教育

2026.03.07 15:00

日本への留学生が40万人突破 政府目標を8年前倒して達成

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日本の留学生数が2025年に40万人を突破し、政府目標を当初の期限である2033年より8年早く達成した。この節目は、長期的な人口減少に対応しながら高等教育の国際化を進める日本の取り組みにおいて、重要な一歩となる。

出入国在留管理庁によると、2025年6月時点で留学生数は43万5200人に達し、前年比8.2%増となった。この成長は、過去最高となる18万人の新規入国者によって牽引された。この拡大は、2023年に発表された国家戦略の一環であり、2033年までに日本人学生50万人を毎年海外に送り出すことも目指している。

これら2つの目標は、国際的な人材を呼び込むと同時に、国内学生の海外経験を増やすという、日本の教育システムのグローバル化に向けた一体的な取り組みを反映している。

急速な高齢化が国際化を後押し

人口減少はこの戦略の中心的な推進要因である。日本の人口は急速に高齢化しており、18歳人口は大幅に減少している。多くの大学、特に大都市圏以外の私立大学は、高校卒業者数の減少に伴い、継続的な入学者確保の圧力に直面している。米国や英国といった従来の英語圏の留学先では、留学生が授業料収入の増加や研究能力の支援を通じて、同様の財政的圧力を緩和する役割を長年果たしてきた。

日本の拡大は労働市場の動向とも一致する。外国人雇用者数は2025年に過去最高の250万人に達した。勢いを維持するため、政府は最近、条件を満たす機関の入学定員制限を緩和する特別枠組みを導入した。この制度のもと、東北大学、筑波大学、広島大学は、所定の基準を満たすことで留学生の受け入れ拡大が認められる。

主要英語圏諸国では留学生が減少

数十年にわたり、米国、英国、カナダ、オーストラリアといった主要な英語圏の留学先は、数百万人の留学生を引きつけてきた。しかし近年、入国管理政策の厳格化により新たな障壁が生じている。米国は留学生のソーシャルメディア活動に対する審査を拡大し、英国は大学院留学生の大半について帯同家族を制限、カナダは入学者数に上限を設け、オーストラリアはビザ手数料を大幅に引き上げた。

卒業後の就労権も不透明になっている。英国は学士・修士課程修了者の大半について滞在期間を2年から18カ月に短縮する計画であり、米国のOPT(Optional Practical Training)プログラムも継続的な政治的な議論の対象となっている。

対照的に、日本は欧米諸国と比べて大幅に安い授業料と、若者の間での日本のポップカルチャー人気を追い風に留学生を引きつけている。

新首相、移民に対する国民感情に対応

同時に、外国人労働者の急増は、日本国内で社会統合や国民感情に関する議論を引き起こしている。高市早苗首相率いる政権は、移民受け入れ水準に対する懸念の高まりを認識し、永住権取得に必要な期間を2倍にするなど、不満に対処するための施策を発表した。この動きは、経済的な開放性と国内の政治的圧力のバランスを取ろうとする努力を反映している。

中国と日本の間の政治的緊張も高等教育に影響を及ぼしている。昨年末、中国教育部は日本への留学を検討する中国人学生に対し、慎重な判断を求める海外留学警告を発出した。この勧告は、台湾に対する中国の軍事行動が日本の関与を引き起こす可能性があるという高市首相の発言を受けたものである。中国人学生は日本の全留学生の約半数を占めており、持続的な減少が起きれば、この分野に課題をもたらすことになる。

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人と技術が織りなすイノベーションで世界をもっと元気に ~KIRINがAI時代に掲げる企業像とは

石本雄一(以下、石本):キリングループが長期経営構想「KV2027」を2019年に掲げ、「世界のCSV先進企業」という非常に高い山に挑んで、約7年が経過しました。ヘルスサイエンス事業の立ち上げという大きな挑戦を含め、これまでの経営成果をどう総括されていますか?

南方健志(以下、南方):グループ各社への現場訪問と従業員との対話を重ねる中で「CSV先進企業」という大きな目標には、着実に向かってきている実感があります。ただ、世界の先進企業のレベルに到達しているかというと、まだまだやるべきことはありますが、そのなかでいちばんの成果は、ヘルスサイエンス事業をグループの第三の柱にするための体制が整い、社会価値と経済価値を両立するサイクルが回り始めたことです。しかし、その挑戦は決して順風満帆なものではありませんでした。

特に、2019年に子会社化した協和発酵バイオ社の品質逸脱問題は、同社のみならずグループにとって大きな痛みを伴う出来事でした。私は当時、協和発酵バイオ社の社長を務めていましたが、従業員と共に全ての課題に全力で対峙し、品質への取り組みをゼロから再構築したことで、結果として「品質本位」というキリングループのDNAをより強固なものへと磨き上げることができた。

当時を振り返るとまさに修羅場の経験でしたが、グループ各社から多くの人的支援を受けて迅速な対応が可能となり、この時ほどキリングループの底力を有難く思ったことはありません。失った信頼を戻すのは容易ではありませんが、この痛みがあったからこそ、「品質本位」「お客様・患者さん本位」の真の意味を一層深く理解しましたし、現在のヘルスサイエンス事業における事業基盤を確立することができたのです。

人と技術が織りなすイノベーションで世界をもっと元気に ~KIRINがAI時代に掲げる企業像とは

南方 健志 キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長COO

石本:「KV2027」において、ファンケル社やオーストラリアの健康食品メーカー、ブラックモアズ社の買収など、非常にダイナミックな決定を下されました。こうした非連続な成長に向けたM&Aにおいて、単なるケイパビリティやルート・トゥ・マーケットの獲得に留めず、いかにグループ全体の能力へと昇華させるか、一貫して考えておられると感じています。

南方:私が常に意識しているのは、M&Aは決して単なる「数字の足し算」ではないということです。M&Aは「理念の共鳴」から始まらなければなりません。

例えば、ブラックモアズ社を訪れた際、創業者の「地球上のすべての人を自然の癒しの力と結びつける」という哲学が、従業員一人ひとりに深く浸透していることに感銘を受けました。我々の「発酵・バイオテクノロジーで社会に貢献する」という考え方と、深いところで共通していたのです。この「経営哲学の共感」があるからこそ、異なる文化をもつ組織が、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーという高い目標に向かってひとつのチームになれる。経営トップ同士が腹を割って経営哲学を理解し合うプロセスは、PMI(経営統合)において何物にも代えがたいものだと考えます。

石本:まさにそこがポイントですね。トップ同士が哲学レベルで共鳴しているからこそ、現場の自律性を損なうことなく、グループガバナンスを実効性のある形で機能させることが可能になります。この理念と仕組みの合致が、キリングループの成長を支える源泉だと感じます。

人と技術が織りなすイノベーションで世界をもっと元気に ~KIRINがAI時代に掲げる企業像とは

石本雄一 PwCコンサルティング 執行役員パートナー

「Innovate 2035!」が指し示す、イノベーションの真義

石本:新たな長期経営構想「Innovate 2035!」では、「人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として、世界をもっと元気にする」というビジョンを掲げています。これを実現するためには、技術を単なる資本として保有するだけでなく、多様な人材がそれを活用し、社会の課題を解決へと変換する組織能力が問われることになると思います。

南方:まず今回、Innovate2035!ということでイノベーション創出をグループ全体のテーマとして掲げていますが、キリングループは創業当初からイノベーションにチャレンジしてきた企業だと強く認識しています。今回、長期経営構想を新たに掲げるにあたり、私たちが目指す「イノベーション」とは、単に新しい商品やサービスを出すことではなく、新しい生活習慣を生み出し社会に定着させることを指します。

キリングループには120年続く発酵・バイオテクノロジーがあります。今後は、AIによって個々の健康状態に合わせた最適な提案を行うなど、デジタルの力も積極的に取り入れる想定です。そして、こうした技術を「価値」に変えていくには、やはり人の力や感性が不可欠です。最終的に価値を生み出すのはAI時代とはいえどやはり人の力です。

例えば、免疫ケアについて。これを特別なことではなく、毎日の歯磨きのような当たり前の習慣にまで高めていきたいと考えます。そのためには、科学的なエビデンスと、生活者に寄り添うマーケティングや感性という人の力、この両輪が不可欠です。2035年に向けて、この相互作用をグループ全体で飛躍的に高めていくことが、私の最大のミッションだと考えています。

石本:“イノベーション”という言葉は多くの企業が経営アジェンダとして掲げますが、打ち出すだけで表層的にとどまってしまっているケースが散見されます。イノベーションが“点”ではなく“連続”して起こっている組織の条件は、”何のためのイノベーションかが明確であること”だと思います。また、個人の閃きに頼るのではなく、組織的な仕組みや風土として定着させています。そのための土壌づくりこそが、これからのキリングループの成長を左右する鍵になると言えますね。そのような動きの一環で、キリングループは今回、新たにグローバル共通の価値観・行動指針として「KIRIN WAY」を策定しました。どのような想いで「KIRIN WAY」を策定されたのでしょうか?

南方:AIの技術的進化をはじめとした事業環境変化のなかでも、全従業員に常に意識のなかに置いておいてほしい共通の価値観を3つ定め、それを日々どう行動に移すかを示す6つの行動基準を設定しています。我々はこれを「3+6(スリープラスシックス)」と呼んでいます。価値観のうち「お客様・患者さん本位」と「品質本位」は、創業時から変わらない根幹であり、今回そこに、これからの10年を見据えて「先駆」という言葉を加えました。

この背景には、「常に時代の先を行こう」という強い思いを持たねばならないという危機感があります。誰もやっていない面白いことに挑戦し、世の中を驚かせたいという、ワクワクした遊び心を常にもつ集団でありたい。それがあってこそ、新しい商品やサービスが生まれると考え、「先駆」を価値観のひとつに据えました。

6つの行動基準については、あえて今の従業員が必ずしも十分にできていないものを選びました。
それらを強みに変えていこうという挑戦的な姿勢で掲げており、「Go to ゲンバ(Gemba)」や「Leap Beyond(枠を越える)」はその一部です。現場には必ずヒントや課題があり、五感を駆使してそれらを拾い出そう、そして解決に向けて組織の壁を取り除いて他者を巻き込もう、という意図を込めています。

価値観や行動指針はトップが掲げるだけでは浸透しません。現場には必ずイノベーションの鉱脈が眠っている。私自身が「KIRIN WAY」のいちばんの体現者となり、そこかしこでイノベーションが起きる、活気溢れる組織文化を現場からつくっていきたいと考えています。

現場に自ら足を運び、課題を見つけ、解決までやり遂げること、勝ちにこだわる執着心。これこそが今のキリングループに必要なパッションです。この「KIRIN WAY」を表面的な理解にとどめず、リーダーとメンバーが互いを認め合うときや、ボトルネックを確認するときの共通言語にしていきたいのです。

石本:トップが自ら現場を回り、「KIRIN WAY」を体現しようとする姿勢は、組織に緊張感と同時に活気をもたらします。単なるスローガンではなく、トップ自ら率先して実践することで、リーダーとメンバー間に共通言語が生まれていく。その結果として、現場での意思決定の質やスピードも着実に変わっていくと思います。この「KIRIN WAY」により、キリングループの組織文化はさらなる進化を遂げると感じます。

酒類、飲料・ヘルスサイエンス、医 3本柱のシナジーを創出

石本:今後10年の事業ポートフォリオについては、どのような展開を想定されていますか?

南方:私たちは「酒類」「飲料・ヘルスサイエンス」「医」の3領域を、独立した事業としてではなく、互いにシナジーを生む三本柱として機能させたいと考えています。特にヘルスサイエンス事業については、2030年に事業利益300億円を目指すという具体的な旗を掲げています。また酒類事業も、R&Dの力を生かして価値創出に挑み、収益性を高めていくことが勝負になります。2035年には海外売上収益1,000億円を目指しています。グローバル・スペシャリティファーマを掲げる医薬事業もパテントクリフ(特許の壁)を乗り越えて持続的な成長を実現したいと考えています。
領域ごとの役割は異なりますが、これらすべての根底にあるのは「発酵・バイオテクノロジー」というコアコンピタンスです。これを通じて、世界に誇れるCSV先進企業として、その役割を全うしたいと考えています。

石本:3領域がバラバラに存在するのではなく、発酵・バイオテクノロジーのコアコンピタンスやCSV経営のうえに成り立っているのがキリングループの強みだと感じています。

経営とは「実行」あるのみ

石本:本日お話を伺って改めて感じたのは、キリングループの一貫性です。CSVを経営のど真ん中に置き、それに基づいて一貫した経営判断を下す。これができる企業は、非常に稀有です。ヘルスサイエンス事業の立ち上げ時に行った大きな決断も含め、持続的に企業を成長させなければならないという南方社長の強い意志が、すべての変革の起点になっていると言えます。

南方:結局、経営は「実行」に尽きます。どんなに立派なビジョンも、現場で形にならなければ意味がない。スピーディーに変化するこの先10年を生き残り、繁栄し続けるためには、この長期経営構想の「実行あるのみ」です。構想を日々の意識と行動に落とし込むのはこれからが本番となります。最終的に価値を生み出す「現場」が強くなれるよう、経営陣として徹底的にこだわっていきたいです。

石本:5年後、10年後に、キリングループがより一層イノベーティブな会社だと社会から思われるようになるのが非常に楽しみです。私たちPwCコンサルティングも、その意志を実行へと移すためのパートナーとして引き続き伴走し、理念にあるように「こころ豊かな社会づくり」に貢献できればと考えています。

人と技術が織りなすイノベーションで世界をもっと元気に ~KIRINがAI時代に掲げる企業像とは

みなかた・たけし◎
キリンホールディングス代表取締役社長COO。1961年、広島県生まれ。1984年東京大学農学部卒業後、キリンビール入社。ミャンマー・ブルワリー社長や協和発酵バイオ社長を経て、2020年にキリンホールディングス常務執行役員に就任。24年3月より現職。

いしもと・ゆういち◎
PwCコンサルティング合同会社 執行役員 パートナー。大手外資系IT企業を経て、現職。消費財・小売業界を中心に、ハイテク、エンタメ&メディア、通信、製薬、金融、商社など様々な業界の企業に対してコンサルティングサービスを提供。将来に向けた事業変革の構想策定から実行支援まで包括的なコンサルティングサービスを主に提供しており、中期経営計画策定、M&A・組織再編、海外市場参入、GTM(Go-to-market)改革などの案件に数多く関与している。

Promoted by PwCコンサルティング合同会社text by Sei Igarashiphotographs by Shuji Gotoedited by Akio Takashiro

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PwC コンサルティングはプロフェッショナルサービスファームとして、日本の未来を担いグローバルに活躍する企業と強固な信頼関係のもとで併走し、そのビジョンを共に描いている。本連載では、同社のプロフェッショナルが、未来創造に向けたイノベーションを進める企業のキーマンと対談し、それぞれの使命と存在意義について、そして望むべき未来とビジョンついて語り合う。

教育

2026.01.18 13:16

留学先として米国の人気が低下、アジアと欧州にシフト

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トランプ政権による不安定なビザ政策、渡航禁止措置、そして留学生を歓迎しない言動が、米国への留学生の関心を冷え込ませている。今秋の新規留学生受け入れ数は17%減少し、パンデミック以降で最も急激な落ち込みとなった。連邦政府が卒業後の就労プログラムであるOPT(Optional Practical Training)の大幅な見直しや廃止に動けば、さらなる減少が予想される。

しかし、国際教育市場全体が縮小しているわけではない。市場は再配分されているのだ。学生たちが海外での学位取得先を他国に求める中、より手頃な価格で英語による教育プログラムを提供する国々が勢いを増しており、日本、韓国、フランス、その他の国々が過去最高水準の留学生受け入れ数を記録している。

高齢化を背景に、新興留学先での受け入れが増加

急速な高齢化に直面する東アジア諸国は、留学生を呼び込むことで大学の定員を埋め、労働力不足に対処する取り組みを強化している。

日本は留学生数を着実に増やしており、2024年には前年比21%増の33万人以上を受け入れた。日本政府は、英語による教育プログラムの拡充と国を挙げた学生募集活動により、2033年までに40万人の留学生受け入れという目標を掲げている。日本の大学の授業料は米国よりもはるかに安く、年間費用は通常5,000ドルから6,000ドル程度だ。

韓国の留学生数も急増している。同国は最近、過去最高となる30万人の留学生を受け入れ、国家目標を2年前倒しで達成した。大学は英語による教育プログラムを拡大し、ビザ取得のための財政要件の緩和や学生の就労権限の拡大により、成長が後押しされている。

欧州の低授業料国への関心

欧州全域でも留学生受け入れ数が増加している。複数の国が、移民政策を高等教育戦略や労働市場のニーズとより密接に連携させている。フランスは最近、過去最高となる44万5,000人の留学生を受け入れた。教育機関が英語による教育プログラムを拡大し、国を挙げた学生募集キャンペーンが認知度を高めている。低授業料モデルで長年知られるドイツは、現在40万人以上の留学生を受け入れており、工学や応用科学プログラムへの強い需要が原動力となっている。

スペインも成長を見せている。同国は最近、過去最高水準となる約24万2,000人の留学生を受け入れた。共通言語を持つラテンアメリカからの学生が、スペイン語で教えられる手頃な価格の学位を求めて流入し、需要を大きく押し上げている。

OPT見直しで米国は圧力に直面

2024〜2025年度、トランプ政権の政策の影響をほとんど受けていない期間において、米国は前年比5%増の117万人の留学生を受け入れた。この成長の多くはOPTによるもので、F-1ビザを持つ約30万人の留学生がこの卒業後就労プログラムに参加していた。

しかし、OPTの将来は不透明だ。米国市民権・移民局のジョセフ・エドロー局長は、この卒業後就労プログラムを終了させたいと述べている

「私が実現したいのは、本質的には、F-1学生が在学期間を超えて就労許可を得る能力を取り除くことを可能にする、規制および準規制プログラムだ」と、同氏は司法委員会の公聴会で述べた。

米国から、これまで主要な留学先ではなかった国々へのシフトは、一時的なものというより根本的な変化かもしれない。留学生を将来の労働者や長期居住者と見なす国々が勢いを増す一方、短期滞在者や政治的負債と位置づける国々は人気を失っている。米国は依然として強力な高等教育ブランドだが、競争の激しい市場において、ブランドだけではもはや決定的ではない。学生たちは計算された選択をしており、そして彼らはますます他国を選んでいるのだ。

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2026.02.01 12:00

試練の時を迎える「博士号」、トランプ政権が大学研究・大学院教育の支援削減

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米国において博士号は、さまざまな厳しい状況に直面している。独立した研究と学術活動によって学者が獲得する学術的達成の頂点として長らく位置づけられてきたが、今や強い逆風にさらされている。とりわけ、ドナルド・トランプ大統領の指導の下で連邦政府が大学研究と大学院教育への支援を削減したことが大きい。

全米の主要な博士課程プログラムは新規学生の受け入れを絞り込んでいる。留学生は大学院進学先として他国へ目を向ける傾向を強めている。博士号を持つ職員は連邦機関から大量に離職している。従来、博士課程への進学者に占める人種・民族の偏りを是正し、十分に代表されてこなかった少数派の学生をより多く取り込もうとしてきた長年の取り組みも攻撃対象になっている。

こうした縮小は、博士号取得者の過剰供給を是正する「遅すぎた適正化」だという主張もある。しかし多くの観測筋は、最近の動きが米国の大学院教育における伝統的な主導的地位、とりわけSTEM(科学・技術・工学・数学)分野に何を意味し得るのかについて、強い警戒を示している。

大学が博士課程の入学枠を絞っている

昨年、全米有数の研究大学のいくつかが、博士課程への将来の入学者数を減らす、または凍結すると発表した。8月にはシカゴ大学が、増大する財政的圧力により複数分野で入学者受け入れを一時停止するか縮小すると述べ、高等教育界に衝撃が走った。特に社会科学、芸術、人文系が大きな打撃を受けるとされた。

シカゴ大学だけではない。10月にはハーバード大学が、新規に受け入れる博士課程学生の数を大幅に減らす方針を示した。イェール大学、コロンビア大学、ブラウン大学、南カリフォルニア大学、ボストン大学、ペンシルベニア大学なども、新規受け入れの縮小、内定取り消し、一時停止、停止といった対応を取った例である。ウィスコンシン大学、ミシガン州立大学、ワシントン大学といった大規模な州立大学も同様の措置を講じた。

全国的に入学受け入れの減速がどの程度なのかを見積もるのは難しい。中央の大学当局の指示がないまま、各プログラムが静かに定員を減らす判断をした例について、信頼できる集計が存在しないためだ。断片的な情報からは、こうした判断が広範に行われたことがうかがえる。

博士課程の縮小は続いている。今月、ジョージ・ワシントン大学は博士課程学生への支援を7%削減すると発表した。同大学は13プログラムで受け入れ人数を減らし、5分野──臨床心理学、人類学、人類古生物学、政治学、数学──では新規入学を行わない。臨床心理学の受け入れ停止は特に注目に値する。多くの大学で同分野は歴史的に応募者数が最も多いプログラムだったからだ。

ジョージ・ワシントン大学の生物科学部長ギジェルモ・オルティは、「大学院生の博士課程枠は、どの大学でも研究プログラムを維持するための生命線です」と述べ、さらに「学生を勧誘するための博士課程支援パッケージを削れば、大学の研究能力を削っているのと同じです」と付け加えた。

こうした削減は、政権が研究への連邦支出を減らす意向を公言していることの、ほぼ避けがたい帰結である。とりわけ科学分野では、博士課程の訓練プログラムの多くにとって主要な資金源は研究費である。トランプ大統領は、米国立衛生研究所(NIH)、米国立科学財団(NSF)などの連邦機関に対する大幅な予算削減を提案している。議会は現時点ではこうした削減を退ける方向に傾いているように見えるが、連邦レベルの不確実性が今後も続く可能性が高い。多くの大学は、研究と大学院教育へのコミットメントについて極めて慎重に構えている。

他国は、米国の不安定な資金環境を好機として生かそうとしている。カナダは12月、主要な国際的研究者や研究チームを国内の大学へ呼び込むための積極的な戦略を打ち出した。その取り組みに、カナダドルで約17億ドル(約1933億円)を投資する意向だ。これには、最大で有望な博士課程学生600人とポスドク研究者400人がカナダへ移ることを促すために3年間で1億3360万ドル(約207億円)を支出する計画も含まれる。多くの米国研究者がこのオファーを受け入れると予想されている。

これに加え、米国のビザおよび移民政策の最近の変化が、他国からの大学院応募者の大幅な減少の原因だとして批判されている。他国からの応募は、従来、STEMプログラムにとって関心の豊かな供給源であった。

GEBS(Global Enrolment Benchmark Survey:世界入学ベンチマーク調査)の結果によれば、米国で新たに入学した留学生の大学院生は昨年19%減少した。米国の大学のほぼ3分の2(63%)が、大学院の留学生入学者数の減少を報告している。対照的に、他地域では留学生の大学院入学が増えている。アジアの大学は3%増、欧州の機関と英国の機関はそれぞれ5%増、3%増だった。

大学が将来の受け入れにブレーキをかける以前から、博士課程の在籍者数は伸び悩んでいた。2025年秋に米国の高等教育全体の在籍者数が1.0%増加したものの、その増加は主として学部生の増加によるものだった。最新のNational Student Clearinghouse Research Centerの在籍者数報告では、博士課程の在籍者数は昨秋に0.3%の小幅減となり、これは2000人超の減少に相当している。

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翻訳=酒匂寛

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