結構話し込んだりしてるだろ?別に交流が苦手ってわけでなくて接点が無いのが理由なら宴会とかやってる時に一緒に行かねぇかって誘ってみようかと思ってな。」
「私は当たり障りない会話は問題無いんだが、腹を割って…というような会話は下手だ。気持ちは嬉しいんだが酒も苦手だし、行っても何を話せばいいのかと黙り込んでしまいそうな気がする。それにだな、君に言われて気を付けているが元々私は口が悪い。酒など飲もうものなら気が緩んでやらかしそうだ。」
「同陣営の仲間相手に腹の探り合いは不要だろ?まぁそういう会話しかけてくる奴も居るっちゃいるが…あ、あー…そういやそうだったか、全然棘のある話し方しねぇから忘れてた。」
「正確に言えば私の話し方は雑なのでは無く、無駄に丁寧にする事で相手の苛立ちを誘うものだ。元々では無いが続けた結果この話し方が私の中で普通になってしまっている…気を抜けばマスター達相手にも同じ話し方になるからな、可笑しな話かもしれんが常に言葉遣いには気を張ってるぞ?此処に召喚された英雄達は本当の尊敬やらを向けられる事に慣れている者ばかりだろうからな、私の話し方は気に障る可能性が極めて高い。」
「でもお前さん、別に他の奴等を馬鹿にしたリしてねぇだろ?」
「それは無いが…私からすると二の足を踏むと言うのか…偉大なる英雄達に近付くのはどうも落ち着かない。君が気軽に接してくれるから普段は気にならないが、君が他人に囲まれているのを見るとこう、普通はそうだよな…とは思う。」
「今回の喚び出しじゃあ確かに枷だの相性だの色々と面倒な事は多いが…防衛に徹したお前さんの腕前は記録で見てるぜ?あれだけの腕があるなら胸張って良いと思うんだがなぁ…自己評価低くねぇか?」
「褒めても他に食べ物は持ってきてないぞ?君がそこまで評価してくれているのは嬉しいがね、私は欲張りなんだよ。こんな腕前では未だ足りない、君達に並ぶなんて出来ていないと思ってしまう。気後れしているは確かだ。」

此方の言葉を聞きながら考えを巡らせているらしいキャスターのクー・フーリンに何だか申し訳なさを感じる、私を心配してくれているのかという事に対する嬉しさがあるから余計に。別に同陣営の仲間達を嫌って等いない、ただ力ある輝かしい存在達が私には眩し過ぎて、一歩下がった位置が気楽だと思ってしまうだけで。茶器に残った茶を一口、苦みが増して感じるのは気分的なモノだろう。食べきっていなかったタルトにフォークを伸ばして一欠け口に放り込む、林檎を噛みしめ広がる甘さに反比例する重い気持ちに溜息にならぬ様に息を吐く。

「上を目指すのは良い事だが…というかお前さん誰を基準にしてるんだよ、普通の人間を基準にするならその評価は低すぎる。となれば基準にした奴がよっぽどの奴って事だろ?」
「何を高望みしていると思う様な人物を目標にしているのは認めよう、だが自己評価は妥当だと思っている。私が普通の―――人であった頃なら満足できたのかもしれないがね、人でなくなったからこそというのか…未だ足りないと思ってしまう。それが出来ない自分に対しての評価が低めになっているのは自覚しているさ、だからといって別に卑下しているわけではない。只人なのだからこんなものだ、という少しの諦めはあるがね。」
「思った以上に複雑だな…で、そんな自分じゃ他の奴等と並び立つのが気が引けるって?」
「気が引けるというよりは…キャスターのクー・フーリン、憧れとは少し離れて眺めるのが一番なんだよ。憧れというのは勝手に美化している部分もある、近付けば見たくなかった現実も見えてしまう。私が交流を避けるのはそういった心理からだ、必須でないならこの憧れを壊したくはない。」
「それは想定外の答えだな、まぁ…うん…師匠とか伝説と中身が一致してないから話したらがっかりしそうだけど。しっかしなぁ…それじゃ俺も、アルスターの英雄だの光の御子だの言われちゃいるがイメージってのを壊しまくってそうだな。」
「記録を見るに思ったよりも軽いとか、気さくだとかは思ったが…面倒見は良いし、魔術にも精通しているし、戦士としての腕前など今更だ、筋の通った生き方は見ていて気持ち良い。君が他人に慕われるのは当然だと思うがね。」

両腕を組んで考えこむ彼から視線を逃しつつタルトを完食すると残っていた茶を飲み干して茶器をテーブルに置く、空いてしまった両手を太腿の上に置いて言葉を探す。己の自己評価が低めなのは自覚している、アルトリアやクー・フーリンを目標としてしまえば切など無いと解ってはいても…擦り切れた記憶に遺る英雄達の様になりたいという想いは私の中で燻ぶり続けている。これはアルトリアやクー・フーリンが私を認めるという話では無く、私がこれならば彼等に並べると思えるまで消えはしない感情なのだろう。憧れとは勝手なモノだ、一方的に見て思いを押し付ける。あんな風になりたかった、きっと彼等は崇高に違いない等、其処にはそうであって欲しいという願望も混じって偶像を作り上げる。
アルトリアに対しては完全にそうしてしまっているという自覚がある、月光の下で見た彼女の美しさばかりが目に焼きついて、美しい処だけを覚えていたから、そのままにしたいと。彼女と話し、彼女が美しいだけの人では無いのだと確認したくないという『私』の傲慢な我儘。彼女にも人らしい一面があったと、未熟だった『俺』に対しては見せていた素顔。『私』の記憶にはもう無い彼女の笑顔、『オレ』の記録に辛うじてある笑顔。覚えていない『私』には、他人事にしか感じられない『オレ』は、同陣営だから、仲間だからと彼女と笑いあうなど、できない。
クー・フーリンに対しては出会いが最悪だったからか後のやり取りで株は上がれど下がる事は無かった、あんな男になれたらという曖昧な憧れ。曖昧だったからこそアルトリアに向けた様な盲目的な考えを抱かずに済んだのかもしれない、手間を掛けさせれば申し訳ないとは思えど罪悪感は無い。重くなく、適度な距離があるクー・フーリンとは付き合い易い。よもやそこに憧れ以外の感情が雑じるとは思っていなかったわけだが…

「俺は元々、テメェで決めたルールにさえ触れなけりゃ好き勝手して生きてきたからそんな畏まったりお堅いイメージはねぇと思ってたんだが…どんな伝承が残ってるんだか…」
「伝承というのも美化されていくものだろう?話が逸れたが…交流を自分から望んでとは考えていないな、私にとっては管制室もある意味で戦場ではあるし…現状、レイシフトよりも管制室での仕事を任されている身としてはサーヴァント達と交流を図るよりもカルデアスタッフ達と交流を深める方が重要だと認識している。」
「そうか…もし交流する気はあるが切欠が無いならと思って聞いてみたんだがお前さん本人がそう思ってるなら無理に進める話じゃねぇな。ま、俺としてはお前さんが交流持っとくべきと思う中に自分が入ってるなら文句は無い。」
「気を使ってくれるのはありがたいがね、其処ら辺は不要だ。ん?あぁ…君にはその、召喚当初から世話になっているし…面白味のない男ではあるだろうが今後も交流を持てたらと思っている。」
「おう、俺はお前さんと話してるの結構好きなんだぜ?記録じゃ敵対が多かったからいけ好かない奴と思ってたが、味方として会えばこんなに違うのかって驚いたがな。」

空の茶器に気付いたのか私の茶器に温かいお茶を注ぎ足しながら笑うキャスターのクー・フーリンに唇が緩んでしまう、今日は何か何時もなら言わないような事まで言ってしまった気もするが変な事は言っていないので問題無いだろう。堅苦しい話はお終いとばかり、先日レイシフト先で変わった木の実を見つけたと話を切り替える彼の声に耳を傾ける。まだ小さかったから見逃した瓜坊の話、毛皮が見事だった狐の話、良い香りのする花畑の話と、話題は尽きない。結局彼が一人でタルトの三分の二を平らげ終わるまでその日の茶会は続いた。

Comments

  • わんわんお
    January 11, 2025
  • √@眞代
    June 7, 2024
  • いない
    December 25, 2023
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
Popular illust tags
Popular novel tags